単語というのは、英語を聞いたり読んだりする中で覚えるのが理想ですね。
いわゆる「単語本」を使って、英単語と日本語訳を一対一で覚えるのは、無駄だとは思いませんが、あまり良いやり方だとも思えません。
もちろん、ある単語に出くわした時、全く見たことなくて「ただのアルファベットの羅列にすぎない」というよりは、日本語訳と共に覚えている場合の方が、読解に有利なのは間違いないでしょう。
特に、英検一次試験の4択は、日本語訳を知っていれば、正しい選択肢を選べるわけです。
例えば、speak, talk, tell, say のように、日本語だと全部「話す」という訳語がついているような単語の使い分けを尋ねてくる、ということはありません。
だから、そんな風に日本語訳とペアで覚えることは、英検1級一次をクリアするための一つの方法なのですが、それを覚えたからと言って、「私はこの単語を覚えた、これで私の単語は何千語レベルになった!」と宣言できるわけでもない、と思うのです。
その単語がどんな風に使われるか、例えば、動詞であるなら、自動詞か他動詞か、自動詞であるならどんな前置詞とペアになることが多いか、人を主語に取らない、などの特殊な使い方をするものもありますし、そういうこともひっくるめて、リーディングの時に意味がわかるだけではなく、実際に使えるようになって初めて、つまり、その単語を使った例文を自分で一つか二つくらい作れるようになって初めて、自分のボキャブラリーに加わった、ということになるのではないかなぁ、と。
Pass単には、その単語を使った例文集が、巻末に別冊という形でまとめてあるのですが、せめて見出しの単語のすぐ下に、それを載せていてくれたら、もう少しやる気が出たかもしれないなぁ、と思ったりします(笑)。
CDにも単語の後に続けて例文を吹き込んでくれていたらなぁ、とも思います。
そしてその例文も概して難しい気がするのですが、もっとシンプルな例文でもいいんじゃないかなぁ、と思います(辞書の一番最初の用例に出てくるような感じの)。
過去記事 1級二次試験参考書その1 で取り上げた、旺文社 英検1級教本 に、Chapter 1 Vocabulary というチャプターがあります。
ここに、「紛らわしい語句」「接頭辞・接尾辞・語根」「単語のグループ化」という項目があるのですが、その部分がとてもわかりやすくて、また語彙を増やすのに有効なことが書いてあると思いました。
その部分が、何故か同じ旺文社の Pass単では応用されていないような気がするのです。
Pass単では、ただ、動詞、名詞、形容詞、などと分類して、しかもそれをアルファベット順に並べているので、余計に単語が無味乾燥なものに見えてしまう気がします。
こういう感じの単語が1級には出るらしい…というレベルを知るには有効な本だと思いますが、これを使って覚えようとするには、自分専用に何らかのカスタマイズをしないと使いにくいかもしれない、と思います。(で、私はそういうカスタマイズをする時間がないと思ったので、この本を使って覚えるのをあきらめたわけですが…)
普段、私が単語を覚える場合は、ある単語と「似た意味の単語(類義語)」、「見かけが似ている(紛らわしい)単語」、「反対の意味の単語(反意語)」などをまとめて覚えようとします。
フレンズ解説で単語を解説している時もその傾向は現れているかと思うのですが…(それで話もよく脱線しますけど…笑)
大量の単語を網羅するには、ああいう単語帳形式にせざるを得ないと思いますが、たった一つの単語にこだわることで、それに関係する単語を関連付けて一気にたくさん覚えることができるし、その方が忘れにくいと思うんですよねぇ。
と、Pass単についていろいろと思うところを書きましたが、これは批判ではなくて、ただ単に「私とはどうも馬が合わなかった」というだけのことです。
私は学習法には「絶対」というものはないと思っていて、人の性格によって「合う、合わない」は必ずあると思っています。
それを出来るだけ早く見極めることで、無駄なことにお金や時間を使わずに済む、ということでしょうね。
単語の日本語訳には限界がある、というのは多くの方が認識しておられることだと思います。
日本人なら誰でも知っている、come と go という単語がありますよね。
でも、あれも、come=来る、go=行く、ではない、ということは過去記事でも何回か書きました。
来る、行く、という意味で使われることももちろんあるので、その訳語を覚えていることが悪いわけではないです。
覚えてないよりは覚えている方がいいのは間違いないのですが、その動詞の意味には、日本語と英語とで感覚のずれがある、ということをわかっていないと、本当にその come や go という基本単語さえ、覚えている、使えている、とはいえないのだと思います。
実際に試験を受けてみての感想ですが。
まずは文脈からどういう意味の単語が入るかを類推し、単語をじーっと見ていると、ポジティブなものかネガティブなものかがわかる、とか、似た単語から類推する、とかで、何となく勘で当たってしまった、という部分があったようです。
これはただ単なる「勘」に過ぎませんが、そういう勘を養うのには、これまで触れてきた英語の量が関係するのかも、とは思います。
解いていて、おっ!と思う問題が一つありました。
(14) A: Jim, I've got great tickets for the basketball final, but the company president has invited me to dinner that night. What should I do?
B: I sympathize with your ( ____ ), but I don't think you should miss the dinner.
選択肢 1. predilection 2. predicament 3. prerogative 4. preoccupation
この会話は、
「バスケのチケットがあるけど、会社の社長にディナーに招待されている。どうすべきだろう?」
「君の( ____ )には同情するけど、ディナーに行くべきだと思う。」
というような内容ですよね。
つまり( ____ )には、「つらい立場、苦しい立場」という意味の言葉が入るだろうと思うのですが、その「苦境」という単語が predicament であると私は知っていたので、簡単に答えることができました。
今、調べてみると、Pass単では p.143 に載っていて、「LEVEL 2 合格にさらに一歩近づく単語」に分類されています。
私は Pass単ではこのページまでたどり着けなかったけれど(笑)、この単語はフレンズに出てきたので知っていたんですね。
フレンズ1-4 で、ロスがケガをしているのに、ちっとも対応してくれない ER の受付のおばさんに対するセリフ、
チャンドラー: Listen, it's kind of an emergency. Well, I guess you know that, or we'd be in the predicament room. (ねぇ、緊急事態なんだよ。ほら、わかってくれてると思うけど。さもないと(緊急事態じゃないなら)、僕らは(「緊急(救命)室」じゃなくて)「苦境・窮地の部屋(苦境室)」にいるだろうし。)
emergency room (緊急救命室、ER)の受付に来たのは、緊急事態だからだ。緊急じゃないのなら、(緊急よりも切迫度の低い)「苦境室」で待ってるだろうしね、みたいに言ったわけですね。
このセリフのやりとりが、語彙が難解とされている、英検1級の単語穴埋め問題で役立つなんて(笑)。
predicament が答えだとわかった時に、「Pass単を断念した私を、英語の神様は見捨てなかった!」と思いました。
自分の信じたやり方を貫き通して良かった、と思いました。
何だか冗談めいた言い方ですが、私は、占いとかには興味がないけれど、そういうジンクスみたいなものは信じるタイプで(英語の jinx は「縁起の悪いこと」にしか使わないそうですが…)、自分のやる気を高めるための発奮材料にしたり、自己暗示をかけるのに使ったりします。
試験の最中は「ダメだ!」と思ってしまうと解ける問題も解けなくなってしまいますから…。
英検1級向けのボキャビル対策をすることはすっかりあきらめた私でしたが、もちろん、ボキャブラリーが豊富な方がいいに決まっています。
それはこれからの課題、ということで…(笑)。
時間が出来たら、洋書を読もう読もう…とずっと思っていました。
それを読んで、その文脈で使われる単語をじっくり英英辞典で調べて、その意味を深く理解することで、ボキャブラリーは自然と増えていくのだと思っています。
だから、今はあせってはいません。
と言うより、ゆったりした気持ちでそういうことに取り組めるように、さっさと英検にケリをつけてしまいたかったのです。(逆説的というか、本末転倒というか…笑)
日本語の場合でも、漢字を漢字として覚えるのは、小学校くらいでしょうか?
大人になった時に漢字をよく知っている人、というのは、読書家だということが多いですよね。
私は、本を読むのも文字を読むのも好きですが、何故か「小説」をあまり読まない人間なのです。
だから、難しい漢字をあまり知りません。(大変恥ずかしい…)
もし漢字検定を受けることがあれば(笑)、そういう問題集を買っていちから勉強しないといけないところですが、読書家の人なら、そういう準備をしなくても、結構いい線いくのかなぁ、と思ったりします。
私は英単語も、そういう「読書家は漢字を知ってる」路線でいきたいなぁ、と思っています。
これから出会っていく単語たちを丁寧に一つずつ自分のものにしていきたいなぁ、何度も何度も出逢う単語なら、きっと頭に残っていくのではないかなぁ…と思いますね。
それが使われた映画やドラマや小説のイメージと共に、頭に残っていくのが理想的なんだろうと思います。
たくさんの単語との自然で素敵な出会いを期待しつつ、これからより多くの英語に触れていきたいと思っています。
(Rach からのお願い)
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今私もRachさんと同じ方法でフレンズのDVDを見ているところです。このブログに出会えて本当に感謝です。また遊びにきます。
英語学習者にとって語彙を増やすことは永遠のテーマかもしれませんね。英語をモノにした人たちは、さまざまな独自の方法を考案して覚えていったのだと思います。
Rachさんのおっしゃられていた紛らわしい単語を整理するという方法は、私も取り入れていました。発音が紛らわしい単語と意味が紛らわしい単語は、私の経験ではそのままにしておくと、記憶を妨げることがわかりました。たとえば、flunk(失敗をする)という単語を覚えようとすると、flank(横腹)やfrank(率直)という音の似通った単語が記憶の妨げになるので、ボキャリ・ノートにすべて書き出して、例文とともに頭の中で整理しました。また意味の紛らわしい単語、たとえば、unwittingly(知らずに)という単語を覚えようとすると、似通った単語があった場合、それらの単語(unknowingly,inadvertently)を思い出して、あらためてノートに書き出して整理することによって覚えることができました。
出会った単語を大切にするということも、よくわかります。英和辞典による単語のうわべの意味だけでなく、英英辞典でその単語の意味を深く知ることによって、さらにその単語に親しさを感じるようになります。たまにそれらの単語に読書中に出会うと、「いよ、お久しぶり!」と、つい声をかけたくなっちゃいます。
はじめまして! コメントありがとうございます。
いつも見て下さっているなんて、とても嬉しいです。
Rach流(笑)にDVDを見ておられるのですね? あれはかなり「くどい」方法なのですが、最初はとりあえずあんな風に見ていただいて、ある程度慣れてきたら、ご自分に合った方法にカスタマイズしていかれたらいいかな、と思います。
また遊びに来て下さいね。
いつも長い文章を読んでいただきありがとうございます。
今回の私の記事は、抽象的かつ心情的な話が多くて、具体的な単語があまり出てきませんでしたね。「紛らわしい単語」については、かいちゃんさんが上で具体的に単語を挙げてくださったので、よりイメージが掴み易くなりました。ありがとうございます。
私はフレンズの記事で単語について語る場合に、それに関連して思い出した単語についても同時に触れます。過去記事で扱ったのは、かなり初歩的な単語ですが(笑)、liver(肝臓)と lever(レバー)、carton(牛乳のカートン)とcartoon(カトゥーン、アメリカのアニメ)、revel(大いに楽しむ)とrebel(反抗する)などです。adapt(適合させる)とadopt(採用する、養子にする)なども紛らわしいですよね。
まぁ、何を紛らわしいと思うかは、その人の単語遍歴(?)にもよるのでしょうが、自分でいつも勘違いしてしまう、という単語は、意識して区別しておく必要がありますよね。
ロングマンなどの英英辞典を使うことで、「うわべの意味だけではない深い意味を知ることができる」というのは、かいちゃんさんが「ロングマンの使い方」で力説しておられた通りですね。ロングマンでは特に、その単語が使われる「状況」の説明が詳しくて、それを深く理解することで、その単語を相応しい場所で使うことができるようになると思います。
私はずっと長い間、「英和だけ」を使ってフレンズを見てきましたが、そういう「単語を使う状況」は、ドラマのシーンでキャラクターの動きを見たり、そのキャラクターの気持ちを知ることで、自分なりに意味を補完していたのかなぁ、と思います。逆に、そういう映像としてのイメージがない本(小説など)の場合は、英和だけを使って読んでも、その全てを理解したとは言えない、ということなんでしょうね。