2007年06月21日

男って… フレンズ3-4その11

チャンドラーは、ジャニスと自分が「カップル」になったと思った途端、そこから逃げなきゃ、という気持ちになった、と言うのですが…。
レイチェル: Men are unbelievable. (男って信じられない。)
モニカ: What is it with you people? I mean, the minute you start to feel something, you have to run away? (あなたたち男性にとって、それは一体何なの? つまり、何かを感じ始めた瞬間に、逃げ出さないといけないの?)

What is it with you people? がよくわからないのですが、「あなたたち男どもにとって、それは何なの?」という問いかけでしょうか?
What is it? というのは、今チャンドラーが言ったような話の内容のことでしょうね。
それってどういうこと?ということなのかと。
一瞬、What's wrong with you? とか、What's with you? のように、「君、どうしたの?」みたいな意味なのかと思ったのですが、それだと it は不要ですよね。
今まで What's with you? という文章について深く考えたことがなかったのですが、この文の主語は、What で、What is with you? で、「何があなたと共に存在しているのか?」という意味だから、「あなたに何か(問題が)あるのか?」と言う意味になるのですね?(多分)
ですから、見た目は似ていても、What's with you? と、What is it with you? とは別物だ、ということになるのでしょうか?
つまり、What's with you? は「何(の問題)があなたと”共にある”のか?」で、What is it with you? は「あなた”にとって”、”それは”何か?」という意味の違いがあるように感じるのです。


チャンドラー: I know, that, (looks at her fake chest, and loses his train of thought, temporarily) That's why I don't want to go tonight, I'm afraid I'm going to say something stupid. (そうだな、それは…[モニカのニセ胸を見て、一時的に、一連の考えが止まってしまう。] だから、今夜行きたくないんだ。何かバカなことを言ってしまいそうで怖いんだ。)
モニカ: Oh, you mean like that "guy thing" where you act mean and distant until you get us to break up with you. (あぁ、チャンドラーが言いたいのは、例の「男ってやつ[男のやり方]」のことね、あなたたち男はいじわるでよそよそしく振舞うの、私たち女の方から別れを言い出すまで。)
ジョーイ: Hey, you know about that?! (おい、女たちはそのことを知ってるのか?)

ト書きの、loses his train of thought について。
train は「列車」ですが、あのように連結して列になっているので、「(人・車などの)長い列、行列」という意味にもなります。
またもっと抽象的なものにも使い、a train of thought だと「一連の考え」という意味になります。
a train of = a series of ということですね。
それを lose するわけですから、一つのテーマについてずっと考えていたのが、急に中断してしまう、ということです。
ニセモノだとわかっていても、ついつい見つめてしまうものなのでしょうか?(笑)

guy thing は抽象的な表現ですが、「男ってやつ、男のやり方」のように訳してみました。
「男がよくやる”あれ”」とか、「男のいつもの遣り口(やりくち)」みたいな感じでしょうか?
thing をロングマン現代英英辞典で調べると、
thing: IDEA/ACTION/FEELING/FACT
[countable] an idea, action, feeling, or fact that someone thinks, does, says, or talks about, or that happens

などと出ていますが、それに当てはめると、guy thing は、「男の考え、行動、感情」みたいなものになると思います。
つまり、「男はこんな風に考えて、感じて、行動する」という習性(?)みたいなものをひっくるめて、抽象的に guy thing と表現しているのだと思います。

フレンズ1-18その2 にも、guy thing という言葉が出てきました。
いつも男性陣だけでポーカーをしているのに気付いて、
フィービー: What is that? Some guy thing? Like some kind of sexist guy thing? Like it's poker, so only guys can play? (それって何? 「男が考えそうなこと」ね? 「女性差別の男が考えそうなこと」の一種、って感じ? 「ポーカーだぜ、男にしか出来ないよ」って感じ?)
と一人で勝手に怒っていましたが(笑)。

フレンズ1-18その2 を解説した時は、guy thing を「男がするもの、男の遊び」みたいなニュアンスだと捉え、「ポーカーは男の遊びだ」と言っているのかと思いました。
でも、今、見直してみると、「ポーカーは男にしかできないよ。」と思っている、その「女性差別的な考え方」を guy thing と呼んでいるような気がします。
だから、guy thing の後で、sexist guy thing と言い直しているのかなぁ?と。
thing というのは、ゲームのことを指しているのではなくて、もっと大きな意味の「思想、行為、気持ち」を表しているのだろうと思います。

that "guy thing" where ... で、その guy thing という概念の中で、男たちがどのように行動するか、というのをモニカは語っています。
act mean and distant と「act+形容詞」の形になっていますね。
act は普通、様態の副詞(句)を伴って、act politely 「礼儀正しく振舞う」、act like a baby 「(赤ちゃんのように)駄々をこねる」などと使いますが、形容詞を補語として、「…みたいに振舞う、…のふりをする」という形でも使います。
この場合は、形容詞で、まるで本当に mean で distant であるかのように振舞う、そういうふりをする、ということですね。

until 以下を訳すのが難しいのですが、get us to は、「私たち女性に…させる」という使役の意味になり、何をさせるかと言うと、break up with you 「恋人である男と別れる」ということですから、自分から別れを切り出さないで、冷たい態度を取って、女の方からさよならを言わせようとする、ということですね。
そういうのはずるい!と女性陣は責めているのです。
自分から別れを言い出すのは言いにくいから逃げている、自分が悪者になりたくないから、自然消滅するような状況に持って行こうとする…そういうのを許せない!と怒っているわけですね。

それに対するジョーイの反応は、「それに気付いてたのか? その男の本心がわかってたのか?」という感じでしょう。
つまり、そういう意図を持ってそういう行動をしていた、ということを、ジョーイ本人が認めてしまった、ということですね。

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posted by Rach at 13:28| Comment(8) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
What's with you? は相手の様子や発言を見たり聞いたりして、どうしたのかという意味で、相手の様子によっては、「いいことがあったのか?」にもなるし、「何か文句があるのか」にもなります。非難や心配にもなります。あくまでも相手に対しての言及です。
What is it with you?のitは事柄でその後に文章が続いたりして発言や行為に対する言及です。今回は男の女性とのつきあい方への非難だと思います。
8-21Chandler:What is it that I do?(私の行為に問題がある?)
What's it got to do with it?(それとどういう関係があるの?)決まり文句
What's wrong with you?はいつもと違うという驚きや疑問を表わします。いったいどうしてしまったの。
What's wrong ?はどうしたのという心配。
Posted by catch at 2007年06月21日 22:57

流せない疑問がまたあります。
以前から関係代名詞について、お聞きしたいと思っていたのですが あんな事がありまして、そのままになっていました。
今日、ちょうどお誂え向きにピッタリの文章が出てきましたので。
モニカ: Oh, you mean like that "guy thing" where you act mean and distant until you get us to break up with you. (あぁ、チャンドラーが言いたいのは、例の「男ってやつ[男のやり方]」のことね、あなたたち男はいじわるでよそよそしく振舞うの、私たち女の方から別れを言い出すまで。)
whereについてです。
whereはたいてい場所がらみの用法  なぜwhichではないのか?  
guy thingは場所じゃないですよね?
辞書を見ると
…する[した](場所,場合) There are many cases W〜 you have to compromise. 妥協しなければならない場合も多い.
この例文ではcaseは場所的ニュアンスはないので、この例文のように"guy thing" =男のやり方 をcase と同じように当てはめればいいのでしょうか?
そうすると、、、私たち女の方から別れを言い出すまで、あなたたち男はいじわるでよそよそしく振舞う「場合」の男のやり方  となって 何となくこれかなと思うのですが。

あと場所以外の用法を見ると
名詞節を導いて》…ということ(that):I noticed W〜 you passed the test. 君がテストに合格したこと知ってたよ.  だろうか?  その前にguy thing と言う名詞があるので、 名詞+名詞節でこれも違う・・・

《対照・範囲などの副詞節を導いて》…のに(対して);…のかぎりでは:W〜 money is concerned, she's as hard as nails. 金銭に関するかぎり,彼女はひどく非情である

《状況の副詞節を導いて》…する場合には:W〜 ignorance is bliss, 'tis folly to be wise. 《ことわざ》知らないでいることが幸福である場合には知ることは愚かである;知らぬが仏.
でもなさそう、、、、  
確認のため、ご意見 お聞かせください!
Posted by かつての読者 at 2007年06月21日 23:23
catchさんへ
私の悩みに付き合って下さって、ありがとうございます(笑)。
What's the matter with you? と What's the matter? の違いについては、
フレンズ3-1その24
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470728.html
で、catchさんがコメントを下さっていましたね。
with you のあるなしによるニュアンスの違いは、What's wrong with you? と What's wrong? にも当てはまる、ということですね?

そして、What's with you? は、the matter や wrong という言葉が入っていないため、必ずしも悪いことだけではなく、良いことも含めて、相手の様子を尋ねている言葉になるのでしょうか??

そして、問題の What is it with you? の it について、私は上の記事で、「今チャンドラーが言ったような話の内容」を指す、と解釈しましたが、それだと that になるでしょうかねぇ?
ここでは、What is it with you people? I mean... と言って、その後で、内容をより詳しく説明しています。つまり、it はその後に出てくる、the minute you start... という行為に代表される「男性の女性とのつきあい方」を指している、ということですね。
「それって一体何なわけ?、それって言うのは、つまり、何かを感じた途端に…」というニュアンスでしょうか。

"What's it got to do with it?" という決まり文句は、初耳です。
I have nothing to do with this. 「これは私には何の関係もありません。」の do with と同じニュアンスですね?

8-21 のチャンドラーのセリフは、私のする行為は「何なのか?」と尋ねていて、つまりそれに対して何か非難や批評をしたいのか、何だと言いたいのか?、何が「悪い」って言うんだ? と相手に問い正している感じでしょうか。
この場面でも、自分では特に悪いところはないと思っているのに、誰かさん(笑)に気になることを指摘されていましたね。
Posted by Rach at 2007年06月22日 11:32
かつての読者さんへ
私が上に書いた、
「that "guy thing" where ... で、その guy thing という概念の中で、男たちがどのように行動するか、というのをモニカは語っています。」
というのは、その時、私が感じた印象を文字にしただけで、やや漠然としていますね。

示して下さった辞書の用例の中では、
There are many cases where... の where と同じ感覚だと思います。

文法的に説明すると、この where は関係副詞の where で、This is the house where he lives. 「これは彼が住んでいる家です。」などの where と同じです。
先行詞をとる場合は、場所を表す語が先行詞になります。上の the house とか、the place (where) などですね。
先行詞は主に「場所」だと言われていますが、例に挙げて下さったように「場合」の意味である、a case [cases], an instance などを先行詞にとることもあります。
関係副詞 where のニュアンスは、「先行詞が示す、その場所で…」のような感覚なので、目に見える物理的な場所だけではなく、抽象的な状況、場合も先行詞にとることができて、「先行詞が示す、その状況では、そこでは」のように、その case や instance の内容(中身)を where 以下で説明している、という感じでしょうか。

やや話が逸れますが、フレンズの原題のタイトルは、The One With... とか、The One Where... となっているものが多いですが、その The One Where... の where も、同じ感覚だと思います。
タイトルの説明になりますが、例えば第3シーズンを例に取ると、
3-3 The One With the Jam ジャムの話
3-2 The One Where No One's Ready 誰も準備できてない話
というのがありますね。
The One というのは、The episode とか、The story みたいな意味を、The One という、わざと漠然とした表現にしているんだろうと思います。「ジャムの話、ジャムの巻、ジャムの段、ジャムのやつ」みたいに、with がついているものは、その話にジャムが付随している、ジャムが関係する、その話にジャムが出てくる、という感じですね。

そして、where の方はというと、where 以下で、その話の内容を説明しているわけです。where 以下は文章の形(S+V)になっていて、”その話の中で”「誰がどうするか」ということを述べているのですね。
直訳すると、「その話、その話の中では、誰も準備できてない」となるので「誰も準備できてない話」と訳してあるわけです。

なぜ、which ではないのか、という件ですが、which は関係”代名詞”で、接続詞と代名詞の両方の機能を持っています。
which を使う場合だと、that "guy thing" which we hate のような文なら可能でしょうか。
we hate that "guy thing" のように guy thing が目的語になる場合は、それを先行詞として前に持っていき、後に which を付けて後ろからそれを修飾して、「私たち女がいやだと思っている、その guy thing」のように言うことができると思います。

今回のセリフの場合は、that "guy thing" は you act mean and distant という文章の目的語などではなく、"you act mean and distant" だけで文章が完結しています。つまり、その文の要素の一つを前に先行詞として持って行ったわけではないので、「何らかの名詞の役割をしつつ、文章を繋げる」という機能を持つ「関係代名詞」の which を使うことはできないのです。

you act mean and distant in that "guy thing" 「その guy thing の中で、男はいじわるでよそよそしく振舞う」という文章が可能ならば、that "guy thing" in which you act mean... とか、that "guy thing" which you act mean and distant in という風に、前置詞とセットで使うことは可能かもしれません。(自信はありませんが)

that "guy thing" というのは非常に漠然とした言い方ですが、上で説明した、case, instance, the one と似た感覚だと思います。 私が書いた「その guy thing という概念の中で」という説明は、「その”男の行動”の中で、where 以下のように男たちは振舞うのよ」と、漠然とした guy thing の中身を具体的に詳しく説明している、ということでしょうか。
Posted by Rach at 2007年06月22日 11:43
何か既視感がありながら 思い出せなったwhereの文
分かりました! フレンズの各エピの原題でした!
そうそう、、これが気になりだした発端でした。

さて今回も丁寧にありがとうございます。
このwhereの用法  知ってる人にとっては英語の基本的な部分だったかもしれませんが、 自分には長年 気になってた部分でした

それとwhichとの比較解説も  重ねてお礼を言います。
今後はその視点からwhichとwhere のある英文に接したら眺めてみたいと思います。

今回、guy thing を自分でも場合に置き換えて考えられたのは、先に記事のほうで「男のやり方」という解説があったからだと思います。

guy thing を 男の物事みたいに解釈してたのでは、なかなか場合にいきつかなかったのかなと。
Posted by かつての読者 at 2007年06月22日 22:07
かつての読者さんへ
ご丁寧なお礼、ありがとうございます。
関係代名詞や関係副詞などは、日本語にない文法事項であり概念なので、どうしても文法用語を使って説明せざるを得ないのですが、フレンズの原題の The One Where... だと、何度も目にしているものですから、例に出すのに良いかな、と思いました。

私も最初は、guy thing を「男のする”こと”」みたいに思っていたのですが、多分(自信はないですが)「男の”やり方”」という男の行動・思考全般を指している、という気がしますし、そういうものをまとめてモニカたちは非難しているんだろうと思います。
Posted by Rach at 2007年06月23日 08:16
はじめまして。

フレンズを理解し楽しむことにとても役立っています。感謝!

まずthingについてです。その語源はどうやら「指定された時間」という意味らしく、そこから「みんなが集まる集会や民会」を指すようになったようです。そして集会に上がる発言、行動、議題や思想などから派生して広く「こと・もの」を指すようになったようです。

guy thingは男たちの集会で決められたルールといったイメージを持つといいのではないでしょうか。

ちなみに政治学者のロバート・ダール博士は、現代民主主義を形作ったのはギリシアやローマの伝統より、ゲルマン人の民会(thing/ting)の伝統が果たした役割のほうが大きいとおっしゃっています。

またcaseも「カサッ」といった気になる音が語源らしく、変な音がした場所を指しているようです。そこから事件や事実や訴訟といった意味に派生している。

thingもcaseもネイティブにとっては意外と「場所」のイメージがあるのかもしれません。

どこかで既出の情報だったらごめんなさい。
Posted by あれるげん at 2014年03月28日 06:15
あれるげんさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。

thing や case に関する情報、ありがとうございます。thing という単語は漠然としたイメージがあるので、それをどうとらえるかの解釈が難しいなと思ったのですが、あれるげんさんのように、語源から考えてみるというアプローチは効果的ですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で、thing の語源を調べてみると、
Etymology (Word Origin) thing
Old English : meeting, council, thing
とありました。おっしゃるように「集会」のイメージですね。
そのイメージから、guys が共通して持つルール、みたいな意味になる、というのも納得できる気がしました。

case は音が語源である、ということは、私の手持ちの辞書では見つからなかったのですが、「落ちること、落下」という説明はありました。何かが落ちる音、みたいなイメージなのでしょうね?

thing や case のような単語は、基本単語だと言うことで、改めて辞書を調べることも少ないのですが、今回のように、語源まで遡って意味を考えてみることは、興味深く、楽しいと思いました。

貴重な情報とご意見、ありがとうございました(^^)
Posted by Rach at 2014年03月28日 13:23
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