2007年08月25日

私の身体、私のシステム フレンズ3-6その10

友達に、「結婚って、つまり、死ぬまで一人のボーイフレンドを持つようなことでしょ?」と言われて落ち込むレイチェル。
その理由を聞かれて、
レイチェル: Oh, I don't know. Well, maybe it's just the idea of Barry for the rest of my life. I don't know, I think I feel like I need to have one last fling, y'know, just to sort of get it out of my system. (Chandler is listening in very intensely) (あぁ、わからないわ。ほら、多分、死ぬまで[これからずっと]バリー、って考えるとね。わからないけど、最後に一度、軽い情事[ロマンス]をしてみたいって気がするの。ただ、この悩みやストレスを発散するためだけに。[チャンドラーは熱心に盗み聞きしている。])
ベッツィー: Rachel, stop! (レイチェル、やめてよ!)
キキ: You're so bad! (悪い人ねぇ!)
レイチェル: I'm serious, I really, I think I need just to have some... meaningless sex, y'know? With the next guy I see. (私は真剣よ。本当に…無意味なエッチをしたいの。隣にいる男性と。)
(Chandler throws the cue ball under their table.)
チャンドラーはその女性たちの机の下にキュー・ボール(突き玉)を投げる。
チャンドラー: Excuse me, I seem to have dropped my ball. (すみません。ボールを落としちゃったみたいですね。)
レイチェル: Yeah, so? (そうね、それで?)
チャンドラー: (picks it up) And now I've picked it up again. (walks over to Monica.) ([ボールを拾って] そして今、再びそのボールを拾ったところです。[モニカのところへ歩いていく])

大きな指輪、歯科医の妻、友達には羨ましがられるけれど、「一生一人の人と」と言われて、我に返るのですね。
観客が既に知っているように、バリーは男性としてあまり魅力的な人ではありません。
相手が相手なだけに(笑)、「生涯この人ひとり」という事実にレイチェルは落ち込んでしまうのです。

fling は、「軽い情事・ロマンス。短期間の浮気」。
ロングマン現代英英辞典では、
fling [noun]: [countable usually singular]
a short and not very serious sexual relationship

つまり、「短期間で、それほど真剣ではない性的関係」。
フレンズ1-12その1 にも出てきました。
相手に対して責任を持って真剣に関わる commitment とは違って、遊びの、アバンチュール的なお付き合い、ということですね。

get it out of my system について。
system は「システム、組織」みたいな意味ですが、このように one's system と所有格がつくと「身体、全身」という意味になります。
ロングマン現代英英辞典では、
somebody's system:
someone's body - used when you are talking about its medical or physical condition

つまり、「somebody's system とは、somebody の身体、のことで、その医学的、肉体的状態について述べる時に使われる」

そして、get it out of one's system は「悩みや心配などを捨て去る、ストレスを発散する」というような意味になります。
同じくロングマンでは、
get something out of your system:
(informal) to do something that helps you get rid of unpleasant strong feelings

つまり、「自分が不快な強い感情を取り除く助けになるようなことをすること」

ですから、「何か問題となっている”それ”を私の身体から吐き出す」みたいな感じでしょうか。
このモヤモヤした気持ちを何かをすることで発散させたい、ということですね。

そういうレイチェルの過激発言(笑)を聞いているチャンドラーですが、ト書きに listening in とあります。
日本人は決まりごとのように「…を聞く、聴く」は listen to だと習いますが、このように in を取る場合もあるのですね。
listen in は「(他人の話を)盗聴する、盗み聞きする」というような意味になります。
ちゃんとロングマンにも載っています(笑)。
listen in (phrasal verb):
to listen to someone's conversation when they do not want you to

つまり、「話者が他人に話を聞かれたくないと思っている時に、他人がその会話を聞くこと」

listen to の場合は、前置詞 to が「方向」を示していて、その音の方向に耳を向けている、という感じですが、in を使うともっとその対象物に「入り込んだ」感じがしますよね。
興味津々でその対象となる話に聞き入っている、また、相手は聞かせようと思って話しているのではないのに、その中に無理やり入り込んで聞いている、というニュアンスなんでしょうね。

もちろん、こういう句動詞については、
listen to は「…を聞く」で、listen in は「…を盗み聞きする」だ…
などと丸暗記するのではなく、その前置詞のニュアンスで自ずと意味が推測されますよね。
日本語でも、「聞く」→「聞き入る」「聞き流す」、「見る」→「見上げる」「見下す」「見回す」「見渡す」…といろんな言葉のバリエーションがあり、その「聞く」「見る」という基本動詞にくっついている言葉で、より細やかな表現ができる、ということです。

それにしても、耳をダンボにしながら、キュー・スティック(cue stick、突き棒)を神経質にこすって[ふいて]いるチャンドラーの様子が面白いです。
さらに過激な、meaningless sex という言葉まで登場しますね。
フレンズ2-18その11 では、meaningless, animal sex 「意味のない、動物のようなエッチ」という表現が出てきました。
「ただ本能の赴くままに」といった感じ(笑)。

with the next guy I see. の I see は「ふと回りを見ると隣にいた男」みたいなニュアンスを出しているのでしょうね。
積極的に探すのではなく、自然と目に入ってきた人物、ということでしょうか。
隣の男、と言われて、隣にいる男は俺ですよ、と言わんばかりにアピールするチャンドラー。
ですが、レイチェルがいやそうな顔をするのがおかしいです。急に出てきたこの男は誰?という感じ(笑)。
さっき落としたので、「今ちょうど」それを拾ったところですよ、ハハハ…みたいに自分の行動を説明して去って行くしかないんですね。
当てが外れたチャンドラー、心の中では「隣にいる男なら、誰でもいいんじゃなかったのかよ?」とボヤいていることでしょう(笑)。

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posted by Rach at 11:39| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
With the next guy I see. ですが、「ふと回りを見ると隣にいた男」ではなくて、「次に私が目にした男と」ではないでしょうか?
セリフの内容的にはそれほど大きな違いはありませんが、ここでの next を「隣の」と訳してしまうと、レイチェルの視野に最初に入ろうとして慌ててボールを投げたチャンドラーの滑稽さが生きてこないように思います。
Posted by ネムネム at 2009年10月15日 18:54
ネムネムさんへ
おっしゃるように、next は「隣の」ではなくて「次の」というニュアンスのようですね。その発言を聞いて、チャンドラーは「レイチェルの視野に最初に入ろうとして慌ててボールを投げた」という流れ、非常に納得できます。

貴重なご意見ありがとうございました。
Posted by Rach at 2009年10月19日 08:55
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