昨日の解説では、チャンドラーの以下のセリフを説明しました。
チャンドラー: Look what do I do? I wanna get past this. I don't wanna be afraid of the commitment thing. I wanna go through the tunnel to the other side! (なぁ、俺はどうしよう?俺はこれを乗り越えたいんだ。コミットメントってやつを恐れたくないんだ。俺はそのトンネルの反対側に抜けたいんだ!)
そのセリフの後のシーンです。
(Joey looks quizzically at Ross)
ジョーイはロスをいぶかしげに見る。
ロス: (to Joey) Where there's no fear of commitment. ([ジョーイに] そのトンネルを抜けたところは、コミットメントの恐怖がないんだよ。)
quizzically という単語は、見た目からわかるように、quiz 「クイズ、小テスト」の関連語ですね。
quizzically は「(表情など)不審そうに、いぶかしげに」。
「今言ったのはどういうこと? よくわかんねーよ。」みたいな感じで、ロスに説明して欲しいと思っている顔です。
ロスのセリフの出だしの Where は、そのトンネルの向こう側に抜けて出た場所、「そこでは」ということですね。
意味としては、その前のチャンドラーのセリフに続けて、
... to the other side, where there's no fear of commitment.
という感じになるでしょうか。
この where は「関係副詞の非制限用法」になります。
この場合の where は and there と言い換えることができます。
「そして、そこでは」と、その the other side ではどういう状況であるかを説明しているわけですね。
実際は、チャンドラーのセリフで文は完結しているのですが、その意味がわからなかったジョーイに対して、関係副詞を使って、ロスが説明を付け足しているのです。
上のチャンドラーのセリフの流れを考えると、トンネルというのは比喩で、今から通らなければならない苦難の道、コミットメントの恐怖を克服すべき場所なわけですよね。
それを抜け出したら、もうその恐怖は克服できているという意味で、「トンネルを抜け出したい」と言っているわけです。
川端康成の雪国(Snow Country)の冒頭は、
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
ですが、そんな雰囲気で、
「その長いトンネルを抜けるとコミットメントの恐怖から解放された世界であった。」という感じなんでしょうか?(笑)
ここで、改めて、今回のエピソードのタイトルを見てみると、
The One With the Metaphorical Tunnel
となっていて、それを私は「比喩のトンネルの話」と訳してみました。
metaphorical とは「隠喩の、比喩的な」。
日本語にもなっているメタファー(metaphor)の形容詞形ですね。
フレンズには珍しく、何だか厳(いか)めしい(?)タイトルですが、その「比喩のトンネル」というのが、このセリフに出てきたトンネルのことです。
日本人にも分かり易い比喩だと思うのですが、ジョーイにはその比喩がピンと来なかったらしくて、それでわざとタイトルにしているような気がします。
チャンドラー: Do we have any... (turns around and bumps Monica's fake chest) Do we have any thoughts here? (何か… [振り向いてモニカの胸にぶつかる] 今ここで何か考えはないかな?)
チャンドラーが振り向いて身振りをつけてしゃべろうとした拍子に、彼の手がモニカの胸に当たってしまっただけなのですが…。
フレンズ3-4その9 では、my left boob と My Left Foot という映画をかけたジョークが出てきました。
そのコメント欄で、「脚本家は今回のジョークをあたためていたんでしょうけど、そのジョークのためだけのワンシーンのようで不自然な気がします。」というご意見をいただきました。
今回の、チャンドラーの手が胸に当たってしまうシーン、そして、フレンズ3-4その11 に出てきた、チャンドラーの思考がモニカの胸を見て一瞬止まるというシーン、を見ていると、このジョークのために登場させた「モニカのニセ胸」というアイテムを、何とか生かそうとしている様子が伺えますね。
セリフではなかなかジョークに出来ないので、アクションで絡むしかしょうがなかった…みたいな感じが出ているような気がします(笑)。
(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
皆様のお陰で、ランキングも好調です。
皆様の応援が、とても励みになっています。ありがとうございます。
人気blogランキング
にほんブログ村 英語ブログ
2007年06月23日
この記事へのコメント
コメントを書く