怒った顔で部屋に入ってくるジョーイ。
ジョーイ: (entering) Where's my underwear? (俺の下着はどこだ?)
ロス: Whoa, whoa, whoa. Come on, come on, what? You took his underwear? (おいおいおい、ちょっと何だよ? チャンドラーはジョーイの下着を取ったのか?)
チャンドラー: He took my essence! (ジョーイは俺のエッセンス[根本的要素]を取ったんだぞ!)
ロス: Okay, now hold on. Joey, why, why can't you just wear the underwear you're wearing now? (わかった、ちょっと待ってよ。ジョーイ、どうして今はいてる下着をそのままはいておくことができないんだ?)
ジョーイ: Because I'm not wearing any underwear now. (だって、俺、今、下着を何もつけてないから。)
ロス: Okay, then why do you have to wear underwear tonight? (わかった、それじゃあ、今夜はどうして下着をつけないといけないんだ?)
ジョーイ: It's a rented tux, okay? I'm not gonna go commando in another man's fatigues. (だって、レンタルのタキシードなんだぜ、わかる? 他の男の戦闘服で、「下着なし」ってわけにはいかないよ。)
チャンドラー: Well, then it looks like somebody is gonna have to give somebody back his cushions. (それじゃあ、誰かさんは誰かさんに彼のクッションを返してやらないといけないみたいだな。)
ジョーイ: Okay. You hide my clothes, I'm gonna do the exact opposite to you. (わかった。お前は俺の服を隠した。俺はお前に全く正反対のことをしてやるよ。)
チャンドラー: What are you, what are you gonna show me my clothes? (お前は何をするつもりだ? 俺の服を俺に「見せる」つもりか?)
ジョーイ: Hey, opposite, is opposite! (leaves) (おい、反対は反対だ[反対と言ったら、反対なんだ]!)
と言って立ち去るジョーイ。
チャンドラー: He's got nothing! (話にならないよ!)
チャンドラーはまだ「エッセンス」の話をしています(笑)。
essence については、フレンズ3-2その18 で説明しています。
ジョーイが、下着がない、と騒いでいるので、ロスは「出掛けるからって、別に下着まではき換える必要なんかないじゃないか。今はいてるのをはいておいたら?」と言うのですが、ジョーイの返事は、大方の予想を裏切らないものでしたね(笑)。
ジョーイが普段は下着をつけてない、という話はこれまで何度も出てきました。
フレンズ1-13その4 では、ジョーイはチャンドラーと一緒に寝ないといけないので、やむを得ず下着をつけたけど、落ち着かなくて眠れない、という話をしていました。
フレンズ2-13その16 では、下着を盗まれたチャンドラーに「お前の下着を貸してくれ」と言われて、
ジョーイ: I'm not wearing any. (俺は下着ははいてないよ。)
と返事していましたし。
この「下着をはいてない」ネタは今後もまだまだ出てきます。
fatigue は「疲労」ですが、fatigues と複数形になると「作業服。軍服、戦闘服」という意味になります。
fatigue には「軍隊で兵士に課せられる雑役」という意味もあるからでしょうね。
ロングマン現代英英辞典の語義は、
fatigues [plural]: loose-fitting army clothes
つまり、「(複数形で)ゆったりした軍隊の服」となっています。
commando は「(特殊訓練を受けた)コマンド隊(員)、突撃隊員」。
ですから、commando と fatigues という単語は、兵隊関係の言葉なんですね。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の Commando (邦題:コマンドー)という映画もありましたね。(見てませんが)
Amazon.co.jp: コマンドー DVD
ロングマン現代英英辞典には、以下の語義が載っています。
commando:
1. [countable] a soldier who is specially trained to make quick attacks into enemy areas
2. go commando
(American English spoken) to not wear any underwear - used humorously
1.を訳すと、「敵のエリアに素早く攻撃を加える訓練を特別に受けた兵士」で、これが一般的な意味です。
2.には、go commando=「(アメリカ口語) 下着を全くつけないこと。ユーモラスに使われる」とありますね。
英辞郎にもちゃんと、
go commando=下着を付けずにズボンをはく
と書いてあって、この表現は、ジョーイ独特のものではなく、アメリカでは一般的に使われている表現のようです。
ジョーイは fatigues 「軍服、戦闘服」という言葉を使っていますので、commando も「コマンドー、突撃隊員」として表現した方が、そのセリフの面白みがわかるのですが、うまく日本語に置き換えるのが難しいですねぇ。
in another man's fatigues の in は、「その服の中に[で]」という意味と、「その服を着て」という意味のどちらにも使えると思うのですが、「他人の戦闘服の中で俺がコマンドーになる(コマンドーとして突撃する)」とか、「他人の戦闘服を着て俺がコマンドーになる」とか、見た目上はそんな感じのセリフになるのでしょうかねぇ?
でも、意味としては、そんな抽象的な比喩ではなくて、辞書にもしっかり載っているイディオム(?)ですから、「他人の服を着て、下着をつけない、ってことはない」という風に誰もがピンと来るわけですね。
(しつこく引っ張って申し訳ありませんが…笑)どうしてコマンドーがそういう意味になったのか?について。
フリーオンラインスラング辞典の Urban Dictionary に面白いことが書いてありました。
Commando: To not wear underwear. The origins for this are either "out in the open" or "ready for action". Maybe others.
訳すと、「下着をつけないこと。この語源は、"out in the open" 「外にいる、公然と明るみに出ている」 か、もしくは、"ready for action" 「戦闘準備ができている」 かのどちらか。もしくは別にあるのかも。」とのことです。
まぁ、そういう意味でしょうね(笑)。
こそこそと隠れてないで、いつでも戦闘に参加できるぜ!という準備万端の様子を表現しているということでしょう。
雄々しく猛々しい感じも滲み出ていますしね(笑)。
the exact opposite 「正反対のこと」をすると言ったジョーイに対するチャンドラーのセリフ、"What are you, what are you gonna show me my clothes?" ですが、これは正確には、"What are you gonna do? Are you gonna show me my clothes?" ということですね。
ネットスクリプトでは上のように書いてありましたが、DVD字幕では、"What, are you gonna show me my clothes?" と what と are の間にコンマがちゃんと入っていました。
細かい話をすると、そこにコンマがないと、what が show の目的語のように見えてしまい、me に見せる対象物としての目的語が what と my clothes の二つあるかのように見えてしまいます。
実際は、チャンドラーのセリフの言い方から、「何を…俺に服を見せるつもりか?」になるのはわかるのですが。
hide 「隠す」の反対だから、show 「見せる、披露する」のか?とチャンドラーは返しています。(子供の喧嘩みたいですが…笑)
それに対して、"opposite, is opposite!" 「反対は…反対なんだ!」と言って去っていくジョーイ。
正反対のことだったら「隠す」の反対の「見せる」だよな?と言われて、うまく言い返すことができなくて、「とにかく俺のすることを見てろ!」という感じの捨てゼリフでしょうか。
He's got nothing! は「彼は何も持っていない。」という感じで、「理屈が通っていない、説明になっていない、自分でもよくわかっていない、何も考えてない。」のように、いろいろなニュアンスが考えられるかと思います。
(Rach からのお願い)
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「だってレンタルのタキシードだよ?人の戦闘服に突撃するわけにもいかないだろ。」という感じでしょうか。
もちろん突撃するのはpenisということになるかと思います。
ご指摘ありがとうございます。
上の記事で私は「他人の戦闘服の中で俺がコマンドーになる(コマンドーとして突撃する)」みたいなニュアンスかなぁ、と書いたのですが、「俺が」突撃する、という解釈ではなくて、penis が突撃する、というニュアンス、それが go commando だということですね。
そして、I'm not gonna go commando in another man's fatigues. (他の男の戦闘服で、「下着なし」ってわけにはいかないよ。)という日本語訳についても、ここで「突撃」という言葉を使わないと面白みが出ない、ということですね。
よくわかりました。ご意見ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
セリフの解釈を書くに当たり、私のように海外経験のないものが、どのようにしてその解釈に至ったかという部分を解説するのが、このブログの存在意義なのかな、と自分としては思っております。
私としては、自分の英語学習ノートを読者の皆さんに公開するような気持ちで書いており、解釈の元となった参考資料なども示すようにしているため、おっしゃるように、まさに「プロセス」をくどくど書く形になってしまっています。その点は申し訳ありません。
今後はもう少し、シンプルでわかりやすい解説になるように心がけたいと思っております。
貴重なご意見ありがとうございました。