2007年09月06日

表情と口調でわかるニュアンス フレンズ3-6その21

[Scene: the bar, Ross is entering, Phoebe is at the bar, they are the only two in the place.]
バーにて。ロスが入ってくる。フィービーはバーにいて、ロスとフィービーはバーに二人きりの状態である。
ロス: (all depressed) Hi. Where is everybody? ([すっかり落ち込んで] やぁ。みんなはどこ?)
フィービー: Oh, it's already closed, Chris gave me the keys to lock up. What is wrong? (あぁ、もうすでに閉店なのよ。クリスは、戸締りをするように、って、私に鍵をくれたわ。どうしたの?)
ロス: My marriage, I think my marriage is um, is kinda over. (僕の結婚は、僕の結婚は終わってしまったみたいなんだ。)
フィービー: Oh no! Why? (まぁ、大変。どうして?)
ロス: 'Cause Carol's a lesbian. (Phoebe is shocked) And, and I'm not one. And apparently it's not a mix-and-match situation. (それは、キャロルがレズだから。 [フィービーはショックを受ける] そして、僕はレズじゃないし。どうやら、ミックス&マッチな状況ではないらしいね。)
フィービー: Oh my God! I don't believe it! Oh, you poor bunny. (まぁ、なんてこと! そんなの信じられないわ。まぁ、あなたはかわいそうなウサギちゃんね。)

all depressed な状態の時の、Hi. ですが、これはフレンズ1-1 (パイロット版)で初登場した時の Hi. と同じですね。
こんな風に元気なさげに「ハーイ!」と言うのが、ロスのトレードマークでもあります。
これを聞いただけで、「あぁ、またロスにはショックな出来事があったのね。」とわかるわけで、その後、「どうしたの?」「実は…」と話が展開していくわけです。
つまり、「困った出来事があったんだよ、聞いてくれよ。」というロスの気持ちが表れた一言、なわけですね。

'Cause Carol's a lesbian. And, and I'm not one. では、one = a lesbian ですね。
既出の名詞を反復するのを避けるために、one 「(同種の)それ」を使っています。
で、「僕はレズじゃない。」と言っているのですが、ここで観客は大爆笑。
本人は大真面目に分析しているのかもしれませんが、確かにロスは男なので、いくら努力してもレズになることは不可能ですからねぇ。

a mix-and-match situation というのは、ミックスもマッチも日本語になっていますので、だいたいのニュアンスはわかりますね。

ロングマン現代英英辞典では、
mix and match: to choose to put different things together from a range of possibilities
例) They can mix and match their uniform, wearing either a sweatshirt or blouse with trousers or a skirt.

つまり、「違ったものをくっつける[合わせる]ために、可能なものの範囲から選択すること」
例文は、「彼らはユニフォームを mix & match することができる、スウェットシャツ[トレーナー]かブラウスに、ズボンかスカートを着用する、など。」

日本語で「ミックスしてマッチさせる」と言っても十分通じるような気がします。
本来、カップルとか夫婦というものは、たくさんの男女をごちゃまぜにして(?)、その中から気の合う二人をマッチさせたもの、みたいな感じですね。
キャロルの場合はレズであるために、本来であれば、その選択肢は女性に限られてしまいます。
だから、僕は最初の条件で既に蚊帳の外だったんだ、僕は a range of possibilities の中には入っていなかったんだ、みたいなことでしょうか。
僕とキャロルの状況は、a mix-and-match situation とは言えないんだよ、つまり「うまくミックス&マッチしていない。僕と彼女はミスマッチだった、間違った組み合わせだった。」というところでしょうか。

you poor bunny を無理して訳すと「かわいそうなウサギちゃん」になるでしょうね。
ここでの bunny は「か弱いもの」を象徴しているのでしょうか。
似たような感じで puppy 「子犬」を使ったセリフもありました。
フレンズ3-4その16 の、
ジャニス: Ohhh, are you a puppy! (あぁ、あなたって可愛い子犬ちゃんね!)
というもので、この puppy には「うーん、あなたって可愛い!」みたいなニュアンスが出ている気がします。


ロス: (sets out a bunch of shot glasses and starts to pour himself a drink, many drinks) I'm an idiot. I mean, I should've seen it. I mean, Carol and I would be out, and she'd, she'd see some beautiful woman, and, and she'd be "Ross, y'know, look at her!" And I'd think, "God, my wife is cool." ([たくさんのショット・グラスを並べて、自分に飲み物を、たくさんの飲み物を注ぎ始める] 僕はバカだ。だって、気付くべきだったんだよ。ほら、キャロルと僕が外に出かけるだろ、キャロルは美人の女性を見ると、こう言ってたんだ。「ロス、ほら、彼女を見て!」 そして僕はこう思ってたんだ。「あぁ、僕の妻は素敵だ。」って。)
フィービー: Aw! Hey, do you think that Susan person is her lover? (あぁ! ねぇ、例のスーザンって人が彼女の恋人だと思う?)
ロス: Well, now I do! (あぁ、今、そうだと思うよ[今、わかったよ]。)
フィービー: I'm sorry. (同情するわ。)
ロス: Seven years! I mean we've been together seven years. She's the only woman who's ever loved me. She's the only woman I've-I've ever.... (7年間だよ! 僕たちは7年間一緒にいたんだ。彼女は僕を愛してくれた唯一の女性だった。彼女は僕の唯一の…)
フィービー: Aw, God Ross. Oh. (goes over and hugs him) (あぁ、ロス。まぁ。 [ロスのところへ行ってハグする])

shot glasses は「ショット・グラス」と日本語になっているようなので説明するまでもないですが、念のため。
ロングマン現代英英辞典では、
shot: DRINK
[countable] a small amount of a strong alcoholic drink
shot of
a shot of tequila
a shot glass (= a small glass for strong alcoholic drinks)

つまり、shot は「強いアルコール飲料の少量」で、shot glass は「強いアルコール飲料用の小さなグラス」。

My wife is cool. 「僕の妻はクールだ。」について。
cool は誉め言葉として使っていますが、この場合は、どういうニュアンスで使っているんでしょうね?
「あの美人を見て!」という妻を見て、ロスは、「いやいや、僕の妻である君の方が美人だよ。」という意味で言った、ということでしょうか?
もしくは、美人を見て、「あの人きれいね!」とまるで女学生(?)みたいに無邪気にはしゃいでいる様子が「可愛い、素敵」とか?
キャロルは他の男性には全く目もくれず、きれいな女性のことばかり気にしているので、そこが普通の妻と違って「かっこいい、いけてる」とか?

実際のところは、彼女にはその頃からレズの気(け)があって、美人の女性を見ると、気になってしょうがなくて、「ほら、あの人きれいね。ほら、あそこの人も素敵ね。」と言っていた、ということです。
これが男性を見て、彼は hot だ、彼は cool だ、と騒いでいたら、ロスもムッとしたのでしょうが、相手が女性なので、全くそういう観点では見ていなくて、聞き流してしまっていたわけですね。
今思い返すとそういうことがよくあったので、「キャロルは、女性ばっかり見てるなぁ。もしかして、女が好きなのかも?」と気付くべきであった、ということです。

その過去の出来事を話しているセリフでは、Carol and I would be out, ... she'd see... she'd be... And I'd think... と全て would が入っていますね。
これは、「(過去に)(よく)…した、したものだった」という「過去の習慣や、動作・行動の反復についての回想」を表す would です。
「過去の特定の時期にそういうことが1度あった」ということではなく、「昔はそんなことが何回かあったなぁ」という感じが出ているわけですね。

キャロルがレズだと聞いて、「じゃあ、ロスの話に何回も出てきたキャロルの女友達のスーザンって人が、そのレズの恋人なのね!」と気付いたフィービーですが、ロスの "Well, now I do!" というセリフで、ロスがそのことに今の今まで気付いていなかったことがわかります。(気付くの遅すぎ!…笑)

この do は、その前の think を言い換えた言葉なので、普通に訳すと「今、スーザンってのがキャロルのレズの恋人だ、って思うよ。」ということなのですが、ここでのポイントは now という言葉ですね。
「スーザンが恋人だと思う?」「あぁ、(もちろん)そう思うよ。」というやり取りなら、"Do you think...?" "Of course I do. / Yes, I do." みたいになるでしょうか。
これだと、フィービーに言われる前からそう思ってた、ということになりますね。

実際の場面では、ロスは、混乱した頭でしばらく考えて、それから、now と do を強調してそのセリフを言っています。
表情を見ていてもわかる通り、「今やっと」、その「女友達スーザンの存在」と「私はレズなのよ。」という告白とが頭の中で繋がった、ということですね。
この "Now I do." は、"Now I understand." に近いでしょうか。
「今(やっと)わかったよ、気付いたよ。」という感じです。

ロングマン現代英英辞典では、
now: used when you know or understand something because of something you have just seen, just been told etc
つまり、「ほんの今・ちょうど今(just)、見た・言われたことによって、何かを知る・理解する時に使われる」

このロングマンの語義の感覚が、「今やっとこれで…」というニュアンスになるわけですね。

このように、たった1語の now という単語のあるなしで、かなりニュアンスは異なってしまうのですが、実際にこのシーンを見た人には(それほど英語の聞き取りに自信のない方でも)、その状況や彼の表情・言い方から「今、それに気付いた。(言われるまで気付いていなかった。)」というニュアンスは伝わっていただろうと思うのですね。
文字の情報以外にも、ヒントはたくさんある、ということです。
そして逆に、上のロングマンの語義を、知らず知らずのうちに感じ取ることもできる、ということですね。


(今日のポイント)
過去の回想を表す would。
"Now I do!" のニュアンス。状況と表情と口調から、その言葉のニュアンスを学ぶことができる…「ドラマで学ぶ利点」はそこにあると思います。


(Rach からのお詫び)
最近、記事が恐ろしく長いですね。申し訳ありません。
決して「長ければ長いほど良い」と思っているわけではありません。
「記事が長いこと、内容が細かすぎること」については理由があります。
近いうちに「英語学習のコツ」と合わせて説明させていただきます。


(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
お陰様でランキングも好調です。
皆様の応援が、とても励みになっています。ありがとうございます。
人気blogランキング
にほんブログ村 英語ブログ

posted by Rach at 12:40| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
男性誌のバニーガールで有名なようにbunnyは性的魅力のある娘という意味があります。ウサギは繁殖力がすごくて性的な意味を持つのでしょうね。fuck like a bunny 《卑》 さっさと[せっせと]セックスする.ここでは親愛のこもった「おバカさん」で「かわいそうなお馬鹿さんねぇ」ぐらいでしょうか。なお、関係ないと思いますが 《卑》《lesbians のための》売春婦[リーダーズ]という意味も。
Posted by ジョーイ at 2007年09月07日 06:27
ジョーイさんへ
bunny と言えば、いろんな意味があるようですね。昔、bunny という呼び掛け語について悩んだことがあったので、そういうことも含めて bunny についてもっと詳しく触れようかな、と思ったのですが、今回のセリフは、puppy 「子犬」みたいな「可愛い、小さい」イメージなのかなぁ、と思って、エッチ系の話は飛ばしたんです(笑)。

今回のフィービーの言っているニュアンスは「親愛のこもったおバカさん」…確かにそんな感じですね。

過去に bunny で悩んだ、という記事はこちら(↓)
フレンズ1-4その4 ご質問
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470162.html

私も bunny fuck について書いていますね。(ジョーイさんも私も、f**k などと伏字で書かなくていいのかな…笑)

bunny fuck は英辞郎に載っていました。
他の語義は、「朝日出版社 米英俗語辞典」に載っていたものです。
再度ここで引用すると、

bunny
2. 性的魅力のある娘、セクシーな女の子。
4. レスビアンの相手をする売春婦、ホモの相手をする男娼。

とあります。

ロングマン英英辞典にはそういうスラング的意味が載っていません。
Merriam-Webster Online Dictionary には、
bunny: a desirable young woman
というのが載っていました。つまり、「魅力のある若い女性」ですね。

朝日出版社の英和辞典に載っているような語義が英英辞典ではあまり見つからないのが残念(笑)。

その過去記事のコメント欄でも触れていますが、
ネットのオンラインスラング辞典である Urban Dictionary には、以下の語義が載っていました。
bunny: A male or female that enjoys having sex multiple times a day.
つまり、「一日に何回もエッチを楽しむ男性、または女性」。

やっぱり bunny はそういうイメージなんですね(笑)。
Posted by Rach at 2007年09月07日 10:15
はじめまして。
こんなに細かく書くのはどんなに時間がかかることでしょう。読むだけでも相当な量なのに。
読ませていただいたので私も何かお返し?したいという気持ちです。といっても高度な分析のやり取りには及ばないのですが。
My wife is cool. について思ったことを書かせてください。

一般的な場合、男性は女性と一緒にいる時は 妻や恋人に気を遣って、魅力的な女性を目にしても思うように観賞することはできない、
一方スーザンは、ロスにまるで男友達といるかのような楽しさを味わわせてくれた。
「僕の妻は何て話しが分かるのだろう!」 という意味に受け取れました。
Posted by イスラーム at 2008年10月21日 06:55
イスラームさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
また、長い文章をお読み下さりありがとうございます。

My wife is cool. の解釈について。「僕の妻は何て話しが分かるのだろう!」というお話、私もそんな気がしてきました。
普通なら、女性に視線をとめるだけでも怒られそうなのに、怒るどころか、一緒になって美人を鑑賞してくれる、そこを、cool と思った、ということですね。世間一般の女性にはない心の広さ、ものわかりの良さ、を cool だと表現した、という解釈には納得です。

貴重なご意見ありがとうございました。
Posted by Rach at 2008年10月22日 11:52
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。