恋人とのプライベートなことを、同性の親友には話さない、というロスに、
レイチェル: That is so sad. You're missing out on so much. Ross. I mean, the bonding and the sharing, you know. And-and knowing that someone else is going through the same thing you are. (それは悲しいわねぇ。あなたはたくさんのもの、そうねぇ、絆を結ぶとか、分かち合うとか、そういう機会を逃しているのよ。それから、誰か他の人があなたと同じようなことを経験している、ということを知る機会も逃しているのよ。)
ロス: Hmph. So what, you, you tell each other everything? (ふーん。それじゃあ、君たちはお互いに全てを話してるわけ?)
レイチェル: Pretty much. (ほとんどのことはね。)
ロス: Did you talk about the Night of Five Times? Do you tell people about the Night of Five Times? (”5回の夜”のことを語ったの? ”5回の夜”のことを人に話すの?)
レイチェル: Uh, honey, yeah that was with Carol. (あぁ、ハニー、それはキャロルとのことでしょ。)
ロス: I know, but it's still worth mentioning, I think. (そうだね、でも、言及する価値はまだあると思うよ。)
miss out on は「…の機会を失う、…の好機を逃す」。
miss out on a chance to なら「…するチャンスを逃す」。
I missed out on the picnic. なら「ピクニックのチャンスを逃した。(せっかくの)ピクニックに行きそこなった。」ということ。
レイチェルは You're missing out on... と進行形を使っているので、「友達とそういう深い話をしないと言っているロスは、(以下で述べる)好機を、今まさに逃しているのよ。」という感じでしょうか。
on 以下にその「好機」に当たる「良いこと」が来るのですが、レイチェルは so much 「たくさんのこと」と言った後で、そうねぇ、例えば…と言った感じで、具体的な言葉を付け加えています。
bond は「絆(きずな)、結束」、the bond of friendship は「友情のきずな」です。
ボンドには「接着剤」という意味もありますが、「接着(接合)する、結ぶ、つなぐ」という意味だからですね。
bonding はそんな風に「誰かと絆を結ぶ、誰かと結びつきを持つ」ということ。
share は「共有する」。
フレンズ1-22その1 に share という単語が出てきていますが、そこでは「(話を)人に語る、披露する」という意味で使われていました。
自分の経験や喜び・悲しみなどを人にも話して、その感情を共有する、という感じですね。
go through は「(苦難など)を経験[体験]する、…に耐え抜く」。
フレンズ2-22その20 に出てきた get through 「(困難などを)乗り越える、切り抜ける」と似たニュアンスの言葉です。
through 「通り抜けて」という言葉のイメージが、そういうニュアンスを生むんですね。
knowing となっているのは、分詞構文ではなくて、miss out on knowing that... 「that 以下のことを知る好機を逃す」ということです。
ロスは、"Did you talk about the Night of Five Times? Do you tell people about the Night of Five Times?" と、同じようだけど少し違う表現を2回続けて言っています。
最初は talk about、2回目は tell people about になっている、さらには最初が過去形で、2回目は現在形、という違いもありますね。
まずは「話す」の動詞の使い分けですが、日本人にとっては、speak, talk, tell, say の違いがわかりにくい、という話をよく聞きます。
ハートで感じる英文法 大西泰斗/ポール・マクベイ著 Lesson 11 「英単語もイメージだ」の p.163 に、その4種類の「話す」動詞の使い分けが説明してあります。
その動詞のイメージがイラストで表現されていて感覚的にわかるようになっていますので、この使い分けが苦手な方は是非一度、その本のページを読んでみて下さい。
p.164 に大西先生の言葉で、その単語のニュアンスの違いが説明されています。
上のセリフの talk と tell に関して、先生の説明を引用させていただくと、
talk のイメージは、双方向、コミュニケーションがイメージの中心にある、おしゃべりをしている
tell のイメージは、メッセージを手渡しする感覚
だということだそうです。
その感覚を使って、ロスのセリフを解釈してみると…。
talk は誰かと会話をしているイメージで、talk about だと「…についてしゃべる、…を話題にする」ですから、誰かと「5回の夜」という話題についておしゃべりしている感じでしょうか。
tell は日本語で「語る、述べる、告げる、知らせる」のように訳されることも多いですが、つまり何らかのメッセージを「誰かに」伝える、というところにポイントがあるんですね。
この場合は目的語に people が来ていて、複数の人にそのメッセージを伝えることを示唆しており、「5回の夜」について「人、他人」(この場合は、親しい友達ですが)にその内容を伝える、という感じになるでしょうか。
過去形は、「そのことを過去に話したの?」、現在形は「現在の習慣的行為」を表し、「君はそういうことを常に人に話すのか?、君はそういうことを話すようなタイプの人間なのか?、そんなことを話しても平気なのか?」のような感じになるのでしょう。
改めて、the Night of Five Times を説明すると、1晩に5回エッチをした、という意味ですね(や〜ん、情熱的…笑)。
ネットスクリプトでは、the night of five times と全て小文字で書いてありますが、DVDの英語字幕では、the Night of Five Times と単語の最初が大文字で書かれており、固有名詞のように表現されています。
そのロスの伝説(?)を、「例の5回の夜」と固有名詞化することで、お互いが共通認識しているエピソードの名前となっているのでしょうね。
そんなに何でもかんでも細かいことを話すなら、そういうことを話してくれよ、とロスは言っています。
でも、レイチェルの返事を聞くとわかりますが、それはレイチェルとのエッチではなくて、キャロルとのエッチの話だそうです。
それでも話す価値はある、と言うロスですが、これは、恐らくロスにとっては自慢の武勇伝(笑)を友達に語って欲しいという気持ちと、そんなことは話さないだろ? そんな話はしたくないだろ? という意味も含まれているのでしょうかねぇ?
たいがいのことは話すと言っても、話したくないことは話さないんだから、ロスがしゃべって欲しくないことは、レイチェルにもしゃべらないで欲しい、ということでしょう。
もうロスとレイチェルはすっかり恋人同士なので、キャロルとの5回の夜の話を出しても、別に険悪なムードになるわけでもないんですね。
そういう話をレイチェルにしてるんだぁ…とちょっと驚いたのですが、二人が友達だった頃に何かの話に出てきたのかもしれませんね。
恋人同士になってから、わざわざ「レイチェルとは今晩のが最高記録だけど、キャロルとは1晩に5回、ってこともあったんだよ。」とは言わないでしょうからね(笑)。
回数の話で思い出すのが…(しつこく食い下がってすみません…笑)。
フレンズ2-4 で当時の恋人ジュリーと初エッチした翌朝、ロスが Singin' in the Rain (雨に唄えば)の音楽に乗せて、ストリートをダンスしながら通っていく、というシーンがありましたね。
ベンチに座ったおばさん2人にロスが話しかけます。
ロス: Good morning. (おはよう。)
おばさん: Well, somebody got some last night. (まぁ、誰かさんは、昨日の夜、いいことあったんだね。)
ロス: Twice. (2回、ね。)
今回はキャロルとの話を持ち出したロスですが、これが万が一、ジュリーとの話だったら、ちょっとしゃれにならない気もするのですが。
キャロルの場合は、元妻ですし、二人が夫婦だった時にレイチェルはロスのことを何とも思っていなかったので、そんなことは気にしてもしょうがないし、焼きもちも焼かないのかもしれませんが、ジュリーとはライバル同士で、それも先を越されたような形になっていたので、彼女との話だとレイチェルも黙っていないような気もします。
ロスも、レイチェルがパウロとの野獣のようなエッチ(笑)について語った時に、焼きもち焼いてましたもんね。
(Rach からのお願い)
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そろそろ、ブログ・タイトルの下に「18歳以下の方はご遠慮下さい」といった注意書きが必要になってきましたな(笑)。ま、今どきの18歳以下にとってはこれくらいの話はどうってことないのでしょうね。
えへへ…回数の話にしつこくこだわる自分が、我ながら恥ずかしいです(笑)。
最初の頃はもう少し私もウブだったんですけどねぇ…妙な使命感みたいなものがあって、エッチネタに関しては「誰かに指摘される前に私が説明せねば…」と勝手に意気込んでいるような気もします。
今どきの若い人にとっては、たぶんこれくらいなら大丈夫でしょう(笑)。