[Scene: Chandler and Joey's, (now) Joey is watching Baywatch, as Chandler enters from his bedroom.]
チャンドラーとジョーイの部屋。ジョーイはベイ・ウォッチを見ている。その時、チャンドラーが寝室から(リビングに)入ってくる。
チャンドラー: So ah, whatcha watching? (で、何を見てるんだ?)
ジョーイ: Baywatch. (ベイ・ウォッチ。)
チャンドラー: What's it about? (それって何の話?)
ジョーイ: Lifeguards. (ライフガード[海難救助隊]の話。)
チャンドラー: Well, it sounds kinda stup... (looks at the TV) Who's she? (あぁ、つまらなそうな感じ… [テレビに視線をやる] 彼女は誰?)
ジョーイ: Nicole Eggert. We like her. (ニコール・エガート。俺たちは彼女が大好きなんだ。)
(Baywatch goes into one of those running scenes.)
ベイ・ウォッチは例のランニング・シーンの一つに突入する。
チャンドラー: Wow! Look at them run! (ワォ! 彼女たちが走るのを見ろよ!)
ジョーイ: They do that a lot. Hey, you want a beer? (彼女たちはたくさん走るよ。なぁ、ビール欲しい?)
チャンドラー: Yeah, I'll go get one. (あぁ、自分で取ってくるよ。)
ジョーイ: No, no, no, don't get up. I got a cooler right here. (いやいや、立ち上がらなくてもいいよ。ここにクーラー(ボックス)が置いてあるから。)
出ました! ベイ・ウォッチ(笑)。
フレンズファンの皆様にはおなじみのドラマです。
ここで、チャンドラーがベイ・ウォッチ・ファンになった経緯が明かされるわけですね。
ベイ・ウォッチについては、過去記事、フレンズ2-17その6、フレンズ2-17その7 で詳しく説明しています。
チャンドラーのセリフ、"So ah, whatcha watching?" ですが、DVDの英語字幕ではきちんと、"So what are you watching?" と書いてあります。
ネットスクリプトでは、このように、耳に聞こえたままの発音で文字にしている場合も多いので、そのまま声に出して読んでみると、余計に英語っぽく聞こえますね。
ネットスクリプトとDVD英語字幕のそういう違いを味わうのもまた楽しいと思います。
ライフガードの話、と聞いて、「けっ、人命救助する正義感の強いやつらの話かよ。」とでも思ったのでしょうね。
何だかくだらなさそうな、面白くなさそうな話だなぁ、という意味で、stupid と言いかけたのですが、stupid と言い終わる前に、テレビの画面に釘付けになってしまいます(笑)。
ニコール・エガートについてはこちら。
IMDb: Nicole Eggert
Wikipedia 英語版: Nicole Eggert
やはり、ベイ・ウォッチの Summer Quinn 役で有名になったと書いてありますね。
We というのは、ベイ・ウォッチを見ている視聴者を指しているのですが、この場合は特に「俺のようにベイ・ウォッチを愛する男たち」を指しているのですね(笑)。
Baywatch goes into one of those running scenes. というト書きに笑ってしまいました。
やはりここが最大の見せ場なんだな(笑)。
この場合の one of those のニュアンスは「みんながよく知っているそういうシーンの一つ」という感じでしょうか。
those に「あの、そういう、例の、ご存知」みたいな感じが出ていますよね。
フレンズ3-5その22 には以下のようなやり取りがありました。
フランク: You-you work at one of those massage parlors? (フィービーは、そういうマッサージ・パーラーの一つで働いてるの?)
フィービー: Well, y'know we don't call it that. But, yeah. (えぇ、私たちはそんな風には呼ばないけど、そうね。)
このフランクの言い回しには、「フィービーは”よくある、その手の”お店の一つで働いてるの?」みたいなニュアンスが出ています。
何か特殊な(この場合はエッチな)お店だと思っている様子が伺えるのですが、フィービーはマッサージ・パーラーがエッチなお店を指すことを知らなかったので、「”その手の”って言われてもよくわかんないけど、確かにマッサージをするお店には違いないわね。」と答えたために、誤解を生んでしまった、ということです。
少し脱線になりますが、one of those を使った慣用表現がいくつかあります。
ロングマン現代英英辞典に載っているものを取り上げます。
something is just one of those things:
used to say that something unpleasant or unlucky cannot be prevented
例) It wasn't really the driver's fault; it was just one of those things.
つまり、「不愉快な、または不幸なことを防ぐことができない[防ぎようがない]」
例文は、「それは運転者の過失というわけではなかったんだ。防ぎようのないことだったんだよ。」
(spoken) it's (just) one of those days:
used to say that everything seems to be going wrong on this particular day
つまり、「この特別な日には、全てのことがうまく行かないように思える」。
「今日はついてない日だ。」ということですね。
上の慣用表現は二つともネガティブなニュアンスが含まれています。
「そういうよくあるものの一つ」である、と言うことで、「誰にでも起こりうる避けられない不幸な事態の一つだ」というような意味になるのですね。
日本語でも「よくあることだよ。」と失敗した人を励ましたりしますので、感覚は同じでしょうか。
Look at them run! というのは直訳すると、「彼女たちが走るのを見ろ!」ということですね。
(しつこいですが、ここでは決して、「彼ら」ではないでしょうね。チャンドラーたちは、男性が走っていることには全く興味がないと思いますんで…笑)
もっと自然な日本語にすると、「ほら見ろよ、彼女たちが走ってる!」という感じです。
Look at them running だと、「走るという動きの一瞬」を見ている感じですが、この場合は、「走っている様子をしばらく」見ているので、瞬間の -ing 形ではなく、原形の run を使っているのです。
フレンズ3-6その11 で、1-23 のセリフを取り上げました。
フィービー: Hey. Ooh, look at you, dressy-dress. (まぁ、あなたのその姿。ドレッシーなドレスねぇ。)
この Look at you! も「あなたを見て!」と訳すと変な感じがしますよね。
「あなたを見たら、すごくきれいなんで、びっくりだわ。」みたいな驚きの Look at you! なんでしょう。
They do that a lot. というジョーイの返事も面白いです。
そんなに喜ばなくても、彼女たちは「しょっちゅう走る」んだよ、と教えてあげているのです。
だって、それがこのドラマのウリなんだからさ、ということでしょう。
冷蔵庫にビールを取りに行こうとするチャンドラーに、テレビから離れずに済むようにと、横に置いたクーラーボックスから取り出すジョーイ。
フレンズ2-15その7 では、快適なリクライニング・チェアに座って、ジョーイとチャンドラーがそこから離れられなくなっていました。
そのシーンを彷彿とさせる今回の回想シーンです。
(今日のポイント)
one of those のニュアンス、そのニュアンスから生まれる慣用表現。
those が指しているものを文脈から感じられれば、慣用表現の意味も見えてきます。
(Rach からのお願い)
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2007年09月03日
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