2007年06月09日

婉曲表現はダサい? フレンズ3-4その2

ジョーイ: (on TV) Boy, you said it, Mike. (rips open the carton and spills milk on the counter) Aw! There's got to be a better way! ([テレビの画面で]もう、君の言った通りだよ、マイク。[カートンを破いて開けて、ミルクをカウンターにこぼす] あー! もっと良い方法があるはずなのに!)
マイク: And there is, Kevin! (それがあるんだよ、ケヴィン!)
ジョーイ: Can we please turn this off? (お願いだから、こんなの消そうよ!)
レイチェル: Noo way, Kevin! (だめよ、ケヴィン!)

Kevin の発音は「ケヴェン」みたいな感じですね。
ジョーイが番組中で呼ばれている名前に合わせて、「ケヴィンは黙ってて!」と早速使ってみるのがおかしいです。


マイク: There is a revolutionary new product that guarantees that you'll never have to open up milk cartons again. Meet the Milkmaster 2000! (画期的な新しい商品があるんです。その商品は、あなたの手でもう二度とミルクカートンを開ける必要がなくなることを保証します。ご紹介しましょう、ミルクマスター2000です!)
ロス: (to Chandler) Are you intrigued? ([チャンドラーに]興味をそそられる?)
チャンドラー: You're flinging, flanging right I am! (ロスの推理はびっちりばっちり正しいよ[実に興味をそそられるよ]。)

meet は「会う」ですから、直訳すると、「ミルクマスターに会ってくれ、ミルクマスターとのご対面です!」みたいな感じでしょうか。
intrigue は他動詞で「(人の)好奇心[興味]をそそる」。
be intrigued by[with] だと「…に興味をそそられる」、intriguing は「好奇心[興味]をそそる、おもしろい」という形容詞になりますね。

さて、昨日の記事、フレンズ3-4その1 に引き続き、またまた、flinging, flanging が出てきました(笑)。

flinging, flanging については、昨日の記事のコメント欄で、ためになる情報を教えていただきました。
コメントを下さったネイティブのお二人は、
「flinging, flanging は fu**ing のダサい言い方だ」
と表現しておられました。
それが一番わかりやすい説明だと思います。

また、その同じコメント欄で、別の方から、flinging は freaking という言葉と関係があるのではないか?というコメントをいただいたのですが、やはり関係があるようです。

長くなりますが、まずはその freaking から見て行きたいと思います。

Urban Dictionary で freaking を調べると、他の語義と並んで3番目にこう書いてあります。
freaking: damned, lousy, (a euphemism for fu**ing, see also frigging)
訳すと、
「freaking は、damned や lousy の意味で、fu**ing の婉曲表現(euphemism)。frigging も関連語。」

そして、その frigging の意味は、同じく Urban Dictionary では、
Frigging: A lazy or otherwise cleaner alternative to Fu**ing, Freaking, etc.
Tip: Say this word as an alternative to Fu**ing when in the presence of your mother/respected person/etc. to save yourself from getting bitchslapped.

訳すと、
「frigging は、fu**ing や freaking などの「気を抜いた、不精な?=lazy」言い方、あるいはその反対の「よりきれいな=cleaner」言い方。
ヒント:自分の母親や尊敬する人がいる時に、下品な言葉遣いを注意されないようにするために、この frigging を fu**ing の代わりに使え。」

つまり、flinging, flanging, freaking, frigging は全部、fu**ing の代わりに使う表現、ということになりますね。
そう言えば、どの言葉も、f で始まって -ing がついています。
flinging, flanging を見た時に、どうして fu**ing が思い浮かばなかったのか、我ながら不思議です。(Oh, bonehead, bonehead! →私って、おバカ!)

ということで、flinging, flanging は fu**ing を「言い換えたもの」だ、と断言できると思います。

ネイティブのお二人は、damn を darn と表現することも含めて、それを「ダサい言い方」と表現されています。
一方、日本語の辞書では、「darn は damn の婉曲表現(euphemism)」だと説明してあります。
婉曲表現とは、「直接それとは言わないけれども、それに似た言葉でその言葉を連想させる」という「直接的、露骨ではない、”遠回し”な表現」のことですね。
「みだりに神の名を唱えてはいけない」ということで、God の代わりに、Goodness を使う、などと同じです。

そういう「下品にならないように、露骨にならないように気を使ってしゃべる人」というのは、だいたい「お年を召したご婦人」(←old lady, elderly lady を上品に表現した日本語…笑)で、イメージとしては「レイチェルのママ」みたいな感じのご婦人でしょうかねぇ。
だから、「おばさんっぽい」言葉に聞こえて、「ダサい」という印象を与える、ということなのかなぁ、と思います。

ただ、「ダサい」という日本語は、もちろん、時代遅れ、古臭い(outdated)な感じもありますが、若者に対しても使う言葉ですよね。
私のイメージでは、
「ダサい」= uncool, unattractive
つまり、「かっこ悪い」ことをズバっと表現したのが「ダサい」なのかなぁ、と思います。

今回のセリフの場合は、視聴者に「おばさん、おばちゃん(elderly ladies)」が多いインフォマーシャルにぴったりの表現だと言うことなんでしょう。
若者だったら、「今どき、そんな言葉は使わねーよ!」「久しぶりに聞いたぜ、その言葉!」という感じの、「イケてない、若者っぽくない言葉」「おじさん、おばさんが使う言葉=若者が使う最先端のクールな言葉とは正反対の言葉」という感じでしょうか?

ですから、「ダサい」表現、だと言ってもいいでしょうし、「おばさんっぽい」表現、と言ってもいいかもしれません。

チャンドラーは、You're right. 「君の言う通りだ。」の right を flinging, flanging で強調しているのですね。
I am の後ろには、intrigued が省略されている、ということでしょう。
やっぱり、この表現には独特の雰囲気があって、この言葉で遊ばずにはいられない、この表現を使わないではいられない、という感じのチャンドラーです。
日本語では、ひと昔前の表現をわざと使って、
「ディスコでギャルとフィーバー(←死語)」
などと表現したりしますが、そういう感覚と似ているような気もします。
意味としては、「君は、実に正しいよ。僕は(この商品に)興味がある。」ということでしょう。

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posted by Rach at 16:11| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブラッドピット主演の「ジョー・ブラックをよろしく」という映画がありましたが原題は「Meet Joe Black」でした。Meet the Milkmaster 2000! の訳の「ご紹介しましょう」はいい訳ですね。
英訳するとLet's introduce the Milkmaster 2000.にしてしまいそうですが、大仰になって日常会話では使わないと思います。人を紹介するときの決まり文句のI want you to meet 〜は2−7で出てきました。 Rachel : Everybody, this is Paolo. Paolo, I want you to meet my friends. This is Monica.
Posted by catch at 2007年06月09日 21:59
catchさんへ
「ジョー・ブラックをよろしく」は、これまた見ていないのですが(笑)、原題は「Meet Joe Black」というんですね。つまり、「ジョー・ブラックに会ってくれ、ジョー・ブラックを紹介するよ」ということで、「ジョー・ブラックをよろしく」なのかぁ…。なかなか洒落た邦題ですね。
最近多い、英語をそのままカタカナのパターンだと「ミート・ジョー・ブラック」で、お肉(meat)の話かと思ってしまう?(笑)…と言うのは冗談にしても、ただ「ジョー・ブラックに会う」という意味だと思う人はいるでしょうね。実は、命令形の meet で、それが人を紹介する時の決まり文句だ、ということですね。
それを丁寧に言うと、I want you to meet... になるわけだ。
それを直訳して、「…に会って欲しいの、会って欲しい人がいるの」みたいにしてしまうと、何だか自分の親に、恋人を紹介する時のフレーズみたいで、それこそ大仰(おおぎょう)な感じ(笑)。

「ご紹介しましょう」という役を誉めていただきありがとうございます。私はあまりインフォマーシャルとか通販番組は見ないんですが、「次は、…をご紹介します。」と言って、商品の説明が始まりますよね。そのイメージでそんな風に訳してみました。
Posted by Rach at 2007年06月10日 07:49
Rachさん、こんばんは。

質問ではないのですが、Rachさんの意見を
聞かせて下さい。

rips open the cartonについて

この表現の辞書の解説(詳細下記)に
全く同意できないのですが、
Rachさんは、どう思われますか?

最初、私はこの表現をさらっと読み流してました。
しかし、よくよく考えるとopenの品詞は形容詞です。
形容詞がこの位置に来るのはおかしいと思い、
改めてripを辞書で調べました。


以下、ジーニアス英和大辞典より引用

rip
[SVOC]O〈物〉を裂いて・・・にする
rip a parcel open
《◆しばしばOとCの位置が入れ替る;→open》

引用おわり

つまり、rips open the cartonはSVOCのOCが
入れ替わった形らしいです。一見もっともらしい
解説ですが、私はこの説明に全然納得いきません。

確かにSVOCのOとCが倒置する事はあります。
TOEICではPlease see attached the file that 〜が
メール文でよく出てきます。
ただし、この表現はthe fileが関係代名詞thatで
修飾されて長くなっている事による倒置です。

しかし、the cartonや例文のa parcelはたいして
長くありません。にも関わらず、倒置が
発生というのは、なかなか受け入れがたいです。



→openと辞書に載っているので、openも
確認してみました。

以下、ジーニアス英和大辞典より引用

push the door open
戸を押してあける(=push the door, so that it is open)
《◆開いている状態をいう。動作をいう場合は
 push open the door
 戸を押しあける(=open the door by pushing)
 という;この2様をとる動詞は他にはbreak, burst,  blow, cut, fling, kick, pull, swing, throwなど》

引用おわり

※ここでは、SVOCとSVCOで状態か動作か
 言い分けると書いてありますが、
 ランダムハウス英和大辞典ではイコールと
 書いてあったので、細かい違いは無視します。
※実際、その3ではrip it openが出てきますが
 状態ではなく、動作を表してます。

ここで挙げられているbreak, burstなどの動詞は
みんな、物に対して、物理的作用を及ぼしている
イメージの単語が多いですよね。

なので、rips open the cartonは、
『SVOCだが例外的にOとCが倒置したもの』
と捉えるより、
『openは形容詞だが、特定の動詞と結びつき、
例外的に副詞的に用いられる』
と解釈した方が同じ例外でもスッキリする気が
するのですが、如何でしょうか?
Posted by miz at 2014年07月16日 22:39
mizさんへ
コメントありがとうございます。

問題の rips open the carton は、ト書きの部分ですね。
ジーニアスにあるような「しばしばOとCの位置が入れ替る」という説明は、私の手持ちの辞書には載っていませんでした。

rip open the carton も、rip the carton open もどちらも使われることがあるとすると、私も、mizさんの
『openは形容詞だが、特定の動詞と結びつき、
例外的に副詞的に用いられる』
という意見に賛成したいところだと思います。

rip open the carton と、rip the carton open というカタチを見ると、例えば、put away something と put something away (put it away) のように、場所の移動が可能な句動詞(phrasal verb)と似ている気がしますよね。
open は形容詞なので、本来は、away のような副詞と同じような使い方はできない気がするのですが、rip something open という「形と並び」が、open を副詞のように使っているように見せているため、put something away を、put away something にするのと同じような感覚で、「まるで句動詞のように(動詞+副詞のように)」使っているのが、rip open something なのかなぁ、と思うわけです。

open は本来は形容詞だということで、そういう「句動詞的な」使い方はどんな動詞とでもできる、ということではなく、日本語で言うと「切り開く」に当たる cut open などのような、「その動詞の動きに伴って open になる状態がもたらされる」タイプの動詞とのみ、そういう使い方が可能である、ということかなと思うのですね。その動詞群がまさに、ジーニアスで「この2様をとる動詞」として紹介されていたようなタイプの動詞なのだろうと。

ですから、rip (something) open をまるで「句動詞(動詞+副詞)」のように使って、rip open something のように使っている、というのが、今回のト書きの rip open the carton なんだろうな、と私も思いました。

興味深いご意見ありがとうございました!(^^)
Posted by Rach at 2014年07月18日 15:50
返信ありがとうございます。
やっぱり、openを副詞的にとらえた方がスッキリしますよね!!

自分では自分の解釈が正しいと思いつつ、
由緒ある辞書に全然違う解説があったので
怖じ気付いてしまいました・・・(汗)

ちなみに、ロングマンとオックスフォードも
調べたんですが、詳しい説明はありませんでした。
英英辞典はニュアンスの解説が詳しく、
例文も単語の特徴をとらえたものが多い点は
とても良いのですが、文法的解説が少ないのが
玉に傷だな〜と、ちょっと思いました。

結局、私は英和と英英の併用スタイルです。(^_^)
Posted by miz at 2014年07月25日 20:41
mizさんへ
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございます。
はい、open を副詞的にとらえた方がスッキリ!すると、私も思いました^^

辞書や文法書には、それぞれ編纂者の感覚が投影されているので、時には「自分の感覚と違うなぁ」と感じるものも出てきますよね。いろんな解釈や説明を読んで、なるほどそういう解釈もあるのか、、などと感心しつつw 最終的には自分が納得できるもの、一番しっくりくるものを選んで行かれたら良いのかな、と思ったりしています。

上の open については、私も英英を調べたのですが、この件に関する適切な説明は見当たらなかったです。英英辞典の利点はまさにおっしゃる通りの部分ですが、「文法的解説が少ない」というご意見にも納得です。私は英和では、「研究社 新英和中辞典」をいつも使っているのですが、「用法」と書かれた文法的解説がいつもとても役立っています。

私も基本的には併用スタイルですね。ここぞという時、というか、誰かを納得させたい時(笑)には、英英の語義を引用して、これでどうだ!みたいに使うことが多いです。英英の語義を味方につけておくと、仮にネイティブの方と議論することになった場合でも、「私、負けない!」と言える強さを持てるように思うわけですね。日本語に関する議論になった時に、外国人の方が広辞苑の語義を持ち出して対抗しようとしたら、日本人でもちょっとひるむかも、、みたいなことと同じでしょうか^^

いつも興味深い点をご質問いただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2014年07月26日 15:55
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