2007年09月05日

女友達を慰める言葉 フレンズ3-6その20

[Scene: Monica's, Monica is coming out of the bathroom wearing nothing but a towel, as Chandler is entering.]
モニカの部屋。モニカはタオルだけを巻いてバスルームから出てくる。その時、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: Well, hello! (やぁ、元気?)
モニカ: Hey. (はーい。)
チャンドラー: Do you have any beers? We're out of beers. (ビールあるかな? 俺たち、ビールを切らしちゃってさ。)
モニカ: (all depressed) Help yourself. ([すっかり落ち込んで] ご自由にどうぞ。)
チャンドラー: You okay? (大丈夫?)
モニカ: Phoebe moved out. (フィービーが引っ越したのよ。)
チャンドラー: Right. (そうだね。)
モニカ: I don't understand. Am I so hard to live with? Is this why I don't have a boyfriend? (わからないわ。私と一緒に暮らすのはそんなに大変? 私に恋人がいない理由はこれなの?)
チャンドラー: Noo!! You don't have a boyfriend because....I don't, I don't know why you don't have a boyfriend. You should have a boyfriend. (違うよ! 君に恋人がいないのは…僕にも何故だかわからないよ、どうして君に恋人がいないのか。君には恋人がいるべきなのに[モニカは恋人がいて当然の人なのに]。)
モニカ: Well, I think so. (えぇ、私もそう思うわ。)
チャンドラー: Oh-ho, come here. (goes and hugs her) Listen, you are one of my favorite people and the most beautiful woman I've ever known in real life. (さぁ、こっちに来て。 [彼女のところに行ってハグする] ねぇ、君は俺が大好きな人の一人だよ。そして、最も美しい人だ。僕が現実の世界で知り合った人の中ではね。)

このシーンの前までは、Monica and Phoebe's 「モニカとフィービーの部屋」とト書きにあったのに、今回は Monica's 「モニカの部屋」と変わっていますね。
フィービーはかなり前に引っ越していて、すでにこの部屋はしばらく前から「モニカの部屋」になっていたわけですが、モニカが真実を知って、名実共に「モニカの部屋」に変わった、という感じでしょう。
「お、ちゃんと Monica's に変わってる!」という「一種の小ネタ」(?)みたいな感じもしますが…(笑)。

nothing but は「ただ…だけ」という意味。
この but は except と同じ意味で、「…のほかに、…を除いて」という意味ですね。
「タオルだけをつけていた」という意味だと、nothing but の代わりに、only や just を使ってもいいのですが、nothing but a towel の方が、「タオルだけで他には何も着てないんだよ、あとは裸なんだよ!」という感覚が出るなぁ、と思います。
そのト書きを読んだネイティブの殿方も「おぉっ!?」と思うのではないかと(笑)。

モニカは、"Phoebe moved out." と過去形で話していますね。
"She has just moved out." などの現在完了形ではなくて、完全な「過去形」になっているのがポイントかもしれません。
モニカにしてみれば、ずっと一緒に住んでいると思っていたので、ついさっき出て行った感覚なのでしょうが、本当はずーっと前にすでに「引っ越していた」わけですよね。
みんなが知ってる、ということなので、当然チャンドラーも知っていて、ついさっき引っ越したんじゃなくて、無理に訳すと、「フィービーは引っ越していたのよ。」「フィービーは(前に)引っ越してた。」という感じでしょうか。

Am I so hard to live with? は、「私は live with するのにそんなに大変かしら。」→「同居するのがすごく大変な人間なのかしら?」ということですね。
潔癖症で神経質だから、同居人は去って行くし、恋人もいないの?とモニカはチャンドラーに問いかけます。
チャンドラーは理由を言おうとしますが思いつかないので、「何故いないのか不思議だ」と答えていますね。
理由にはなってないけど、優しい対応だと思います。

恋人がいてもおかしくないのに、というチャンドラーに「私もそう思う。」と答えるモニカ。
強気のモニカらしいですね。
確かに人よりはちょっと神経質だとは思うけど、一緒に住めないってほどでもないはずよ、と自分では思っている、ということでしょう。

モニカをハグして慰めるチャンドラーはとても優しいですが、どこかにオチを用意しているのが彼らしい(笑)。
セリフの最後に、in my life じゃなくて、in real life と言っているのがポイントでしょうか。
チャンドラーは、さっき、ベイ・ウォッチでニコール・エガートを見たばかりだから、モニカのことを「俺の人生で最高に美しい人」とは言えないんだな(笑)。
まぁ、彼女はテレビの中の人だから、in real life 「(俺の)現実の人生の中では、実生活の中では」モニカが一番美しいよ、と言っているのです。
観客は、彼の "in real life" という言葉を聞いて、チャンドラーの頭の中に、ニコール・エガートの走っている姿が焼きついていることを知るのですね(笑)。

しかし、例え現実世界に限定されていたとしても(笑)、ものすごい誉め言葉じゃないですかっ!
you are one of my favorite people and the most beautiful woman I've ever known in real life. という文章ですが、one of は my favorite people にしかかかっていません。
チャンドラーは、one of my favorite people ... and ... と少し間をあけて言っていることからもそれはわかります。
また、もし「俺が現実世界で知り合った最も美しい女性たちの一人」と言いたいのなら、one of the most beautiful women... と複数形になるはずです。
強引に「one of を省略している」と考えようとしても、woman と単数になっているので、one of が省略されている、とは解釈できないのです。
だから、チャンドラーは、「モニカが一番きれいだ」と言っているわけですね。

この時のチャンドラーは、今ほど辛辣ではありませんね。
まぁ、彼のジョークは、常に外野を気にして、シニカルなことを言っているだけで、本質的には優しい人なんだろうと思います。
落ち込んでいる相手と二人きりの時に、相手を傷つけるようなことは言わないかな。
ちょっとジョークをまぶしてみる、みたいなことは必ずするのですが、それも相手の気持ちをほぐすための、彼なりの優しさなんですね。

ちなみに、この in real life については、モニカも「女優やモデルにきれいな人がいるから、そういう人以外では…と言っているんだろう」とは思ってたでしょうが、それが具体的に誰か、まではわからなかったでしょうね(笑)。


(今日のポイント)
nothing but は、意味としては only や just と同じですが、そこに流れる「違ったニュアンス」を感じて下さい。
同じような意味の言葉がたくさんあるのは、その言葉の数だけ微妙な違いがあるからです。
どの言葉を選ぶかで、文の印象は変わります。
細かいニュアンスを表現するためには、それだけ言葉の使い分けが必要になる…ボキャブラリーを増やす意義はそこにあるのだと思います。


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posted by Rach at 10:38| Comment(0) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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