2007年09月24日

イギリスは左側通行 フレンズ3-7その10

[Scene: Mattress King, Monica and Phoebe are shopping for a new mattress.]
マットレス・キングのお店。モニカとフィービーは新しいマットレスのショッピングをしている。
フィービー: Ugh! I don't know, Monica. It feels funny just being here. I mean, if you buy a bed from Janice's ex-husband, that's like betraying Chandler. (あー! モニカ、よくわからないけど、ただここにいるだけで変な感じよ。つまり、もしあなたがジャニスの元夫からベッドを買ったら、それってチャンドラーを裏切るみたいだわ。)
モニカ: Not at these prices! (この値段では裏切りにはならないわ。)
フィービー: (sees a little kid playing with a race car bed) (to kid) Hi. Y'know, in England this car would be on the other side of the store. (the kid just stares at her, and she makes the 'that went right over your head' motion) Woo! ([小さな子供がレースカー・ベッドで遊んでいるのを見て、その子に話しかける] はーい。ねぇ、イギリスではこの車は店の反対側[あっち側]に置いてないといけないのよ。[その子供はただフィービーを見つめる。フィービーは「今のはあなたには全くわからなかったわね。」というしぐさをして] ウー!)

CMを見ているだけでも顰蹙(ひんしゅく)な感じだったのに、ましてやそこで買い物をするなんて、というフィービー。
モニカはまだ値段のことを言っています。
こんな安い値段なんだもの、思わず買ってしまったって、それが裏切り行為にはならないわ、この値段では手を出さずにはいられないもの、という感じです。

レースカー・ベッドで遊んでいる子供に向かって言ったフィービーのセリフについて。
日本では車は左側通行ですが、アメリカでは右側通行ですよね。
そしてイギリスはどうかと言うと、イギリスは日本と同じ左側通行、だそうです。
Wikipedia 日本語版: 対面交通 にもそう書いてあります。)

「あなたは今これを運転してるのね? ここアメリカではこの車はここを走っているけど、反対側を通行するイギリスの場合は、反対側を走らないといけない、つまり、お店のあっち側にないといけないのよ。」とジョークを言っているわけです。

その後、フィービーが「このジョーク、この子には通じなかったわ。」と思った、というのは画面を見ているとわかりますね。
ト書きには、she makes the 'that went right over your head' motion と、彼女のしている行為の意味が書いてあります。

ロングマン現代英英辞典では、
go over somebody's head: to be too difficult for someone to understand
例) The explanation went completely over my head.

つまり、「誰かにとって理解するのが難しすぎること」。
例文は、「その説明は私には全くわからなかった。」

フィービーが、右手を、頭の上、前方から後方へ、さっと動かす仕草が面白いですね。
ネットスクリプトには、Woo! と書いてありますが、実際の音声は「ウーシュ!」のように聞こえます。
その子供には何のことだかわからない、と気付いて、「今のジョーク、あなたには難しすぎてわからなかったわね。」という意味でそういう仕草をしているようです。
あるいは、その子はその意味自体はわかったのかもしれないけれど、単に面白くなかったので、そのジョークに笑わなかっただけかもしれませんが。
単語も仕草もそうですが、「頭の上を越えて通っていく」感じで、「理解を超えた」雰囲気が出ている、比較的わかりやすい成句ですね。


モニカ: (lying down on a mattress) Oh! Ohhhhh! Oh! Phoebe, come here. Aw, this is my new bed! You gotta feel this bad boy! ([マットレスに横たわって] あぁ! あーぁ! フィービー、こっちへ来て。これが私の新しいベッドよ! フィービーはこのバッド・ボーイの感触を味わわないといけないわ!)
フィービー: Eh, Monica, it, it feels so weird, y'know, Chandler's your friend... (hops onto the bed) Oh! Oh, my God! Aw, all right, take this bed. You can make other friends. (モニカ、それってすごく変な感じよ。ほら、チャンドラーはあなたの友達でしょ? [ベッドに飛び乗る] あぁ、なんてこと! いいわ、このベッドを買いなさいよ。友達は他にも作れるから。)

モニカはマットレスの心地良さに感激しています。
this bad boy 「このバッド・ボーイ」というのは、「憎たらしいほど気持ち良くさせてくれるワルいヤツ!」みたいな感じでしょうね。
チャンドラーのことを考えたら悪いわ…とずっと渋っていたフィービーですが、その感触を味わった途端、コロッと意見が変わってしまうのに笑えます。
このベッドを手に入れることで、チャンドラーという友達をなくしてしまっても、友達は後でいくらでも作れるから…みたいなひどいことを言っていますね。
さっきまでずっと後ろめたさを感じていたのが嘘のようです。


(今日のポイント)
・go over somebody's head 「(人)の理解を超える、(人)にとって難しい」
・ト書きのヒントを読み取る。
フィービーが頭の上を手でヒューッとする仕草、私は最初、「ジョークが受けなくて恥ずかしかった」という感じ(汗をぬぐうようなイメージ?)だと思ったのです。
でもこれは、go over somebody's head という成句・イディオムを動作で表したもの、だったんですね。
これまでの解説でも、ト書きがなければわからなかった、ということがたくさんありました。
ト書きの情報、あなどれませんよ(笑)。


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posted by Rach at 09:25| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Not at these prices!について
私は「この値段は二度ない。(一回きりのチャンスだ)」と思っています。(Chandlerには裏きりになりますけど、そんな値段ならしょうがないです)
Posted by Fen at 2009年08月03日 12:38
Fenさんへ
フィービー: I mean, if you buy a bed from Janice's ex-husband, that's like betraying Chandler. (もしあなたがジャニスの元夫からベッドを買ったら、それってチャンドラーを裏切るみたいだわ。)
の後の、
モニカ: Not at these prices!
なので、省略している部分を補うと、
That's/It's not (like) betraying Chanlder at these prices!
(この値段では、チャンドラーを裏切ることにはならないわ[チャンドラーを裏切るみたいじゃないわ]。)
とモニカは言いたいのだろうと私は思います。
フィービーは裏切りだって言うけど、この値段ならそんなこと言えないわ、この値段を聞いて思わず買ってしまうのはしょうがないことだわ、という感覚でしょう。
Posted by Rach at 2009年08月11日 07:18
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