フィービー: Oh, hey, hey, "Nick the boxer." Let's see what you got! All right ya, put 'em up. Come on. (they start shadow boxing) (あぁ、ねぇねぇ、「ボクサーのニック」。あなたの腕前を見てみましょうよ。いいわ、構えて。さあ来い。[二人はシャドー・ボクシングを始める。])
ジョーイ: Hey, you're ah, pretty good at this. (ねぇ、フィービーは、これ[シャドー・ボクシング]が随分と上手だね。)
フィービー: Yeah, well, I had to learn, I was staying at the "Y" and some of the young men weren't acting Christian enough. (えぇ。そうね、私は(ボクシングのやり方を)学ばなければいけなかったのよ。私は Y (YMCA)にいたの[滞在していたの、泊まっていたの]。そこでは、クリスチャンっぽく行動しない若い男が何人もいたから。)
ジョーイ: Ahh! (なるほど!)
I was staying at the "Y" の "Y" について。
これは、研究社 新英和中辞典にそのものズバリが載っていました。
Y (名詞)=[the 〜] (米口語)= YMCA; YWCA
例) He is staying at the Y. 「彼は YMCA に泊まっている。」
例文が、今回のセリフと同じですね。
そして、ご存知の方も多いと思いますが、Y.M.C.A. または YMCA とは、
Young Men's Christian Association 「キリスト教青年会」
の略称ですね。
ロングマン現代英英辞典では、
YMCA: Young Men's Christian Association an organization in many countries that provides places to stay and sports activities for young people
つまり、「多くの国にある組織で、若者のために、宿泊所やスポーツ活動を提供する。」
ですから、stay at the Y とは、「 YMCA が運営している宿泊施設に泊まる」ということですね。
私はそういう施設を利用したことはないのですが、一般のホテルなどに比べると、価格が安い、という利点があって、フィービーはよくそこを使っていた、ということでしょうね。
some of the young men weren't acting Christian enough. について。
Christian は「クリスチャン」「キリスト教徒、キリスト教信者」で、act Christian は「クリスチャンらしく、人道的に慈悲深く振る舞う・行動する」ということですね。
YMCA というキリスト教青年会のはずなのに、クリスチャンのように「清く正しい」人ばかりではなくて、女と見たら悪さをしようという輩もいっぱい泊まっていたのよ、とフィービーは言っているのです。
だから、自分の身は自分で守れるように、ボクシングなどの護身術を身に付ける必要があったのよ、ということです。
Y に泊まっていたのに、Christian の精神から外れた若者がたくさんいた、と言っているのが面白いわけですね。
(今日のポイント)
・"I was staying at the "Y" and some of the young men weren't acting Christian enough." というセリフの面白さ。
「Y (YMCA)に泊まっていたけれど、そこには、Chirstian の精神に反する人もいた」と、その看板と中身の不一致を語っているのですが、Y と聞いて、YMCA だな、とわからなければ、このセリフで瞬時に笑えませんよね。
他国の言語・文化を理解するためには、そういうちょっとした知識を少しずつ積み上げていくことが大事なんだろうと思います。
(Rach からのお願い)
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happysachikoと申します。
私も英語を海外ドラマで勉強してきた&勉強中の一人です。
「フレンズ」関係のサイトということで
のぞかせてもらいました!
私も娘を持つ主婦です。
今日はじめてサイトを拝見させてもらったのですが
とっても親近感がわきました。
ただいま「フレンズ」をランチタイムに
ほぼ毎日見ています。
ホントに「笑いながら」英語を覚えられますよね。
「フルハウス」「アリー・my・ラブ」なども
大好き!
これからも遊びに来させてもらいますね。
応援してます!
I was staying at the 'Y' で、YMCAのことだとピンとくるのはさすがですね。アメリカはプロテスタントの「宗教国家」ですから、一般のアメリカ人の生活のいたるところにキリスト教が入ってきていますよね。キリスト教の知識なくしては本当のアメリカを理解することはできないような気がします。
ところで、宗教をテーマに秋からブログを再開しました。お時間があれば覗いてみて下さい。
はじめまして。ご訪問&コメント、ありがとうございます。
フレンズ以外にも、フルハウス、アリー my Love …私も好きな作品です。
フルハウスは、NHKで再放送していたのを、何話か見た程度だったのですが、副音声で聞いた英語が楽しくて、これなら勉強できるかもと思いました。
フレンズより先にDVDが出ていたら、こっちで英語を勉強していたかも、と思うのですが、なかなか発売されなかったですよねぇ。
今でも時間さえあればじっくり見たいと思っているのですが…。フレンズやアリーの恋愛がらみの話とは違った、「家族愛」の感じられるキュートな英語がたくさん学べますよね。
アリーはDVDで全話持っています。フレンズと同じように、音声・字幕を切り替えて何度も見たので、本当に勉強になりました。このブログでも、フレンズで似たような表現が出てきた時に、アリーのセリフを引用したことが何度かあります。
同じ子持ち主婦として、わかり合える部分って多いですよね(笑)。
またそちらにお邪魔します。
これからもよろしくお願いします。
お久しぶりで〜す。コメント、ありがとうございます。
今回のポイントは、Y = YMCA ということで、それはもう、知らないとわからない、という話ですよね(笑)。
大人になってから「使える英語」を学ぶ、ということは、「試験に出る、出ない」というものさしで知識を判断しない、ということなのかな、と思います。
Y = YMCA なんて、別に単語カードにして覚えるようなものでもないし、それほどしょっちゅう目にする表現でもないかもしれない、でも、ちょっとそういう知識が頭にあったら、このセリフの面白さがわかるわけですよね。日頃から、いろんなことに興味を持って、ちょっとずつ知識を蓄積していくことが、いろんな場面で役に立つ、ってこともあるぞ、と訴えたかったのです(笑)。
宗教に関する知識はまさにそうですよね。宗教の話が直接英語の試験に出るわけではないとしても、そういう知識を持っていることは、その宗教に属する人の考え方を理解するのに大変役立ちますよね。
日本人は、他の国の人に比べて、「比較的」(人にもよりますが)宗教に関して寛容ですよね。そういう「宗教に寛容な人が多い」のが、日本の特徴である気がします。だから、新しいものを取り入れるのが得意だ、という話もありますね。宗教が他文化を取り入れることの障害、障壁となることが少ないからでしょう。
それから、ブログ再開についてお知らせ下さってありがとうございます。今、ちらっと拝見したら、かなりの量が書かれていたので(笑)、ゆっくりじっくり噛み締めながら読ませていただきますね。
本をたくさん読まれている博学のかいちゃんさんがわかりやすく書いて下さったものですから、宗教に関する知識の少ない私にとっては、絶好のテキストになると思います。自分の勉強のためにも、是非コメントも入れさせていただきたいと思っています。
今は運動会シーズン(明日の日曜日も運動会)で、しばらくはそういうスケジュールに振り回される毎日になりそうです。
(代休があったりとかで、思うように自分の時間が取れない…笑)
それが終わればきっと時間ができると思いますので、その時にかいちゃんさんの記事が読めるのを楽しみにしています。
Let's see+目的語が「軽い命令」だ、という話は、過去記事に書きましたね。
フレンズ2-24その15
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470689.html
ウェディング・プランナー: It's time. Bridesmaids and ushers... let's see two lines. Thank you. (時間よ。ブライズメイドと案内役の皆さん。2列に並んでね。ありがとう。)
その路線で行くと(笑)、今回のも、「軽い命令」で、「あなたの持っているものを見せて、あなたが獲得したものを見せて」という意味の、Let's see what you got! なんですね。
厳密に「命令」という意味だと、Let me see... 「私に見せて」となるんでしょうが、それを Let's = Let us と「私たち」とすることで、命令のニュアンスを和らげている、ということでしょうか?
ですから、Let's see what you got. は、Let me see what you got. とも言えるし、もっと素直に、Show me what you got. とも言えるわけですね。
「お手並み拝見」という訳は、そのニュアンスがよく出ていますね。
私が上の訳で「見てみましょうよ。」としてしまったのは、Let's =〜しましょう。という日本語の訳語にひっぱられたからのようです。
その見てみる行為をする相手が他人であれば、「あなたも私も一緒に見ましょう。」という解釈で良いのでしょうが、この場合は、その us の中に、行為をするジョーイが含まれているので、「二人でそれを見ましょう」→「あなたと私がいる、今、この場所でやってみせて。」みたいな感じが出る、ということでしょうか。Let's see と言う時点で、行為者にその行為をすることを促していることになるのでしょうね。
フレンズ2-14その3
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470379.html
で取り上げた、
レストランの経営者: Let's see if you're as good in person as you are on paper. Make me a salad. (書類上での君のように、実際の君も素晴らしいかを見てみることにしよう。僕にサラダを作ってくれ。)
も、本当は「軽い命令」なんでしょうね。それらしく訳すと、「…実際の君も素晴らしいのかどうか、見せてくれ。」ということですね。
フィービーの台詞””put'em up"について質問させて下さい。
put upをジーニアス英和大事典で調べたところ、『〈劇〉を上演する』とありましたので、『Nickを演じて見せてよ。』かな?と解釈してました。
しかし、よく考えたらNickを複数代名詞のthemで受けるのは、おかしいと気付きました。では、themは何を指すのか?それが分かりませんでした。
Rachさんの訳の『構えて』を拝見して、今は”them = your arms"と解釈してます。ただ、代名詞の機能はあくまで既出の単語を指すという事を踏まえると、それまで話題に出ていない”your arms”を指すのもおかしいのでは?という疑問があります。『両腕を上げて(構えて)』なら、”put your arms up”となりますよね?
”them = your arms"と解釈する根拠を無理矢理挙げるなら、フィービーが既にボクシングの構えを取っているため、”arms”という単語は言語化されていないけど”them = your arms"であることが明白である、という事が挙げられるかなと考えてます。ただ、いまいち確信が持てないです(^_^;)
このように、既出ではない単語を代名詞で表現するというのは、よくある表現でしょうか?
こんにちは。ご質問ありがとうございます。
このセリフの put up は「上にあげる」ことだろうと私は思いました。put の基本語義は「置く」ですから、「上の位置に置く、上方に置く」みたいな感覚ですね。
mizさんのお察しの通り、私は them = your arms だと解釈して、「構えて」という訳にしました。ですから、Put them up. = Put up your arms. という意味で理解したわけですが、your arms という言葉が事前に使われていない(your arms という単語が言語化されていない)としても、目の前にある your arms を them と表現することは可能だと思います。
「(少し離れたところにいる)複数の人間を見て」という場合に、事前に何の言及もなしに、"Look at them!" 「ほら、彼らを見て!」みたいに言うことがありますよね。指で指し示す、とか、話者がそちらの方向を見ている、などで、対象がわかっておれば、いきなり they/them で示すことも可能だろうと思うわけです。
そのように、いきなり、them 「彼ら」と呼ぶのと同じ感覚で、「ほら、それらを上げて!」と言えば、ボクシングの構えをするために腕を上げることだなとわかる、ということだと私は思いました。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で、they の語義を見てみると、
they : used to talk about two or more people or things that have already been mentioned or are known about
と出ています。
つまり、「既に言及された、またはそれについて知られている、2つまたはそれ以上の人やものについて語る時に使われる」ですね。
「既に言及された」という部分が、「既出の単語を指す」ことで、「知られている」というのは、会話している者同士が何を指しているかわかっている、みたいなことでしょう。今回の Put them up. については、ボクシングの話をしていて、「ほら、それ(ら)を上げて」だから、腕を上げて構えるんだよね、とわかる、みたいな、「言葉として既に言及されているわけではないけれども、何を指しているかお互いわかる」という感覚の them なんだろうと思いました。
theyの語義はきっちり確認したことがありませんでした。うかつ!!
ちゃんと会話の当事者同士が認識しているものを指すと定義されてるんですね!!
いやー、基本単語は本当に奥が深くて勉強のし甲斐があります。
お返事ありがとうございます。
私の解釈を「シックリきそう」と言っていただけて嬉しいです。私もこのようにご質問いただけたことで、改めて英英辞典などを調べることにもなったわけですから、私の方も勉強になりました。
基本単語のニュアンスは、たくさんの用例の積み重ねで掴んでいくしかないですよね。
貴重なご質問ありがとうございました(^^)