シーズン3 第4話
The One With the Metaphorical Tunnel (ジョーイのオーディション)
原題は「比喩のトンネルの話」
いきなりテレビ画面に Amazing Discoveries という文字が登場します。
テレビの番組名だということが、見ているうちにわかります。
[Scene: Monica and Rachel's: everyone is there and they are watching an info-mercial that stars Joey.]
モニカとレイチェルの部屋。みんなそこにいて、ジョーイが主演している、あるインフォマーシャルを見ている。
ト書きには、info-mercial とハイフンで区切って書いてありますが、informercial と書く方が一般的だと思います。
information と commercial を足した造語で、「商品に関する情報(information)を含んだコマーシャル(commercial)」という意味ですね。
フレンズ2-15その12 でも、Miracle Wax という商品を紹介するインフォマーシャルを見ているシーンがありました。
その記事でも、インフォマーシャルについて説明しています。
番組名の意味は「驚くべき発見」ということで、視聴者や観客がびっくりするような商品を紹介するインフォーマーシャルなわけですね。
司会者: Welcome everybody, welcome to Amazing Discoveries! (ようこそ皆さん、アメージング・ディスカバリーへようこそ。)
フィービー: Oh, oh! It's on again! (あぁ! また放映してるわ!)
ジョーイ: You guys, can we please not watch this, all right? (みんな、お願いだから見るのをやめてくれないか?)
みんな: Shhhh! (シーッ!)
司会者: Folks, This ever happen to you? You go to the refrigerator to get a nice glass of milk, (Joey is in the background struggling to open a cartoon of milk) and these darn cartons are so flinging, flanging hard to open! (皆さん、今までこんな経験がありませんか? おいしいミルクを一杯飲もうと、冷蔵庫に行く。[ジョーイは後ろでミルクのカートンを開けようと奮闘中] そして、そのいまいましいカートンを開けるのが、めちゃくちゃ大変[難しい]!)
folks というのは呼び掛け語。
folk というのは元々「人々」という意味ですが、このように複数形で使って、「みなさん」という意味の呼び掛け語になります。
This ever happen to you? について。
DVDの英語字幕にはそう書いてあって、実際の音声もそう言っているようですが、ネットスクリプトには、has this ever happened to you (?) と書いてあります。
つまりは現在完了形でこれまでの経験を尋ねる疑問文で、「こういうことが今まであなたに起こったことがありますか?」→「こんな経験ありませんか?」という意味になるのですね。
darn は damn の婉曲語で、この場合は、「いまいましい、にっくき(憎たらしい)」みたいな感じでしょうか。
後ろでジョーイが苦労してパックの口を開けようとしていますが、そんな風になかなか上手く開かなくてイライラすることが多いので、カートンに darn をつけているのですね。
hard to open は「開けにくい、開けるのが困難で」ということ。
その前についている、flinging, flanging という言葉(ネットスクリプトには、flingin'-flangin' と書いてある)ですが、擬音語みたいな感じでしょうか。
辞書で調べても、そういう表現は載っていません。
発音は「フリンギン、フランギン」と言ったところ。
fling という動詞はこれまでに何度か出てきました。
フレンズ3-2その9 では、ジョーイがブンッと手を振って(fling)、手に持っていたディップがフィービーのドレスに飛んだ、というシーンがありました。
そこにも書いたように、fling という動詞には「勢い」があって、それを -ing 形で使うことで、その後の言葉を強調する効果を出しているのでしょうね。
flinging という言葉に「投げ飛ばすような」という具体的な意味があるということではなくて、「ビュンビュン」みたいな「勢いで強調を表す」ニュアンスなのかなと思います。
次の flanging について。
flange という動詞は存在して、名詞では「フランジ、突縁、(帽子などの)つば、耳」、動詞では「(…に)フランジをつける」という意味があるのですが、ここでの flanging はそれとは関係ないと思います。
もし、動詞 flange の -ing 形だとすると、発音は「フランジング」になると思いますが、実際の発音は「フランギング」と言っているようですし、flanging はあくまでも、flinging に続けてリズム感を出すための造語だと思います。
DVDの日本語吹替では、「パックの口が、ビッチリガッチリくっついている」と訳されていましたが、そんな感じの「ビッチリガッチリ」のような”感覚的な”言葉でしょうね。
このセリフの場合は、hard to open の hard 「難しい、困難だ」を強調するための言葉ですから、「むちゃくちゃ」「めっちゃ、むっちゃ」などが近いでしょうか。
日本語でも、そんな風に音の似た言葉を二つ続ける表現がありますよね。
「どうにもこうにも」とか、「ニンともカンとも」(←忍者ハットリくんの口癖)とか(笑)。
(Rach からのお願い)
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このシーン、覚えてます!フレンズは本当楽しい番組ですね。
インフォマーシャルはダサい番組。ですから、見る人もそんなにかっこうよくないかもしれない(例えば、中年の主婦)。その視聴者のためにその言葉を使いました。
お笑いのところはジョイの性格とぜんぜんあわないですね。
Alexさんが正しくコメントを書き込んだと思います。Flingin', flangin', 或いはdarnの以外はdagnabbit又はdadgum.両方は田舎っぽくてダサイ形容詞です。
(Of course, Deas, I remember our deal: "Let's drop the "san" from each other's name."
But 'テリトリーさん、Alexさん、デイズへ' sounds odd, huh?)
一つのお返事になって申し訳ありません。(これを日本のネット用語では、「まとめレス」と言います…笑)
ネイティブのお二人がおっしゃっているように、
「flinging と flanging は fu**ing のダサい言い方」
という解釈が一番自然で正しいと思います。
ただ、テリトリーさんの「freaking と似ている」という説も、同じような言葉の変化から来たもののようですね。
それについては長くなるので、今日の記事で書いてみたいと思います。またご意見がありましたら、是非お聞かせ下さい。
本当にためになるお話を伺えて、ものすごく勉強になります。皆様に感謝しています。
"dagnabbit" や "dadgum" という表現は初めて知りました。フレンズでは、darn は何回か出てきましたが…。
flinging と flanging はやっぱり「語呂合わせ」なんでしょうね。
私が記事に書いたように、どこの国でも、似た音を重ねて、リズム感を出したりしますよね。
強意語、というのは、きっと年代や地域によっていろんなバリエーションがあるのかなぁ、と思います。
大阪弁では、very の意味で「めっちゃ」というのがありますが、それを「むっちゃ」とか「めっさ」などと言ったりします。
もう、どれが正しいのか?とかではなくて、似たような音の言葉を使えば、だいたいそのニュアンスはわかる、という感じですね。それが「言葉」というものなんでしょう。
日本のインフォマーシャルも、大袈裟に観客が驚いたりして、「わざとらしい、しらじらしい」という雰囲気があります。演じている方も、見ている方も、その大袈裟なところをわかって楽しんでいるような節(ふし)もあります。ジョーイが無理にそれを演じているのが、普段のジョーイとは全く違っていて、それがまたフレンズたちにとっては面白くてたまらないのでしょうね。
はじめまして。
今頃になってFRIENDSにはまっているものです。
大好きなFRIEDNSで英語の勉強中ですが、
わからない表現が多く困っているところ
こちらのブログへたどり着きました。
特にシーズン3-4
flinging flanging など辞書を調べても載っておらず
お手上げ状態でしたが、こちらのコメントで解決いたしました。
ありがとうございます!
これからも、こちらのブログにはお世話になると思いますが
宜しくお願い致します。
はじめまして。コメントありがとうございます。
flinging, flanging は私もよくわからなかったのですが、こちらにお寄せ下さった皆さんのコメントが本当にわかりやすくてありがたかったです。
私も私なりに、辞書をひっくり返したり、ネット検索したりといろいろ調べてみるのですが、それでもわからないことはたくさんあります。
私はいつもブログ上で、「私はこう思う」という私なりの仮説を「叩き台」として発表しているという気持ちでいます。それを読んで下さった方から、また違った意見を聞くことができるのは、ほんとに幸せでありがたいことだと思っています。
拙ブログが何かしらのお役に立てるとしたら光栄です。こちらこそ、これからも宜しくお願い致します。
わざわざ、お返事をして頂き
ありがとうございます。
英語の本などもよく読むようにしているのですが、
少し込み入った英文になると
流して読んでしまう癖があるのですが、
Rachさんのようにきちんと分析し
理解して読み進めていけるよう、
がんばってみようと思います。
英文がある程度、読めても
英語が使えないのはこのせいだと
今更ながに痛感致しました。。。
Rachさんの著書も
英語の学習に役立てさせていただきます。
英語学習は何度となく挫折していますが
今度こそがんばります!
ご丁寧な、お返事ありがとうございました!
こちらこそ、お返事ありがとうございます。
「なんとなく」読めてしまうと、つい流してしまいますよね。リーディングでもリスニングでも、「なんとなく」わかるレベルからもう一段上に進むためには、自分がわかることとわからないことをきっちり分け、わからない部分を一つずつ潰していくという作業が必要かな、と思っています。
また、拙著も学習に使っていただけるとのこと、大変光栄で嬉しいです。ありがとうございます。
マイペースで楽しく英語学習を続けていただけると嬉しいです。
ネットスクリプトにあるとおり、
本来はHas this ever happend to you?と
現在完了の疑問文が正しい形だけど、
肯定文の形にして、語尾をあげることで
疑問にしているというのはわかります。
ただ、その場合はThis has ever happened to you?と
なるのではないでしょうか?
時制も簡素化して現在形を用いてるのでしょうか?
また、現在完了の時制を簡素化した場合は、
過去形になっているケースが多い気がするのですが、
現在形になるケースもあるという事でしょうか?
さらに、現在形であれば、happensと三人称単数現在の
sが必要ですが、それも簡素化されてるんでしょうか?
実際の発音はともかく、字幕は割りと文法的に
正しい表現が多いと思ってたので、少し気になりました。
コメントありがとうございます。
Has this ever happened to you? という「疑問文の形」を、「肯定文で語尾を上げる形の疑問文」にするのは、おっしゃるようによくあることでわかりやすいですが、ご指摘の通り、今回のセリフではそれが、This ever happen to you? になっていますよね。
この点は私も正直よくわからないのですが、この文章は、「現在形」というよりは、「過去形の疑問文で文頭の Did が落ちた形」みたいなものかなぁ、と思ったりしています。
「今まで〜したことがある?」というような「これまでの経験を尋ねる」文章の場合、アメリカ英語では「現在完了形よりも、シンプルな過去形を使う」傾向があるという話をよく聞きますよね。
過去形だと、Did this ever happen to you? になりますが、それを「肯定文にして語尾を上げる」(This ever happened to you?)ではなく、「文頭の Did が落ちた(or ラフな感じで落とした)」のが、This ever happen to you? かなぁ、と私は思ったわけですね。
「現在形」だとしたら、やはり、三単現の -s が必要だろうと思うので、思いつくのはそれくらいかなぁ、、という程度なのですが^^
「字幕は割りと文法的に正しい表現が多い」というのはおっしゃる通りで、セリフ通りに字幕が文字化されていない場合でも、字幕の文章そのものは、「英語の文として成立するもの」になっていることが多いですよね。それが「成立しないように見える」としたら、「単語が落ちている(省略されている)」と考えるしかない、、と思うわけです。
これについてはあまり自信がないので(笑)、これからも引き続き考えてみますね。
興味深いご指摘ありがとうございました!(^^)
文法的には一番筋が通りますね(^^)
ありがとうございましたm(_ _)m
お返事ありがとうございます。
上に書きましたように、未だに確信はないのですが^^ 、私の見解に賛同していただけて嬉しいです。
こちらこそ、ありがとうございました!(^^)