2007年05月17日

スプレーのように フレンズ3-3その16

[Scene: Central Perk, Joey is putting jam on his muffin, lots of jam]
セントラルパーク。ジョーイはマフィンにジャムを、それもたくさんの量をつけている。
ジョーイ: Remember when you were a kid and your Mom would drop you off at the movies with a jar of jam and a little spoon? (子供の頃、ジャムの瓶と小さなスプーンを持たせて、ママが映画館まで送ってくれたのを覚えてる?)
レイチェル: (Looks at him) You're so pretty. ([ジョーイを見つめて] ジョーイって、なんて可愛いの。)

ジョーイくらいの年齢の人の言うセリフとは思えませんが、今の様子を見ていると、その当時も嬉しそうにジャムを食べていたんだろうなぁ、と幼い頃の姿を彷彿とさせるわけですね。
可愛いと言われてジョーイは怪訝な顔をしていますが、「そんなに俺、子供っぽいこと言ったかな?」みたいな感じでしょうか。


フィービーがセントラルパークに入ってきます。
フィービー: Hey, oh, you know that guy who's been following me? I talked to him today. (ねぇ、ほら、私をずっとつけていた人がいるでしょ? 今日、その人としゃべったわよ。)
ジョーイ: (with food in his mouth) You talked to him? Are you crazy? ([口に食べ物を入れたままで] そいつと話しただって? おかしいんじゃないの?)
フィービー: Okay, first, I'm not crazy. And second, say it, don't spray it. Anyway, his name is Malcolm, and he wasn't following me, I mean, he was, but 'cause he thought I was Ursula, ick. And, that's why, that's why he couldn't just come up and talk to me. 'Cause of the restraining order. (わかったわ。まず最初に、私はおかしくない。それから2番目。しゃべる時に食べ物を飛ばさないで。とにかく、彼の名前はマルコム。そして彼は私をつけていたんじゃないのよ。つまり、確かにつけてはいたんだけど、彼は私をアースラだと思ってた、っていうわけ。あぁ、やだ。それで、だから、彼は私に近づいて話す、ということができなかったのね。彼には接近禁止令が出ているから。)
チャンドラー: Umm, not feeling better 'bout Malcolm. (うーん、(その話を聞いても)マルコムって人のことを良いようには思えないなぁ。)

spray は日本語のスプレーでもわかるように、「(…に)しぶきを飛ばす、スプレーを吹きかける、(弾丸などを)浴びせる」という意味。
この場合は、口に入れた食べ物を私に向かってスプレーみたいに飛ばさないで、ということですね。
この "Say it, don't spray it." というのは決まり文句のようです。
spray の -ray と say が韻を踏んでいて、「スプ”レイ”しないで、”セイ”してよ」「物を飛ばすんじゃなくて、話をしてよ」という感じでしょう。
Urban Dictionary には以下の語義が載っていました。

don't spray it, say it:
something u say to someone who spits while he talks, especially if he sprays/spits on u while he is talking to u....

if someone spits too much while u talk, then say "Don't spray it, SAY it"


つまり、「”spray しないで say しろ”とは、話す時に唾などを飛ばす人に向かって言う言葉。特に、人と話している時にその話し相手に唾などのしぶきを飛ばす場合。」
例文) 君が話す時に、もし誰かが唾などをたくさん飛ばしたら、その時、"Don't spray it, SAY it." と言え。

ということで、唾や食べ物などを口から飛ばしながら話す人に対して、それを非難する表現なんですね。
ちょっと汚いですが、面白い表現だと思います。
このフレーズを検索していて、まさにタイトルが Say It Don't Spray It という歌を発見したのですが、それについては明後日(あさって)、詳しく説明します。

ick は「(いやな感じを表す)げっ!」。
フレンズ1-22その6 で、その形容詞形の icky が出てきたので、ick についても触れています。
上のセリフでは、自分が嫌っているアースラの名前を口に出したので、おまけにそのアースラに間違えられた、という話をしているので、いやそうに ick と言っているのですね。

restraining order は、「禁止命令、差し止め命令」のこと。
DV(家庭内暴力)などで、加害者が被害者に近づいてはいけない、という裁判所命令のことです。
フレンズ1-13その5 にも出てきました。
アースラはマルコムに付きまとわれるのがいやで、裁判所に訴えたのでしょうね。
それで裁判所から彼にそういう命令が出た、ということです。

ストーカーのことを一生懸命弁護するフィービーですが、チャンドラーは納得していませんね。
裁判所から接近禁止令が出ているような人なので、やっぱりストーカーっぽい「問題のある人」なんじゃないか、結局、フィービーの説明を聞いても、何も良いところがないように聞こえるけど、ということでしょう。
彼を見直したよ!ということはない、という感じでしょうか。

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posted by Rach at 06:54| Comment(5) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
相手の顔をじっとみて、表情も変えずに、ゆっくりと話す台詞は言ってることと反対の意味の場合があります。You're so pretty. と言いながら、あきれてるという気持ちの台詞ではないでしょうか。
それをジョーイも察して怪訝な顔になったと考えられなくもないような気がします。。
これが伏線となって、エンディングのジョーイとの会話になっていて、レイチェルはジョーイに
いい加減な返事をするのですが、このときのジョーイはそれを察することはできなかったようです。
話は戻りますが「Okay, one question. You're pretending the pillow is a girl, right?」がジョーイの台詞なら間抜けな質問でいったい何を聞いていたんだと笑えますがインパクとは弱いですね。これはやはりチャンドラーのゲイネタのジョークのような気もします。レイチェルでもジャニスでもherでもなくa girlと言ってクッションもpillowに変えています。「今のはまくらを女性に見立てた場合の話だよな。(ゲイでも使えるかとの暗示をジョークでいったのかも)」
Posted by catch at 2007年05月17日 21:55
catchさんへ
貴重なご意見ありがとうございます。

まず、You're so pretty. ですが、そうですね、確かにおっしゃる通り、レイチェルは本当に「かわいいっ!」と思ったんではなくて、「まぁ、ほんとうに可愛い”坊や”だこと。」みたいな感じで、いい歳をして子供みたいなことを言って幸せそうにしているジョーイに「あきれてる」んですね。
どうしてジョーイは「怪訝な顔」をしているのかなぁ…と思っていたのですが、そのレイチェルの本音を察した、ということか…。
確かにエンディングでもレイチェルは「てきとーな返事」をして、あまり真剣に取り合っていませんでしたね。「この坊やには言ってもわからないわ。」みたいな感じがあるのかもしれません。

それから、You're pretending the pillow is a girl, right? の方なんですが、私もどうしてここで観客が笑っているのかよくわからなかったんですよ。おっしゃるように「他の人より気付くのが遅い」ジョーイが言ったのなら、その間の抜け方具合がジョーイっぽいとも言えるわけでが、それでもそれほど大爆笑ってほどのジョークでもないですよね。

ロスはそのクッションを使って説明しながら、she や her という女性代名詞を使っていますね。この場合の you は漠然とした人を指す you と言うよりは、明らかにチャンドラーを想定してしゃべっていて、チャンドラーとジャニスの状況を使ってロスはそのハグ&ロールのやり方を説明しているわけですよね。

クッションを pillow に変えたことについては、a pillow ではなく the pillow と the がついていますから、「”その”ロスが今使っているクッションもしくは枕」を指している、という解釈で良いのではないかなぁ、と思うのですが、a girl と言っていることに関しては、そういうゲイネタが絡んでいるような気が私もしてきました。

ロスの説明の仕方を見ていると、最初はチャンドラーの太ももに手を置いてみたり、チャンドラーにものすごく顔を近づけてみたりして、何となくロスは相手が男性でもそういうハグ&ロールをやってるんじゃないか、と思わせるような節もあります。
チャンドラーが、「ロスは今それを女の子に見立ててるんだよね?」と念押しのように質問したのは、暗に「その枕を男だと思ってやってないよな?」と確認しているようなセリフになっているのかなぁ、と。
普通はこの話の流れで行くと、「当然そのクッションは女性役であるに決まっている」ので、チャンドラーのような質問をする人はあまりいませんよね。
それをわざわざ質問することで、「a girl ではない可能性もある→相手が男でも(ゲイでも)使える」というニュアンスが出てしまって、やっぱりチャンドラーは潜在的にゲイの要素を持っているんじゃないかとロスに思わせた、というおかしさ、という感じなのでしょうか?
(よくわからないのですが、)自分がよくゲイと間違えられることを利用してわざと自虐的なジョークを言った、ということではなく、そういう質問を真顔で聞いているところに、「もしかしてチャンドラーってやっぱり…」とロスや観客に思わせるのが面白い、ということでしょうかねぇ??
Posted by Rach at 2007年05月18日 12:18
はじめまして。
Posted by ellie at 2012年07月01日 01:52
はじめまして。
とても参考になるブログでいつも読ませていただいています。今回初めて書き込みさせていただきます。

"You're pretending the pillow is a girl, right?"の件ですが、私はこのレクチャーをしているときのロスが女の子みたいでちょっと気持ち悪かった(笑)ことをチャンドラーがからかって、「枕が男役で君が女役では無いよな?」という意味で言ったのではないかと解釈しました。
どうでしょうか?

かなり前の記事にいまさらで申し訳ありません。どこかですでに同じ意見が出ていたらすみません。
Posted by ellie at 2012年07月01日 01:59
ellieさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
「とても参考になるブログ」と言っていただき、ありがとうございます。また、いつも読んで下さっているとのこと、光栄で嬉しいです。

このセリフにつきましては、再度コメントを入れて下さった、別の記事内でお返事させていただきますね。
Posted by Rach at 2012年07月02日 17:34
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