キャスティング・ディレクターに電話をかけるフィービー。
ジョーイ: What, what are you doing? What are you doing? (何やってるんだ、何やってるんだよ。)
フィービー: No, no, no, I know, I know, ooh. (on the phone in a different voice) Hi, this is Caitlin from Phoebe Buffay's office. Um, is um, Ann there for Phoebe? She'll know what it's about. (いいの、いいの、わかってるんだから。[電話では別の声で] はい、私は、フィービー・ブッフェ事務所のケイトリンよ。アンはいるかしら、フィービーが話したがってるの。アンは何の用件かわかるから。)
ジョーイ: Hang up, hang up. (reaches with his good arm, but Phoebe grabs it and he tries to reach the phone with his other arm but can't because of the sling.) (電話を切れ、切れよ。)
と言いながら、ケガをしていない方の腕を伸ばすが、フィービーはそれを掴む。ジョーイはもう一方の腕を電話に伸ばそうとするが、スリングをしているので手が届かない。
フィービー: (on phone) Annie? Hi. Listen, we got a problem with Joey Tribbiani. Apparently, he missed his audition. Who did you speak to in my office? Estelle? No, I don't know what I'm going to do with her. No. All right, so your husband leaves and burns down the apartment. The world does not stop. (アニー? ねぇ、聞いて。ジョーイ・トリビアーニのことで問題があるのよ。どうやら、彼はオーディションを受け損ねたみたい。あなたは、私の事務所の誰にオーディションのことを話したの? エステル? 彼女をどうにかしてやらないとね。そう、夫が家出して家に放火する、世界は止まらないわ。)
チャンドラー: Is anybody else scared? (誰か他に怖がってる人いる?)
フィービー: (on phone) Right, well look, um, if Joey loses this audition, that is it for Estelle. I don't care! (わかった。もしジョーイがこのオーディションを逃したら、今言ったことがエステルの運命になるわ。かまうもんですか!)
最初のセリフでは、フィービーは、フィービー・ブッフェというエージェントの秘書、ケイトリンを演じているようですね。
そして、電話がアンに代わった時点で、フィービー・ブッフェという名前のエージェントとして話しているようです。(その辺りの区別がいまいちはっきりしないのですが…)
エージェント側も、キャスティング・ディレクター側も、どちらもまずは秘書が用件を取り次ぐのでしょうね。
でも、エステルの事務所は、エステル本人がいつも直接電話をかけてますね。(彼女は一人であの事務所をやっているようですからしょうがないですが…笑)
フィービーは、エステルがジョーイにオーディションの連絡をし忘れたという設定で話しています。
エステルはいつの間にか、フィービー・ブッフェ事務所の一員にされているようです(笑)。
I don't know what I'm going to do with her. は「エステルをどう処置することになるのかわからない。」ということで、つまりは「一体、エステルをこれからどうしてやろうか。」みたいに、何かお仕置きみたいなことを想定しているようですね。
your husband leaves and burns... の部分について。
your となっているのですが、この場合は、電話の相手のアンのことを言っているのではないようです。
相手に再度オーディションを受けさせてもらおうとしているのに、相手に不幸が起こるようなことを言うのはおかしいですからね。
その後のセリフで、That is it for Estelle. という表現も出てきますし、エステルにはそういう不幸な出来事が起こるわよ、と凄んでいるようです。
この your の you は一般の人を表わす you で、「そんな大事なオーディションの連絡をし忘れて、タレントの大事なチャンスをつぶすような”人間、やつ”」は、こんなことになっちゃうよ、ということか、もしくは「あんたの亭主が家出して…」と、エステルが目の前にいるかのように話している、ということかもしれません。
その That is it for Estelle. について。
That's it. とか、This is it. とか、よく似た表現がいくつかあります。
似た表現を順番に見て行って、このセリフの意味はどうなるか、は最後に述べます。
フレンズでよく出てくるのは、「それで終わり。」「そこまでだ。」という意味の That's it.
フレンズ3-2その34 の最後のセリフ、
チャンドラー: All right, that's it. Give me your underwear. (よーし、わかった。それまでだ。あんたの下着をよこせ。)
などがその典型ですよね。
That's it for today. だと「今日はここまで[それまで]。今日はこれで[それで]おしまい。」という意味になります。
そういう「おしまい」という意味の場合は、最初の That's にアクセントが来ます。
一方、That's it. の it の方にアクセントが来ると、「問題はそこだ。それが言いたかった。」のような意味になります。
また、This is it. という表現もあって、「さあ、いよいよだ。これだ。来るものが来た。」という意味になります。
直訳すると、「これが”それ”だよ。」という感じになって意味不明なのですが(笑)、that や this はそのセリフの直前に述べられた言葉や状況を指す指示代名詞ですが、it は「ポイント、重要な点、焦点となるべき事柄」という感じでしょうか。
日本語の”それ”のように、ただ何かを漠然と指すのではなく、ある重要なポイントとなるべき事柄を、あえて it と表現しているのですね。
ロングマン現代英英辞典では、
this is it: (spoken) used to say that something you expected to happen is actually going to happen
つまり、「起こると期待していたことが実際に起ころうとするのを言うのに用いられる」
この This is it の it の意味は、Merriam-Webster Online Dictionary によると、
it: 5. a crucial or climactic point 例) This is it
つまり、it は「重大な、またはクライマックスのポイント」
セリフの解釈に戻りますが、That is it for Estelle. では、フィービーは it を強調してしゃべっていますので、上の This is it. の it と同じようなニュアンスだと思います。
That は、その前に言っていた、夫が出て行って、家に放火して…という話のことですね。
そういうことが、it for Estelle 「エステルにとっての”それ”」、エステルの身にこれから起ころうとしていること、エステルにとっての重大なポイント、つまりは「エステルを待ち受ける運命、宿命」みたいな感じかな?と思うのですが…。
(うまく説明できなくてすみません。)
(追記)
あるいは、That is it for Estelle. を、That's it for today. 「今日はそれでおしまい。」というおなじみのフレーズと同様のニュアンスだと考えると、「それでエステルはおしまいだ、終わりだ。」という意味になるのかもしれません。
(追記はここまで)
(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
人気blogランキング
にほんブログ村 英会話ブログ
エステルについて:私はこの話をあまり覚えていないけど、もしかしたらフィービが言ったこと実際に起こらなかったでしょうね。フィービは何か馬鹿馬鹿しい話を作って、そんなに酷いことが起こっても言い訳にならないと言った意味でしょうか。I don't really remember this episode, but I isn't it true that the things Phoebe said about Estelle didn't actually happen? I think she made up some kind of ridiculous story and then implied that not even something that crazy would be an acceptable excuse for Joey missing the audition.
"Right, well look, um, if Joey loses this audition, that is it for Estelle. I don't care!" (はい、わかった。もしジョーイがこのオーディションを逃したら、エステルは首になるわ。別に構わんからさ!)
どうでしょうか?
(ここだけは「さん付け」しないと、何だかしっくりしません…笑)
チャンドラー: Is anybody else scared? (誰か他に怖がってる人いる?)
みんな: Everybody but Pheobe (is scared). (フィービーを除いた全員(が怖がってるよ。))
と言ったところでしょうね(笑)。
フィービーがエステルに関して言った酷いこと(the things Phoebe said about Estelle、夫が家出、家に放火)は、実際には起こっていませんし、この後でも起こりません(笑…そもそも、エステルは結婚してたっけ?)。
デイズが書いて下さった解釈は、もしそんなことがあって、彼女が大変な状況にいたとしても、それがジョーイに連絡し忘れた言い訳にはならないわ?という感じでしょうか??
それとも、そんな酷いことが起こっても、エステルに同情して許す気にはなれないくらい、大変な失敗をしたのよ、という感じでしょうか??
フィービーは、karma 「カルマ、業(ごう)、因縁、宿命」について語ることがしばしばあって、これもそんな感じかなぁ、と思いますね。ジョーイの大事なチャンスをふいにして、「バチがあたる、報いを受ける」という意味で、そういう「ありえないような話をでっち上げている(made up some kind of ridiculous story)」のでしょうね。
もちろん、そんなことが起こっても気にしないくらい、「私」(フィービーという名のエージェント)は怒っていて、エステルを首にすることをほのめかしているわけですよね。
電話の相手であるアンが、「例外は受け付けない」とジョーイの再オーディションをするのを拒めば、エステルがクビになってしまう。そうやって脅して、相手の良心に訴えようとしている、エステルがどうなるかはあなたの返事次第よ、みたいに追い詰めている、というところでしょうか。
「エステルは首になるわ。」と訳されていますが、それは that is it for Estelle という文章そのものを、そういう「エステルは首だ、終わりだ。」(Her life is over. She's dead. She's fired.)という意味に解釈することも可能だ、ということでしょうか?
どちらにしても、このままオーディションが受けられないと、エステルは首になる、という意味で言っているのは確かですね。
I don't care. はDVDの日本語では「構(かま)うもんか」になっていました。
私が書いた「かまうもんですか。」というのは、女の子っぽい言い方で、それをもう少し荒っぽく言うと、「かまうもんか。」になります。
意味は「別に構わんからさ!」も同じですが、その言い方だと、少々、男っぽい感じがします。エステルのような擦れた(すれた)、世間擦れ(せけんずれ)したオバチャンには合っている口調かもしれません。フィービーもエステルのようなオバチャンをイメージしてしゃべっているようで、そういう意味では合ってるのかも(笑)。
What a coincidence! We each posted our comment almost at the same time, didn't we?
I'm surprised to find your comment above mine right after posting it.
Thank you for explaining the situation closely for both of us.
As you said above, Pheobe keeps acting like Joey's agent throughout this episode. She really gets right into her part. Funny, huh?