2007年10月19日

スクリュー フレンズ3-7その29

[Scene: Classroom, Joey is coaching his student.]
教室。ジョーイは生徒にコーチをしている。
生徒: Look, I just saw my best friend's brains smeared across the canvas, it's not gonna be me, not me. (なぁ、俺はたった今、俺の親友の脳みそがキャンバスに塗りつけられるのを[脳みそでキャンバスが汚れるのを] 見たんだ。俺はそんな風にはならないぞ。俺はならない。)
ジョーイ: Wow! That was good. That was... (points to his pocket) Tweezers? (わぉ! 今のは良かったよ。それは…[ポケットを指差して] ピンセット?)
生徒: No. (違います。)
ジョーイ: Whoa. That was really good. (うわぁ。今のは本当に良かったよ。)
生徒: Thanks, any suggestions? (ありがとう。何か忠告はありますか?)
(Joey gets the evil look on his face.)
ジョーイの顔が邪悪な表情になる。

canvas は絵を描くときに使う「キャンバス、カンバス」、それに使われる厚手の布を指しますが、ボクシングのリングの床のことも指します。
今回は、Nick the boxer (ボクサーのニック)のセリフを練習しているので、「リングの床」ですね。

smear は「…を塗りつける、汚す」。
ロングマン現代英英辞典では、
smear:
1. SPREAD
to spread a liquid or soft substance over a surface, especially in a careless or untidy way

つまり、「表面の一面に、液体や柔らかい物質を撒き散らすこと。特に不注意な、またはずさんなやり方で。」
4. INK/PAINT
if writing, a picture, or paint smears or is smeared, the ink or paint is accidentally touched and spread across the surface

つまり、「書いたもの、絵や絵の具が smear または smear された、ということは、そのインクや絵の具が偶然に触れられて、表面に広がる、ということ。」
4. の場合は、書いたものに手などが触れて、それがこすれてしまった、という感じですね。
いずれも、失敗して表面を汚してしまった、という感じがします。

brain はご存知、「脳」ですが、このように一人の人の脳でも複数形の brains で使うようですね。(大脳、小脳とかの部分に分かれているからでしょうか?)
日本語に訳すと、グロテスクなスプラッター映画みたいですが、相手に殴られて倒れて、頭から血などが飛び散って、リング中にその汚れがついた、ということでしょうね。
「頭がリングにたたきつけられたんだ。」というのをもっと衝撃的に表現している、もしくは本当にそれくらいひどい状態だったのかもしれません。
絵のキャンバスに乱暴に絵を書きなぐるように、ボクシングのキャンバスも血などで汚れた、というニュアンスかもしれません。
フレンズ2-18その4 では、エディーが彼女と別れた時の状況をこう説明していました。
エディー: It was literally like she had reached into my chest, ripped out my heart and smeared it all over my life! (それは文字通り、”彼女が俺の胸の中に手を伸ばして、心臓を引きちぎって、俺の人生に塗りつけた”って感じだったよ!)
この smear には毒々しい感じがしますね。

あまりに泣き方がリアルなので、フレンズ3-7その21 でジョーイが伝授したピンセットのアドバイスを使っているのか?と尋ねるジョーイ。
彼はそんなことをしなくても、演技に即、感情が込められるタイプの人のようです。

suggestion は「提案、示唆」で、何か良い提案はありますか? 今のに対して何か参考になるような意見はありますか?という感じ。
any suggestions? は決まり文句ですね。
ト書きの the evil look は、フレンズ3-7その21 で出てきた I've-got-a-fish-hook-in-my-eyebrow-and-I-like-it (眉毛に釣り針がついていて、それを気に入る)というやつですね。
ソープオペラ風の変なBGMに笑えます。


[Scene: Central Perk, Chandler, Monica, and Phoebe are there, yelling at Joey.]
セントラルパーク。チャンドラー、モニカ、フィービーがそこにいて、ジョーイに叫んでいる。
チャンドラー: You told him to play the boxer gay? (その生徒に、ボクサーをゲイで演じろって言ったのか?)
ジョーイ: Well, I-I might've said "super-gay." (あぁ。「スーパー・ゲイで」って言ったかもしんない。)
チャンドラー: You totally screwed him over. (お前は彼(の将来)をすっかりダメにしてしまったんだぞ。)
モニカ: Joey, you're this guy's teacher. I mean, how could you do this? (ジョーイ、あなたはその人の先生よ。どうしてこんなことができるの?)
ジョーイ: Because, Monica, the guy's so good, and I really, really want this part. (だって、モニカ、その男はすごく良かったんだよ、そして、俺はこの役を本当に本当に欲しかったんだ。)
フィービー: Well, if you really, really want it, then it's okay. (そうね、もしあなたが本当に本当にそれが欲しかったなら、問題ないわ。)

play the boxer gay ですが、これは play the boxer 「ボクサーの役を演じる」に補語の gay がついて、「ボクサーをゲイの状態で演じる、ゲイのように演じる」というニュアンスだと思います。
ジョーイはただそれを "Yes." と認めるのではなくて、「ただのゲイじゃなくて、スーパー・ゲイ(とびっきりのゲイ…?)で演じろ、と言ったかも…」と、もごもご言っているのがおかしいですね。

screw over は「台無しにする、騙す」。
この意味では screw up という形で出てくることが多いですね。
ロングマン現代英英辞典では、
screw up (phrasal verb):
screw somebody up, screw up somebody:
(informal) to make someone feel very unhappy, confused, or upset so that they have emotional problems for a long time

つまり、「誰かを非常に不幸にする、困惑・混乱させて、その結果、その人が長い間感情的問題を持つこと」
screw そのものは日本語のスクリューでもわかるように「ねじる」、また「ひねる、くしゃくしゃにする、搾り取る」という意味にもなります。
screw up 「ねじって上に持ち上げる」、screw over 「ねじってひっくり返す」みたいな感覚から、「だめにする、台無しにする」というネガティブな意味が生まれたのかな?と思います。

最後のフィービーのセリフ、言葉上はジョーイのしたことを許しているようになっていますが、本当はジョーイのしたことにあきれていて、あなたって人はなんてことするの?と言いたいのですね。
「本当に欲しいもののためなら、どんなにひどいことをしてもいいものね。」みたいに皮肉って言っているのです。


(今日のポイント)
・smear 「塗りつける」
・screw over, screw up 「台無しにする」
・ジョーイの演技のコツ「ピンセット」と「邪悪な表情」が登場。
そういうコツを生徒に伝授するシーンが先にあったので、絶対にその後どこかで再登場するんだろうと思っていました(笑)。


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posted by Rach at 09:35| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フィービーのおもしろさは常人?とは少し違ってる思考回路があって、そのことが可笑しいのですが、非常識な言動もありますが、時にそれが的を射る正論だったり、盲点をついたものだったりしますね、今回の最後の台詞も皮肉ではなく本音と受け取れるような気がしないでもないです。ある人の結婚式の介添人をレイチェルと競い合うのですがレイチェルに自分はレイチェルとちがって介添人をしたことがないと嘘を言って介添人役をレイチェルに譲ってもらうのですが、その嘘がばれたときの言い訳の台詞で
Phoebe: Because I cared enough to lie. と言っています。7-6
Posted by catch at 2007年10月20日 22:14
catchさんへ
今回のフィービーの最後のセリフは、その表情を見ると顔をしかめながらしゃべっていましたので、皮肉っぽい気がするのですが、really really want it ならオッケーよ、というのは、ある意味本音かもしれませんね。

7-6 のそのセリフは、説得力がありますね(笑)。「だって、私は嘘をついてもいいと思うほど、そのことを気にかけていた(それをしたいと思っていた)んだもの。」という感じでしょうか。サスペンスドラマで「彼のためなら、犯罪者になってもいいと思うほど、彼を愛していたのよ。」みたいな強い情熱が感じられますね(笑)。

今回のジョーイの言い訳も、「先生が生徒を騙すという非倫理的なことをしたとしても、それでも俺はこの役が絶対に欲しかったんだ。」という感じですよね。
Posted by Rach at 2007年10月21日 09:38
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