一昨日のセリフの続きです。
フィービー: Wait, (grabs him) you know what, I got a little story. When I was in junior high school, I went through this period where I thought I was a witch. And there was this guidance counselor who said something to me, that I think will help you a lot. He said, "Okay, you're not a witch. You're just an average student." See what I'm saying? (待って。[彼を掴む。] ねぇ、ちょっとした話があるのよ。私が中学生だった頃、自分がひどい女だって思っていた時期を乗り越えたの。その時、私にあることを言ってくれた生徒指導のカウンセラーがいたのよ。私は、その言葉があなたに大きな救いとなると思うの。その人はこう言ったわ。「君はひどい女なんかじゃない。君はただの平均的な生徒だよ。」って。私の言おうとしていることがわかる?)
男: Not really. (よくわからないよ。)
フィービー: Um, well, get over it. So, I mean you, you just seem like a really nice guy, you know. Don't be so hard on yourself, okay? (あぁ、まぁ、それを乗り越えなさい。つまり、私が言いたいのは、あなたは本当に良い人に見えるってことよ。自分をそんなに責めないで。わかった?)
男: Wait. You're right. I know you're right. And, thanks for being so nice. Here. (gives her the flowers he bought.) (待って。君は正しいよ。君が正しいことを言ってるってわかるよ。それから、優しくしてくれてありがとう。これ。)
さっき花屋で買った花をフィービーに渡す。
フィービー: Oh, thanks a lot. Do you want to get a cup of coffee? (まぁ、ありがとう。コーヒーでも飲む?)
男: Yeah, okay. (あぁ、いいよ。)
フィービー: Okay. (じゃ、そうしましょう。)
(they start to leave, he is still following her)
二人は歩き始めるが、男はまだフィービーの後をついて[つけて]行く。
フィービー: Okay, you don't have to walk behind me anymore. (ねぇ、もう私の後ろを歩く必要はないんだけど。)
男: Sorry. (ごめん。)
witchの話 フレンズ3-3その7 で、witch 「ひどい女、嫌な女」という意味について触れましたが、自分を witch だと思って悩んでいたフィービーに対して、当時のカウンセラーが励ましてくれた…という逸話を披露するフィービーですが…。
何かとても感動的なことを言われたのかと思ったら、「君は悪い人じゃない。平均的な人だよ。」と言われただけ?(笑)
普通こういう場合だと、「平均」じゃなくて、「良い人だ、素晴らしい人だ」って言いますよね。
もしくは、「他の人にはわからなくても、僕には君の魅力がわかる」とか。
このトンチンカン具合がいかにもフィービーですね。
男性が、Not really. 「よくわかるってことはないけど…。よくわかんないけど。」と答えるのも当然です。
be hard on... は「(人)につらく当たる」、be hard on oneself だと「自分に厳しい、自分を責める、思い詰める」という感じになります。
嫌いな姉の被害者だから同情したのか、ちょっと好みのタイプだったのか、フィービーは自分からお茶に誘います。
つい今までのクセで、後ろをつけてしまう彼がおかしいですね。
ちなみに、このストーカーの男性を演じているのは、デヴィッド・アークエット(David Arquette)という俳優さんです。
この俳優さんは、モニカ役のコートニー・コックスと結婚しています。
フレンズ2-24その19+名前のハイフンの話 で、フレンズ3-3 で”アークエット”ネタを書く、と予告していましたが、今回がその話になります。
IMDb: David Arquette
コートニーとデヴィッドの二人は、スクリーム(Scream、1996年)、スクリーム2(Scream 2、1997年)という映画で共演したのが縁で1999年に結婚した、とのことです。
このフレンズのエピソードも1996年なので、その映画の共演と、このゲスト出演には何か関係があるのかもしれません。
かなり先のエピソードになりますが、フレンズ6-1 のオープニング・クレジットでは、俳優とプロデューサーの名前が以下のように表示されていました。
COURTENEY COX ARQUETTE
JENNIFER ANISTON ARQUETTE...(略)
DAVID SCHWIMMER ARQUETTE
CREATED BY
DAVID CRANE ARQUETTE
MARTA KAUFFMAN ARQUETTE
つまり、コートニー以外の人にも全て Arquette がついているのですが、これは二人の結婚を記念してのもののようです。
実際、6-1 のラストに、
FOR COURTENEY AND DAVID WHO DID GET MARRIED
という文字が出ます。
訳すと、「結婚したコートニーとデヴィッドのために」ということで、日本語字幕では、「結婚したコートニーに捧ぐ」と書いてありました。
フレンズ6-1 の放映は1999年9月23日。
二人が結婚したのは、1999年8月なので、その直後のエピソードだから、ということでしょう。
ちょっと、話は、ずれますが、
IMDb: Jennifer Aniston の Alternate Names(代わりの名前?)の項目に以下のように書いてあります。
Alternate Names:Jennifer Aniston Arquette / Jennifer Aniston Pitt
ブラッド・ピットと結婚していたジェニファーがジェニファー・アニストン・ピットと紹介されたりクレジットされたりするのは当然ですが、このフレンズ6-1 一回きりのお祝い兼お遊び感覚のクレジット、ジェニファー・アニストン・アークエットまでご丁寧に情報として拾っている IMDb(Internet Movie Database)の細かさに脱帽します(笑)。
二人の間には子供が一人います。
IMDb の Trivia によると、
Jennifer Aniston is the godmother of his daughter Coco.
つまり、ジェニファーは、コートニーの一人娘ココちゃんの godmother (名付け親、名親)だそうです。
godfather, godmother, godparent というのは、単に名前を付けるというだけではなく、
研究社 新英和中辞典によると、
「生まれた子の洗礼式に立ち会って名を与え, 霊魂上の親として宗教教育を保証する」
という役目があるそうです。
コートニーとジェニファーが実生活でも仲が良い、というのは有名で、家族ぐるみでお付き合いしているようですね。
Wikipedia 英語版: David Arquette には、スクリーム2 で共演している写真が載っています。
彼の家は芸能一家で、姉や兄も俳優です。
姉のロザンナ・アークエット(Rosanna Arquette)は、有名女優たちへのインタビューをドキュメンタリーにした映画「デブラ・ウィンガーを探して」(Searching for Dabra Winger)の監督をしていましたね。
この映画、見ていませんが、その出てくる女優陣がすごいです。
Wikipedia 日本語版: デブラ・ウィンガーを探して にその女優たちの名前が載っているのですが、芸能一家出身だから顔が広いのか、単にロザンナさんの交友範囲が広いのか…。
(Rach からのお願い)
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フィービーですから、自分を魔法使いと思いこんでいたのも不思議ではないのかも。カウンセラーもあなたは魔法使いではなく普通の人間だといってるような気がします。
went through のニュアンスですが、これまでの人生で経験したということでしょうか。人生というのはいろいろな事を経験しますからね。つらい人生を乗り切ってきたというなら got throughでしょうか。
3-2 When Carol and I broke up, I went through the same thing.モニカ同じ経験をした。(モニカはまだ克服していない)ロスは克服するためのアドバイスをするのかと思えば、早く着替えろというオチでした。
確かにこういう変わった経験話をもちだしてきてちょっと意図のわからないアドバイスをするところがいかにもフィービーらしいですね。科学的論理的人間ロスとは正反対!(笑)
ご指摘ありがとうございます。私ももう一度落ち着いて考えてみたのですが、やっぱり witch は「魔女」という意味で使っているようですね。
辞書の語義を見ていると、悪口として使われることがあるようだったので、日本語で言うと、「山姥(やまんば)」みたいなイメージなのかなぁ、とか、あるいは似た音の言葉 bitch みたいなニュアンスもあるのかなぁ、と勝手に思ったりして。
catchさんのおっしゃる、フィービーが魔法を使おうとしているシーンがあったかどうか記憶にないのですが、確かに「モニカやレイチェルではなく、フィービーだからこそ」 witch は素直にその基本的語義通りの、「魔女、女魔法使い」という意味に解釈するのが自然ですよね。
それから、went through の訳を記事では「乗り越えた」と訳してしまいましたが、「乗り越えた」のではなく、ただ「経験した、通過した」ということですね。
自分でも、過去記事、フレンズ3-2その8
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470747.html
では、go through は「(苦難など)を経験する」と書いているというのに!
GWで、私は「たるんどる!」ようです。気を引き締めて頑張ります(笑)。
ご指摘ありがとうございます。ご指摘の通り、やっぱり「魔女」ですよね。「ひどい女」という意味だと思っていたのは私だけかも(笑)。
実はDVDの日本語も、
日本語字幕 「中学のころ 自分を魔女だと思ってたの」
日本語吹替 「中学のころ、私、自分を魔女だと思い込んでたのよ。」
となっていたんですよ。
私は何故か最初から「ひどい女」だと思い込んでいて、今回は日本語の訳がどうなっているかは全く確認しませんでした。
「魔女」という言葉が現実離れしていると感じたからのようですが、その「変わった経験話」がフィービーの持ち味なんですよね。そこを見逃した自分が悲しいです(泣)。
確かにロスとはそういう面では全くの正反対ですよね。時々ロスが反論できなくなったりすることもあって、それが面白かったりします。
ところでYou're such a dingusという文章は人格への言及ではなく相手の行為を「バカみたい」とかるくいう場合に使うことがあるようです。
Slang 1. An article whose name is unknown or forgotten. 2. A person regarded as stupid.(The American Heritage)
いえいえ、別に「さりげなく訂正」したわけでもないのですが…(笑)。
wizard は「魔法使い」、witch は「魔女」という訳語が一般的なので、私はたまたま魔女と書いたのですが、「魔女」=「女魔法使い」なわけですから、「魔法使い」でも間違いではないですよねぇ?
それから、dingus についての貴重な情報をありがとうございます。
確かに、The American Heritage にはそう出ていますね。
ついでに調べてみると、Urban Dictionary に興味深いことが書いてありました。catchさんのおっしゃる「人格への言及ではなく相手の行為を「バカみたい」とかるくいう場合に使う」というニュアンスとよく似ている気がします。
ということで、それについては、新たに一つの記事として投稿させていただきます。毎回すみません。ご迷惑ならご遠慮なくおっしゃって下さいね。
I went through this period where I thought I was a witch.という文のwhereについてご解説いただけないでしょうか。
これは関係副詞のwhereでしょうか?periodというある程度まとまった期間にはwhereが使われるのでしょうか?知識の浅い私はwhenではないのかと思い色々と調べたりしましたがどうしても納得のいく答えを探せませんでした。
ご教授頂ければ幸いです。
コメントありがとうございます。
それでは早速、いただいたご質問について。
I went through this period where I thought I was a witch. の where はおっしゃる通り、関係副詞ですね。
period は「期間、時期」で、日本語でも「時」という言葉が入っていますし、英英辞典でも、length of time のように語義に time が使われているので、もし関係副詞を使うのであれば when になりそうに思いますよね。
これについては、本来は文法的には when を使うべきところだけれど、フィービーは「そこでは」こんなことがあった、という感覚で、where を使ったのかな、という気がします。
本来であれば、時期という時間の話をしているので「その時には」となるところを、「時期」としてよりも、その時の「状況」のようなイメージを頭に浮かべて話しているような気がする、というところでしょうか。
ですから、this period where という形は本来正しい形ではないけれども、フィービーがそのセリフを言っている時のイメージでは、period の「時」をあまり意識することなく、「その時期の状況」について、where 以下で語っているように思いました。
以前に、コメント欄で関係副詞 where の話題になった時、以下の情報を教えていただいたことがありました。
ロイヤル英文法に
「くだけた言い方では点、場合、状況など、場所ではないのに whereを関係副詞として用いているのを目にする(表現として適切ではないので勧められる言い方ではない)」
という文を発見しました。
とのお話でした。
残念ながら私はロイヤル英文法を持っていないので、それ以上のことは確認できないのですが、「場所ではないのに where を関係副詞として用いる」ことは会話ではよくあるように思います。
フレンズのエピソードの英語タイトル(原題)も、The One Where SV のような形のものが多いですが、「そこではこういうことが起こる」と説明するのに、where という関係副詞は非常に便利なんですよね。
あくまで私の印象に過ぎませんが、when だとちょっと「時」に限定され過ぎてしまうというか、時を表す先行詞+where という形を使った方が、「その時」の「その場、その状況」も含めた感じが出るように思いますので、そういうニュアンスを込めて、口語ではそんな形を使う人もいるのかな、という気がします。
この件は非常に興味深いので、また同じようなパターンが出てくるかどうか、これから注意して見ていきたいと思います。
貴重なご質問ありがとうございました!
おかげでスッキリ納得できました(^^)
最近フレンズを見るようになりこちらで色々と勉強させていただいております。
また何かありましたお伺いさせていただきたいと思いますので宜しくお願いします。
こちらこそ、ご丁寧なお返事ありがとうございます!
スッキリ納得していただけて良かったです(^^)
フレンズを見ながら拙ブログも読んで下さっていること、とても嬉しく思います。
また気になる点などございましたら、どうかお気軽にご質問下さいね。
お返事ありがとうございました!