昨日に引き続き、英検1級一次試験のリスニングについて書きます。
Part 3 は「Real-Life 形式の内容一致選択問題」。
英文が放送される前に10秒間の時間が与えられ、印刷されている Situation と Question を読む時間がある。
妙にリアルな効果音(笑)が入っていて、いつもこの問題を聞くと、クスッと笑ってしまうのですが。
これは雰囲気的には、TOEIC の Part 4 に似ていますね。
TOEIC のように焦って問題と選択肢を「先読み」しなくても、それを読む時間を与えてくれる、という点で親切です。
ただ、TOEIC よりは選択肢の内容が難しい、というか、TOEIC ほど簡単には答えが見つからない、という気はします。
家で模擬試験をやっている時も、全問正解ではなかったけれど、割と正答率が良くて、何とかなりそうな手ごたえをこのパートだけは感じていたのですが、結果は1問間違い。
やはり私はどこか詰めが甘い(笑)。
Part 4 は「インタビューの内容一致選択問題」。
3分程度のインタビューに対して、質問は2つ。選択肢はそれぞれ4つ。
これも、「質問の内容が問題用紙に書いていない!」です。
3分ものインタビューを聞いて答えるのに、「質問が書いてない!」というのは、ものすごく辛いですねぇ。
この攻略法として、旺文社 英検1級教本 p.264 に「メモをとる」というアドバイスが書いてあります。
が、結局、私はメモは取らない、と決め、本番でも全くメモを取りませんでした。
私はそうした、というだけで、オススメはしません。
取った方がいいような気はするのですが、私はきっと「メモを取ることに気を取られる」ように思ったし、慌てて汚い字で書いて、結局読めない、ということになりそうに思ったから、です。
隣で受験していた人が、もの凄い勢いでメモを取っている音が聞こえて、私は圧倒されていたのですが、それでもやはりメモは取りませんでした。
かっこいい言い方をすると、「自分のリテンション能力にかけてみた」のですね。
リテンション(retention)というのは「記憶の保持、保持力、記憶力」のことで、聞いたことを頭でちゃんと覚えている、ということです。
ロングマン現代英英辞典の語義は以下のとおり(笑)。
retention: the ability to keep something in your memory
つまり、「記憶に何かを保っておく能力」。
リスニングをしている時、「だいたい」言っている内容はわかります。
後は具体的にどんな話をしていたか、ということをどこまで細かく覚えているか、ということなんですが、その話している内容が頭の中である程度イメージされていれば、それなりに記憶に残っているはずだと思うのです。
実際のところは、2問中1問正解で、1問落としてしまったので、私のリテンション能力も大したことなかったなぁ、という結果になってしまったのですが…(爆)。
最後の問題は、2つの間で迷って、間違った方を選んでしまいました。もう一つの方が正解でした。
だから、「何となく」は記憶に残っていたのでしょうね。
それは、プロのピアニストのインタビューで、「大人にピアノを教える時に、どんな困難(苦労)がありますか?」という質問でした。
インタビュー中で、子供に教える時と大人に教える時に、それぞれ困難なことを語っているのですが、私が選んだ選択肢は子供に教える時の問題点でした。
インタビューの内容を聞きながら、人に教える場合の困難な点を述べているのはわかったのですが、いざ質問を聞いた時に、どちらが子供の問題でどちらが大人の問題であったかを忘れてしまったみたいです。
それを考えるとやっぱりメモを取っていた方が良かったのかもしれないな(爆)。
リテンションというのは、とても大切な能力ですね。
私はドラマを見ることで、そういうリテンション能力がついてきたのかな、と思います。
例えば、フレンズをまるまる1話見ると20分強ですが、始めの方で出てきた話を忘れていては、ドラマを楽しむことができませんよね。
ドラマを楽しめる、ジョークで笑える、というのは、そのエピソード内で出てきた話題や単語をちゃんと頭で覚えている、ということです。
英語の勉強を始めた頃、よく感じたのは、「聞いた瞬間は意味がわかっても、その後、すぐに頭に残らず忘れてしまう。」という感覚でしょうか。
一文一文毎にポーズで止めて、その一文の意味を訳すことはできても、ある程度まとまった文章を聞かされた時に、その内容を大雑把でもいいから説明しろ、と言われると難しい、という感じでしょうか。
ドラマを鑑賞することに慣れてくると、その一つのドラマの中で、Aさんがこんなこと言ってた、Bさんがこんなこと言ってた、ということが結構頭に残っているものです。
それはもちろん、映像がついているから余計に記憶が鮮明なのですが、例えば、それがラジオドラマであっても、それくらい頭に残っていないといけないし、インタビューでも、本人がどんなことを順番に話していたか、どんな例を挙げていたか、か頭に残っていないといけない、ということなんですね。
そういう能力を試す問題があるところが、英検の難しさであり、また素晴らしさでもあるのだろう、と思います。
ということで、英検合格後、英検に関する記事をいくつか書いてきましたが、今回が英検に関する最後の記事となります。
英検受験を決めてから合格するまでの間は、ずっと「英検」のことが頭から離れなくて、いろんな気持ちの浮き沈みもありました。
ですから、記憶に残っている間に、自分のブログの中で記事にしておきたかったのです。
これまで英検の記事を読んで下さった読者の方々、本当にありがとうございました。
ここで英検にケリをつけて、「試験対策」ではない、「自分の好きなやり方」で、英語を学んで行きたいと思います。
(Rach からのお願い)
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とても興味深いところをつきましたね。私もまったく同感です。
以前ロングマンの一連の使い方の中で指摘しましたが、英語を読むとき英語の短文を英語のまま理解できたとしても、本当に英語を読んだことにはなりません。本当に英語を読むということは、読んだひとつひとつの英語の短文が記憶に残り、かつそれぞれの意味が相互に関連づけられてはじめて英語を英語のまま読んだと言えると思うのです。聞き取りも同じだと思います。
TOEICの限界はそこにあると思います。短文の聞き取りでは聞き取りに関して本当に英語を英語のまま理解できる能力の証明にはならないような気がします。(TOEIC700スコアーの私がこのように言うのは資格はないのですが…)
長い文章を聞いて内容を理解するには、リスニングももちろん大切ですが、英語の読書をして書かれた内容をまとめる訓練も必要かと思います。
そうですよね。おっしゃる通り、「それぞれの意味が相互に関連づけられてはじめて」、読んだ、聞いた、そして「理解した」と言えるのだと思います。それぞれの文の意味をその瞬間瞬間に捉えているだけでは、なかなか理解できません。そういう意味で、リテンション能力はとても大切なんだと思います。
TOEICは瞬発力が勝負だ、みたいによく言われていますが、「耳が正しい音声を聞き取れているかどうか」を確かめるテスト、なんでしょうね。TOEICでもリテンション能力はある程度必要なのかもしれませんが、私がリスニングを解いている時は、あまりリテンション能力は関係ないかなぁ、と思います。
TOEICで問題を「先読み」している場合は、「何を探すべきか」をわかった上でリスニングに臨んでいるので、こちらはただその答えが流れる瞬間を「待って」いるんですよね。だから、聞こえてきた瞬間にマークしたりできるわけで、それを聞いた瞬間にその情報はもう次の質問にはあまり関係ないものとなってしまって、忘れても問題ない、ということになるわけです。
TOEICのリスニングが満点であることを、私は「自分に自信をつけるため」に使ってはいますが、実際にはそれでどこまで私のリスニング能力が示されているのか、ということはよくわかりません。
本当に英語を聞いて理解できているかどうかを確かめるには、問題も解答の選択肢も示さずに、ただ長い英文を聞かせて、その後で、その内容に関する質問をする、というのをやってみればいいのでしょうね。すごく難しいと思いますが、でも、英語でディベートできる能力のある人は、日常的にそういうことをやっているわけですから…すごいです。
「英語の読書をして書かれた内容をまとめる訓練」は効果的でしょうね。そんな風に summary を書いてみたらいいですよ、と過去に何度か勧められたことがあるのですが、やってません(笑)。それをすると、ライティングやスピーキングも上達するでしょうね。
今回で英検の記事はおしまいになりますが、かいちゃんさんには、英検のことに関して、いろいろと貴重な意見をいただき本当にありがとうございました!