2007年09月13日

恐竜はいつ絶滅するの? フレンズ3-7その1

シーズン3 第7話
The One With the Race Car Bed (教え子はライバル)
原題は「レースカー・ベッドの話」

[Scene: Central Perk, the whole gang is there, Ross is telling a story about what happened at work and the rest of the gang are thinking to themselves, denoted by italics.]
セントラル・パーク。フレンズのみんながそこにいる。ロスは仕事中に起こった出来事を話している。そして、他のフレンズたちは心の中で考え事をしている。考え事の部分はイタリックで表示されている。
ロス: So I told Carl, nobody, no matter how famous their parents are, nobody is allowed to climb on the dinosaur. But of course, this went right in one ear and out..... (それで僕はカールに言ったんだよ。どんなに両親が有名であっても、誰も恐竜の上に登ってはいけないんだ、って。でも、もちろん、こんなことを言っても聞き流されるだけで…)
レイチェル: I love how he cares so much about stuff. If I squint, I can pretend he's Alan Alda. (ロスが物事に打ち込んでいる[情熱を傾けている]様子が好きだわ。もし、目を細くして見たら、彼がアラン・アルダだと思えるわ。)
モニカ: Oh good, another dinosaur story. When are those gonna become extinct? (もう最高。また別の恐竜の話だわ。そいつら[その恐竜たち]はいつになったら絶滅するのかしら?)
チャンドラー: If I was a superhero who could fly and be invisible, that would be the best. (もし俺が空を飛べて透明なスーパーヒーローだったら、最高なのにな。)
ガンター: What does Rachel see in this guy? I love Rachel. I wish she was my wife. (レイチェルはこの男のどこがいいんだろう? レイチェルを愛してる。レイチェルが僕の妻ならいいのに。)
(Joey is singing in his head.)
ジョーイは頭の中で歌を歌っている。
フィービー: Who’s singing? (誰が歌ってるの?)

go in one ear and out the other は「一つの耳から入って、反対側の耳から出る」ということですね。
日本語にも「右の耳から左の耳へ抜ける」という表現があります。
つまり、聞いたことが耳を素通りする、ちっとも頭に残っていない、人の話を真剣に聞いていない、聞き流されてしまう、ということになります。
ロスは、恐竜の化石の上に子供が登ったことを怒っているんですね。
どうやら有名人の子供だったようですが、そんなことは関係ない、生物学上の貴重な資料である化石には、どんな人でも乗っちゃいけないんだ、なんぴとたりとも乗る事は許されないのだ、みたいな感じです。

no matter how famous their parents are と their が使われていますが、これは、nobody という不定の単数代名詞を受けたものです。
つまり、no matter how famous his/her parents are ということで、「その子の親がどんなに有名だろうと、誰も乗ってはいけない」ということです。
このように単数形を they や their で受ける、という話は、フレンズ2-24その7 で詳しく説明しています。

ロスのセリフでは、「カールにそう言ったが、聞き流されるだけで…」なので、恐竜に乗っていた少年の名前がカールで、彼は有名人の息子だった、注意してもちっともそれを気にしていなかった、ということです。

pretend はロングマン現代英英辞典によると、
pretend:
1. [intransitive and transitive] to behave as if something is true when in fact you know it is not, in order to deceive people or for fun

つまり、「人を欺くため、または楽しみのために、実際はそうでないと知っているのに、まるでそれが真実であるかのように振舞うこと」
2. [transitive usually in negatives] to claim that something is true, when it is not
つまり、「(主に否定文で)実際は真実ではないのに、真実であると主張すること」

今回の場合は、レイチェルが楽しみのために、そんな風に想像すると楽しいから、という理由で、彼をアラン・アルダだってことにする、彼をアラン・アルダだと思い込む、ということですね。

その、アラン・アルダについて。
Wikipedia 日本語版: アラン・アルダ
Wikipedia 英語版: Alan Alda
IMDb: Alan Alda
「M*A*S*H」(マッシュ)に出ていた人のようです。
マッシュと言えば、マッシュの映画版には、ジャック・ゲラー(ロス&モニカのパパ)役のエリオット・グールドも出ていたそうです。
フレンズ2-13その2 のコメント欄 で、マッシュについて触れています。

ちなみに、アラン・アルダは、1998年の映画「私の愛情の対象」(原題: The Object of My Affection)で、レイチェル役のジェニファー・アニストンと共演しています。
その映画には、ポール・ラッド(Paul Rudd)も出演しているのですが、ポール・ラッドと言えば、フレンズシーズン9〜10に登場するサブキャラを演じていました。(ネタバレになるので、役柄は伏せます。)

Oh good. というのは、Oh great. という感じですが、皮肉っぽく言っているのですね。
本当は、もうやめてよ、勘弁してよ、という感じで、「最低!」の意味で「最高!」と言っているわけです。

恐竜というと、extinct という言葉が付き物のように出てきます。
フレンズ1-22その1 では、
ジョーイ: Why does a paleontologist need a beeper? (どうして古生物学者にポケベルが必要なんだよ?)
モニカ: Is it for dinosaur emergencies? Help! They're still extinct! (恐竜の緊急事態のために? 助けて! 恐竜はまだ絶滅したままだよ!)
というやり取りもありましたね。
本当はとっくの昔に絶滅しているのですが、それを are gonna become extinct と未来形で表現しているのがおかしいわけです。
ロスが恐竜の話ばかりするので、恐竜はまだ絶滅してないの?、そんな話をされなくて済むように、とっとと絶滅してよね、と言っているわけ。
ちなみに、日本語では「絶滅する」と動詞で表現しますが、英語の場合は形容詞の extinct を使って、become extinct 「絶滅した状態になる」と表現するのですね。

(2007.11.4 追記)
コメント欄でご指摘いただいたのですが、
When are those gonna become extinct? の those は「恐竜」ではなくて、「(ロスがしゃべっているような)恐竜話」という意味のようです。
つまり、those = those dinosaur stories ということですね。
下のコメント欄に訂正と追加説明があります。
興味のある方は合わせてご覧下さい。
(追記はここまで)


チャンドラーは、ふんふんと相槌を打っているふりをして、実は全然違うことを考えています。
その証拠に目が泳いでいる、というか、視線が上の方を向いていますね。
彼の考え事を聞いてみると、「子供か!」と言いたくなるような内容です。
invisible は「目に見えない」なので、「透明の」ということ。
透明になって、どんなことをするつもりかは、だいたいわかりますが(笑)。

ガンターのセリフ。
see in は、フレンズ1-24その5 にも出てきました。
ロス: I don't get it. What do you see in this guy anyway? (わからないな。一体、この男のどこがいいんだ?)
というセリフでしたね。
しかし、いつもは無口なガンター、頭の中の考えとは言え、随分はっきり言い切っていますね、「愛している」と。
これ以降も、「ガンターはレイチェルが好き」という設定は何度も出てきます。
一途なガンターが可愛い(笑)。

ジョーイが歌っているのは、Baby Elephant Walk というタイトルの歌(曲)ですね。
日本語のタイトルは、「子象の行進」(または「小象の行進」)。
♪僕らは小さな象♪という歌詞でしたねぇ。
Wikipedia 英語版: Baby Elephant Walk
作曲者は、有名な映画音楽を数多く作っている Henry Mancini (ヘンリー・マンシーニ)。
この曲は、「ハタリ!」(Hatari!)という映画の挿入歌、だそうです。

ジョーイが心の中で鼻歌を歌っているのも面白いのですが、それがどうしてフィービーに聞こえてるんだ?!
さすがはフィービー。
他の人には聞こえなくても彼女にだけは聞こえるのでしょうか?(笑)


(今日のポイント)
・go in one ear and out the other 「(言ったことが)聞き流されてしまう」
・nobody (不定単数代名詞)を受ける所有格の their
・pretend 「本当であるかのように振舞う、思い込む」
・dinosaur 「恐竜」と言えば、extinct 「死に絶えた、絶滅した」。
恐竜オタクのロスに対して、フレンズたちが extinct ネタで返すことが度々あります。
そういう「お決まりのパターン」が読めるようになってくると面白いし、恐竜と聞いて、extinct が入ったジョークで返せるようになるとすごいかも。
・「絶滅する」=become extinct
日本語の感覚では動詞を使う気がしますが、become+形容詞という表現になっています。
ネイティブの英語と日本人っぽい英語の差は、こういうところに表れてくると思いますね。


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posted by Rach at 10:31| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
モニカが「いつになったら絶滅するの」と考えているのは、恐竜そのものではなく、ロスの恐竜話ではないかなと思うのですが。。。
Posted by まゆみ at 2007年09月13日 12:27
extinctを使ったジョーイの台詞とガンターのロスに対する思いは3-8の前半でも出てきます。ガンターの台詞は詳しく解説されるそうなので楽しみです。3-8でジョーイはthey're extinct.と言うのですが。形容詞を使うときは今の状態を表すので現在完了形を使わないで現在形で表すようです。したがって「恐竜が絶滅した」は Dinosaures are extinct.となります。しかし期間が付くとDinosaurs have been extinct for millions of years.となります。今回becomeが使われてるのはRachさんの解説どおりだと思います。She is dead.も彼女は死んだと訳すことが多いのですが、状態ではなく変化を表す時はI almost died.のようになると思います。5-22Joey: Did you not hear the plot of the movie? "She's been dead for ten years." I'm gonna be a millionaire! (何聞いてるんだよ、いいかいこの映画のプロットは「彼女は10年前に死んだ」だぞ。大金が手に入るんだ)
Posted by Tantan at 2007年09月13日 23:20
まゆみさんへ
ご指摘ありがとうございます!
まゆみさんの解釈は、those =those dinosaur stories 「ロスが今話しているようなそういう恐竜話」ということですね?
うーん、そうかもしれない(笑)。
「その手の話はいつになったらなくなるのかしら?、いつまでこういう話を聞いてなくちゃいけないの?」みたいなことですね?
それを、extinct 「絶滅する」という、恐竜がらみの単語を使って表現しているところが面白い、ということかぁ…。
だから、これは日本語に訳す場合でも、「その恐竜話はいつ絶滅するのかしら?」と言わないと、そのジョークが伝わらないわけでしょうね。

ロングマン現代英英辞典では、
extinct (adjective):
1. an extinct type of animal or plant does not exist any more
例1) Dinosaurs have been extinct for millions of years.
例2) Pandas could become extinct in the wild.
例3) an extinct species
訳すと、「extinct である動物や植物は、もう存在していない」
例1) 恐竜は何百万年も絶滅した状態である(何百万年前に絶滅した)。
例2) パンダは野生では絶滅する可能性がある(絶滅のおそれがある)。
例3) 絶滅した種
2. if a type of person, custom, skill etc is extinct, it does not exist in society any more
訳すと、「人、風習、技能が extinct であるとは、社会にもうすでに存在していない、ということ」

絶滅危惧種、などのように動植物に使う以外でも、2. のように、custom や skill の存在うんぬんについても使えるわけですね。今回の恐竜話の extinct も 2. の意味なわけですが、extinct の典型例として使われる dinosaur にまつわる話であるから、余計にその extinct という言葉が面白く感じられる、と。

私はロスが、いつも生き生きと恐竜の話をしているので、「ロスの頭の中では、まだ絶滅してないのね。」という意味で言っているのだと思ったのですが、「そんな恐竜の話、恐竜みたいに早く絶滅して!」と、「話」に対して使っているのが面白い、ということで、私も納得しました。
ご指摘、ありがとう!
Posted by Rach at 2007年09月14日 10:27
Tantanさんへ
extinct もガンターの思いも、3-8で出てきますね。
「ガンターの台詞は詳しく解説されるそうなので楽しみです。」とさらりと書いておられますが、私が以前、コメント欄で、「like 以下の文章を否定するニュアンスについて、3-8 のガンターの台詞の時に詳しく考える」と書いたからですね? 細かいところにまで目を通していただいて、感謝いたします(笑)。楽しみだと言われると、いい加減なことは書けないな(爆)。

今回の extinct については、3-8 で出てくることも意識していて、どっちで詳しく説明したらいいかなぁ、と少し悩みました。次回も同じく「古生物学者」ネタですが、恐竜ではありませんね(笑)。

上のまゆみさんへのお返事にロングマンを引用したのですが、Tantanさんが書いて下さった例文と同じだ(笑)
形容詞の extinct というのは、does not exist 「存在していない」という状態を表すようです。ですから、今、「絶滅している」状態である、ということで、They are extinct. となるのですね。

「彼女は10年前に死んだ。」は、日本人だと She died ten years ago. と書きたくなりますが(もちろんそれでも間違いではありませんが)、英語では "She's been dead for ten years." 「彼女は10年間ずっと死んだ状態である。」と書くことが多いようですね。(これまた、「彼女は10年間ずっと死んでいる」と訳すとおかしな感じがするし…笑)
私も 5-22 で、"She's been dead for ten years." という表現を聞いた時、「英語ではそう言うんだぁ。」と感心した記憶があります。(当時のメモにもメモっていました)

英語は、動作を述べるのか、状態を述べるのか、の区分けが重要な気がします。
「死んだ」という表現の場合、「死ぬ」という「行為・動作」が起こったのが10年前だ、と言いたいのか、「死んでいる」という「状態」が10年間続いているのか、がポイントなんでしょうね。
彼女がいなくなって10年が経つ、10年前から彼女はいない、その「状態」が10年間続いて現在に至る、それが has been dead という継続を表す現在完了形なんですよね。

「絶滅する」が動詞になりそうな気がする、と書いたのは、die のような感じの自動詞のイメージもあったのですが、他動詞の受身形「(あるものに)絶滅させられた」→「絶滅した」のような形になりそうな気がしたんです。
それが、「extinct という状態になる」(become extinct)を使っているところに、「へぇ〜」と何故か感心してしまったんですね。
そういう部分を、3-8 で触れようか、今の 3-7 で触れようかどうしようか…と思って、何だか上の解説が中途半端になってしまいました。

自分が過去に気付いたから言うわけじゃないですが(笑)、"She's been dead for ten years." などの表現に日本語との感覚の違いを感じることって、大切だと思います。
Posted by Rach at 2007年09月14日 10:37
僕は最近仕事で英語を勉強している者ですが、現在完了の継続と過去系の違いは、身近に感じている度合が表現を変えるとイギリス人の先生が言ってましたよ。自分にとってそれが身近に感じるなら(まだ忘れられない)、present perfect 過ぎ去ったものは、past simple が一番しっくりくるよーって言ってました。でもこれは、自分の体感を指し示す時の場合で、過去の出来事に関する一時の事を俯瞰で見ていうなら、表現は変わるんよー、物語を読む雰囲気の時かな?難しいでしょ?って言わました(笑)

日本語使いの心の機微の表現の仕方を英語で教えてもらえた瞬間でしたけど、やっぱり難しいw
Posted by totsugeki at 2013年02月13日 15:10
totsugekiさんへ
コメントありがとうございます。

完了形か過去形かについては、「身近に感じている度合が表現を変える」というイギリス人の先生のご説明、大変わかりやすいですね。

私が完了形のニュアンスを学んだ時も、「現在とのかかわりがあるかどうか」がポイントだと聞きました。日本語にない時制であるため、訳された日本語で違いがわかりにくい部分ですから、そういうところをネイティブの方に教えていただけると嬉しいですよね。
Posted by Rach at 2013年02月14日 14:51
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