2007年08月21日

初対面でゲイだと思われる人 フレンズ3-6その6

[Scene: Chandler's, Chandler is interviewing Joey.]
チャンドラーの部屋。チャンドラーはジョーイをインタビューしているところ。
チャンドラー: (running around the apartment pointing out things) Bedroom, bathroom, living room. This right here is the kitchen, and thanks for coming by. (opens door) Bye-bye. ([ものを指差しながら、アパートを走り回っている] ベッドルーム、バスルーム、リビングルーム。ここがキッチン。来てくれてありがとう。[ドアを開けて] バイバイ。)
ジョーイ: Don't you ah, don't you wanna ask me any questions? (何か俺に質問したいことはないの?)
チャンドラー: Sure. Ummm. What's up? (そうだな。うーん、調子はどう?)
ジョーイ: Well, ah, I'm an actor. I'm fairly neat. I ah, I got my own TV. Oh, and don't worry, I'm totally okay with the gay thing. (あぁ、俺は俳優なんだ。かなりの「きれい好き」だよ。自分のテレビを持ってる。それから、心配しなくていいよ、俺は全く大丈夫だからね、ゲイのことに関しては。)
チャンドラー: What gay thing? (ゲイのことって何?)
と聞かれて、目を丸くするジョーイ。
ジョーイ: Ah, just y'know, in general. The whole "people-being-gay" thing. Totally cool with that. (あぁ、ほら、一般的な話だよ。「(多くの)人々がゲイである」っていうことだ。それについては全く問題ないよ。)

ルームメート候補には、普通はもう少しちゃんと部屋を案内するのでしょうね。
フレンズ1-15その6 で、
スティーブ: It's a lovely apartment. (いい部屋だね。)
モニカ: Thank you. Would you like a tour? (ありがとう。ご案内しましょうか?)
というやり取りがありましたが、そんな風に部屋を見て(見せて)回ることを tour と言います。
日本語で「ツアー」と言うと、旗を持った添乗員さんが「右手に見えますのは…」と案内しているイメージがあるのですが、アパートの部屋部屋を案内するのにも使うのですね。

全く説明する気がないのが見え見えで、かなり失礼なことをチャンドラーはやっていると思うのですが、ジョーイは少し変だなぁ、とは思いながらも、気分を害したりはしていないようです。
敏感な人なら、怒って帰ってしまいそうですが。

質問くらいしたら?というジョーイに、何も質問することがないチャンドラーは、What's up? と言っています。
What's up? は「元気? 調子はどうだい?」みたいなごくありきたりの挨拶なので、「それが質問かよ?」みたいな感じ。

neat というのは、「きちんとした、こぎれいな」「きれい好きな、身だしなみの良い」などの意味があります。
ロングマン現代英英辞典によると、
neat:
1. TIDY
tidy and carefully arranged
2. LIKING THINGS TIDY
someone who is neat likes to keep things tidy

つまり、1. は「きちんとしていて、注意深く整えられた」、2. は「neat な人というのは、物を tidy にしておくことが好きな人」
今回のジョーイのセリフの意味は、2. の「きれい好きな、整理整頓好きな(人)」ということでしょうね。
部屋を汚くする人間だと思われると、同居を断られそうだから、こんな風にいつも言っているのでしょう。
…が、ジョーイがそれほどきれい好きかというと若干疑問です。
フレンズ2-16その1 で、ジョーイは使ったスプーンをペロッとなめて引き出しにしまったことがありましたね。
それが元で喧嘩になってしまったくらいですから、あまりきれい好きとも思えません。
でも、ジョーイの部屋がゴミだらけ、ということでもないので、それなりにこぎれいにはしているような気もしますが。

I'm totally okay with the gay thing. について。
don't worry と言った後に、ゲイの話を持ち出していますね。
「自分がゲイであることを、同居相手が認めてくれるかどうか」について、チャンドラーは心配してるかもしれないけど、それについては俺は大丈夫だからね、心配無用だよ、とジョーイは言っているわけです。
ところが、チャンドラーが「何故ゲイの話を?」と聞き返したので、ジョーイは目を丸くして驚いています。「なんだ、こいつ違うのか」みたいな(笑)。

チャンドラーはよくゲイに間違えられるのですが、最初はみんなそうだと思っていた、という話が、
フレンズ1-8その1 に出てきました。(過去記事ではセリフを一部しか取り上げていませんので、以下に一連のやり取りを書いておきます。)

チャンドラー: Can you believe she actually thought that? (同僚の女性が、本当に俺をゲイだと思ってた、なんて信じられるか?)
レイチェル: Um... yeah. Well, I mean, when I first met you, y'know, I thought maybe, possibly, you might be... (うーん、そうね。私も最初にあなたに会った時、もしかして、そうかも[ゲイかも]って思ったわ。)
チャンドラー: You did? (レイチェルもそう思ったの?)
レイチェル: Yeah, but then you spent Phoebe's entire birthday party talking to my breasts, so then I figured maybe not. (えぇ。でも、その後、フィービーの誕生日パーティーの間、ずっと私の胸に話しかけていたから、それで、多分違うな、と思ったの。)
チャンドラー: Huh. Did, uh... any of the rest of you guys think that when you first met me? (そうか。俺に最初に会った時、そんな風に思った人は他にもいる?)
モニカ: I did. (私は思ったわ。)
フィービー: Yeah, I think so, yeah. (えぇ、私もそうね。)
ジョーイ: Not me. (俺は違うよ[俺はそんな風には思わなかった]。)
ロス: No no, me neither. Although, uh, y'know, back in college, Susan Sallidor did. (違う、違う。僕も思わなかったよ。だけど、ほら、大学の頃、スーザン・サリダーはそう思ってたよ。)

女性陣はみんな最初、チャンドラーをゲイだと思った、と言っています。
ゲイじゃないかも、とレイチェルが気付く理由も面白いですね。
普通、人と会話する時には相手の顔を見ながら話すものですが、この時、チャンドラーは、talking to my breasts 「胸に話しかける」ように、つまり、じーっとレイチェルの胸を見ながら、胸から視線を外すことなく話をしていた、ということですね。
パーティーの時の話なので、胸の大きく開いたドレスでも着ていたのでしょうか。
女性の胸に興味があるんなら、ゲイじゃないかも、と思ったということです。

ジョーイとロスの男性陣は、「(ゲイだとは)思わなかった。」と言っています。
初対面の時、ジョーイがチャンドラーをゲイだと思わなかった、という 1-8 のセリフは、今回のエピソード 3-6 とはつじつまが合わなくなってしまうのですが…。
ただ単に脚本家がこのセリフを忘れていた、という長期シリーズにありがちな「つじつまの合わない部分」というやつかもしれませんし、ジョーイのことですから、最初に会った時にどう思ったかなんてすっかり忘れていて、1-8 では適当に答えただけ、ということもありますよね。

なお、1-8 の一連のやり取りでは、タブー語のように gay という言葉が全く使われていないのが面白いと思います。

ついでの話ですが、つじつまが合わないと言えば、レイチェルのセリフ、「フィービーの誕生日パーティーの間、ずっと私の胸に話しかけていたから」というのも少し変です。
フレンズ1-17その3 に、フィービーの誕生日パーティーのシーンがありますが、これはレイチェルとチャンドラーが初対面した(はずの)フレンズ1-1 からは随分と後の、それも 1-8 よりも後のエピソードになりますので話が合わないですよね。(細かい話ですが…笑)

(3-6 の解説に戻ります。)
チャンドラーがゲイじゃないとわかって、「個人的に君のことを言っているんじゃなくて、最近の風潮の話だよ。」とごまかすジョーイ。
The whole "people-being-gay" thing. というのは、訳しにくいですが、「あの人がゲイ、この人もゲイ、と最近はゲイの人をよく見かけるようになったよね。」というそういう風潮”全体”を指して言っているんだ、という感じでしょうか。

Totally cool with that. は、その少し前に出てきた I'm totally okay with the gay thing. を言い換えたものですね。
昨日の記事、フレンズ3-6その5 で、「平気だ、構わない、問題ない」という意味の cool について説明しましたが、今回の cool もそれと同じで、そのことについては okay だ、と言っているわけです。

ゲイの話は一般論だよ、と言った後、「おぉ、やべぇー、どうしよぅ〜」みたいにキョロキョロしてチャンドラーと目を合わせないジョーイがおかしいですね。

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posted by Rach at 09:05| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは
こんなに細かく解説毎回大変ですよね〜でも とっても分かりやすいです!!こうやって 一つ一つ覚えていくと 頭に残りやすいですね〜 目標Rachさんで がんばりま〜す!!
☆ momo
Posted by momo at 2007年08月21日 13:02
つじつまが合わないことは以前にもコメントしましたが、シリアスなドラマではないので仕方ありませんね。のちのエピソードでチャンドラーが大学一年の時にはモニカやレイチェルと会って二年の時には大事件(包丁の事件)を引き起こしたことが出てきますし。モニカは初対面で好意を持ったようですし。あの事件をレイチェルが忘れていなくて誤魔化そうとしたモニカに詰め寄っていましたからね。今回はレイチェルとは初対面の設定になっています。もっともつじつまが合わないのは3年前にレズに目覚めたキャロルが3年後に妊娠しますしね。まぁいろいろあったのでしょう。neatはお酒のストレートの意味で出てきましたね。fairly neatはここでは、Rachさんの指摘どおり「それなりにきれい好きだよ」程度の意味だと思います。モニカはcompulsively neat(潔癖性)だと3-7でフィービーが言っています。
Posted by catch at 2007年08月21日 22:04
momoさんへ
「分かりやすい」と言っていただけると本当に嬉しいです。量は少しずつであっても、それを「深く細かくじっくり」理解していくことで、英語のニュアンス、というものがだんだん身に付いていくのだ、と私は思っています。
私は「目標」にしていただけるような人間ではありませんが(笑)、楽しく英語を学んでいる様子が伝わればなぁ、とは思っています。これからもよろしくお願いします!
Posted by Rach at 2007年08月22日 10:56
catchさんへ
シリアスなドラマ、特にミステリーなどでは、つじつまが合わないのは致命的なんですが、フレンズの場合は仕方ない、ともちろん私も思っています。
コメディとしてできるだけ面白いものを…と脚本家たちがどんどん脚本を変えていっていることも影響しているのかな?と思います。設定にがんじがらめになってしまうと、自由にエピソードを広げることが出来ませんからね。そういうことにこだわり過ぎないお陰で、ファイナルになっても、面白いエピソードを作ることができるのでしょう。

上の記事で私が「これはレイチェルとチャンドラーが初対面した(はずの)フレンズ1-1…」と書いたのは、シーズンが進むにつれて、「それより前に実は既に出会っていた」という話がいくつも出てくるからです(笑)。
1-1 でお互いに「あぁ、君はあの時の!」と認識するシーンがありませんでしたので、本来であればやはりあれが初対面なはずなのですが、今回の 3-6 で、それが覆されるわけですね。そして、catchさんご指摘の大学1年、2年の話も後々出てきますし。その自由度がフレンズの面白さ、なのでしょう。

「3年前」の件なのですが(私もよくわからないのですが)、何故「3年前」という数字になっているかと言うと、今、「シーズン3」だから、でしょうかねぇ? 3-6 の冒頭でジャニスがみんなに質問した時点から数えて3年前、つまり、シーズン1より前、に、現在記事で解説中の回想シーンの出来事があった…という設定でしょうか?

そもそも、フレンズを「1シーズンで1年経過した」と考えることが可能なのかどうかもよくわからないのですが…。
感謝祭、年末などの年間行事がエピソードに出てきた場合は、その前の感謝祭から1年経過したと素直に解釈することができますが、クリフハンガーのために、シーズン最終話と次のシーズンの第1話が同じ年になってしまうとか、いろいろ無理もありますよね。
ベンがすくすく成長して、最後の方はかなり大きな少年になっていたことを考えると(笑)、だいたい1シーズン1年と考えてもいいとは思うのですが。正確な年表のようなものを作ろうとすること自体が無意味なのかもしれませんね。

私は最初、「3年前」と聞いた時に、1-1 の数ヶ月前の話なのかな?と思っていました。
1-1 でロスはキャロルが出て行ったことを悲しみ、1-2 でキャロルの妊娠が発覚する、その数ヶ月前に、ロスとキャロルはぎくしゃくしていて(それでも、ベッドインすることはあったりして?…笑)、その頃、スーザンに出会った。レズビアンに目覚めたのと、妊娠した時期にはあまり差がなくて、それが却って話をややこしくしてしまった…ということかなぁ?と。

…と思っていたら、この3-6 のもう少し後のシーンで、この回想シーンがいつか?がほぼ具体的にわかるセリフが出てきます。それを考えると、キャロルがレズビアンに目覚めてから、ロスの子を妊娠するまでにかなりのタイムラグがあることになります。「まぁいろいろあったのでしょう。」としか言えませんね(笑)。

ところで、私のようなトレッキー(スタートレック・ファン)とかSFファンは、つじつまが合う合わない、をやたらと気にする傾向にあります(爆)。詳しい年表なども存在していたりします。
人は、そういう細かいことをチェックして楽しむタイプと、そんな細かいこと気にして何がおもろいねん?というタイプに分かれるようですね。私は明らかに前者で、うちの主人は後者なので、いつも話が合いません(笑)。

フレンズファンにも、そういう整合性を気にする人も結構いるようで(笑)、英語版Wikipedia の Trivia には、よくそういうネタが書いてあります。

しかし、このコメントを書いていて、「つじつまの合わないこと」を挙げることで、自分で自分の首を絞めているような気がします(笑)。

また neat についての追加説明、ありがとうございます。compulsively という副詞がモニカの neat さをよく表していますよね。
Posted by Rach at 2007年08月22日 11:10
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