リチャードとモニカは寄り添ってダンスを踊っています。
リチャード: Okay, I'll do it. (わかった、そうするよ。)
モニカ: You'll do what? (する、って何を?)
リチャード: If kids is what it takes to be with you, then kids it is. (もし僕が君といるために子供が必要なら、やっぱり子供は必要なんだ。)
モニカ: Oh, my God. (本当?)
リチャード: If I have to, I'll, I'll do it all again. I'll do the 4 o'clock feeding thing. I'll go to the PTA. meetings. I'll coach the soccer team. (もし必要なら、もう一度そう[子育てを]するさ。4時にミルクをあげたり、PTAの会合に出席したり、サッカーチームをコーチしたり。)
モニカ: Really? (本当に?)
リチャード: Yeah, if I have to. Monica... I don't wanna lose you. So if I have to do it all over again, then I will. (あぁ、もし必要ならね。モニカ…僕は君を失いたくない。だから、もしそれをもう一度することが必要なら、僕はそうするよ。)
モニカ: You're the most wonderful man. And if you hadn't have said "if I have to," like, 17 times, then I'd be saying, "Okay, let's do it." (あなたは本当に素敵な人だわ。そしてもしあなたが「もし必要なら」と…そうね、17回も言わなかったのなら、私は「そうね、じゃあそうしましょう[子供を持つことにしましょう]。」と言っていると思うわ。)
リチャード: But you're not. (でもそうは言わないんだね。)
モニカ: Oh my God. I can't believe what I'm getting ready to say. I wanna have a baby. But I don't wanna have one with someone who doesn't really wanna have one. (あぁ、どうしよう。私がこれから言おうとしていることは自分でも信じられない。私は子供を産みたいのよ。でも、本当に子供を欲しいと思っているわけではない人の子供を産みたくはないのよ。)
リチャード: God. I love you. (そんな…。君を愛してる。)
モニカ: I know you do. Me too. So what now? (愛してくれてるのはわかってるわ。私も愛してる。それでこれからどうしたらいいの?)
リチャード: I guess we just keep dancing. (ただ踊り続けるだけだ。)
リチャードは唐突に I'll do it. と言っていますが、これは、フレンズ2-24その23+コメディアンとドラムの話 で、
モニカ: I do. I have to have children. I'm sorry, I just do. (私、子供が欲しい。子供を産まないといけないの。ごめんなさい、ただそうしたいのよ。)
と言ったセリフを踏まえて言っているのですね。
what it takes to be with you は「君と一緒にいるのに必要なもの」。
この take は、it を主語として、"It takes A (for someone) to do" 「(人が)…するのにAかかる、Aが必要である」という構文の take と同じですね。
It only takes ten minutes (for me) to walk here. 「そこへ(私が)歩いて行くのに10分しかかからない。」のように使われます。
このセリフでは "It takes kids (for me) to be with you." という文章が基本概念にあって、それを変形したものを仮定の形にしているのですね。
DVDの字幕はこれを簡単にして、If it takes kids to be with you 「君といるのに子供が必要なら」となっていましたが、意味としてはそれと同じことで、その kids を主語として前に出して「子供が、君といるのに必要なものなら」と強調しているわけです。
then kids it is は上手く説明しにくいのですが、「(もし子供が必要だということなら)まさにポイントは子供なんだ。」という感じでしょうか?
それとももっと軽い感じかなぁ?
英辞郎に、
it is.=〜にするよ。/〜でいくよ。/〜で決まり。
例文) All right. Jacket and tie it is. 分かった。ネクタイとジャケットでいくよ。
というのが載っているのですが、これと似た雰囲気なんでしょうかねぇ?
名詞だけで終わるのが寂しいというか中途半端なので、「それがまさにそうなんだ」という it is を軽い感じで付け加えているような気もします。
リチャードは夫として子育てに積極的に関わると具体例を出して言っていますが、何度も "If I have to" や、"do it all (over) again" という表現を使っています。
have to は「…しないといけない」、「ハートで感じる」大西先生によると「外からの圧力」を表す have to です。
「自分の意思ではない、そうするより他に方法がない」というようなニュアンスが感じられますね。
all (over) again という表現ですが、リチャードは前の奥さんとの間に子供がいて、彼のことだから父親としてちゃんと育児に参加していたのでしょうね。
それを「もう一度全部最初からやり直す」という感じが言葉に滲み出ています。
もう孫のいる年齢なのに、子育てにもう一度最初から取り組まないといけない、というリチャードの苦悩が表れているセリフだと思います。
モニカの if you hadn't have said... I'd be saying というのは、条件節が仮定法過去完了で「過去の事実に反対の仮定」を表し、帰結節が would を使った仮定法過去(…するだろうに)を表している、という表現ですね。
「もし(過去に)…しなかったのなら、(今頃)私は…しているのに」という感じで、条件節と帰結節に時制のずれがあります。
like, 17 times の like は you know などと同じ会話のつなぎ言葉で、「そうね、例えば」という感じ。
実際にはリチャードは have to を17回も言っていませんが、まるでそれくらいたくさん言ったかのように思えるほど、モニカにはその言葉がひっかかっている、ということです。
But you're not. は But you're not saying, "Okay, let's do it." を省略した形ですね。
子供は欲しいけれど、リチャードが欲しがってないのを知りながら、あなたの子供を産みたいとは言えない…モニカの気持ち、よくわかります。
また、この年齢で再び父親になることに抵抗を感じてしまうリチャードの気持ちも、よくわかります。
愛し合っている二人だからこそ、余計につらいですよね…。
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私ももう一度じっくり考えてみました。
まず、what it takes は成句では?ということで、辞書を見てみました。
英辞郎に
what it takes=必要な[欠かせない]もの[こと・特質・資質・素質・能力]、要件
what it takes to=〜するために必要な[欠かせない]もの[こと・特質・資質・素質・能力]、〜するための代償
what it takes to be a good manager=優れた経営者であるために必要な[欠かせない]もの[こと・特質・資質・素質・能力]
などが載っていました。
となると、「to 以下であるために(to 以下のことをするために)必要なこと、要件」という意味になるようなので、to be with you というのは「モニカと一緒にいること」、つまりは「リチャードがモニカと一緒にいるために」子供が必要だ、だから、リチャードは、"I'll do it." つまり、I'll have kids." 「子供を持つことにするよ。」と最初に言ったのではないかなぁ?と思うのですが…。つまり「(モニカを失いたくない)僕にとって(子供を持つことは)必要な条件だから、その要件を満たすように、子供を持つことを決心するよ。」という感じに思えたのです。
もし、what it takes を使って「モニカにとって子供は欠くことができないものだ」という意味にしようとするならば、what it takes to be yourself 「君自身でいられるために必要なもの」とかになるんでしょうか??(←これは思いつきなので自信ありません。)
他の表現を考えると、If you need kids、If kids are essential for you、If having kids is an essential part of your life とか…??(これも思いつきです…笑)
そもそもどうしてモニカと一緒にいるために子供が必要かというと、子供がモニカにとって必要なものだからだ、という前提があるからですよね。そういう意味では、話の展開としては、「モニカにとって子供は欠くことができないものだから、恋人である僕もそれに同意するよ。」という意味でも全く問題はないですし、catchさんがおっしゃるように「同じことを言ってる」のも確かだと思います。
ただ、このセリフの構造から解釈すると、to be with you というフレーズは、「君と一緒にいること」という意味になる、つまり what it takes "for me" to be with you のではないかなぁ…と思うのですが、いかがでしょうか?(いつも食い下がってすみません。)
お返事ありがとうございます。
catchさんのお返事の
「この時点で一緒にいるために子供を持つというような条件を口に出されるとモニカは受け入れないのではないでしょうか。」
という部分を読んで、確かにそうだと思いました。
で、改めてDVDを見直してみました。
リチャード: If kids is what it takes to be with you, then kids it is.
モニカ: Oh, my God. (本当?)
この時のモニカの反応は、ちょっとびっくりしている感じでした。どうして急にそんなことを言ったんだろう?みたいな、信じられない、みたいな感じです。
リチャード: If I have to, I'll, I'll do it all again. I'll do the 4 o'clock feeding thing. I'll go to the PTA. meetings. I'll coach the soccer team. (もし必要なら、もう一度そう[子育てを]するさ。4時にミルクをあげたり、PTAの会合に出席したり、サッカーチームをコーチしたり。)
モニカ: Really? (本当に?)
この Really? は嬉しそうな感じですね。子供を持つことを前向きに考えてくれている、具体的にいろんなことまでイメージしてくれている…という喜びでしょうか。
リチャード: Yeah, if I have to. (あぁ、もし必要ならね。)
このセリフを聞いた後、モニカはちょっと目を見開いています。モニカはリチャードの真意を知ってしまった、それに気付いてしまった、ということを示しているのでしょうね。さっきも、If I have to と言っていたのですが、再度そのフレーズを繰り返されて、その意味に気付いた、ということでしょう。
そして少しの沈黙の後の、
リチャード: Monica... I don't wanna lose you. So if I have to do it all over again, then I will. (モニカ…僕は君を失いたくない。だから、もしそれをもう一度することが必要なら、僕はそうするよ。)
これがモニカにとっての決定打でしたね。「君を失いたくないから、君と一緒にいるために必要ならば、僕はそうする。」と言っているだけだ、彼自身が子供を欲しがっているわけではない、ことをはっきりと悟ったわけです。
…という話の流れを考えると、やっぱり最初のリチャードの what it takes というセリフは、「子供が”モニカにとって”必要なものである」ということを言っているだけだと考えるのが自然ですよね。
実は、DVDを改めて見て気付いたのですが、DVDの日本語字幕は「君は子供を産むべきだ」、日本語吹替は「君に子供が必要なら産むべきだよ。」となっていたのです。これは catchさんの解釈と同じですよね。「モニカと一緒にいるために」というニュアンスは全く入っていません。
catchさんの解釈だと、「what it takes=必要なこと、要件」であることから、
If kids is what it takes to be with you, then kids it is. は、
「もし、kids が to be であること(=存在すること)が君にとっては(with you)、what it takes(必要なこと)であるなら、それはやっぱり必要なものなんだよ。」
ということになるのでしょうか。
with は「一緒に」ではなくて、What's the matter with you? の with のような、「(関係・立場を表す)…にとっては」という意味だということでしょうね。
「with you が一般論までは行かない」というのは、you が一般の人を指し「子供が必要な人にとっては、子供はやっぱり必要なものなんだよ。」という一般論「までは」行かない、という意味ですね? この場合は、「子供が必要な人は産むべきだ」という「一般論のようなこと」(一般論にかなり近いこと)を言っているけれど、やっぱり with you は「モニカにとって」、という意味だということですね?
DVDの字幕は、If it takes kids to be with you となっていて、それを見るとどうしても、It takes two to make a quarrel. 「喧嘩をするには二人必要。相手がなくては喧嘩にならぬ。」みたいな文を思い出して、「to 以下するためには、kids が必要」だと思ってしまったようです。この変形した文の場合でも、kids to be (子供が存在すること)が君にとって必要なら、のような意味になるんでしょうか?
私の今のイメージでは、If kids is what it takes to be with you でそういう解釈が可能なら、If it takes kids to be with you でも同様の解釈が可能だと思います。はしょったDVD字幕では多少、ニュアンスが違うことがありますが、言っている内容が全く異なる、ということは恐らくないと思うので、どちらの場合でも、「モニカにとって子供は必要だ」ということになるのでしょうね?
リチャードのセリフを聞いてみると、what it takes to be with you まで一気にサラリと言っているようです。もし、「君と一緒にいるために(必要だ)」と言いたいのであれば、takes / to be with you と、わずかながらポーズが入るか、to be with you の be がもっと強調して発音されるようにも思います。
私はこのセリフを文字として見た時に、what it takes が成句で「必要なもの」という意味になったのは、もともと take に「…を必要とする、かかる」という意味があったからだ、と思ったので、その take の用法を当てはめると、「to 以下するのに kids が必要」と解釈できる、と思ったのですね。辞書をざっと見る限り、take+目的語+to do で「目的語が do することが必要」(目的語と to do がSVの関係)というような意味は載っていなかったのですが、上にも書いたようにリチャードのセリフの言い方を聞いていると、catchさんの解釈が正しいと思います。私は、この文章を take の用法から分析しすぎて、セリフのニュアンスを読み間違えたようですね。
いつも私の疑問にお付き合い下さり、本当にありがとうございます。私の書いたことで何か間違いがありましたら、ご指摘下さいませ。
もし、お手すきの時がおありでしたら教えていただけると幸いです。
And if you hadn't have said 後半省略
ですが、
このような変な形の文を見たことがありません。
Huluでの字幕も上記と同じであり、実際にモニカの音声も、have の H は聞こえませんが、hadn't haveと言ってるようです。
過ぎ去った時点での“完了”の意を伝えたいのであれば、If you hadn't said で十分だと思いました。
英文法上、正しいのでしょうか?
コメントありがとうございます。お返事大変遅くなり申し訳ありません。
if you hadn't said という仮定法過去完了だと「もし“過去のあの時”、〜と言わなかったなら」という、過去の事実とは異なることを仮定することになり、
if you didn’t say という仮定法過去なら「もし“今”、〜と言わないなら」という、現在の事実とは異なることを仮定することになります。
今回の場合、「過去のあの時、あなたはそう言った」というほどの過去ではなく、「ここまでの会話で(ここに至るまで)、あなたは17回も "If I have to " と言っている」ということをモニカは言いたいように思えます。
その意味を英語で表現すると、
You've said "If I have to" 17 times.
という現在完了形がふさわしいかと思うので、
その You've said という「現在完了形」を「仮定法」にした形が、「ここまで17回もあなたはそう言っている、その事実がなければ」という意味の、if you hadn't have said になっているのかなと思いました。