2007年09月22日

そんな言葉、言えない フレンズ3-7その8

ジョーイ: (entering) Hey, you guys! ([入ってきて] やぁ、みんな!)
フィービー: Hey! (はーい!)
ジョーイ: Guess what? (何だと思う?)
ロス: What? (何?)
ジョーイ: I got a gig! (仕事をゲットしたんだ。)
みんな: Yay!! (やったね!)
チャンドラー: See, that's why I could never be an actor. Because I can't say "gig." (ねぇ、だから俺は俳優には決してなれないんだな。だって俺は「ギグ」なんて言葉言えないもん。)
フィービー: Yeah, I can't say "croissant." (realises) Oh, my God! (あぁ、私は「クロワッサン」って言葉が言えないわ。[言えたのに気付いて] すごいわ[言えたわ]!)

gig は、フレンズ2-6その5 にも出てきました。
ロングマン英英辞典では、
gig: [countable]
1. a performance by a musician or a group of musicians playing modern popular music or jazz, or a performance by a comedian

つまり、「現代のポピュラー・ミュージックやジャズを演奏しているミュージシャン、またはミュージシャンのグループによる演奏[パフォーマンス]、またはコメディアンによる演技」。
2. (American English informal) a job, especially one that does not last for a long time
つまり、「(アメリカ英語、インフォーマル) 仕事、特に長く続かない仕事」。

ミュージシャンなどの gig という言葉を、ジョーイは仕事という意味で使っている、ということですね。
チャンドラーは gig という言葉を業界っぽい、通っぽい言葉だと感じたんでしょう。
サラリーマンの俺の口からは、ギグなんて言葉は出ないよ、俺はそんなおしゃれな言葉が使えないから、俳優にはなれないんだね、と、ちょっとそのギグという言葉を茶化しているわけですね。

チャンドラーの「言えない」は、そんな言葉を使えない、という意味ですが、それをフィービーは「物理的に発音できない」という意味に解釈し、I can't say 「言えない」言葉、彼女の場合は「発音できない」言葉を例に出します。
それが、croissant なんですね。
実際の発音は、「クルワソーン」とソーンにアクセントがある感じでしょうか。
フランス語から来た言葉で、発音もいかにもフランス語っぽい。
言えない例として出したのに、うまく発音できちゃって、それに自分で気付いて驚いている、というわけです。

こんな風に、相手の言った言葉の意味を取り違える、というジョークは日本にもありますね。

・「誠に言いにくいんですが…東京特許許可局!」(心情的に言いにくい、という意味を、物理的に言いにくい、と捉え、早口言葉を言う)
(↑これは、フレンズ2-4その3 でも取り上げました…笑)
・「そんな大事なことは早く言え!」と言われた後、2倍速の速さでしゃべる。
(もっと早い(early)時期に、という意味を、速度を早く(fast)、という意味に捉える)
・「人のいやがることを進んでしなさい」と言われたので、相手を小突いてみる。
(いやがるというのは進んでやろうとしないこと(道路の掃除など)を指しているのに、相手にいやがらせをする、と捉える)
等々…。

言葉が違っても、「何を面白いと思うか?」というジョークの根本的な部分は同じ気がします。
ダブル・ミーニングのジョークなわけですが、日本人が英語を話す場合には、本当に相手の言葉を違う意味に取り違えることってありますよね。
それが場合によっては、ネイティブにはジョークに聞こえることもあるでしょうし、その失敗談を人に話すとウケたりもします。
「それはそういう意味じゃなくて!」的なジョークは、万国共通なんでしょうね?


(今日のポイント)
・gig という言葉のイメージ。
・タブル・ミーニングのジョーク。
日本でも同じようなジョークがあるなぁ、と感じることで、アメリカン・ジョークが身近に感じられます。私がこのブログで追求しているのは、「何が面白いのか?、何故そこで笑ってしまうのか?」という部分で、それがわからないと、自分でそういうジョークを言えるようにはなりません。
当たり障りのない会話ではなく、ジョークの一つも言ってみたい、と思われるなら、追求する価値はあると思います。


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posted by Rach at 09:36| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
チャンドラーがgigといえないのは、卑語だからだではないでしょうか。
Posted by ジョーイ at 2007年09月22日 22:41
はじめまして。leoといいます。

今日なんとなくネットサーフィンしていていつの間にかここにたどり着いてました。

私もフレンズで死ぬほど勉強しました。スクリプト全部落として、知らない表現は全部フラッシュカード+PC上の単語リスト+自分用のテストなんかを作成してやりました。辞書も全部Longmanで引きました。シーズン10が始まる頃には、字幕なしで爆笑できるようになってました。

似たような事をされている方がいるんだなあと思わず書き込みしています。あと、ALIAS、Smallville、他いろんなドラマでやりました。特にフレンズはRossの台詞を覚えて、彼と同じ速度で話せるまでやりました。

同じドラマでずっと勉強すると声に慣れて、より聞き取りやすい気がしました。もう本編を何回も見ているので、場面を思い出しながらまた記事を楽しみに読みたいと思います。

いっぱい書いてすみません。なんだか必死に勉強していた頃を思い出して、少し興奮してしまいました。
Posted by leo at 2007年09月22日 23:19
今GYAO(無料のインターネットTV/MOVIE)でフレンド見ているんですけどね 習ったこと出てくるかな〜って ・・・・
でも 今日の文章もそうだけど これぱっと一回聞いて絶対笑えないな〜と 汗・・・こうやって 説明受けてやっと・・・・

フレンズって ネイティブの人が見ると ハイジョークの面白いドラマかもしれないけど 理解できなきゃ 面白さ半減しちゃう!!
がんばらねば 
☆ momo
Posted by momo at 2007年09月23日 01:29
ジョーイさんへ
え? gig って卑語なんですか??

手持ちの英和や英英辞典(ロングマン、M-W)にはそれらしいことが載っていなかったんですよ。
Urban Dictionary にもありませんでした。

唯一、載っていたのが 朝日出版社 米英俗語辞典!
gig の語義がたくさん載っているのですが、その6番目にあります。
開き直ってはっきり書いちゃいますと(笑)、
gig=(卑)膣、外陰部 (gigi と同義)
とありますね。
その意味には、***(星印3つ)がついているのですが、それは「タブー、侮蔑、下品、無礼」な語に当たる、というマークだそうです。

確かにそういう意味があるんでしょうね。英英などに載っていないのが何とも残念なのですが(笑)。

フレンズ2-6(その5)
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470223.html
で gig という単語が出て来た時は、フィービーのライブ、という意味だったので、本来のギグの意味ですよね。

フレンズ3-3その27
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470829.html
では、
ジョーイ: Maybe, I should call this place and get them to put my Days of Our Lives gig on here. (多分、ここに電話して、担当者に俺の「愛の病院日誌(デイズ・オブ・アワ・ライブズ)」での仕事をここに載せてもらうべきだな。)
と、ここで既に gig という言葉を「仕事」という意味で使っています。

それを考えると、今回のセリフで gig が「仕事」という意味だとすると、それに今さら大袈裟に反応しているのは、ちょっと変な感じもします。
ですから、ジョーイさんのおっしゃるように、gig に「仕事」以上の意味を持たせた上で、「そんなことは俺の口からは言えない」と言っていると解釈する方が自然なのかもしれません。
俳優たるもの、いろんな言葉がしゃべれないといけない、卑語のような卑猥な言葉、ヤバい言葉も言えないと俳優にはなれないよね、という意味で、卑語 gig に反応している、ということでしょうか?
Posted by Rach at 2007年09月23日 08:52
leoさんへ
はじめまして。ご訪問&コメントありがとうございます。
「フレンズで死ぬほど勉強」されたとのこと、そういうお話を聞くととても嬉しくなります。
フレンズ関係のブログを書いている私が言うのも何ですが、フレンズは深く掘り下げ甲斐のあるドラマですよね。本当に多くのことが学べます。辞書も全部Longmanで引いた、というのはすごいですね。私はここ1年半くらいなんですよ、英英を頻繁に使うようになったのは。でも、英英で調べることの重要さを最近はひしひしと感じています。

leoさんの挙げられた作品は私は残念ながら見ていません。私が見たのは、アリー my Love(Ally McBeal)と、新スタートレック(Star Trek: The Next Generation)。→私、Trekkie なんですよ(笑)。
それぞれの作品で、それぞれのジャンルの語彙が身に付く気がしますね。やっぱり、自分の興味のある作品だと、そのセリフの意味を深く理解したいと考えますから、自然と調べるのにも力が入る、そこが大事なんだと思います。

レギュラー・キャラの声は慣れるから、かなり早口でラフにしゃべっていても、「聞こえないような音も聞こえてくる」くらいに聞き取りが楽になりますね。
自分の母国語ではない言語のドラマだということで、私も勘違いすることが多々あります。それを他の方から「そこはこういう意味なんじゃないですか?」と指摘をいただくことで「あぁ、そうか!」と気付いたことが何度もあります。leoさんは何度も本編をご覧になっておられるので、私の説明で「そこは違うんじゃないか?」と思われることがあれば、お気軽にコメントして下さいね。
Posted by Rach at 2007年09月23日 08:55
momoさんへ
GYAOでフレンズ見ることができるんですね。
フレンズはネイティブ向けのコメディですから、ノンネイティブの日本人が一回でパッと笑えない、のはまぁ、当たり前ですよね。やっぱり難しいと思います。

私も、とりあえずフレンズを一通り見て、それからこのブログを始めているので、今は2回目なんですよね。しばらく経ってから、再度同じエピソードを見て、「あぁ、そういうことだったのか!」とそのジョークに気付く、という部分がかなりあるのです。

このブログが、「今日からフレンズで勉強します。気付いたことを記事にします!」というものであったなら、気になる語彙・表現を調べるのが主になって、ジョークの内容を深く追求するところまでは行っていなかったと思います。

確かに難しい、でも、「文化の違うアメリカン・ジョークだからわかんない」ということはないんだ、と訴えたいのですね。その笑いのパターンに慣れてくれば、ジョークも予測できますし、決して理解不可能なものではないと思います。それを一つ一つ紐解いていくのが面白いな、と思う毎日です(笑)。
Posted by Rach at 2007年09月23日 08:57
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