2007年09月07日

言わなくてもわかってる フレンズ3-6その22

[Scene: Monica's, Chandler and Monica are still hugging each other.]
モニカの部屋。チャンドラーとモニカはまだハグし合っている。
チャンドラー: Umm, this is nice. (んー、これはいいね。)
モニカ: I know. It is, isn't it? (そうね。いいでしょ?)
チャンドラー: No, I mean it. This feels really good. Is it 100% cotton? (いや、本当にそう思ってるんだよ。これは本当に気持ちがいいよ。綿100パーセント?)
モニカ: Yeah! And I got it on sale too. (えぇ! しかも私はそれをセールで[特価で]買ったのよ。)
チャンドラー: Anyway, I should go. One of the lifeguards was just about to dismantle a nuclear device. (とにかく、俺は行かなくちゃ。ライフガード[海難救助隊員]の一人がちょうど核爆弾を取り外す[解体する]ところだったから。)
モニカ: Well, if you wanna get a drink later, we can. (後で飲み物が飲みたくなったら、飲めるわよ[一緒に飲みに行けるわよ]。)
チャンドラー: Oh yeah, that sounds great. (starts to leave) Oh, and listen, it's, it's gonna be.... (あぁ、そうだね。それは良い考えだ。[出て行こうとする] あぁ、ねぇ、きっと…)
モニカ: I know. Thanks. (Chandler leaves) (わかってるわ。ありがとう。[チャンドラーは出て行く])

I mean it. は「(冗談ではなく)本気だ、本気で言っているんだ。」ということ。
この場合は、ただ相槌として「そうでしょ、ナイスでしょ?」と、軽く「付加疑問」(isn't it?)で返してきたモニカに対して、本当に口先だけでそう言ってるんじゃなくて、心底そう思ってるんだ、と念押ししている感じでしょうか。
feel は I feel good. 「気分がいい」、I feel cold. 「寒い、寒気がする」などと使いますが、このように物を主語にして、"物 feels ..." という形になると、「(物を触ると)…の感じがする、…と感じられる」という意味になります。

最初、this feels と言っているだけなので、「これ」が何を指すのかはっきりしていませんが、普通、この状況を見ると、「このハグしている状態」が気持ちいい、と言っているのかなぁ、と思いますよね。
すると、その後で、「それって、コットン(綿)100%パーセント?」と聞き返しているので、this はモニカが風呂上がりに巻いているタオルのことで、その肌触りが素敵だ、と言っていることがわかるのですね。

一応、話の流れとしては、ハグし合って、"This feels really good." などと言うセリフも出て、「お、もしかしたら二人の間に何かが起こる?」みたいなことを多少匂わせてはいるのですが、二人の様子を見ていると、そういう「アブナイ」感じは出ていません。
あっさりコットンのオチも言っていますし、観客を思いっきり期待させてから落とす(オチを言う)という感じでもありませんね。
コメディというのは、「観客の期待を裏切る」ところにポイントがあるのだろうと思うのですが、その「裏切り方」もワンパターンではなくて、ある程度、緩急をつけないといけないのかなぁ、と思います。
そういう意味では、こういう「緩やかなオチ」というのも必要なのだと思います。
またこの件については、明日触れます。

And I got it on sale too. の too について。
この too は「(他の誰かと同じように)私も」という意味ではなくて、「しかも、その上」という意味ですね。
ロングマン現代英英辞典に、
It's a more efficient system and it's cheaper too.
という例文が載っています。
意味は「それは、より効率的なシステムで、しかも、より廉価である。」

ですから、上のモニカのセリフは、「綿100%、と品質も良くて、さらにはそれを特価で安く手に入れたのよ。いい買い物をしたでしょ?」みたいなニュアンスです。

nuclear device は「原子力の機器、装置」ということですが、原子爆弾、核爆弾、みたいなものなのでしょうか?
「ベイ・ウォッチ」って海難救助隊の話ですが、そんな危険物を解体するようなハードな任務があったりするのでしょうか??
(本当にそういうエピソードがあったのかもしれない…ちょっと調べてみましたけど、わからなかったのであきらめました。ご存知の方は教えて下さい。)

"if you wanna get a drink later, we can." は、「もしあなたが飲みたいと思うのなら、”私たちが”飲める」ということなので、「飲みたいのなら、一緒に飲みに行きましょう。」「あなたが飲みたいのなら、私もそれに付き合うわ。」といったところでしょう。
それに対するチャンドラーの返事、"that sounds great." は、「…しましょう。」と提案された時の、「それはいいね」という返事の定番ですよね。
このやり取りでは下のバーで飲むことを示唆していて、実際にその後、モニカとチャンドラーがバーに行くシーンも出てきます。

部屋を出て行く時に、チャンドラーが言いかけたのは、"It's gonna be okay." でしょうね。
今はフィービーが出て行って、恋人もいなくて、と悲惨な辛い状況だけど、「きっと大丈夫だよ」という、人を励ます時の決まり文句です。

そう言おうとしたら、モニカはそれを遮って、I know. と言っていますね。
人に誉められた時などに、I know! 「そうでしょ!、そうなのよ!」と叫ぶのがモニカの口癖ですが、この場合は、そういう負けん気の強さが前面に出ているのではなく、「それ以上言わなくても、チャンドラーが何を言ってくれようとしているかはわかってるわ。それ以上言わなくても大丈夫。」ということで、"I know. Thanks." 「わかってる、ありがとう」なんですね。
チャンドラーの自然な慰めの言葉を、I know. と遮りながらも(笑)素直に受け入れている様子が微笑ましいと思います。

そして、最後に、チャンドラーがモニカを指差し、そのお返しのようにモニカがチャンドラーを指差していますね。
これは言葉にすると、「その調子で頑張れよ。」「あなたもね。」みたいな感じなんでしょうか?
どういうニュアンスに受け止めるかは人それぞれなのかもしれませんが、いいシーンだな、と思いました。

ところで、フレンズ3-6その11 では、歯科医と婚約中のレイチェルに「今は恋人がいなくても大丈夫よ。」みたいなことを言われて、I know. と返すシーンがありました。
この場合は明らかにムッとしていて、「そんなことあなたに言われなくてもわかってる。私は何も心配なんかしてないわ。」みたいな感じが出ていましたね。

それぞれの I know. の違いを感じて下さい。


(今日のポイント)
・"物 feels ..." =「(物を触ると)…の感じがする」
・"it's gonna be okay." のような決まり文句に、わざと次の言葉をかぶせる、という演出の効果。(日本のドラマでも「セリフがかぶる」という演出があります。最後まで言い終わらなくても、どういうセリフが続くかが観客に想像できることが前提としてあり、かぶることでリアリティ・臨場感を出す、という効果があります。)
・今回の回想エピソードで、モニカの口癖 I know. が2回登場しますが、そのニュアンスの違いを感じ取って下さい。


(Rach からのお願い)
今回の記事、面白いと思われた方は、下のランキングサイトをクリックして下さい。
お陰様でランキングも好調です!
皆様の応援が、とても励みになっています。ありがとうございます。
人気blogランキング
にほんブログ村 英語ブログ

posted by Rach at 10:40| Comment(0) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。