[Scene: Monica and Rachel's, Joey is entering, Phoebe is already there waiting for the delievery guy.]
モニカとレイチェルの部屋。ジョーイが入ってくる。フィービーはすでにそこにいて配達人を待っている。
ジョーイ: Hi! (はーい!)
フィービー: Hey! Ooh! How was teaching last night? (はーい! あぁ! 昨夜のティーチング[講義、授業]はどうだった?
ジョーイ: Oh, it was great! Yeah, you get to say stuff like, "Hey, the bell doesn't dismiss you, I dismiss you." (あぁ、最高だったよ! あぁ、こんなことを言うんだぜ、「おい、(終業の)ベルで授業が終わるんじゃない、終わりを宣言するのは俺だ。」)
フィービー: Ooooh, nice. (あぁ、ナイスね。)
dismiss は「(集団やクラスなどを)解散させる」。
ロングマン現代英英辞典では、
dismiss: (formal) to tell someone that they are allowed to go, or are no longer needed
例) The class will be dismissed early today.
つまり、「もう行ってよい、もしくはもう必要ではない、と人に言うこと」
例文は、「今日、授業は早く終了する予定だ。」
(The) class (is) dismissed. は「授業はこれで終わり。」と、先生が最後に言う言葉ですね。
映画インデペンデンス・デイにも dismiss(ed) は出てきました。
エイリアンに対する戦闘プラン(Battle Plans)のブリーフィングの後、指揮官がパイロットたちにこう言います。
You'll get your chance. You'll all get your chance. Good hunting. Dismissed! (君たちにチャンスはある。君たち全員にチャンスがある。素晴らしいハンティングをしてこい[素晴らしいハンティングになるように祈っている]。解散!)
この "Dismissed!" という「過去分詞だけ」が、英語っぽくてかっこいいなぁ、と思ったのですが。
ジョーイのセリフは、「”何が”授業を終わらせるのか」の主語について語っているわけです。
きっと、終業のベルが鳴ったので、ジョーイが話をしているにもかかわらず、片付けよう、席を立とうとした生徒がいたのでしょう。
そこで、「君たちを解散させるのは、ベルじゃない、俺だ。」と言っているわけですね。
かっこいいぞ、ジョーイ(笑)。
ジョーイ: Oh, and guess what, I got an audition for All My Children!
(あぁ。それから、何だと思う? オール・マイ・チルドレンのオーディションを受けることになったんだ。)
フィービー: Oh, yay! (あぁ、やったわね!)
ジョーイ: Yeah, it's this great part, this boxer named Nick. And I'm so, so right for it, y'know, he's just like me. Except he's a boxer, and has an evil twin. (そうなんだ。いい役なんだよ。ニックって名前のボクサーで。そして、俺はものすごくその役にはまってる[似合ってる]んだ。ほら、彼はちょうど俺みたいでさ。彼がボクサーで、邪悪な双子の兄弟がいる、ってことを除けばね。)
All My Children (オール・マイ・チルドレン)というドラマは、以前にもセリフに出てきました。
フレンズ2-19その10 で、
ガンター: I used to be Brice on All My Children. (僕は「オール・マイ・チルドレン」でブライス役をやってたんだ。)
というセリフでしたね。
その記事で、オール・マイ・チルドレンというドラマについて解説しています。
got an audition の get は、オーディションの権利をゲットした、という感じでしょうね。
自分がいかにそのボクサー役にぴったりか、というのを力説するジョーイ。
evil twin 「邪悪な双子の兄または弟」というのは、ソープオペラなどでありがちな設定ですね。
フレンズ2-12その10 では、
ロス: That's right! He's not Drake. He's Hans Ramoray, Drake's evil twin! (その通り! 彼はドレークじゃない。彼はハンス・ラモレーだ。ドレークの邪悪な双子(の弟)なんだ!)
というセリフがありましたが、これはエリカというストーカーを欺くための嘘でした。
ただ嘘を言うにしても、そういう昼メロにありがちな設定を持ち出しているところが面白いわけですね。
ジョーイ本人には、そういう双子の兄弟はいません。
フィービーにはそういうちょっと性格の悪い双子(アースラ)がいるので、彼女の方が適役なのかもしれませんね。
結局、ジョーイの話を聞いていると、そのボクサーとジョーイに共通点は感じられません。
ジョーイはボクサーでもないし、ボクシングが得意、という話も聞いたことがありませんし。
俳優が、いかにその役柄にマッチしているかを語る場合に、「台本を読んだ時、これは俺だと思った。俺しかやれないと思った。」などと言う場合がありますね。
そういうイメージで語ってみたのですが、Except 「…を除いて」の後に、そのボクサーの顕著な特徴(ボクサーであること、邪悪な双子がいること)が挙げられていて、「それ以外は似てる」と言っています。
結局、「それ以外」には大した特徴もないんでしょうね。
本当に似ているところがあれば、それを真っ先に言うでしょうから。
ですから、観客は「似てるって言いながら、全然違うやん。一体どこが似てるねん?」とツッコミを入れたくなるのですね。
そのジョーイの尻すぼみなセリフに笑えます。
(今日のポイント)
・"the bell doesn't dismiss you, I dismiss you." というセリフのかっこ良さ(笑)と、それに酔いしれているジョーイ。
・"he's just like me. Except..." 「彼は俺みたいなんだよ。ただし…を除いては、の話だけどね。」
そっくりだと力説しておきながら、その後、「…以外は」と条件を付けています。
結局、似てないんだ、ということがわかるオチですね。
(Rach からのお願い)
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フレンズは以前から日本語字幕で見ていたのですが、英語で直接理解できたらと思い、再度見直しているところです。Rachさんのこのブログも半年ほど前から、少しずつ拝見させて頂いております。
英文解釈だけでなく、米国文化を踏まえた深い考察にはいつも感銘を受けています。
Rachさんはジョーイの台詞、you get to say stuff like〜について、どのように解釈してますか?
①youについて
これは話相手のフィービーの事ではなく、一般論としてのyouだと解釈しているのですが、なんとなく違和感を感じてしまい、いまいち自信がありません。
というのも、一般論のyouは本当に普遍的な事象に用いるという思っていたからです。なお、辞書では下記例文がありました。
ジーニアス英和大事典
You get screwdrivers, can opener, pliers and large blade knighf - all in one compact, 100% stainless body.
"What happens if you heat ice?"
"If you heat ice, it melts."
LDOCE(5訂版)
You have to be 21 or over to buy alcohol in Florida.
You can never be sure what Emily is thinking.
例文はいずれも広告、自然現象、法律など場面で使用されており、一般論のyouは普遍性がかなり高いものに用いられると理解しています。一方でジョーイの台詞を一般論のyouと解釈すると『先生はみんなこんなstuffを言う』となりますが、普遍性が高いとは思えないため違和感を感じてしまいます。ジョーイのドヤ顔を見ても恐らく、彼がそう言ったのは間違いないと思うので、”I said 〜”の方がしっくりくるのですが、なぜyouなのでしょうか?
②get to doについて
最初、『〜するようになる』で解釈していたのですが、文脈に合わないので、辞書をひきました。合いそうだった和訳が『〜する機会を得る』だったので、今はそう解釈してますが、Rachさんはどのように解釈してますか?
③stuffについて
これは”Hey, the bell doesn't 〜”を指しているという解釈であってるでしょうか?
stuffはかなり漠然としているので解釈が苦手です。これ以外にも、3ー7冒頭のレイチェルの台詞”care so much about stuff”も解釈に苦労しました。今は『仕事、好きな事』ぐらいに解釈してます。
ちなみに同じように何かを指す表現でthingがありますが《3ー1のfantasy thing(コスプレ)や3ー7のblack thing(黒い下着)》、stuffとの使い分けは何か基準があるんでしょうか?辞書で調べても、微妙なニュアンスの違いは全く分かりませんでした。
なんとなくthingの方がぼかし度が高く、ちょっとエッチな話題にも使えるのかなと勝手に解釈してますが、もし正確な基準をご存知でしたら、ご教授お願いします。
はじめまして。コメントありがとうございます。拙ブログについてそのように言っていただき大変光栄で嬉しいです(^^)
さて、ご質問の you get to say stuff like... について。
1. you について
この you に関しては、mizさんのお言葉、
「ジョーイのドヤ顔を見ても恐らく、彼がそう言ったのは間違いないと思うので、”I said 〜”の方がしっくりくるのですが、なぜyouなのでしょうか?」
が、この you の本質をまさに突いていると思いました。
フィービーの質問が、「昨日の(ジョーイがした)演劇の講義はどうだった?」なので、「グレイトだった。俺はこんなことを言ったんだよ」という話の流れになるのが自然ですものね。
you は「あなた」以外に、mizさんがおっしゃった「一般の人々を表わす you 」の意味がありますよね。そして今回の場合は「一般の人々を表す you がさらに拡大して、自分をも指す」ことになる、「自分の体験を語る you 」といったものになっていると思われます。
この「自分の体験を語る you 」は、フレンズのセリフによく登場し、かつ、よくご質問を受ける箇所なので、シーズン1の追加記事として説明したことがありました。
その記事は、
主語youで自分の体験を語る フレンズ1-5その7
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471801.html
になります。
I ではなく、「相手も含めた you 」で自分自身を語ることで、相手に共感してもらいやすい、という効果があるようです。
上の記事内の説明でわかりにくいところがございましたら、またお尋ね下さいね。
2. get to do について
get to do は「するようになる」と訳すことが多いですよね。get には、「そういうことをする状況になる」というような「変化」の感覚があるように私は思っています。今回のセリフについては、「終業のベル」の話をしていることもあり、「講義しているとどんどん乗ってきて、最後にはこんなことまで言っちゃったりするんだよね、こんなことを言うまでになるんだよね」のようなニュアンスが入っているような気がしました。「そんな(かっこいい)ことまで言っちゃう、そういうことを言うレベルに到達する」というようなことかなぁ、と。
3. stuff について
say stuff like は、「(like 以下のような)感じのことを言う」でしょうね。ですから、something like のような感覚の stuff like になるのでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stuff
2. THINGS (informal) a number of different things
3. IDEAS (informal) the things that people say, think, write etc.
about
例1) She said some mean stuff about my brother.
例2) You don't believe all that stuff, do you?
この語義説明を見ていると、stuff = things とイコールで結べそうな感じで、かつ、stuff の方がインフォーマルである、ということになりそうです。
say good things about... 「…のことを良く言う」という表現もありますし、say の場合は、stuff でも things でもどちらも使えそうですしね。
stuff の語義欄に、SEE THESAURUS box at PROPERTY というのがあって、つまり、「(単語)property のシソーラス(類語)欄を見よ」ということなので、参照してみると、いわゆる「物、持ち物」のような日本語に訳される単語がいくつか並んでいます。
その中で特に things と stuff だけを見てみると、
things : the things that you own or are carrying
stuff: (informal) the things that you own or are carrying with you
となっていて、やはり、stuff の方がインフォーマル、でも語義はほとんど同じ、ですよね。
私は今まで何となく、stuff のようがより「漠然としたもの」を指すような気がしていたのですが、ロングマンの語義を見ている限りは「違いの正確な基準」というのは見えてこないので、ほぼ同じ意味である、入れ替え可能であると考えても良い気がしました。stuff の方がよりインフォーマルだから、フレンズのセリフでは stuff がよく登場するような気がする、というところでしょうか。インフォーマルだから、私には「より漠然としたニュアンスに聞こえた」ということだったのかもしれません。
you, get to, stuff はどれも「漠然としていて却って説明が難しい」言葉たちですね。私もこれからこの辺りの単語をもっと意識してセリフを見て行くことにします。
貴重なご質問ありがとうございました!
リンク先の解説も拝見しました。
you = people in generalの用法までは把握していたのですが、拡大解釈して自分も含める事があるというのは知りませんでした。辞書にはのっていない用法ですが、よく使われる表現のようなので良く覚えておきたいです。
ドラマや新聞・雑誌を通じてネイティブの感覚を身につけていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。m(_ _)m
こちらこそ、ご丁寧なお返事ありがとうございます。
リンク先の記事もお読みいただき、ありがとうございました。
「拡大解釈して自分も含める」というのは、辞書には載っていませんよね。こういう you が存在するんだ、、と意識し始めると、海外ドラマのセリフには結構出てくるので、「ああ、あれもこれもそうだ!」みたいに気付くようになってきます。
ドラマ、新聞・雑誌などの生きた英語で学ぶと、ネイティブの感覚をとらえやすくなりますよね。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします(^^)