2007年09月02日

会話からその人のこだわりを感じる フレンズ3-6その18

[Scene: Monica and Phoebe's, Monica is vacuuming.]
モニカとフィービーの部屋。モニカは掃除中。
モニカ: Pheebs? (フィービー?)
フィービー: Huh? (何?)
モニカ: Where's your bed? (あなたのベッドはどこ?)
フィービー: It's not in the apartment? (Monica gives a 'Come on' look) Oh no. I can't believe this is happening again. (ベッドがアパートにない? [モニカは「よしてよ![とぼけないでよ!]」という顔をする。] まぁ、またこれが起こったなんて信じられないわ。)
モニカ: What? (何ですって?)
フィービー: Okay, enough with the third degree! I-I've, I don't live here anymore. (わかったわ。もう執拗な取調べはたくさんだわ。私はもうここに住んでいないのよ。)
モニカ: What are you talking about? (何言ってるの?)

フィービーの部屋にベッドがないことに気付いたモニカ。
I can't believe this is happening again. と大袈裟に言ってみせるフィービーですが、これは、また不思議な現象が起こってベッドが消滅してしまったのね、みたいに、超常現象のせいにしようと思ったようです。
が、今回はステレオやランプの時のようにうまくごまかすことができなくて、モニカは「何をとぼけてるの? 本当のことを話してよ!」と言う顔をします。

third degree とは「(警察などの)拷問、厳しい取調べ・尋問、執拗に質問すること」。
ロングマン現代英英辞典では、
give somebody the third degree:
(informal) to ask someone a lot of questions in order to get information from them

つまり、「情報を得るために、人に大量の質問をすること」。

別にモニカはフィービーを質問攻めにしているわけではありませんが、モニカは怒ると怖いし、"What?" と尋ねる顔にも迫力があって、フィービーとしては、「そんな警察の尋問みたいに私を責めないでよ。」と言っているのですね。
また、以前にランプ(やステレオ)の時にも質問されて、その時もフィービーはまるで警察に尋問されているような気持ちだったのでしょう。
そういうのを全部ひっくるめて、「あれはどこへ行った、これはどうした?と質問されるのはもうたくさん! もうここで白状しちゃうわ!」と言っているのです。


フィービー: I'm sorry, I-I-I-I don't live here anymore. I-I didn't know how to tell you. But, y'know, everybody else knows. (ごめんなさい。もうここには住んでいないの。どうやってあなたに言えばいいのかわからなかったのよ。でも、ほら、他のみんなは知ってるわ。)
モニカ: Everybody knows? (みんな知ってるですって?)
フィービー: That was supposed to be a good thing. I forget why. Monica, I, do you know, okay, do you know, I couldn't sleep for like a month because I got like a dot of ink on one of the sofa cushions? (みんなは知ってる、という情報は、良い情報のはずだったのに。どうしてだったかは忘れたけど。モニカ、あなたは知ってる? ソファーのクッションの一つにインクの染みを付けたことで、私が1ヶ月くらい眠れなかった、ってこと。)
モニカ: Well, you-you could've just turned the cushion over. (それなら、そのクッションをただ裏返せばよかったのに。)
フィービー: Yeah, I would've, except I had a big spaghetti stain on the other side. (えぇ、そうしたでしょうね。もし、反対側に大きなスパゲッティの染みをつけてなかったら。)
モニカ: What? (何ですって?)

モニカを怒らせた上に、「あなた以外のみんなは知ってる」と余計なことを口走ってしまったフィービー。
泥沼です。
That was supposed to be a good thing. は「それ(今言った情報)は、良いことであるはずだった。」ということで、実際に口に出してみたら、モニカの反応が悪かった、モニカが怒ったので、実際は悪いことだったみたいね、という意味が裏にあります。
昨日の記事 フレンズ3-6その17 でも説明したような過去形のニュアンス、「…であるはずだったけど、実際は違った。」がここにも表れています。

フレンズ2-18その11 では、
レイチェル: ... that sounded so much better in my head. ((それを実際に口に出して言ってみるまでは)私の頭の中ではもっといい感じに聞こえていた。)
というセリフがありましたが、"That was supposed to be a good thing." も、それと同じ感覚ですね。

どうしてそう思ったか、どうして良いことであるはずだったのかの理由は忘れたけど、とにかくそれを言う前は良いことだと思ってたのよ、と言っています。
「みんなも知ってる」ということでモニカをなだめようと思ったら、逆に怒らせちゃったわ、どうしてそれでなだめられると思っていたのか忘れちゃったけど、ということです。

クッションを汚してしまって、それが気になって、1ヶ月間も眠れなかった、と言っているのに、「それなら裏返せば良かったのよ。」というモニカがおかしい。
普通は、引越しまで考えるほど気にしているわけですから、「そんなこと気にしなければ良かったのに。」というところでしょうが、「私にわからないように隠しておけば良かったのに。」と言っているわけです。
モニカは汚れていると知ってしまえば気になってしょうがない人ですから、これが彼女なりの最大の譲歩なのでしょうね。


フィービー: Okay, this is what I'm talking about, this. I-I need to live in a land where people can spill! (これが私の言おうとしていることよ。これよ。私は人間がものをこぼすことの出来る国に住みたいの!)
モニカ: Well, you can spill. In the sink. (まぁ。こぼすことが出来るわよ[こぼしても構わないわよ]。シンクなら。)
フィービー: Oh, honey. It's not your fault, y'know, This is who you are. And I love you. And I want us to be friends. And if I keep living here, I don't see that happening. (まぁ、ハニー。あなたのせいじゃないわ。これがあなただもの[あなたってこういう人だもの]。そして私はあなたを愛してるわ。私たちが友達のままでいたいの。そして、私がここに住み続けると、それが不可能になってしまうのよ。)
モニカ: I love you too. (私もあなたを愛してるわ。)
フィービー: Aww, good. (they hug) What? (あぁ、良かった。 [二人はハグする] 何?)
モニカ: What? I'm just sad. (何って…私はただ悲しいだけよ。)
フィービー: No you're not. You're wondering which cushion it is. (違うわ。あなたは悲しんでない。モニカはどのクッションが、問題のクッション[さっき話に出ていたクッション]だろう、って考えていたのね?)

「こぼしてもいいわ。」と言いながら、「シンクになら。」と付け加えずにはいられないモニカのこだわり、ここまで来るとある種の感動を覚えますね(笑)。
I don't see that happening. の that は「私たちが友達であるという状態」で、それが起こっているのを見ることがない、つまり、私たちが友達である状態が見えない、友達でいることができない、ということだと思います。

which cushio it is の it は、「問題のそれ、さっき話題になったもの」という感じで、片方にインクの染み、反対側にスパゲッティの染みがある、というクッションのことですね。
ハグして悲しんでいるふりをしながら、もしくは本当に悲しんではいるけれど、ハグしながら目はそのクッションを探していて、一体「染み」ってどのくらいの大きさなんだろう、と気になってしょうがないモニカなわけです。


(今日のポイント)
third degree 「厳しい取調べ」
was supposed to ... 「…のはずだった(けど実際は違った)」

モニカがどれほどの「潔癖症、きれい好き」であるか、を、「個々の単語」からではなく、「二人のやり取り」から読み取って下さい。
フィービーの言葉に対して「どう返すか」に、モニカの本音が見えています。
「人がどう会話を展開しているか」の流れが掴めるようになれば、自分の会話力もきっと向上すると思います。


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posted by Rach at 08:28| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
現在形について、I don't see that happening.は現在形で一般論として「それはない」という意味で、
何かを受けての台詞ですね。ここでは一緒に暮らし続けると「あなたを愛して、友達のままでいること」がないと思うわ。
1-7でチャンドラーがレイチェルのboobiesを見たからpee-peeをみせざるを得ないとロスに言われて
Chandler : Y'know, I don't see that happening? といっています。
昨日の台詞でI don't believe this! とこれも現在形ですね。I can't believe this!なら「まさか」という驚きですが現在形になるとポリシーみたいな感じでそれを受け入れることはないという非難の表現のような気がします。
Posted by catch at 2007年09月02日 14:36
catchさんへ
おっしゃるように、過去エピソードでも、I don't see that happening. というフレーズが出てきたのですね。(その過去エピソードは、フレンズ1-13 のようですね…って、細かいチェックをしてすみません…笑)

I can't see that happening. だったら、「あなたを愛して、友達のままでいることができないのよ、そういう姿が私には見えないのよ。」みたいなニュアンスになるのかもしれませんが、I don't see that happening. はもっと「一般論」なんですね? 「このままでは、この状態では、そういうことは起こらない。」と状況を淡々と説明している感じでしょうか?
1-13 の場合も、ロスの提案を聞いて、「普通そんな話にはならないだろう。それはないんじゃないか。」みたいなニュアンスで言っているのですね。

昨日の、
フレンズ3-6その17 のセリフ、
モニカ: God, I don't believe this! When someone asks you in for lemonade... (もう、こんなの信じられない! 「レモネードでも飲まない?」って誰かが誘ったら…)

その I don't believe this! と I can't believe this! の違い、というのは、I don't understand. と I can't understand. の違いに似ているような気がします。
I can't believe this! でも、I can't understand. でも、「その起こった出来事が、私の想像する能力を超えたものである、理解を超えた、理解しがたいものである」というような驚きがありますよね。

フレンズ2-10その7 で、
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470304.html
I don't drink. 「私は下戸だ。」という話を書いたのですが、その後、don't と can't の使い分けについてコメント欄で意見を交換しています。
例として、「一万円札の両替はできません。」は、
We cannot change ... ではなくて、We do not change ... が正しい。
という話について書きました。

この場合も、「手元にお金があって両替することは可能だけれど、当店は両替はいたしません。」みたいな”ポリシー”が感じられますよね。
モニカの I don't believe this! は "Unbelievable!" 「まさか! 信じられない!」という感じではなく、「私にとって、それは信じられるものではない、受け入れられるものではない。私はこんなの信じない。」というニュアンス、なんでしょうね。
Posted by Rach at 2007年09月03日 12:05
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