DVD学習法の最終段階「英語音声、英語字幕」における「調べ方」について、
私は英和辞典をこう使った では、主に単語についての調べ方を語りました。
今回は、それ以外のものについて述べます。
また、それがどのようにジョークと絡んでくるか、についても語ります。
・イディオム(慣用句)
単語と同じように辞書で調べます。
イディオムは、複数の単語が連結して、元の単語の意味とはかけ離れた意味を持つものです。
つまり、比喩のような形になっているので、ジョークに使われやすいんですね。
ジョークと絡めて覚えることで、そのイディオムが忘れられなくなります。
例えば、
フレンズ2-24その4 でこんなシーンがありました。
役作りのために男性とキスする練習をしたいジョーイがロスを見つめると、
ロス: Over my dead body. (絶対にいやだ。[僕を倒してからにしてくれ。])
今度は、ジョーイの視線がチャンドラーに。
チャンドラー: And I'll be using his dead body as a shield. (そして俺はロスの死体を盾として使うぞ。)
これは「絶対にイヤだ、ダメだ。」というイディオムの over my dead body が出た後に、dead body を使ったジョークを言っているわけです。
そのジョークのお陰で、Over my dead body. というイディオムも忘れないし、そのイディオムを使ったジョークも覚えられるわけですね(笑)。
辞書で確認して、そのイディオムの成り立ちや使用例を読むと、セリフのニュアンスがよりはっきりすると思います。
・知らない固有名詞
有名人の名前とか商品名など。
これも「何かの例え」として、ジョークに使われやすいので、日本人にはパッとわからないものが多いです。
所謂「サブカルネタ」というやつですね。
まぁ、これは気持ちや時間に余裕があったらやって下さい(笑)。
別にこれがわからなくても、英文解釈として問題はないのですが、ジョークに笑えない、という寂しさも味わうことにはなりますね。
この「調査」には、結構時間がかかるので、「絶対に調べた方がいい」とは言いませんが、これを調べて、そのジョークの意味がわかった時は格別です。
「そんな細かいこと知ってどうする?」という方は必ずおられると思うのですが、私は「テストに出る、出ない」という判断基準で、英語に関する知識を分けたくないのです。
受験勉強であれば、そして TOEIC で高得点を取ること”だけ”が目的であれば、そういう試験に出ない知識を調べる時間は全くの無駄でしょう。
でも、「英語を使いこなしたい、英語を楽しみたい」のなら、視野を広く持って、いろんな情報を貪欲に取り込んでいきたいと思うのですね。
ちょっとした豆知識で、英語をもっと楽しめるようになる、楽しめるようになれば、もっと英語を深く知りたくなる。
そういう相乗効果が必ずあります。
・アメリカン・ジョークはわからない、という方に
「文化的背景が違うため、アメリカのジョークは日本人にはわかりにくい」という意見がありますが、フレンズを見ている限りは、「笑いどころ」に関して、あまり違和感は感じませんね。
私は関西人なのでどうしても吉本新喜劇と比べてしまうのですが(「一緒にするなぁ〜!」というご意見もあるかもしれませんが…笑)、ジョークのパターンが似ていると思う部分がたくさんあります。
「忘れた頃に少し前の話題を持ち出す」ような「まだその話してんのかい!」的ジョーク、
相手の言葉を別の違った意味に解釈するジョーク、
など、英語字幕をしっかり追っていけば、日本人にも十分理解できるものがたくさんあります。
なぜアメリカン・ジョークはわからない、というイメージがあるかというと、それは日本語字幕や吹替で見ている時にそう感じたから、という方も多いかもしれません。
それは当然のことで、長さに制限のある日本語字幕や吹替では、笑うために必要な情報をすべて盛り込むことが不可能、だから、わからない、んですね。
上に上げたイディオムやサブカルネタの場合も、その内容を知っていて初めて、それを使ったジョークが面白く感じられるわけです。
英語のジョークの面白さを100%訳しきれないと判断された部分は、おそらく別の日本語のジョークなどに置き換えられてしまうでしょう。
そうすると、その「英語本来の意味から来る面白さ」を感じることができない、「どうしてこのセリフで観客は笑ってるの? アメリカ人の感覚ってわかんない。」ということになってしまうわけです。
ジョークではないのですが、よく似た単語を聞き間違う、というシーンが、フレンズ2-24その10 に出てきました。
bassinet 「新生児用かご型ベッド」を、basset 「バセット犬(胴長短脚の猟犬)」に聞き間違えたのですが、DVDの日本語訳ではそれが、「ベッド」を「ペット」に聞き間違えたことになっていました。
英語と意味もほとんど同じで、同じように聞き間違えることの可能な、発音の似た日本語に訳せた、なんて奇跡に近い!(笑)。
これは、非常に稀有な例だと思います。
オリジナルの英語のセリフでは、ストーリーに関連づけながら、ダジャレや言葉遊びに使う単語を選びますよね。
その意味を訳そうとすると、言葉遊びにならなくなる…だから、笑わせるように日本語のダジャレに変えてしまうと、ストーリーとは関係のない言葉が使われてしまうことになって、その脚本の妙が味わえない、ということになるのですね。
ダジャレはもちろんのこと、英語のセリフの本来の面白さ、というのは英語でないとわからない、だから英語の字幕を調べて欲しい、と思うのです。
上のサブカルネタの話ともカブりますが、ただその人名や商品名を知らないから笑えないだけ、それがどういう人かどういうものか知れば大笑いできる、というのもたくさんあるんですよ。
英語でジョークの一つも言いたいな、と思うなら、やはりジョークのたくさん出てくる映画やドラマを見るしかない、と思います。
洒落た恋愛の会話を学びたければ、おしゃれな恋愛映画をたくさん見ればいいし、エッチな言葉をたくさん覚えたければ、エッチなビデオ(?)を見ていれば自然と覚えられる(笑)…それと同じですね。
ジョーク、またはユーモアに溢れたセリフ、なんて、なかなか自分で生み出せるものではないですし、人からその作り方を教えてもらうようなものでもありません。
日本語の場合でも、漫才を見たり、テレビでお笑い芸人の人がしゃべったりするのを見て、その「笑いどころ」みたいなものを人は学んでいる気がします。
ドラマでジョークやユーモアの混じった「複数の人のやり取り」を見ることで、そのボケとツッコミ、笑いのノリみたいなものが身に付いていくのかな、と思います。
英語のセリフを聞いて、自分も観客と同じように笑うことができたら、それはその「笑いどころ」が自分にもわかった、ということの証明です。
「何が面白いのか」「ネイティブは何を面白いと感じるか」が分かれば、自分もそういうジョークやユーモアを使えるようになる、と私は信じています。
だからジョークを解説する時はいつでも、「どこが面白いのか?」に注目しているわけですね。
(今日のポイント)
・イディオムやサブカルネタはジョークによく登場する。
それが意味するところがわかっていれば「笑える」、ということに気付けば、英語のジョークがより身近に感じられるようになります。
・ジョークを使えるようになるには、まずジョークの面白さを理解することから始める。
その面白さの本質がわかって初めて、自分でも使えるようになるのでしょう。
ユーモアの要素は会話にとても大切です。
だから、私は笑いどころの多い「シットコム」をオススメしているわけですね。(最後は宣伝かよ!…笑)
(Rach からのお願い)
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Over my dead body.と答えていたのを思い出しました。そんなにいやなのか・・という感想とともにこのイディオムを覚えました(笑)。でも確かにフレンズは、映画館というよりお茶の間で楽しむ番組という気がします。
英語を勉強する動機に、映画やドラマを英語のまま楽しみたいというのがよくありますが(私もそうですが)、それには英語だけじゃなく、Rachさんのおっしゃるようなサブカルネタがわかるっていうことも必要ですよね。インターネットのある時代に生まれてよかった(笑)。
フレンズ映画化について、ジェニファーは、Over my dead body. と答えたんですかっ?(笑) それは知りませんでした。
結局、シーズン10まで続きましたが、女優としては、いつまでもレイチェルのイメージを持ち続けられてしまうのは辛いんでしょうね。他のメンバーも、そのイメージから抜け出すのに苦労しているのだろうと思います。
確かに映画よりもあの長さのドラマが合っている作品ではあると思いますね。
「英語のまま楽しむ」には、サブカルネタがわかることは大切だと思います。私も本当にインターネットのある時代に生まれて良かったと、しみじみ思っています。私は海外生活の経験がなくて、どうしても情報が限定されてしまうのですが、インターネットのお陰で、いろんなことを知ることが出来ました。この検索技術が存在しなければ、Rach というブロガーも存在していませんね(笑)。
いつも勉強になってみています。私は今大学4年で卒論を書いていて
それがFRIENDSをみてなぜ日本人には理解できないジョークがあるのか、
というものです。RachさんはFRIENDSを見てジョークの理解が難しいエピソードとか特にチャンドラーはよくジョークを言いますが、理解できないものとかありますか?もしあったらエピソードいくつか、何話目か教えていただけないでしょうか?Over my dead bodyについては吹き替えでは理解できないものですね。そういった点では英語字幕でみるメリットがあるのでしょう。
はじめまして。コメントありがとうございます!
フレンズのジョークに関する卒論なのですか!? それはとても興味深いです。
フレンズのジョークは、レベルの低いものから(笑)、非常に高度なものまで、大変幅が広いですね。
特にどのエピソードが難しい、というイメージはなく、どのエピソードにも、いろんなレベルのジョークが入っている、という感じがします。
理解できないものはたくさんありますよ。理解できない、というか、よくわからない、というものは本当にたくさんありましたので、どのエピソードか?と具体的な話数を挙げることができません。
初期のシーズン1の頃は、このブログでの解説も大雑把なのですが、それは多分、ジョークの意味を上手く説明できないと思ったから、意識的にか無意識のうちにか、解説を飛ばしているのだろうと思います。
それでも、後から質問をいただいたりした場合は、自分なりに「仮説」を考えてみて、一応の見解は出しているつもりですが、それが「正解」かどうかは、脚本を書いた人に尋ねてみないことにはわからないのです。
Over my dead body のように英語の言葉を使ったジョークは、英語で理解しないことには絶対にわかりませんよね。また、文化の違いとか、固有名詞などのサブカルネタが出てくるのも日本人にとっては辛い部分です。
ご質問の答えになっていないようで、申し訳ありません。このブログでは、私がわからないと思った部分については、「よくわかりません」と書いた上で、「一応、私はこんな風に考えてみました」という見解を述べています。過去記事をざっと見ていただいて、その辺りを何かの参考にしていただけたらな、と思います。
「どこを面白いと思うか?」というのは人それぞれで、このブログで書いているのは、あくまで私の印象に過ぎません。もし論文を書かれるのであれば、atsushiさんが面白いと思ったジョークに焦点を当てて、どういうところが日本人にわかりにくいかを突き詰めてみる、というアプローチもいいかな、と思います。
頑張って下さいね。