(There is a knock on the door, Phoebe answers it, it's Mr. Heckles)
ドアをノックする音。フィービーが出ると、それはヘッケルさんである。
フィービー: No, no, Mr. Heckles, no one is making any noise up here. (まぁ、ヘッケルさん。誰もここで騒音を出してないですよ。)
ヘッケルさん: You're disturbing my oboe practice. (お前たちが私のオーボエの練習を邪魔してるんだ。)
フィービー: You don't play the oboe. (あなたはオーボエなんか演奏しないでしょ?)
ヘッケルさん: I could play the oboe. (やろうと思えばできるさ。)
フィービー: Then I'm gonna have to ask you to keep it down. (slams the door in his face.) (それなら、音を静かにしてね、とお願いしなくちゃいけませんね。[彼の顔の前でドアをバタンと閉める])
回想シーンに、Mr. Heckles 「ヘッケルさん」登場で笑えますね。
ヘッケルさんは、過去のエピソードに何度も登場しています(フレンズ1-7、1-16、1-19、そして 2-3)。
階下に住む住人で、上の階のモニカ、レイチェルとその友人たちの出す音がうるさい、と何度も文句を言いに来るんですよね。
フレンズ2-3 で、彼は亡くなってしまうので、それ以降、新しいエピソードに登場することはありません。
ですから、このような回想シーンに出てくると、「あ、ヘッケルさんだ。この時はまだ生きてたなぁ。」と嬉しくなってしまうわけですね。
up here の up はヘッケルさんから見てモニカの部屋が階上だから、でしょうね。
oboe は「楽器のオーボエ」ですが、発音は「オゥボゥ」でオゥにアクセントがあります。
"You don't play the oboe." "I could play the oboe." というやり取りは、ヘッケルさんとの毎度毎度お決まりのパターン、です。
You don't play the oboe. は「習慣などを表す現在形」で、「オーボエを日頃から吹いたりはしていない。」、つまり、「あなたがオーボエを練習してるなんて聞いたことないわ。」ということですね。
それに対しての返事は、「確かにいつもやってるわけじゃないが、私だってやろうと思えばできるさ。」という意味の could が使われています。
「失礼な、私がオーボエを吹けないって言うのか? そんな風に勝手に決め付けないでもらいたいね。」というところですが、フィービーが言いたいのはそういうことじゃないって!(笑)。
うまく問題をすり替えているわけですね。
過去のエピソードでは、
フレンズ1-16その4 では、
レイチェル: You don't even have cats. (ネコなんか飼ってないじゃないですか。)
ヘッケル: I could have cats. (ネコくらい飼えるさ。)
フレンズ2-3その1 では、
レイチェル: You don't have birds. (鳥なんか飼ってないでしょ?)
ヘッケル: I could have birds. (飼おうと思えば飼えるさ。)
というやり取りがありました。
これだけ同じパターンが出てくると、まるで吉本新喜劇の持ちネタのように、"You don't..." とくれば、"I could..." と返す、というのが、日本人の我々にもわかります。
英語のジョークはこのようにして身に付けましょうね(笑)。
この返しでいつものように「勝った(?)」と思ったヘッケルさんですが…。
それに対して、「じゃあ、オーボエを練習するなら、静かにしてよね。」と、いつも言われていることをここで言い返すフィービー。
絶妙な切り返しです。
観客も喝采しているように、今回はフィービーが一枚上手でした。
(in the hallway, Eric is moving in)
廊下で。エリックが引っ越して来ようとしているところ。
ヘッケルさん: (to Eric) Who are you? ([エリックに] 君は誰だ?)
エリック: Hi, I'm Eric, I'm gonna be Chandler's new roommate. (こんにちは、僕はエリックです。チャンドラーの新しいルームメートになる予定です。)
ヘッケルさん: I'm Chandler's new roommate. (私がチャンドラーの新しいルームメートだ。)
エリック: I-I-I don't think so. (そんなことないと思いますが。)
ヘッケルさん: I could be Chandler's new roommate. (私だってチャンドラーのルームメートになれるさ。)
エリック: But, he told me over the phone... (でも、チャンドラーは電話で僕に言ったんですよ…)
ヘッケルさん: He told me in person. (チャンドラーは私に直接言ったぞ。)
エリック: That's weird. (変だなぁ。)
ヘッケルさん: Well, I'm going to go into my new apartment now. (goes over to the door and opens it) Ehh? (Eric leaves) (さて、これから私の新しいアパートに入るとするかな。[チャンドラーの部屋のドアのところに行ってそれを開ける] ほらね? [エリックは去る])
(inside Chandler's apartment, Chandler is coming in from his bedroom, sees Mr. Heckles, and screams.)
チャンドラーのアパートの中。チャンドラーが自分の寝室から出てきて、ヘッケルさんを見て、大声を上げる。
ヘッケルさんとフィービーのやり取りだけでもかなり面白いのに、ヘッケルさんのシーンはまだまだ続きます(笑)。
ちょうど新しいルームメートのエリックが越して来たところに出くわしたヘッケルさん。
エリックがチャンドラーの新しいルームメートだと聞いて、またいつものようにヘンな問答を始めます。
フィービーに言い負かされてちょっとムッとしていたので、フレンズたちに少し仕返ししてやろうといたずらを思いついたみたいですね。
新しいルームメートだと自己紹介するエリックに、「新しいルームメートは私だ。」と言ってびっくりさせるヘッケルさん。
そんなことないはず、と言うエリックに、「私だってなろうと思えばなれるさ。」と答えます。
ここでも、could を使っていますね(笑)。
ヘッケルさんの習性(?)を知っているフレンズたちなら、それが彼独特の言い回しであることに気付くのですが、エリックにはそんなことわかりませんよね。
知らない人が聞くと、「白髪のおじいさんである私が、ルームメートなわけがない、とでも言いたいのか!?」と怒っているように聞こえるでしょう。
そこで彼は、「あなたのルックスを見て言っているんじゃなくて、私は電話でチャンドラーから正式な返事をもらったんだ。」と答えるのですが、ヘッケルさんは「私は電話なんて顔の見えないものじゃなくて、じかに彼から聞いたんだぞ。」と答えるのです。
「ああいえばこういう」の切り返しがこの人はうまいですね。
後ろ手にドアを開けるヘッケルさん。
鍵が開いてるかどうかわからなかったと思うのですが、試しに開けてみたらうまい具合に開いたので、しめしめ…という感じでしょう。
フレンズたちはしょっちゅうお互いの部屋を行き来しているので、多分普段から鍵はかけてないのかもしれません。
でも、留守なら閉めてるはずだから、今回たまたま開いたのはヘッケルさんにとってはラッキー、エリックにとってはアンラッキーでしたね。
部屋の中にいるヘッケルさんを見て、いつもみたいにバァッ!と驚くチャンドラーがおかしいですね。
(Rach からのお願い)
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「ヘケルズ」は名前にしたら、何か地口をたたくつもりでしょう。意味がありますよ。「heckleする」は動詞なんです。だから、そうする人は「heckler」と呼びます。辞書で調べたのはこれ:
heckle (vt) (弁士、特に選挙候補者を)やじり倒す、質問攻めにする、詰問する、不当に干渉する、妨害する
だから、ヘッケルさんの名前も面白い冗談だろうかね。
Thank you for giving me valuable information! I'm so ashamed to say this, but I didn't know the verb 'heckle'.
He's always heckling. That's why they named him 'Heckles', right?
ロングマン現代英英辞典では、
heckle: [intransitive and transitive]
to interrupt and try to embarrass someone who is speaking or performing in public
つまり、「人前で話をしている、または演じている人を、邪魔したり、困らせようとしたりすること」
と書いてあります。
手持ちの英和辞典にもちゃんと載っていました。どうして私は知らなかったんだろう?(笑)
日本人で言うと、「文句雄三(もんく・いうぞう)」(文句言うぞう)みたいな名前になるでしょうか?(←この pun は、それほど面白くないので、使わない方がいいかも…笑)
そのデイズさんの電子辞書には「弁士」という言葉が出てくるんですね。(今でも使わないことはないですが、何となく私のイメージでは古い言葉のような気がします)
でもそれよりももっと驚いたのは、「地口をたたく」という表現ですね。若いアメリカ人のデイズさんの口からそんな言葉が飛び出したら、日本人はびっくりするのではないでしょうか?(笑)
確かに、研究社 新「和英」中辞典には、
じぐち(地口) a play on words; a pun
(句例) 地口をたたく play on words; make a pun (on)
と書いてありますが。
昔の言葉、なんでしょうかねぇ、最近はほとんど聞かないような言葉です。日本人の読者の皆さん、「地口」という言葉をご存知でしたか?(笑)
参考までに、日本の有名な辞書「広辞苑」には以下のように書いてあります。
地口(じぐち)
俚諺(りげん)・俗語などに同音または音声の似通った別の語をあてて、ちがった意味を表わす洒落(しゃれ)。例えば、「着た切り雀」(舌きり雀)、「年の若いのに白髪が見える」(沖の暗いのに白帆が見える)の類。秀句(しゅうく)。口合(くちあい)。語呂合(ごろあわせ)。
今の日本語なら、「語呂合わせ、しゃれ」というのが一般的かな、と思います。「heckle は「やじり倒す」という動詞で、彼の名前 Heckles はその意味をかけた洒落(しゃれ)である」というところですね。