2007年09月27日

サインを下さい フレンズ3-7その13

(There is a knock on the door.)
ドアをノックする音。
フィービー: Oh. (あぁ。)
(goes and answers the door and there is this huge black delievery guy.)
ドアに行って応対する。そこには大きい黒人の配達人が立っている。
男: Dom da-da dom! Hear ye, hear ye! Delivery from the Mattress King! (to Phoebe) You Miss Geller? (ダン・ダダ・ダーン! ヒェイェ、ヒェイェ! マットレス・キングからの配達です! [フィービーに] あなた、ゲラーさんですか?)
フィービー: Okay. (そうね。)
男: Sign here. (hands her a clipboard) (ここにサインして下さい。[フィービーにクリップボードを渡す])
フィービー: Oh, do I have a middle name? All right. Monica "Felula" Geller. It's that bedroom there. (points to Monica's room) (あぁ、私にはミドルネームがあるわね? わかった、モニカ・”フェルーラ”・ゲラー。それは向こうのあのベッドルームに(置いて)ね。[モニカの部屋を指差す])
ジョーイ: Hey, Monica bought a bed from the Mattress King? (ねぇ、モニカはマットレス・キングからベッドを買ったのか?)
フィービー: Yeah, so please, please, please, don't say anything to Chandler. (えぇ。だから、お願い、どうか、どうか、チャンドラーには何も言わないで。)
ジョーイ: You want me to lie to Chandler? (俺に、チャンドラーに嘘をつけ、って言うのか?)
フィービー: Is that a problem? (それは問題?)
ジョーイ: No. (いいや。)

ドアを開けてみると、いきなり、♪ダン・ダダ・ダーン! ヒェイェ、ヒェイェ!♪と歌いだす配達人(笑)。
マットレス・キングのCMのジングルか何かでしょうかねぇ?
ジングル(jingle)というのは、CMソングのことで、もしマットレス・キングにTVCMがあるとしたら、そういうお決まりのフレーズが流れるのかなぁ、という感じです。
配達人が訪問した時は、必ず客に向かってこれを歌うこと、という社内規定があるのでしょうね。

配達の際に、日本では「認め」といってハンコを押したり、手書きでサインをしたりしますが、それがこの sign ですね。
フレンズ2-21その2 で「お告げ」という意味の sign が出た時に説明しましたが、芸能人に「サインを下さい。」という場合は、autograph という単語を使って、"Could I have your autograph, please?" などと言います。
今回のように書類などにサインする場合の「署名」を表す名詞は、signature で、write one's signature で「署名する」という意味になります。
そして、上のセリフのように、sign を動詞として使うと、それだけで「署名する」という意味になるのですね。

こういう場合のサインには、ミドルネームも入れた正式な名前でサインをしないといけないのでしょうかねぇ?(私は英語でそういう受け取りのサインをした経験がないからわからない…笑)
私のイメージでは、絶対にミドルネームが必要だとも思わないのですが、今回は「ミドルネームを使ったジョーク」を言わせたかった、というだけかも。

ところで、フィービーがサインした、Monica "Felula" Geller について。
この、Felula というミドルネームは、モニカの本当のミドルネームではありません。
彼女のミドルネームが何か?については、フレンズ2-21その1 で詳しく触れていますので、興味のある方はご覧下さい。
簡単に書くと、「モニカのミドルネームの頭文字は E である」ということだけがわかっていて、正式なミドルネームは誰も知らないのです。

上のシーンを見てもわかるように、フィービーはサインをする場合には、ミドルネームが必要ね…と思って、とっさに Felula という名前を思い付いた、だから、その部分を強調してしゃべっていて、観客も「フィービーが勝手に名前をでっち上げてるぞ!」と笑っているのですね。

「俺に嘘をつけって言うのか?」と問い正されたら、それは普通、「俺には嘘なんかつけない、つきたくない。」という意味かと思いますよね。
それでフィービーは、「やっぱり嘘をつきたくないわよね。嘘をつくのはきっといやでしょうね。本当のことを言いたいわよね?」という意味で「それは(やっぱり)問題かしら?」と返します。
すると、ジョーイの返事は、あっさり "No."
「別に問題じゃないよ」ということで、ジョーイの「俺に嘘をつけって言うのか?」はただの質問だった、ということがわかるのですね。
心配して損した、拍子抜けだった、という感じですね。

日本語でもそういうやり取りのジョークがありますね。
アンタッチャブルのネタで以下のようなのがありました。

息子:父さんみたいな鈍感な人には、俺の気持ちはわからないよ!
父:(怒った調子で)おい、お前、今なんて言ったんだ!?
息子:(父の様子にたじろいで、小さな声で)「父さんみたいな鈍感な人には、俺の気持ちはわからない」って言ったんだよ。
父:なーんだ、そんなこと言ってたのかぁ〜(笑)。
息子:聞き取れなかったから、聞き直しただけかよっ!

脱線、失礼しました。
でも、パターンは似てますよね?


(今日のポイント)
・「サインを下さい。」
書類や受け取りなどの署名のサインと、芸能人のサインとでは使う英単語が異なります。
・「俺に…しろって言うのか?!」と抗議のように言っておいて、実はただの質問だった、そう言ってみただけだった、という「拍子抜け」するジョーク。
怖い顔で言っておいて、あっさり落とすのがポイントです。


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posted by Rach at 10:30| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サインはイニシャルだけが多いと思いますよ。だけど筆跡鑑定でもしない限り見分けつかないような適当なのが多いらしい、という友人談(さすがにあんまり見せてくれないので)。

Aliceって言う名前だったら、ぐにゃんと"A"を書いて横にちょこんと点を打ったり線引いたり、そんな感じです。日本人だと漢字が一番ですね。絶対に真似されないですし。

ちなみに、サインをして建物や部屋に出たり入ったりする場合、sign (someone) in、sign (someone) outって言う表現もありますよね。インターネットの世界もここから来ているんだと思います。

ジョーイはこちらの期待を裏切る答をするんで、ずっこけそうになることがしばしばです。
Posted by leo at 2007年09月27日 20:57
フレンズの場面が切り替わって新たな場面の最初に流れる音楽もジングルで「オ〜ル♪ナ〜イトニッポ〜ン♪」が日本で最初のジングルだそうです。(Do)You want me to〜 は、〜してほしいのかという質問の意味と〜しようかと相手の意向を積極的に聞く時の言い方があって後者の方がよく使われると思います。3-8 Monica : So, do you want me to watch Ben for you?(じゃあ、ロスに代わってベンを見ててあげようか?)Ross : Yes, that's what I was going to ask, thank you. (うん、そうしてもらおうと思ってたんだ、ありがとう。)
Posted by catch at 2007年09月27日 21:48
leoさんへ
情報ありがとうございます。やっぱり、きっちりとミドルネームを書かないといけない、というわけでもないようですね。正式で重要な書類なら、きっちり書くべきかもしれませんが、「受け取りの認め」なら、イニシャルだけで十分な気がしますし。
日本人がアメリカに住む場合は、「漢字で書けば真似されない」というのは確かにそうですねぇ。

「サインイン」というパソコン用語、ネット用語は、sign in 「署名して入る」から来ているんですね。

ジョーイのジョークは「こちらの期待を裏切る」ものが多いですよね。みんな、それぞれジョークにパターンがあって、各キャラのジョークに慣れてくると、ドラマを見るのがもっと楽しくなりますよね。
Posted by Rach at 2007年09月28日 10:18
catchさんへ
決まったシーンに決まったタイミングで流れる音楽も、jingle なんですね?
それを聞くと、あぁ、新しいシーンが始まるな、ってわかりますし。

おっしゃるように、Do you want me to...? は「…しましょうか?」と「相手の意向を積極的に聞く」使われ方の方が多いようですね。3-8 の例はまさにそうです。

日本語で「…して欲しい?」ということですが、「あなたがそれを望んでいるのなら、私はそれをしてあげる」という感じでしょうね。「…して欲しい?」と直訳してしまうと、少し傲慢に聞こえますしね。

でも、今回のジョーイのセリフは、「俺がチャンドラーに嘘を言おうか?」じゃなくて、「俺がチャンドラーに嘘をつくことを、フィービーは望んでいるのか?、俺に嘘をつけってフィービーは言うのか?」という意味でいいんですよね? そんな無茶なことを要求しているのか?みたいに聞こえるところがポイントですよね?
Posted by Rach at 2007年09月28日 10:20
Rachさんへ

マットレス・キングの配達人が発した“hear ye”には何か意味があるのではと思い、たどりついたのが
Answer.comで
What does hear ye mean? という質問と回答をみつけた。それにはこう書いてあった。

Traditionally, many English towns had an official called a "Town Crier", whose job was to stand in public and shout, or "cry" official announcements.
Often, he would attract attention by ringing a hand bell and shouting "Hear Ye, Hear Ye"
"Ye" is an archaic form of "you", so Hear Ye just meant "I want you to hear this", or "Listen Up!"
The custom survives in many places, especially in towns which attract a lot of tourists.
(伝統的に多くのイングランドの町にはタウンクライヤー《触れ役》といわれる役人がいた、彼らの仕事は公衆の前に立ち大声であるいは叫ぶようにお触れを読み上げた。
多くは、ハンドベルを鳴らして、"Hear Ye, Hear Ye"「皆のもの聞かれよ、みなのものきかれよ。」と叫んだ。
yeは古語のyouにあたる
この習慣は特に観光客をひきつける多くの場所で残っている。)

そしてこれこそが求めていた答えだと確信するに至った。

配達にまで宣伝を兼ねた中世の王国様式を取り入れたジャニスの元旦那さんの凝りようが偲ばれる一場面でありました。
Posted by teruchan at 2011年02月03日 22:05
teruchanさんへ
興味深い情報、ありがとうございます。

Hear ye, hear ye の部分の言い方は、非常に特徴的なものでしたから、確かに気になる部分ですよね。
私はスルーしてしまいましたが、その部分に注目され、いろいろと調べていただいたこと、感謝いたします。

まさに書いていただいた通りの「皆のもの聞かれよ」というニュアンスなのですね。その Town Crier も、"Hear Ye, Hear Ye" と2回繰り返すので、それをそっくり真似たのが、今回の挨拶だった、ということなのですね。

このマットレスキングの社長さんは、自らを王国のキングとしてキャラ作りを徹底していましたが(笑)、それが配達員の挨拶にまで及んでいたのですね。このフレーズが、「中性の王国様式」のものであるとわかると、その徹底ぶりが余計に感じられ、セリフがより面白いものになります。

貴重な情報、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2011年02月05日 09:25
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