2007年04月29日

フレンズ3-3その5

[Scene: Street, Phoebe is being followed by some guy, as they pass a flower vendor. Phoebe turns around and the guy quickly picks up some flowers and continues following her.]
ト書き訳: ストリート。花屋を通過しながら、フィービーはどこかの男に付けられている。フィービーはくるっと振り返ると、その男は花をすばやく持って、フィービーをつけ続ける。
フィービー: (turns around) Um, that's it. No. Hey! You! J. Crew guy. Yeah. Why have you been following me? I mean, all week long, everywhere I look, there's you. ([振り返って] あぁ、もういい加減にして。ねぇ、あなた! J. Crew の人。どうしてずっと私をつけているの? つまり、この1週間ずっと、私が見るところどこにでも、あなたはいるのよ。)

J. CREW (ジェイ・クルー)というのは、アメリカのブランド名ですよね。
J. Crew.com
フィービーをつけているこの男性の着ている服がジェイ・クルーだということのようですが、私はあまりファッションブランドには詳しくないのでよくわかりません(笑)。
have been following は「現在完了進行形」で、「(ある期間に渡る)継続」を表します。
この場合はどのくらいの期間かと言うと、all week long 「1週間ずっと」ということですね。

everywhere I look, there's you. について。
everywhere は「どこでも、至る所に」という副詞ですが、この場合は、接続詞的に用いて、「どこに[どこで]…しても」という意味で使っています。
「私がどこで look しても」、つまり、「どこで、ふと目を向けても」、there's you. つまり、"There is 'you'."=「 you(あなた)が存在している」という感じでしょうか。
意味としては、I saw you everwhere. 「至るところであなたを見た(見かけた)。」ということなのでしょうが、everywhere I look, there's you. の方が、「見るといつも、そこにいるのよ!」というびっくり感がより出ると思います。

ところで、レイア姫の髪型の話 フレンズ3-1その10 で、
フィービー: There he is! (彼[ロス]はそこにいるのね!)
というセリフがあったのですが、「あなたはそこにいるのね!、ほらあなたがそこに!」という感じだと、"There you are." になると思います。
今回のフィービーのセリフは、「そらあそこに!」という強調のニュアンスではなく、「存在」を表す There 構文(←この構文の There には「そこに、あそこに」という意味はない)で you を使っている、ということになるのですが、普通は存在を表す There is [are] の後ろには、「不特定のものや人を表わす主語」が続きます。

数研出版 基礎と完成 新英文法 p.283 に以下の説明があります。

「There 構文」は、何か新しい人や物の「存在・出現」を表す構文なので、主語は初めて話題にのぼる不定の名詞(句)でなければならない。
(○) (a) There is a zoo in the park. その公園には動物園があります。
(×) (b) There is the zoo in the park.
特定の「動物園」の場合は、(c) のようにいわなければならない。
(○) (c) The zoo is in the park. その動物園は公園にあります。


you は「あなた」とその対象がはっきりしていて、不特定ではないので、「本来は」 There 構文にはそぐわない言葉だと思うのですが、どうでしょう?
There is you. という文章は、全然変じゃないよ!ということであれば、ここで話は終わってしまうのですが(笑)、「There 構文の原則にそぐわないのではないか?」という方向で少し話をさせて下さい。

ちょっとぐぐってみると、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)の、I'm Glad There Is You という歌を発見しました。
上のフィービーのセリフもそうですが、この "There is you." には何か特殊なニュアンスがあるのかなぁ、と思います。

研究社 新英和中辞典の there の項目に以下の記述があります。
There's the [that] party. あのパーティーのことがある。
(用法) 時に特定のものや人をさす名詞語句がくるが、新たに話題として言い出すような場合に用いられる。


ハートで感じる英文法 大西泰斗/ポール・マクベイ著 Lesson 12 「「文の形」にも感覚がある」 の p.183 に、「There 構文は単なる「いる・ある」じゃない」という項目があります。
そこでは、There 構文で「the boy, Takeo(固有名詞)、he 」などを使うのはおかしい、と説明した上で、「既知の人物(固有名詞)」を使った正しい There 構文の例が出てきます。
There's Heather. 「ヘザーがいるじゃないの。(忘れてるの?)」
という文章で、そこには「引っ張り込む」感覚がある、と説明されています。(詳しくは大西先生の本をご覧下さい。)

そのように、「新たに話題として言い出す」「引っ張り込む」感覚、が "There is you." なのかなぁ、と。
ただ漠然と「あなたが存在している」という状況を述べているのではなく、「ほら、あなたがいるわ[いるのよ]。」「ある人物がいるの、それはあなたよ。」という感じなのかなぁ?と。(よくわかりませんが)

過去記事 フレンズ2-18その10 で、過去に何人の男性と付き合っていたかを、ロスがレイチェルに尋ねた時、
レイチェル: Well, there's you. (えぇと、あなたでしょ。)
と最初に答えていたのですが、これも、引っ張り込む感覚、なんでしょうかねぇ?

上で、「 everywhere I look, there's you. の方が、「見るといつも、そこにいるのよ!」というびっくり感がより出ると思う。」と書きましたが、そういう「引っ張り込む」感覚が、「びっくり感」をかもし出しているのかなぁ、とも思います。

もしくは、今回のフィービーのセリフの場合は、you とは確かに今、私の目の前にいてこうして話している「あなた」だけど、私にとっては全く知らない人だから、「今ここにいるあなたの姿をした人、だけど、私にとっては見知らぬ人物」という意味で、you という単語を「未知の人物」であるかのようなニュアンスで使っているのかもしれない、とも思います。

う〜ん、GWだと言うのに、ややこしい話ですみません。
頭がこんがらがってきたので、明日は休みます。
…というのは冗談ですが、明日は「家事都合」でほんとに休みます。
皆様も楽しいGWをお過ごし下さいませ。

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posted by Rach at 06:43| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
There 構文は「引っ張り込む」感覚があるというのは助詞の「が」「は」の使い分けで日本語にも当てはまりますね。(私あなた「が」好きです。)(私好きな人「が」いるんです。それ「は」あなたです。)後者の方がインパクトがあって気持ちが入ってるような気がします。
There's you. (新たな対象としてあらわれる)そうだ、あなたがいるわね。
There you are.(その場にいないと思ってた人に対して)あらそこにいたの
今回のフィービーの台詞は何度かつけていたのはわかっていたけれど、いま、ストーカーとしての存在を確認したという相手に対する宣言のような聞こえます。
レイチェルの台詞も過去に付き合った人という新たなカテゴリーをつくった際にロスが入ると言うことでしょうか。
Posted by catch at 2007年04月30日 23:19
catchさんへ
日本語の「が」「は」の使い分けの話、は大変興味深いですね。
日本語の助詞について調べてみたら面白かったので(笑)、明日、記事として書こうと思っています。
catchさんの日本語訳を使わせていただきながら解説したいと思いますので、何か私が誤解している部分があれば、ご遠慮なくご指摘下さいませ。

フィービーとレイチェルのセリフの訳については、ここに書いておきます。
上の記事で、
フィービー: 私が見るところどこにでも、あなた”は”いるのよ。
と書いてしまいましたが、
「私が見るところどこにでも、ほら、あなた”が”いる(のよ)。」という方がニュアンスが近いでしょうか。
レイチェルの場合は、
レイチェル: Well, there's you. (えぇと、あなたでしょ。)
と書きましたが、
「リストに入る人物は…ほら、(まずは)あなたね。(まず)あなた”が”いるわ。」という感じかなぁ?

その「が」「は」の使い分けの根拠については、明日くどくど書きます(笑)。
Posted by Rach at 2007年05月02日 15:38
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