ロスはそわそわしています。
ジョーイ: What's the matter, Ross? You're nervous about your speech? (どうしたんだ、ロス? スピーチのことで緊張してるの?)
ロス: Nope! You wanna hear it? (違うよ! スピーチ聞きたい?)
ジョーイ: Am I in it? (そのスピーチに俺は出てくる?)
ロス: Uh, huh. Yeah, right after I thank everyone for giving money to the museum, I sing a song about the wonder that is Joey. (あ、あぁ…。僕がみんなに博物館へ寄付してくれたことに感謝を述べた後、「不思議な人、それはジョーイ」という歌を歌うよ。)
違うと言いながら、ロスはやっぱりスピーチのことで緊張しているんですね。
Am I in it? は「そのスピーチの中に俺は入ってる?」ということですから、スピーチの中で友人である俺の話題に触れるのか?と尋ねているのです。
次のロスのセリフを聞いて、観客はやっとそのスピーチの内容、そしてどうしてみんなが出かける準備をしているのかがわかるようになっていますね。
ネットスクリプトの最初のト書きには、
[Scene: Rachel and Monica's, everyone is getting ready to go to a banquet]
「みんなは banquet 「祝宴、晩餐会、宴会」へ行く準備をしているところ」
と書いてあるのですが、実際の映像では、ロスがタキシードを着込んでやってきて、他のみんなに早く着替えるようにせかしている様子がわかるだけで、特にどういうイベントが行われるのかを説明するセリフはありませんでした。
見ていくうちにその内容がだんだんわかってくるような演出にしているのでしょう。
あまり説明的なセリフを入れるのも不自然ですしね。
give money to は「献金する」、つまり donate 「寄付する」ということ。
museum というのは、ロスの勤務先である博物館のことですね。
今さらながら、なんですが、彼の勤務先の正式名称は何でしょう?
フレンズ1-2 でロスが原始人のマネキンをセッティングしているシーンがありましたね。
そのシーンに入る際、白い立派な建築物が映り、その後、画面に、
MUSEUM OF PREHISTORIC HISTORY
という文字が映ります。
prehistoric history って何だか矛盾したフレーズだと思うのですが、「先史時代の歴史、有史以前の歴史」という意味ですよね。
日本語字幕では「先史博物館」と訳されていました。
ネットスクリプトのト書きにも、
SCENE 1: MUSEUM OF PREHISTORIC HISTORY (ROSS AND MARSHA ARE SETTING UP AN EXHIBIT, WHICH INCLUDES SOME MANNEQUINS OF CAVE PEOPLE)
「シーン1:先史博物館(ロスとマーシャは展示をセッティングしている。展示には原始人のマネキンが含まれている)」
と書いてあります。
ただ、ちょっと気になることがあります。
フレンズ2-10その2 で、恐竜のマグカップが出てきました。
モニカの部屋にあるマグカップですが、ロスが自分用に置いている、とか、ロスがモニカにプレゼントした、とかいうことでしょう。(その時はチャンドラーが使っていましたが…)
そのマグには、
"I got boned at the Museum of Natural History."
「私は自然史博物館で骨を抜かれた」「恐竜のボクは、この博物館で骨になって飾られてるよ」
という文字が入っています。
このカップを、自分の勤める博物館のギフトショップで買ったものだと考えると、ロスの勤務先は the Museum of Natural History である、という可能性もあります。
ということで、今日の記事は、
ロスの勤務先は、
(the) Museum of Prehistoric History 「先史博物館」か?
(the) Museum of Natural History 「自然史博物館」か?
という細かくマニアックな話なので、興味のない方は、また明日お会いしましょう。
ちなみに、"museum of prehistoric history" でぐぐると、ロスの勤務先である、と書いてあるサイトがいくつかヒットします。
フレンズ5-9 では、ネットスクリプトに、
[Scene: The Museum of Prehistoric History (Ross's work)]
とあり、実際の映像でも、フレンズ1-2 に出てきたのと同じ、白い建物と MUSEUM OF PREHISTORIC HISTORY という文字が画面に映ります。
一方、「Museum-of-Natural-History Friends Ross」でぐぐってみると、こちらも「ロスがそこで働いている」という記述がいくつかヒットします。
また、ネットスクリプトにもそれらしき記述があります。
フレンズ2-15 では、スクリプトのト書きに、
[Scene: Museum of Natural History.]
という記述があります。
フレンズ4-11 では、以下のセリフが出てきます。
ロス: You know, we work in a museum of natural history. And yet, there is something unnatural about the way... (以下略) (ほら、僕たちは a museum of natural history で働いている。でも、…するやり方に不自然なことがあるんだ。)
ここでは、a museum of natural history という言葉が出て来ています。
ネットスクリプトは the Museum of Natural History と the がついて大文字で書かれていたのですが、DVDの字幕では、上のセリフに書いたように、a がついて小文字になっています。
この表現だと、「自然史博物館」という固有名詞ではなく、「自然史を扱う、とある博物館」という感じになり、その次に出てくる unnatural という単語と対比させるために、つまり、「不自然なことがあるけど、ここは自然史の博物館なんだよ。」と、unnatural であることがそぐわないことを言いたいがために、この名称を出してきただけだ、とも考えられます。
フレンズ10-15 では、
ロス: How would he like to come with me to the Museum of Natural History after everyone else has left. (みんなが帰った後、自然史博物館を僕と一緒に見て回れるとしたら、彼は喜ぶんじゃないでしょうか?)
この場合は、何故かネットスクリプトの方が小文字(the museum of natural history)になっていましたが、みんなが帰った後に見るわけですから、彼の勤務先、ということになりますよね。
ということで、実際のセリフやスクリプトなどで、どちらの名前も出てくるので、ロスの勤務先は「先史博物館」か「自然史博物館」か、意見が分かれているということのようです。
Wikipedia 英語版: Ross Geller (←ネタバレの恐れあります!)の Background の Career の項目には
...and later became employed at the New York Museum of Prehistoric History.
「(大学卒業)後に、ニューヨーク先史博物館で雇われるようになった。」
と書いてあります。
ウィキペディアには「自然史博物館」のことは書いてありませんね。
一方、Museum of Natural History で検索してみると、本当にそういう名前の博物館があるのがわかります。
American Museum of Natural History
Wikipedia 英語版: American Museum of Natural History の Images の項目では、恐竜も含めた様々な展示物の写真を見ることができます。
ウィキペディアの日本語版(↓)でも詳しく解説されているので、有名な博物館なんですね。
Wikipedia 日本語版: アメリカ自然史博物館
マンハッタンにあるそうですから、仮に勤務先ではなくても、ロスが大好きでよく行っている場所なのは間違いないでしょう。
スタッフが1,200名もいるそうですから、ロスがその中の一人である可能性もあります。
そう思って、再度、フレンズ1-2 でちらっと映った白い建物の映像と、ウィキペディアに載っている写真「アメリカ自然史博物館(セントラルパーク・ウェスト側)」とを見比べてみたのですが、雰囲気は大変似ているものの、びみょーに違うんですよね(笑)。
DVDの建物の方が、柱の数が多い、建物前の銅像が3つあって、それはどうやら座っている女神のような女性像に見える、建物の色合いも異なる…などなど、の違いがあります。
ちょうど入り口を右斜め前から写したような映像になっていて、建物の左横に、細かいガラスで仕切られて、決まったパターンで一部が青いガラスになっている近代的なビルが映っています。
NYに詳しい人が見れば、その建物が何かすぐにわかるのかもしれませんが…。
やっぱりアメリカ自然史博物館と似た感じの写真を使って、そんな感じの施設である、と示しているだけなのでしょうね。
ドラマに出てきたセットを見ると、展示などはそれほど大規模なものではなく、もっとこじんまりした感じでしたから、やっぱり「先史博物館」という「架空の」博物館が彼の勤務先である、という設定なんでしょうね。
フレンズ1-2 ではマネキンの腕が取れたり(笑)、2-15 では展示の内容が間違っているとロスが怒っているセリフもありましたが、アメリカ自然史博物館では、まさかそんないい加減なことはないだろう(笑)。
ロスはその恐竜コーナーで、若いのにかなりの権限を持っているようでもあるので、やっぱりアメリカ自然史博物館であるとは考えにくいし…。
ということで、私の結論としては、
「アメリカ自然史博物館」をモデルにした、架空の「先史博物館」がロスの勤務先である。
が、そのモデルが有名であるために、ネットスクリプトのライターや、時には製作スタッフまでもが、その二つの名前を混同して使ってしまうようである。
という感じでしょうかねぇ?
セリフに戻ると(笑)、ロスの話によると、その祝宴は、博物館に寄付をしてくれた人を招待してもてなす、という会合のようですね。
もしくは何周年記念パーティーとかで、それに合わせて寄付を募って、ロスはその寄付の報告及び謝辞を述べる、という担当になっているのかも。
アカデミー賞の授賞式じゃないんだから(笑)、ロスが友達の名前を挙げて礼を述べるはずもないのですが、ロスは適当に返事します。
それを聞いて嬉しそうなジョーイがおかしい。
I sing a song about the wonder that is Joey. は、「僕は、不思議なもの[驚異的なもの]についての歌を歌うよ。その不思議なもの、っていうのはジョーイのことだ。」という感じなので、「不思議な人、それはジョーイ」と訳してみました。
(Rach からのお願い)
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I wish I had your luck.(「すごいですねぇぐらいに訳してください」)
Rachさんのタイムテーブルを書き直しておきましたよ。
ロスの勤務先は葦原考古学研究所みたいな寄付や国家の補助金があるアカデミックところでで商業施設も兼ねてるのでしょうね。職種によって制服の違いもありました。
I sing a song about the wonder that is Joey. ここのthe wonderは褒め言葉で「すばらしい」とか「よくできた人」という感じがします。
5-8ト書き Joey is talking about the wonder that is the thong.
ここでもT バックのことをすごいなぁと感心して話しているようです。
Thank you for your kind words.
本当にありがとうございます。
I wish I had your luck. というのは直訳すると、「私もその君の幸運にあやかりたい。」みたいな感じでしょうか? 言われた方の私がこの日本語訳を書くと、えらく傲慢に聞こえますが(笑)、でも、確かに、「運」が良かったのは間違いないですよ。ここで自分の運を使い果たした、ってことがないように祈っています。
例のタイムテーブルも書き直して下さってありがとうございます。後は、あのタイムテーブルに則って人生を進めていくだけですね(笑)。
日本の考古学研究所の例えはわかりやすいですね。(奈良県立橿原(かしはら)考古学研究所…のことですよね?…って小姑みたいに細かくてすみません…笑)
そこの研究員として調査や研究もしつつ、博物館でその所有物を広く一般に公開している、という感じなんでしょうね。
制服が違う話は、4-11 ですね。今回、上の記事を書くにあたって、4-11 や 10-15 などの該当部分をDVDで見直してみたんですが、見ながら大笑いしてしまいました。どちらもセリフは覚えていたけど、やっぱり見たら吹き出してしまうんですよ。「natural であるはずなのに unnatural 」なんて、いかにもロスらしい言い方です。
the wonder は「褒め言葉」ですか。そう言えば、それを聞いたジョーイは喜んでいましたものね。名前を出してもらうから喜んでいるのかと思っていたのですが、その「褒め言葉」に喜んでいたわけですね。
ロングマン現代英英辞典には、
wonder: 1 (ADMIRATION)
a) [uncountable]a feeling of surprise and admiration for something very beautiful or new to you
b) [countable] something that makes you feel surprise and admiration
とありますから、確かに「感嘆、称賛」する言葉ですね。
wonder と聞くとどうしても、No wonder... 「…は不思議ではない」というのを思い出すので、wonder と言えば「驚異、驚嘆、驚き、不思議」という surprising の方ばかり考えてしまったようです。
5-8 のジョーイのセリフも見てみましたよ。確かにTバックについて熱く語っていて、周りの人たちがあきれているようですね(笑)。