2007年09月21日

切れ目ごとに理解するクセをつける

今日は、昨日予告した内容と異なるのですが、「何故スクリプトではなくて、DVDの英語字幕を使うのか?」について語ります。
DVD学習法への質問で、「DVDで、Pause(一時停止)をしながら解釈したり調べ物をするのなら、いっそのことスクリプトを訳した方が早いという感じがする」というご意見をいただいたからです。

もちろん、結局のところは、スクリプトを読んで、そのセリフの意味が分かれば良いわけですが、DVDの英語字幕を一時停止するのには重要な意味があります。
それは、
ある一定の長さのセリフしか表示されない
ということです。
つまり、ものすごく長い文章のセリフをしゃべっている場合に、一時停止したひとつの画面では、その全文(ピリオドで文が終わるまで)が表示されない、ということですね。

「一つの文全部が表示されない状態で、意味を取るなんて無意味じゃないか。」と思われる方がおられるかもしれませんが、それは逆です。
文が終わるまで待つのではなく、その都度、その都度の文の切れ目ごとにきちんと頭の中でイメージ化されていないといけないのです。
英語を英語のまま理解する、ということは、英語を英語の語順で聞こえたままにイメージ化していくことです。
英語をナチュラルスピードで読む、聞く、ということは、「英語を短い切れ目ごとに理解していく」ということなのです。

文を最後まで読まなくても内容は理解できる、ということに気付かないといけません。
いえむしろ、最後まで読まないで、読んだところまでをきっちり理解した上で「次は何が来るか?」を意識しつつ、読み進めていく訓練が大切なのですね。

DVDの英語字幕では、だいたい2行分くらいしか表示されません。
その2行ごとに意味を取るクセをつけたいと思うから、DVDを一時停止するのです。

一例を挙げます。
私がフレンズに出てきた長いセリフでよく思い出すのが、これ。
フレンズ2-3その5 での、ロスに対するフィービーのセリフです。
Are you telling me that you are so unbelievably arrogant that you can't admit that there's a teeny, tiny possibility that you could be wrong about this? (あなたが「このことについて間違ってるかもしれないという可能性がほんのわずかならあるかも」ということを認めることができないほど、あなたはすごい傲慢だって言うわけ?)

that が4回も出てきて、英語特有の「付け足す」感覚も感じられるセリフだと思います。

これがDVD英語字幕ではどう表示されているかと言うと、

(画面1)
Are you telling me that you are
so unbelievably arrogant...


(画面2)
... that you can't admit that
there's a teeny, tiny possibility...


(画面3)
... that you could be wrong about this?

と、3つの画面に文章が分かれることになります。

一見、ブツギリに見えるこの3つのセリフ群を、その画面毎に意味を取る訓練をするのです。

この切れ目はでたらめにあるのではありません。
... がついていることからもわかるように、その部分で、気持ち程度ではありますが、音声の切れ目があります。
音声の切れ目は、すなわち意味の切れ目。
どんなに長い文章を話していても、その中には必ず、意味のまとまりがあり、まとまりごとに切れ目があります。
聞いている人間は、そのまとまりごとに意味を取っていかないといけない。
ピリオドで文が終わるまで…と思っていたら、とてもナチュラル・スピードにはついていけません。
実際は、その一つの画面に表示された英文の中においても、もっと小さな切れ目ごとに理解していっているはずです。

小さな切れ目ごとに解釈していくと、

(画面1)
Are you telling me that you are
so unbelievably arrogant...


あなたは言ってるの?→(その言っている内容は?)→あなたが信じられないほど傲慢だ(ということ)。

(画面2)
... that you can't admit that
there's a teeny, tiny possibility...


(その傲慢がどれほどかって言うと?)→あなたがあることを認められないほどに(傲慢だ)→(何を認められないのか?)→小さな、小さな可能性がある(ということ)。

(画面3)
... that you could be wrong about this?

(その可能性って?)→あなたがこの件について間違ってるかもしれない(という可能性)。

のような仕組みになるでしょうか。

(画面1)で、「あなたは自分がものすごい傲慢だって言ってるわけ?」という意味を取る。
(画面2)で、that が続くことで、その前の事柄を補足説明しているのだと知る。この場合は、arrogant の程度を付け足しの形で説明している。
(画面3)も同様に、that が補足説明をしていることを知る。この場合は、possibility の内容を説明している。

長い英文に対応できるようになるためには、文の区切りごとに理解し、次は何が来るのかと、意識を次へと向ける訓練が必要です。
上のピンクの部分が、「意識が次へと向いている」部分ですね。

英語を読むスピードが早い人も、最後まで読んだ後で、文の最初に戻ったりはしないはずです。
単語を左から右に読み進めていきながら、読んだ部分をまとまりごとにイメージ化していっている、だから、早いスピードで意味が取れるのです。

ナチュラル・スピードについていくのが大変だ、と思っている方は、上の例で示したようにセリフを区切った読み方をしていかれたら効果的だと思うので、面倒くさいとは思いますが、「DVD英語字幕の一時停止」をオススメしているわけですね。


(Rachからのお知らせ)
最終段階「英語音声、英語字幕」での「調べ方」について、場合分けして語る予定だったのですが、それは1週間後くらいにします。


(今日のポイント)
日本語の場合は、「…である」という結論部分が最後に来るので、最後まで聞かないとその内容が掴めません。
英語は、区切り区切りで意味が取れるようになっています。結論が最後に来るのに慣れている日本人は、意識して「その区切りごとに頭の中でイメージ化する」訓練をしないといけない、と思います。


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posted by Rach at 12:43| Comment(4) | DVD学習法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!
今回の記事は今の自分に必要なアドバイスで読んだ瞬間ランキングボタンに手がのびました!!!笑
区切りごとにイメージ化する訓練はリーディングにもリスニングにもとても役立つ大切なことですよね。読むスピードも慣れたら速くなっていくと思いました。
次のTOEFLまでこれを忘れずに勉強しようと思います。次回も楽しみにしています!ありがとうございましたヽ(^o^)丿
Posted by proy at 2007年09月22日 13:00
proyさんへ
そうですね、区切りごとにイメージ化する訓練は、リーディング、リスニングのどちらにおいても、非常に大切なことだと思います。
特にリスニングは、リーディングのように「前に戻る」ことができないので、今聞こえているところまでの内容をちゃんとイメージ化していかないと、後から入ってくる情報がきちんと整理できなくなりますね。
読むスピードもだんだん早くなってくると思います。「英語音声、英語字幕」で、音声のスピードに合わせて字幕を読めるようになれば、文字を一字ずつ読んでいるのではなく、ある程度の言葉のまとまりごとに目にとびこんでくる感覚で読めるようになると思います。

私はTOEFLを受けたことがないので、お役に立てるようなことは言えないのですが、どんな形式の試験であっても、「英語独特の感覚」を身につけていれば、対応できるだろうと思っています。この「区切りごとにイメージ化」もその一つですね。

それから、ランキングボタンを押していただいてありがとうございます! とっても励みになります!
私もこういう英語学習についての記事を書くことで、自分の考えを再確認できるんですよ。次回も頑張ります。
Posted by Rach at 2007年09月23日 08:43
こんにちは。

Rachさんのご説明はとてもわかりやすいですね。
わたしもRachさんと同じ世代だと思いますが(違っていたら、失礼!)、Rachさんの日本語のわかりやすさには大いに敬意を表したいと思います。

似たようなことが20数年前、名前は忘れましたが、英語の学習教材(今もあるのかな?)に載っていました。

何かのおとぎ話しで、
She lives happily ever ater.
という文章を、
She lives...
happily...
ever after.
と3つに区切って読んでいました。

たぶんシンデレラか何かだったと思います。

ちなみに、仕事で英文を読むときに日本語に訳そうと思う事はありません。
1つめの理由は、読む英文の構造が非常にシンプルなこと。
2つめの理由は、出てくる仕事用語に対応する日本語がない(!)事が多いからです。

でも、ドラマや映画は日本語字幕で見ることが多いので、どうしても日本語に訳したい欲求にかられますね ^_^;
Posted by がじら at 2007年09月25日 02:02
がじらさんへ
私の説明がわかりやすい、と言っていただけて大変嬉しいです。ありがとうございます。

どんなに短い英文であっても、英語はその語順で話されている通りに、意味を取っていかないといけないのだと思います。
学校英語では、「この英文を日本語訳せよ。」という問題が多いので、自然な日本語にしようと思うと、順序を入れ替えないといけません。
「日本語でいうとどういう意味になるのか。日本語にするとどういうニュアンスになるのか。」を考えるのは、意味のあることだとは思うのですが、本当に英語を英語のまま理解する際には、頭の中でそれをする必要はないですね。日本語を挟むことで、かえって理解のスピードが遅くなるだろうと思います。

先日のお話でもそうですが、専門用語・仕事用語などの言葉そのものの意味が英語で理解できている場合は、それを訳す必要もないですし、英語のままで、AがBした、で十分話が通じますよね。無理に日本語の訳語を当てはめようとすると、却って意味にズレが生じてしまいますからね。

私は毎回、自分なりの日本語訳をつけていますが、それはフレンズを見たことない方、解説中のエピソードを見たことない方に、ある程度の話の筋をわかっていただけたらと思って、「参考」程度に書いているものです。
でも、これを書いていると、私がちょっとニュアンスを取り違えている部分を読者の方が指摘して下さることも多いです。そういう意味では「日本語でいうとこんな感じ」を考えるのも無駄ではないのかなぁ、と思っています。
でも、ナチュラル・スピードに対応するためには、「日本語を挟まない」、これは重要なことだと思います。
Posted by Rach at 2007年09月25日 08:39
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