昨日の記事、フレンズ3-2その15 で、フレンズ1-6 のセリフについて触れたので、この機会に、1-6 のその部分の追加解説をしたいと思います。
過去記事、フレンズ1-6その4 では、
「フィービーはボケたことを言って、みんなを煙に巻くことが多いですが、今回は、傷ついたジョーイにとてもsweetな言葉をかけて、優しい一面を見せてくれました。」
と、
「みんなに几帳面すぎると言われるのがイヤなモニカ。わざと靴を片付けないで寝てしまいますが、ベッドの中で一人で悩んでいます。」
との間に当たる部分です。
みんなに几帳面すぎると言われて、何とか几帳面でないところを見せようと、靴を片付けないで寝ようとするモニカ。
レイチェル: Uh, Mon, you-you gonna leave your shoes out here? (ねぇ、モニカ、あなた、靴をここに出しっぱなしにしとくつもり?)
モニカ: (DETERMINED) Uh-huh! ([決然と]えぇ、そうよ!)
レイチェル: Really? Just casually strewn about in that reckless haphazard manner? (ほんとに? ただ何気なく、そんな全然気にかけない[意に介さない]でたらめなやり方で、ばらまいて[ごろごろ転がして]おくの?)
モニカ: Doesn't matter, I'll get 'em tomorrow. Or not. Whenever. (GOES TO HER ROOM) (気にしないわ。明日、それを片付けるわよ。もしくは片付けないか。いつでもいいわ。)
と言って、自分の部屋に行ってしまう。
ロス: She is a kook. (モニカは、変人だ。)
ト書きの DETERMINED は「決然とした、断固とした、断固とした意志を表わした、決意を秘めた、決意の固い」という意味。
英辞郎には
determined=むきになっている
という意味も書いてあります。
動詞 determine は「決心する、決意する、決定する」、名詞 determination は「決心、決意、決定」ですから、形容詞 determined はそんなふうにはっきりと意志を表明しているさまを表わしているのですね。
レイチェルのセリフを見ると、通常のモニカにとっては許せないような言葉が並んでいます。
casually は「何気なく、不用意に、ふと」、strew は「(砂・花などを)(…に)まき散らす、ばらまく」という意味で、strewn はその過去分詞なので「ばらまかれている、ごろごろしている」みたいな感じです。
strewn about の about は動詞と共に使うと「あちこちに、方々に」「そこいら中に、ぞんざいに」のような意味になります。
about をこのような意味で使うのは、イギリス英語の用法のようです。
アメリカ英語ではこの about を around と言うことが多いですね。
同じような「散乱する、点在する、散らばる」という意味の be scattered about という表現もイギリス的で、アメリカ英語なら、be scattered around と言う人が多いようです。
(何故上のセリフでは about を使っているのか?については、よくわかりません…笑)
ロングマン現代英英辞典には、
about: (British English) in many different directions within a place or in different parts of a place
(synonym) around
例) Cushions were scattered about on the chairs.
「(イギリス英語) ある一つの場所の中のいろんな方向に、または、ある一つの場所の違った場所に。同義語 around」
例) クッションは椅子の上に散らばっていた。
もう一方の around の語義は、
around: in or to many places or parts of an area
British Equivalent: about
例) He wandered around the streets, looking in shop windows.
「たくさんの場所で(へ)、ある場所の部分で(へ)」 イギリスの同義語 about
例) 彼は、店のウインドーを見ながら、通りをぶらぶら歩き回っていた。」
reckless は「向こう見ずな、無謀な、(危険などを)意に介さないで、気に掛けないで」。
haphazard は「でたらめの、偶然の」。
研究社 新英和中辞典の random の項目に、そういう「でたらめの」のような意味にあたる類義語の違いを説明してあります。
それによると、
random は、(はっきりした目的・計画のない)手当たり次第の、でたらめの、行き当たりばったりの
haphazard は、合理性・適切さや最終的な結果などを考慮せずになされる
casual は、熟慮・意図・目的などなしになされる
とのことです。
kook は「変人」。発音は「クーク」。
料理人、コックの cook の発音は「クック」で、kook の方が音が少し延びる感じがあります。
が、パッと聞くと、違いはよくわかりませんが(笑)。
この kook という単語は、このエピソードの中盤で出てきました。
「きっちりしすぎている」ことをみんなに指摘されたモニカが、
モニカ: Okay, so I'm responsible, I'm organised. But hey, I can be a kook. (そうね、私は責任感が強いし、几帳面[整理整頓好き]だわ。でも、ほら、「変人」にだってなれるのよ。)
と言ったのですね。
それでも、みんなはそんなの無理だよ、と思っていたのですが、こんな風に靴をほったらかして寝る決意をしたモニカを見て、「とうとう「変人」になれたんだね!、そのこだわりを捨てることができたんだね!」という意味で、"She is a kook." とロスは言っているのです。
(Rach からのお願い)
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"Okay, so I'm responsible, I'm organised. But hey, I can be a kook."
「まじめで几帳面だけど、私には ”kook” な面もあるわ。」
ここから推測すると、モニカにとって kook は結構ポジティブな意味合いなのかな
と思います。私は堅物で几帳面なだけじゃないのよ!といいたいわけですよね。
なので kook を辞書どおりの「変人」と訳すとモニカの意図が
伝わりにくいのでは?字幕では「型破り」としています、私はすごくいい訳だと思います。
コメントありがとうございます。
ロングマン現代英英辞典では、
kook: [countable] (American English informal) someone who is silly or crazy
とありますが、
「あなたたちの言うように私は…だけど、〜にもなれる」と but を使っているので、確かにポジティブな意味合いがあるのかもしれませんね。
responsible, organized を否定的に捉える人に対して、その反対のことも私はできるわ、という感じの「型破り」ということなんでしょうね。「破天荒」とか「型にはまらない」とか、ちょっとルールから外れたこともできちゃうわよ、という感じでしょうか?