2007年02月07日

tiredとsickの話 フレンズ3-1その4

いつまでも落ち込んでいるモニカ。
モニカ: God, what is wrong with me? (もう、私は一体どうしちゃったの?)
ロス: You need to get some sleep. (モニカには睡眠が必要なんだよ。)
モニカ: I need to get some Richard. (私にはリチャードが必要なのよ。)
レイチェル: Monica, you broke up with him for a reason. (モニカ、あなたは理由があって彼と別れたんでしょう?)
モニカ: I know, I know. I'm just so tired of-of missing him. I'm tired of wondering why he hasn't called. Why hasn't he called! (わかってる、わかってるわ。私はただ、彼がいなくて寂しいと思うのがすっかり嫌になったのよ。何故彼は一度も電話してこないのかを悩むのがいやなの。何故彼は電話をかけて来ないの?)
フィービー: Maybe because you told him not to? (多分それは、モニカがリチャードに電話をかけてこないで、って言ったからじゃないの?)
モニカ: What are you, the Memory Woman? (あなたは何者なの? ”記憶女”?)

get some sleep は「(少し)睡眠をとる」。
need to get some は「…がいくらか(多少)必要」ということですが、あえて some を日本語に訳す必要もないでしょう。
sleep は不可算名詞なので、some をつけて「若干の、いくぶんの」と、どのくらいであるかははっきり言わないけれど「ある程度」の sleep が必要だ、と言っているのですね。
可算名詞なら、単数の場合には必ず a をつけないといけませんが、不可算名詞には a をつける必要はないですよね。
その代わりというか、I want some money. などのように、some をつけることが多いです。
I need some milk. 「ミルクが欲しい。」とか、I had some chicken for dinner. 「夕食にチキンを食べた。」とか。
チキンの話は、週刊STの英作文コラムで伊藤サムさんが何度か例として使っておられました。
鶏肉という材料・材質としての物質を指す場合は不可算で、この場合は I had chicken for dinner. と無冠詞でも良いが、I had a chicken for dinner. と a をつけてしまうと、「丸ごと一匹のチキンを食べた」ということになってしまうので注意しましょう、とよくおっしゃっていましたね。
普通は some Richard とは言いませんが、この場合は、ロスが some sleep と言ったのに合わせて、some Richard と返した、ということです。
また、リチャードと別れて、リチャードに全然会えなくて、少しでもいいから会いたい、顔を見たい、声が聞きたい…など何かリチャードの「一部、かけら、少しのリチャード」だけでもあればいいのに…という感じも込められているのかもしれません。

for a reason は「ある一つの理由で、故あって」。
フレンズ2-20その25 で、the reason と a reason の違いについて説明しています。
ここでは「とある一つの理由、モニカは子供が欲しいけれど、リチャードは欲しいと思っていない」ということですね。
理由をぼかしたい場合は、for some reason 「何らかの理由で」と表現することもできますが、この場合は別れた理由をみんな知っていて、あえてぼかす必要もないから、a を使っているのでしょう。

be tired of は「…にうんざりしている、飽きている、嫌気がさしている、いやになっている」。
「…で体が疲れた、くたびれた」という場合は、be tired from を使いますね。
I'm tired from walking. なら「歩き疲れている。」
from はその「疲れた原因」を示しており、of の場合は、of 以下のことがずっと続いてそれに嫌気がさしている、それがもう我慢できないほどいやである、と「その行為そのものに疲れている」ということかなぁ?と思います。
日本語で「疲れた」というと、「もう、彼との恋に疲れた。」などと精神的に参ってゲンナリしている時にも使いますので、そのニュアンスは同じでしょうか。
I'm tired of... と似た表現に、I'm sick of... というのもありますし、それをくっつけて、I'm sick and tired of her complaints. 「彼女の愚痴にはあきあきしている。」という表現もあります。

ちょっと、I'm sick of... で思い出したセリフがあります。
映画「インデペンデンス・デイ」(ID4)の特別版にある劇場版未公開シーンの中に次のようなものがありました。
いつも酔っ払っている父親ラッセル・ケイス(ランディ・クエイド)を、長男のミゲルが責めるシーン。
病気で薬が必要な末っ子トロイの薬代を稼ぐために自分は頑張っているのに、父親は仕事で失敗ばかりして少しもお金を稼がない、と言って責めるのですが、それを聞いていたトロイは、その高価な薬の瓶を地面に投げつけて、
トロイ: I don't want your stupid medicine because I'm so sick of medicine! (そんなつまらない薬なら僕はいらない。だって、薬にはもううんざりしてるんだ!)

sick はもともと「病気である、気分が悪い」というところから、「(気分が悪くなるほど)いや気がさして、うんざりして」という意味になったのだと思います。
I'm so sick of medicine. という表現は、本来は気分を良くするために飲んでいるはずの薬で「気分を悪くしている、うんざりしている」という表現になっていて、sick と medicine をわざと並べて、そんな薬は何の役にも立たないよ、って感じを皮肉っぽく表現しているのかなぁ、と思ったのですが、どうでしょう?
実際の体調はその薬のお陰で良い状態に保たれているわけで、医学的または肉体的なことを彼は言っているのではなく、精神的に「もううんざり、飽き飽き、こりごり」みたいな感じを sick という言葉で表現しているんですね。
ちょっと矛盾した感じを醸し出していて、例えば「死ぬのが死ぬほど怖い。」のような表現と似ているように私には思えたのですが…考えすぎかも(笑)。

毎日毎日、miss him (彼がいないのを寂しく思う)、wonder why he hasn't called (彼が電話を一度もかけてこない[現在完了形なので、別れてから今までの間一度も、という意味ですね]のは何故かと悩む)ことを繰り返して、それにうんざりしてしまった、もうそんなことを考えるのは嫌なのよ!という心の叫びです。
それを丁寧に、「リチャードが電話してこないのは、あなたがかけないでって言ったからよ。」と答えるフィービー。
the Memory Woman はニックネームみたいなもので「記憶女」。
DVDでは「記憶力チャンピオン、記憶博士」などと訳されていましたが、どうしてそんなことを事細かに覚えているの? ということで、モニカとしては、自分でもよくわかっている理由をわざわざ人に口に出して言ってもらいたくはなかったんですね。
思わずフィービーに当たってしまうモニカの気持ちもわかりますが、聞いた質問に素直に答えたのに怒られるフィービーはもっとかわいそうでしょうか。

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posted by Rach at 09:42| Comment(9) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初コメントです。

いや〜すごい。ほんとにすごいの一言ですね。いつも内容の深さに驚きながら見させてもらってます。それに更新もすごいですね。たいていブログはモチベーションが続かなくなるもんですが…

そういえば最近YouTubeを見てて気づいたんですけどDVDってけっこうカットされてるんですね。ところどころ違うんでびっくりしました。Rachさんはご存知でしょうか?他にもNG集とかもあっておもしろいです。2つほど紹介しておきますね。

Season1-1の前半部分
ttp://www.youtube.com/watch?v=lUGEkSsLP6g

ジェニファー・アニストンのNG集
ttp://www.youtube.com/watch?v=-XvToCJM4r8

きっと自分みたいにコメントはしたことないけどかかさずチェックしてる人は多いと思いますよ。体に気をつけてくださいね。
Posted by Yoshi at 2007年02月08日 01:06
Yoshiさんへ
コメントありがとうございます! それに「すごい」と褒めていただき、とても嬉しいです。このブログを書くことに関しては、何故かモチベーションは落ちませんねぇ(笑)。

日本語版DVDでは、シーンが一部カットされている、という話は聞いたことがありました。でも、そのカットされた部分を見たことなかったんですよ。ですから、教えていただいた YouTube を楽しく拝見させていただきました。ありがとうございます。
ちなみに、紹介して下さっている URL ですが、パイロット版(フレンズ1-1)とNG集のURLが入れ替わっているようです。(←細かいことを指摘してすみません…笑)。
NG集って大好きです。特にこういうコメディのNG集は面白いですよね。(すべてのシーズンに渡ってのもののようなので、映像的にややネタバレなものもありそうですから、ネタバレは避けたい、という読者の方はご注意下さいね。)
セブンス・シーズンのDVDにちょこっとだけNG集というのがあって、さらにはファイナル・シーズンのDVDにも、NG集というのが映像特典としてついていました。それと少し重なっているものがあるような気もします(ちゃんとDVDで確認してないのですが…)。

紹介してくださった、フレンズ1-1の前半部分(Friends Season 101 The Pilot 1/3)以外に、あと二つ(2/3と3/3)映像ファイルがあって、それでフレンズパイロット版のカットされた映像を含めた全てのシーンが見られるんですね。
面白かったので、一気に全部見てしまいました。
すると、そのセリフのスクリプトが欲しくなって、ちょっと探してしまいました(笑)。
Yoshiさんはそのスクリプトをもう入手しておられるのかもしれませんが、私と同じように今回初めて見て興味を持たれた方もおられるかもしれないので、私がスクリプトを発見するまでの道のりを以下に記しておきます(笑)。

いつも私が使っているネットスクリプトの The One Without A Name... Yet のスクリプトには、そのカットされたセリフは載っていません。
IMDb のスクリプトを探してみると、カットされている部分が少し載っていました。レイチェルがクレジットカードをハサミで切る部分などです。
Memorable Quotes from "Friends"
The One Where Monica Gets a Roommate (1994)
http://www.imdb.com/title/tt0583459/quotes
また、Wikiquote でも、カットされているセリフが載っていました。
(何故かマイブログでは、Wikiquote へのリンクをはるとエラーが出るので、wikiquote Friends で検索して下さい。)
その Wikiquote の一番下にある External links の Friends episode guide and scripts をクリックすると、
TV Friends
http://tvfriends.googlepages.com/
というサイトに飛び、
Season 1、Pilot とクリックしていくと、パイロット版のスクリプトにたどり着きました。
http://tvfriends.googlepages.com/season1-1

このスクリプトは、そのDVDではカットされていたシーンのセリフが緑色で色分けしてあって、非常にわかりやすいです。
興味のある方は是非スクリプトも確認してみて下さいね。
カットされた部分のセリフも結構面白いので、解説してみたい気もするけど…ちょっとシーズン3の解説に疲れたら、気分転換にやりましょうかね?(笑)

YouTube は自分の記事からはリンクをはらないことにしているんですが、本当に便利ですよねぇ。自分のブログ解説で使わないくせに、私自身は結構見てます(笑)。
著作権者との完全合意に至っていないことと、そのためにいつその映像ファイルが削除されるかわからない、ということからリンクをはらないだけなんですが、Google に買収されたことで、著作権者、閲覧者双方に利益をもたらすようなシステムに早くなればいいなぁ、と思っています。
今回のこのパイロット版の映像は、アメリカで発売されたDVDには収録されているのだと思いますが、リージョンコードの関係などで日本でそれを見るのは難しいのかなぁ?(←この辺りの技術的なことは、あまり詳しくないです…)。
だから、このパイロット版の映像が YouTubeから削除されないように祈っています(笑)。

体のことまで気遣っていただき(笑)、本当にありがとうございます。とても励みになります。情報ありがとうございました。
Posted by Rach at 2007年02月08日 11:13
アメリカで発売されたDVDを見ようとすると確かにリージョンコードがネックになってきます。確かアメリカがリージョン1で日本がリージョン2(もしかしたら逆かも)だったと思います。更に、それぞれの国で発売されているDVDプレーヤーにもリージョンコードがつけられています。ただし、変更は可能です(最大9回までだったと思います、9回変更するとそれ以降変更できなくなります)。だから、お金に余裕があれば、アメリカで発売されたDVDの再生専用DVDプレーヤーを買えば良いかと思います。
Posted by ほんだ at 2007年02月08日 18:31
日本国内で、アメリカ版のDVDを再生できるプレーヤーって買えるの?我が家の場合は逆パターンなのですが、最初は「アメリカ版のはTVに付属のDVDプレーヤーで、日本版のはパソコンで見よう」という方針でした。こっちでHD&DVD録再機をさらに買ったのですが、日本版のを見れるかな?という試みはせず(同型機を買った知り合いによると無理だったらしい)、結局日本出張時にだんなが日本版再生用DVDプレーヤーを買って帰ってきました。電源の電圧の違いもあるので、変圧器(ちいさいの)もくっつけて。TVまわりはどうしても配線が鬱陶しくなりがちですね。

Friendsの最初の方のはiTunesのストア(米国)でダウンロードできるので、見てみようかな・・と思ったりもしたのですが、DVD版に比べてもかなりカットされてるそうで、やめました。それよりは再放送を探した方がよさそうかな・・と思って。
で、その辺を調べてる過程で違うシットコムを見つけて、ちょっとハマったのでDVD購入することにしました。カントリーの大御所女性シンガー、Reba Mcintireが主演で、役名もReba、ドラマのタイトルもRebaというのです。彼女の曲で一つ感動したのがあってベスト盤を買ったりもしたのですが、へぇ、こんな一面もあったのねー、とびっくり。舞台もテキサス(でも出演者はあんまり訛ってない)だし、誰にでもお勧め、というわけにはいきませんが、個人的にはこれでシットコム英語学習スタート・・という感じです。問題は、これで覚えた英語を使うようなシチュエーションになってしまっていいのか?という設定なことかな。(Rebaはだんなに浮気をされ、3人の子供を抱えて離婚。長女がティーンで妊娠/結婚/出産し、collegeに行きながらのこの夫婦&子供が同居。元だんなとその妻になった元浮気相手がご近所さんで頻繁に出入りする・・)
でも、Rebaが明るく前向きに、時にキレつつも何とかかんとかやって行く、というキャラで気に入ってしまったので、自分が気に入ったのが一番、と思うことにしました。
Posted by おちか at 2007年02月09日 01:03
僕が聞いた話では、リージョンコードの違うDVDを挿入すると、リージョンコードが違うという警告と、再生機のリージョンコードを変更するかというのが表示されるらしいです。変更を承諾出来る回数が9回だったように記憶しています。
パソコンのDVD-ROMは確実にそのように出来ています(自分のコンピュータで試してみました)。
Posted by ほんだ at 2007年02月09日 02:26
ほんださんへ
DVDについてのいろいろな情報ありがとうございます。
そうですね、リージョンコードは日本が2で、アメリカが1のようですね。パソコンのDVD再生ソフトなら、そんな風にリージョンコードを変更できるんですね。私はあまりパソコンでDVDは見ないのですが、確かにパソコンならいろいろいじれば何とかなりそう。
リージョン1対応のプレーヤーを買おうかなぁ…と過去にちらっと思ったことはあります。確認してないけど、日本橋あたりなら売ってそうな気がするしねぇ。日本でも再生専用DVDプレーヤーなら随分とお安くなっていることだし、そんなに高くないかなぁ、と思ったりもするのですが。

まぁ、今はお金の余裕もあまりないし(笑)、アメリカ版DVDを買い込んで見るほどの時間の余裕もあまりないし、また余裕ができたら考えます。
いろいろとアドバイスをどうもありがとう!
Posted by Rach at 2007年02月09日 09:00
おちかちゃんへ
そうそう、電圧の違いってあるよねぇ。新婚旅行でドライヤーと一緒に変圧器を持っていったのを思い出した(笑)。
規格の違うソフトを機械に入れるのって勇気がいるでしょう?(笑) DVDが取り込まれたままウィンウィンと勝手に回ってて、イジェクトしなかったらいやだなぁ、とか思ったりして。
アメリカ版DVDってどんなのか見てみたい、っていうのはあるんだけど、まぁ、日本で発売になっている洋画や海外ドラマのDVDですら数えるほどしか見てないので、そんなアメリカ版に手を出すより、日本で先に見るべきものがまだまだ私にはたくさん残っているようです。
フレンズがiTSでダウンロードできるって知らなかった(笑)。私、ダウンロードするのはもっぱら音楽ばっかりで、映像方面ではどんなのがあるかよく知らないんですよ。

Reba っていうシットコムがあるんですね。全くの初耳です。やっぱりドラマの舞台は自分になじみのあるところがいいですよね。ストーリーはなかなかハードなようですが、そういうのを明るく前向きにやって行く、というのは見ていて元気がでますね。やっぱり、自分が気に入ったのが一番!だと思います。
Posted by Rach at 2007年02月09日 09:04
iTSでTVのドラマをダウンロードするのは、検討はしてるけど1回もしたことないの。でも、例えば「話題になってるから見てみたいけど、DVD買って1話見て気に入らんかったらどうしよう」なときにはいいよね。アメリカにいると大抵のドラマはcableの系列局で再放送をがんがんやってるので、それをちょっと見てみる手が使えるけど(今回の私のRebaのように)、それを待ちきれないとか、時間が合わないとかいうときにも。

ちなみに、Dora the Explorerとか、ミッキーマウス関係とか、子供用のも結構充実してます。車の中で退屈して騒ぐ子供に見せるとか、映像を持ち歩くことの需要があるのかな。
Posted by おちか at 2007年02月12日 22:55
おちかちゃんへ
iTSの利点は、そのように「バラ売り」しているところにあると私も思います。とりあえず1話だけ見てみたい、と思うことは結構あるもんね。ゲストに好きな俳優さんが出てるなどの理由で、あるドラマのこのエピソードだけ見たい!ってこともあるし、そういうニーズに答えてくれるようにどんどんダウンロードできるドラマが増えるといいなぁ、と思います。
私はもっぱら音楽ばっかりだけど、それもアルバムに入っている曲を1曲だけとかもダウンロードできるから、その曲だけ聴きたい場合なら、CD1枚レンタルするより安く済むしねぇ。
確かに、子供用のが充実しているというのはありがたいかもしれませんね。子供はすぐに退屈するから(笑)。
Posted by Rach at 2007年02月13日 11:32
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