2007年07月23日

killの意味のget フレンズ3-5その11

[Scene: Chandler and Joey's. Joey is drilling a hole in the wall and the drill comes out the other side really close to Chandler's head.
Chandler then rushes out to talk to Joey.]
チャンドラーとジョーイの部屋。ジョーイはドリルで壁に穴を開けている。そしてそのドリルが壁のもう一方側のチャンドラーの頭のすぐ傍に出てくる。
それで(びっくりした)チャンドラーはジョーイに話をするために慌てて部屋を出る。
ジョーイ: Oh, sorry. Did I get you? (あぁ、ごめん。俺、お前を get しちゃった?[ドリルが当たっちゃった?])
チャンドラー: No, you didn't "get" me!! It's an electric drill! You "get" me, you kill me! (いいや、get なんかしてないよ! それは電気ドリルだぞ! お前が(それで) 俺を get するってのは、俺を殺す、ってことだぞ!)

Did I get you? の get をうまく日本語に訳すのは難しいのですが、この get は、以下のニュアンスが近いでしょうか。
ロングマン現代英英辞典では、
get:
12. REACH A POINT
to reach a particular point or stage of something

つまり、「あるものの特定の地点や段階に到達すること」
28. HURT/KILL SOMEBODY
(informal) to attack, hurt, or kill someone

つまり、「人を攻撃する、怪我をさせる、または殺すこと」

チャンドラーがドリルに驚いて部屋から出てきたのはさすがにジョーイにもわかったので、ドリルの先がお前の傍まで来たか? もしくはそれがチャンドラーに到達した、つまりチャンドラーに触れちゃった? 接触しちゃった?と尋ねているのでしょう。
もしくは、ドリルで怪我しちゃった?かもしれません。
それに対して、そんな生易しいもんじゃない。だってそれは電動ドリルだぞ。当たったら死んじまうよ!と抗議しているわけです。

上のロングマンの語義にもあるように、get は「相手をゲットする」のようなニュアンスから、「やっつける、殺す」という意味でもよく使います。
喧嘩の時に、Get him! 「やっちまえ!」などと使ったりしますね。

このセリフの場合は、ジョーイの使った get にはそこまで「殺す」に限定した意味はなくて、「何らかの被害を加えた」程度の漠然とした意味で使っているのでしょう。
そんないろんな意味に取れる漠然とした get じゃなくて、はっきり「殺す」という意味の kill になっちまうよ!、おまえはもう少しでドリルで「殺人」をするところだったんだぞ、と怒っているのです。


ジョーイ: Calm down! Do you want this unit or not? (落ち着けよ! このユニットが欲しいのか欲しくないのかどっちだよ?)
チャンドラー: I do NOT want this unit! (こんなユニット、欲しくない!)
ジョーイ: Well, you should've told me that before, I'm not a mind reader. Hey, we're out of beer. I'm going to Monica's. (あぁ、そんなことは前に言っておくべきだったのに(言わなかったじゃないか)。俺は読心術者じゃないんだぞ。なぁ、俺たちビールを切らしてるから、モニカのところに行って来るぞ。)
チャンドラー: Fine! (goes into his room and slams the door, then he slams the bottom half of the door.) (ああどうぞ[いいよ]!)
チャンドラーは自分の部屋に行き、ドアをバタンと閉める。(ドアが半分に切れているので上半分しか閉まらないので)その後、ドアの下半分もバタンと閉める。

mind reader は「他人の心を読み取る人、読心術(どくしんじゅつ)を行う人」。
まさに mind (心)を read (読む)わけですね。
mind reading なら「読心術(どくしんじゅつ)」です。
日本語で、「どくしんじゅつ」というと、「(声は聞かずに)唇の動きから言っている内容を読み取る」という技術の「読唇術」もありますが、それは英語では、lip reading 、読唇術者は lip reader になります。
read someone's mind/thoughts だと「…の心の中・考えを読み取る・察する」ということで、日本語でも「相手の手を読む」のように、予想することを「読む」と言いますので、その辺りの感覚は同じですね。

ジョーイが勝手にユニットを作っているだけで、チャンドラーはそれに賛成したわけでも、作って欲しいと言ったわけでもありません。
「それならそうと言ってくれないと、わからないよ。」などと言われて、「俺は作って欲しいなんて、一言も言ってない!」とチャンドラーは怒ってしまうのですね。
怒ってドアをバタンと閉める、というのはよくあるシーンですが、チャンドラーのドアは普通のドアとは違っています(笑)。
少し間が空いてから、後で下の方も閉めるのがおかしいですね。
怒っているのに、間抜けな感じにしか見えません。
上しか閉まらないのを見て、彼の怒りは余計に増幅されたことでしょう(笑)。

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posted by Rach at 11:16| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日の記事との出会いは実にタイムリーです。
ちょうどgetの用法に悩んでいたからです。

最近見た映画 ニューオーリンズ・トライアル Runaway Jury  
一種の法廷サスペンス  ハリウッドで定番のグリシャム作品の映画化です。
この映画、、、裁判の評決をめぐり 訴えられた側(大企業)に雇われた闇組織が陪審員に色々 裏工作を働きかけ、それに対抗するある男女の攻防を描いたものです。
ここで 問題のgetの扱いに悩みました。

- Lovely girl. She seemed fine to me,but you never really know what's going on with a person.  Could be her marriage, her church...
美人だったけど何か私生活に問題を抱えていたのかな    結婚生活とか、、、教会とか?

No, no, no. It was nothing like that. Look, somebody got to that girl.  いや!  そうじゃなくて誰かが何かの理由で脅したんだ

Oh, now that's hokum. Why would anyone wanna get to her?  そんな馬鹿なこと! なんで脅す必要がある?
hokum[でたらめ,ばか話,たわごと,だぼら.

The same reason they wanna get to any of us.  To influence the outcome of the trial.
僕達もきっと狙われてる   評決をものにするためだ

はじめ私はgetを文字通り「得る」と解釈し、、、闇組織が陪審員を自分サイドに寝返させる工作が  陪審員を得る かなと思ったんです。
しかし、それにしては吹き替えが意訳されすぎだしで、、、   脅すだとか狙う、、、、それで疑問のままうっちゃっていたんです。
そしたら今日の記事   疑問が氷解しました。
私の辞書には記事のような解説が出ていなかったので、まさにタイムリーに役立ちました。 


それと前回  関係代名詞について質問させていただきました。  あの節はどうも。
それと関連してなんですが 時折出会う in whichという使い方がいまいち分かりません。
これも私の辞書には出ておらず、ネットでも分かりませんでした。
つまり which とin whichの使い分けの違いです。

すると、これもたまたま 昨日 トルストイ「アンナ・カレーニナ」の英訳を目にしてたら出会い、、以下 引用です。

アンナ・カレーニナ  第一章より
And at this recollection, Stepan Arkadyevitch, as is so often the case, was not so much annoyed at the fact itself as at the way in which he had met his wife's words.
よくあることだが、オブロンスキーがこの場面を思い出すたびに苦しい思いにさせられるのは、事件そのものよりむしろ、こうした妻の問いに対する自分の応対の仕方だった

この場合、、、妻の言葉(問い)に出会った時の だからwhen では駄目なんでしょうかねぇ???
前回の御説明では  目的語がキー  whichになる場合は、目的語を先行詞として前に持っていき、後に which を付けて後ろからそれを修飾
whichが使用できない場合は 目的語関係がなく 説明する文章が、短い分として完結しているというお話でした。
今回もそのルールを適用して考えるんでしょうか?
he had met his wife's words.は一つの文章として完結してると思うんですが・・・
何か必要以上に話をややこしく考え見当はずれな見方をしてるのかもしれませんが。
それともthe way  は day などの 日時を意味する名詞ではないから 根本的にwhenなど使うべきでないのか?
たぶん基本的なことの認識不足とも思いますが。

その延長でいくと今日見つけた文章
The people of Bhutan refer to it as yarchagumba where it has long been a folk medicine.
ブータンの人々は、それが長く民間薬であったヤルチャグンバ(冬虫夏草)としてそれを言及します。

このwhere も場所の説明と型にはまってみず、yarchagumbaの説明であり where以下の it has long been a folk medicineは文章として完結しています。    The One Where No One's Ready  と同じように見ればいいのですね?
ここで前回感じなかった疑問です。   ここでのwhereは thatで置き換えが利くのでしょうか?
Whereは場所だけではなく、抽象的な状況、場合も先行詞にとることができるという解釈でいけば、The One Where No One's Ready  とか
you mean like that "guy thing" where you act mean and distant until you get us to break up with you. は理解できました。
でも今日 出した例文は状況的なニュアンスがないように思ったので、、、、  それがそもそもの疑問を感じたきっかけです。
だから thatで置き換えが利くのか、それともWhere 出なければならない理由があるのかと・・・
それとも、このWhereはyarchagumbaにかかっているのでなくBhutanにかかっていて、文字通り場所の説明なのか、、、それを私が変に勘違いしてるのか??  悩んでいます。

よろしければお教えください!
Posted by かつての読者 at 2007年07月23日 23:20
かつての読者さんへ
上の記事に書いたように、get は kill, attack, hurt という意味で使われるのですが、例に出していただいたセリフでは、get somebody と、直接、目的語を取る形(他動詞)ではなく、get to と to という前置詞が付いていますね(この get は自動詞)。
ですから、厳密に言うと、上のジョーイやチャンドラーが使っていた、get you, get me とは少しニュアンスが異なると思います。
もちろん、根底にある get の基本的なニュアンスは同じなのですが、get と get to で少し感じが違う、ということです。

そのセリフの get to は「(その対象である人物に)近づく、接触する、何らかの働きかけをする」というイメージなのかな、と思います。

ロングマン英英辞典には、ドンピシャの意味が載っていなかったのですが、

研究社 新英和中辞典に、
get to...
(6) (米口語)(勧誘・買収・脅迫などの目的で)(人)に近づく、…をなびかせる

という語義が載っていました。
このセリフの流れだと、「闇の組織が(誰かに)近づく」わけで、get to に「(人)に近づいて脅す・脅迫する」というニュアンスになっているのかなぁ、と思います。

somebody got that girl, wanna get her, wanna get any of us と 「to がない他動詞の get」であったならば、ほとんど kill に近い意味になって、「闇の組織に消される」みたいな感じになるのかな、と思うのですが、この get to はそこまでの意味はないような気がします。まさに「裏工作を働きかけ」ているというニュアンスではないでしょうか?

in which について。
こういう文豪の作品の、それも「英訳」は、どうしても文章が複雑になるので、関係代名詞の基本的な概念を理解するための題材として使うのには、難しすぎる気がするのですが…。
まず、文章を思いっきりシンプルにしないと、説明には使いにくいですね。

この文章は、He was not so much annoyed at the fact (itself) as at the way in which he had met his wife's words.
ということですね。そして、not so much A as B という構文が入っています。he was annoyed at と「彼は…について悩んだ、憤慨した」わけですが、何について悩んでいるかを比較しています。
つまり、
annoyed at the fact itself と
annoyed at the way
のどちらが「より annoyed であるか」を比較している文章になります。
悩んでいる対象が、the fact よりも、the way の方に「より annoyed している」、上の訳をお借りすると、「事件そのものよりもむしろ、…の仕方に対して苦しむ、悩む」ということですね。

the way 「方法、仕方」だけでは説明不足で何のことかわからないから、それを in which 以下の文章で、the way について詳しく説明しているわけです。
He had met his wife's words in ... way.
「彼は妻の言葉に…のように(…のやり方で)応対した。」
という文章の、way が前に出ている形です。
at the way in which he had met... は、at the way, and in the way he had met... のように書き直せるでしょうか。
説明的に訳すと、「仕方に苦しんだ、その仕方というのは、「彼が妻の言葉に対応した仕方」のことだ。」のようになるかと思います。
the way in which は in a different way, in this way などの in ... way 「…のようなやり方、仕方」を、関係代名詞を用い、その後に文章を続けて詳しく説明した形、になります。

The people of Bhutan refer to it as yarchagumba where it has long been a folk medicine.
については、「ある場所で、it が長い間、民間薬であった」ということなので、where はブータンにかかっているのだと思います。
refer to は「…に言及する、触れる、名前を挙げる」で、refer to A as B だと「AをBと呼ぶ」にになりますね。
「ブータンの人々は、それを yarchagumba と呼ぶ。そこブータンでは、yarchagumba と呼ばれるそれ(it)は長い間、民間薬であった。」のような感じでしょうか。
Posted by Rach at 2007年07月24日 10:25
私は記事の解説が、今回の映画の台詞  ピッタリ該当すると思っていましたが微妙に違っていたようで。
研究社 新英和中辞典の解説  これですね!
ありがとうございます。

それと私の苦手の関係代名詞  前回に続き解説ありがとうございます。
he had met his wife's wordsは文章として完結してると思いましたが、まだ不完全だったんですね。
だから原則どおり which は 未完結文章の補足解説使用だったということですね。

たぶん英語のものすごく基本的な部分だったと思います。

その後もアンナ・カレエにナでは from where, in which を含んだ長文がドンドン出てくるのですがお陰で 和訳を見ても飲み込めるようになりました。

最後にブータンの英文、、、これも関係代名詞  は直前の言葉を修飾という考えにとらわれすぎていたのかもしれません。
Posted by かつての読者 at 2007年07月25日 01:07
かつての読者さんへ
わざわざの御礼、ありがとうございます。
小説などのように、文章が長くなればなるほど、挿入句や、関係代名詞が増えてくる傾向にありますね。
小説を読む場合には、関係代名詞の感覚を掴みながら読むことはとても大事なことだと思います。と同時に、感覚を掴み易い簡単な文章で関係代名詞という概念に慣れることも大切だと思います。
Posted by Rach at 2007年07月25日 10:17
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