2007年02月19日

フレンズ3-1その16

ジョーイ: Look, what do you want me to say? (なぁ、お前は俺に何て言って欲しいんだ?)
チャンドラー: I want you to say that you like her! (お前に、彼女[ジャニス]が好きだ、って言って欲しい。)
ジョーイ: I can't. It's like this chemical thing, you know. Every time she starts laughing, I just wanna... pull my arm off just so that I can have something to throw at her. (そんなこと言えないよ。相性の問題っていうか。ジャニスが笑い始める度に、ただ…俺の腕を引きちぎりたく[引き抜きたく]なるんだよ。そうすれば、それを彼女に投げつけることができるだろ。)
チャンドラー: Thanks for trying. Oh, and by the way, there is no Count Rushmore! (努力してくれてありがとう。[ホッケーのチケットをジョーイから奪い取って] あぁ、ところで、「カウント・ラシュモア」なんてものは存在しないぞ!)
ジョーイ: Yeah, then-then who's the guy that painted the faces on the mountain? (そう、それじゃあ、あの山に顔をペイントしたやつは誰なんだよ?)

chemical は「化学の、化学的な」です。
そして chemistry は「化学」なのですが、「化学現象・作用、化学反応」という意味から「(人との)相性」という意味にもなります。
They have bad chemistry. なら「彼らは相性が悪い。」、There's no chemistry between him and me. なら「彼と私とは相性が悪い。」になります。
chemical という形容詞の語義を見たところ、そういう相性関係の語義は見つからないのですが、chemistry にそういう「相性」の意味があるので、その形容詞「相性の」という意味で使っているようですね。
so that I can have の so that は、目的を表す場合は「…するために、…となるように」、結果を表す場合は「それで、そのため」という意味になります。
ロングマン現代英英辞典の so (that) の項目には以下の二つの語義が書いてあります。
1. in order to make something happen, make something possible etc
2. used to say that something happens or is true as a result of the situation you have just stated

1.は「目的」、2.は「結果」ですね。

このセリフの場合は、目的を表すと考えると、「彼女に投げつける何かを持つことができるように」、つまり「彼女に何かを投げつけられるように」、腕を引きちぎる、という感じになります。
結果と考えると、「手を引きちぎりたいんだよ、そうすれば、彼女に投げつける何かが手に入るから」、つまり「そうすれば、彼女にその腕を投げられるから」ということになります。
目的か結果のどちらなのか?ということになると、それは文脈から判断すれば良いことですし、どちらでも意味に大差ない場合はどっちでもいいんですが…(笑)。
so that の後に can という可能の助動詞がついている場合は、「…できるように」と訳すことが多いですが、「そうすれば…できる」という結果と捉えても結局は同じことかなぁ…と思います。
ロングマン現代英英辞典の例文に、
The gravestones were covered with moss so that it was impossible to read the names on them.
というのが載っていますが、この場合は、
「その墓石は苔(こけ)に覆われていたので、そこに書いてある名前を読むことができなかった。」
と、「結果」として訳すのが妥当だ、ということになりますね。

自分が大好きなジャニスのことを悪く言われて、チャンドラーはすっかり機嫌を損ねてしまいます。
ホイール・オブ・フォーチュンの話 フレンズ3-1その12 で、ジョーイがクイズの答えを間違えた時、チャンドラーはあえてそれを指摘せずに流していたのですが、ここでその時の話を持ち出しています。
「さっきは俺は機嫌が良かったから、あえて言わなかったけど、お前はバカな間違いをしてたんだぞ、わかってんのかよ!」みたいな感じ。
それに対するジョーイの反論を聞くと、ラシュモア山(マウント・ラシュモア)の顔を作ったのはラシュモア伯爵(カウント・ラシュモア)という名前の人だ、とでも言いたいようです。
でも、あれは岩石に顔を「彫っている」(carve?)のであって、paint 「ペンキで描く」という表現はおかしいですよねぇ。
スクリプトのト書きに、(Chandler gives him a look like 'You stupid idiot!') とあります。
つまり、「チャンドラーはジョーイに「このバカ!、お前はバカか?」みたいな顔をする」ということですが、マウントとカウントを間違っている上に、paint という言葉まで使っているのにあきれている、という感じでしょうか。


ロスがレイア姫の金のビキニに憧れていることを、レイチェルがフィービーにばらしたことで、ロスは怒っています。
ロス: Look, that was supposed to be like a private, personal thing between us. (ねぇ、そういうことって、僕ら二人の間の、プライベートで個人的なことなはずだったと思うけど。)
レイチェル: Okay, Ross, Phoebe is my girlfriend, okay? We tell each other everything. You know, I mean, come on, guys do the same thing, I mean, what about all that locker-room stuff? (ロス。フィービーは私の女友達よ、そうでしょ? 私たちはお互いすべてを話すのよ。ほら、ねぇ、男性も同じことをするでしょう。ロッカールームでのそんな感じのこと[おしゃべり]についてはどうなのよ?)
ロス: That's different, okay? That's like, uh, who dated a stripper? Or who did it on the back of the Staten Island ferry? (それは違うよ、いいかい? あれは、例えば、誰がストリッパーとデートしたか? とか、スタテン・アイランドのフェリーの後部でエッチをしたのは誰か?とか。)
レイチェル: Both of those Joey? (それって両方ともジョーイ?)

What about...? は「…についてはどうなのか?」ということで、この場合は、私たち女の子がそういう話をするのをいやがるけど、男性もロッカールームでそんな似たような話をしてるでしょ?、それについてはどうなのよ、どう言い訳するのよ?、という感じです。
Staten Island は New York 湾にある島。
the Staten Island ferry は、その島に行くフェリーなんですね。
Wikipedia 英語版: Staten Island
手っ取り早く知りたい方にはこちら(↓)。
Wikipedia 日本語版: スタテンアイランド
上の日本語版にも、フェリーの話が書いてあります。
The Staten Island Ferry 公式サイト
運行スケジュールから、フェリーの写真、スペシャル・イベントの概要など、いろいろな情報が載っています。

ウィキペディア日本語版に「ごみ処理場」の話が書いてあったのですが、そう言えば、2006年11月11日の日経新聞夕刊の「世界街めぐり」というコラムに、
「ニューヨーク 世界最大級の旧ごみ埋め立て地 巨大公園へ再生を計画」
という記事が載っていました。
「実現すればセントラルパークの約3倍の大きさに」
なるそうです。
記事を抜粋すると、
「その埋め立て地の悪臭は、天気のいい日にはニューヨーク湾をはさんだブルックリン地区まで届いたといわれ、その悪臭や舞い飛ぶゴミが深刻な問題となり、1996年に埋め立て地の閉鎖が決まった。」
とのことでした。

on the back of the ferry について。
back は「(建物などの)裏手・裏側、後部」、また「(船の)背骨」という意味もあるようなんですが、ここでの back のニュアンスは「人から見えないような隠れたところで」という感じなのでしょうかね?
「それってジョーイ?」というのは、まぁ誰でもわかりますよね(笑)。

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posted by Rach at 19:35| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>chemistry にそういう「相性」の意味がある

そうですよね。
私はこの単語がこういう場面で出てきたときは、「相性」以前の「生理的」という言葉が一番に浮かびます。

しかし、生理的に合わないって言われたら悲しいだろうね〜
Posted by まゆみ at 2007年02月19日 21:43
まゆみさんへ
普通に訳すと、「生理学」だと physiology で、「生理的」だと physiological になるのかなぁ、と思うけど、この場合の chemical はその「生理的に合う、合わない」のニュアンスに近いでしょうね。
広辞苑によると(笑)、
生理的=感覚的。本能的。肉体的。 例)「生理的嫌悪」
と書いてあるんだけど、そういう「理屈では説明できない、いくら努力して頑張っても乗り越えられない」みたいな感じがありますよね。

だから、「生理的に合わない」って言われたら、ものすごく悲しいだろうね〜。好きな人からは絶対に聞きたくない言葉だわ(笑)。
Posted by Rach at 2007年02月20日 09:36
ケミカルにそんな意味があるとは驚きでした!!
これ知らないと、とんでもない勘違い?しそうですね(笑)混乱というか。
英語ってホント一つの単語に意味がいろいろありますね。日本語っていっぱい表現あるなぁって思います。なんでこんなに違うのか不思議です。

3-2が面白かったので(人気の話なんですね。納得。)、何回も英語音声や英語字幕で見ちゃいました♪わからないところがあるので、Rachさんの記事に入るのが楽しみです。
Posted by k at 2013年10月09日 07:08
kさんへ
コメントありがとうございます。

chemical や chemistry にそういうニュアンスの意味があるって、何だか不思議ですよね。「化学(的)」という日本語には、そういう「人間」っぽい部分が感じられませんものね。

やはり、別の国の言葉なので、それとこれが一緒の単語?みたいな驚きは常にあります。ですから逆に、単語やまたはイディオムなどで、「あぁ、日本語でもそんな風に言う言う!」的なものを見つけた時は嬉しくなります。

3-2 が人気が高い、というのは納得ですよね。私の解説記事もめっちゃ長くなっておりますので(笑)、どうかじっくりお楽しみ下さいませ(^^)
Posted by Rach at 2013年10月09日 13:03
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