2007年10月23日

脚の長さが違う フレンズ3-7その32

自分が通っているカイロプラクターを必死に弁護するレイチェル。
レイチェル: And um, excuse me, he helps me. (それから、あなたたちには悪いけど、彼は私を救ってくれるのよ。)
ロス: Oh-ho please. Ask her how? (もう、よしてよ。[ドクターに] どのように助けになってくれているか、彼女に尋ねて下さい。)
ドクター・グリーン: What do you need help for? (何のために助けが必要なんだ?)
レイチェル: My alignment. I've got one leg shorter than the other. (私の身体が真っ直ぐになること、よ。私は片方の脚がもう片方の脚より短いの。)
ドクター・グリーン: Oh, my God. (なんてこった。)
ロス: Argue with that. (説得してやって下さいよ。)
レイチェル: What? It's true, my right leg is two inches shorter! (何? 本当よ。私の右脚は2インチ短いんだから!)
ドクター・グリーン: Come on, you're just titling! (to Ross) Her legs are fine. (冗談だろ。お前はただ傾いているだけだよ! [ロスに] 彼女の脚は問題ない。)
ロス: I know that. (わかってます。)
ドクター・グリーン: So what do you let her go to a chiropractor for? (それじゃあ、どうしてロスはレイチェルをカイロに行かせてる[行くのを許してる]んだ?)
レイチェル: I'm sorry, "let her"? (何ですって? 「行かせる」?)

alignment は「一直線、一直線にすること、位置合わせ」。
ロングマン現代英英辞典では、
alignment: [uncountable] the state of being arranged in a line with something or parallel to something
つまり、「何かと一列になって、または何かに対して平行に、配置される状態」
alignment だけだと漠然としていて意味がわかりませんが、その後のレイチェルの説明で何のことを言っているのかがわかります。
体が真ん中で線対称になっていない、という感じでしょうか。

argue with は「…と議論する」ですから、その今のレイチェルのコメントに対して、いろいろ言いたいことがあるでしょうから、論理的に議論して論破してみて下さいよ、というところですね。
恋人の僕がいくら言っても聞かないから、今度はパパから言ってやって下さいよ、ということです。

そこでパパは説明します。
立っている時に体が傾いているから、そんな結果が出るだけだ、しゃんと真っ直ぐ立ってきちんと計れば、同じ長さという結果が出るに決まってる、お前は騙されてるんだよ、とパパは言いたいのですね。

let her という言葉にカチンと来たレイチェル。
私はもういい大人なのに、子供みたいに「行かせる、行かせない」とかいちいち恋人に許可を貰う必要なんてないはずよ、ということです。


ロス: What can I do, she doesn't listen to me about renter's insurance, either. (僕に何ができますか? レイチェルは借家人[レンター]の保険についても僕の言うことを聞かないんですよ。)
ドクター・グリーン: Wait a minute, you don't have renter's insurance? (ちょっと待て。借家人の保険に入ってないのか?)
レイチェル: No. (えぇ、入ってないわ。)
ドクター・グリーン: Well, what if somebody steals something? How are you gonna run after him with one leg shorter than the other? (そうか、もし誰かが何かを盗んだらどうするんだ? どうやってその泥棒を追いかけるつもりなんだ、片方の脚がもう片方の脚よりも短いっていうのに。)
(Both he and Ross start laughing)
ドクターとロスは二人で笑い始める。
ロス: Hey, would you ah, would you like some juice? (あの、ジュースはいかがですか?)
ドクター・グリーン: I'd love some juice. Thanks. (ジュースを貰えるかな。ありがとう。)
ロス: Okay. (to Rachel) Wow! This is going so well! Did you see us? Did you see? (わかりました。[レイチェルに] わぉ! 今回はすっかりうまく行ったね。僕ら二人を見た? 見た?)
レイチェル: Yeah, honey, I was standing right there. Why didn't you just tell him about the mole I haven't got checked yet. (えぇ、ハニー。私はその話の真っ只中に立っていたもの[その時そこにいたもの]。私がまだ検査してもらっていない、あざ(ほくろ)について、どうしてパパに言わなかったの?)
ロス: Excellent! (それはいいね!)

renter's insurance は「借家人の保険」ということで、詳しいことはわかりませんが、こんな風にアパートを借りている場合、そのアパートを傷つけたりしたときに、保険に入っていれば、全額負担しないで済む、とかそういうことなんでしょう。
レイチェルは健康保険にも入ってない、という話が、フレンズ1-17その1 で出てきましたが、健康保険に入っていないのなら、アパートの保険にも入っていない、という話も頷ける気がします。

話のついでに、関係ないことまでパパにバラさないでよ、と苦々しい顔で怒っているレイチェル。
with one leg... は「片方の足が…という状態で」ということ。
お前の言うように本当に2インチも違っていたら、追いかけるのすら大変だぞ、と言っているのです。

すっかり意気投合してしまったパパとロス。
誰かの悪口を言っている間に仲間意識が生まれてしまった、みたいな感じですね。

パパと仲良くなれて嬉しいロス。
レイチェルを悪者にしたことも忘れて喜んでいるのでレイチェルは不満そうです。
レイチェルはそこで mole の話を持ち出します。
mole は、ロングマン現代英英辞典では、
mole: a small dark brown mark on the skin that is slightly higher than the skin around it
つまり、「肌にある小さな濃い茶色の跡で、その周りの皮膚よりも少しだけ高くなっているもの」。
この意味を考えると「ほくろ」を指すようですが、英和辞典には「ほくろ、あざ」と書いてあります。
要は、皮膚に出来ている少し色の違う部分を指すのかなぁ、と思います。
このレイチェルの言っているものも、ほくろみたいな感じの変色したできもの?みたいなものかもしれません。

Why didn't you just tell him about the mole I haven't got checked yet. について。
the mole の説明を文にすると、I haven't got the mole checked yet. になるでしょうか。
「私はまだ、そのあざのチェックを受けていない、あざの検査を受けていない」ということでしょうね。
「get+目的語+過去分詞形」で「…を〜してもらう」ということです。
get one's shoes shined 「靴を磨いてもらう」などと同じですね。

mole があざのようなものだとすると、それが何かの病気に繋がる可能性もある、ということでしょうか。
きっとロスに「そこにあざみたいなのがあるよ。一度、お医者さんで精密検査してもらった方がいいよ。」などと言われて、そのままになっている、という感じかなぁ、と思います。
脚が短いと思い込んでいること、借家人保険のこと、といろいろと言われたので、そのついでに「あざがあるのに、精密検査を受けようとしないんですよ。」ってこともチクっちゃったらどう?とちょっとヤケになって言っているのですね。

そしたらそれをロスは真に受けて「それはいい!」と言っています。
ますますパパに怒られることになりそうなレイチェルです。


(今日のポイント)
・alignment という漠然とした名詞の意味を、他のセリフから掴む。
その言葉そのものを知らなくても、それを説明したセリフから内容がわかる場合もありますね。
英語の試験でわからない単語が出てきた時も、そうやって意味を類推することができます。
・let her という表現にカチンと来たレイチェル。
「許可する、許す」という単語を使われたので、子供じゃあるまいし!と怒ったのですね。
日本語でも「させてやる」などと言われると、言われた方はムッとします。日本語でも英語でも、言葉は選ばないといけないし、そのちょっとした言い回しがトラブルの元になったりもするわけですね。


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posted by Rach at 10:16| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ロス: Okay. (to Rachel) Wow! This is going so well! について
This is goingは相手の話してる事柄の結末が読めたとか、話していてどういう状況になるかがわかった時に使われます。ここではドクター・グリーンと話がはずんでレイチェルの望みどおりに仲良くなれそうだという感じでしょうか。
Ross : You remember the scene with Jabba the Hutt? Well, Jabba had as his prisoner, um, Princess Leia. [Rachel smiles, starting to understand where this is going] Princess Leia was wearing this gold bikini thing. It was pretty cool. 3-1
Posted by catch at 2007年10月23日 22:37
moleを検査してもらう、のことですが。
ほくろが急に増えたり、大きくなったり、周囲の皮膚に赤みが出たり・・ということがあったら、皮膚ガンの初期の可能性があるのでお医者さんに見てもらった方がいい、と言いますね。
melanoma(皮膚ガンの一種)は進行も早いし、特に皮膚の色の薄い人は気をつけないと、という意識が高いのです。(うちの娘のかかってる小児科の先生は「皮膚の色には関係なく、余分に紫外線を受けないように、日焼け止めを使え」と言います。彼女自身黒人なので、その台詞には結構重みがあるのです。)
するべきなのはわかってるけど、つい後回しにしたり「ま、いいや」で済ませてしまう、という点では、renter's insuranceレベルかも。

ちなみに、うちは入ってます、renter's insurance。あんまりものも持ってないし、補償額もほぼ最小限なので掛け金は月に12$くらいだったかなぁ。
Posted by おちか at 2007年10月24日 01:20
catchさんへ
This is going so well! Did you see us? Did you see? (今回はすっかりうまく行ったね。僕ら二人を見た? 見た?) という私の訳、間違ってますね(笑)。

Did you see us? の過去形につられたみたいです。This is going so well. は過去形じゃないですよね。未来形、それも -ing形を使った未来形なので、このまま行けば、確実に go well な結果になる、という「確率の高い」未来形ですね。「これは…という風に間違いなくなるよ。」みたいな感じでしょうか。
だから、訳としては、「これはすごくうまく行きそうだね。」となるでしょうか。

例に挙げていただいた 3-1 の understand where this is going という表現は、「この話がどういう方向に進んでいくかがわかる」つまり「ロスが何を言おうとしているのかがわかる」ということですね。
フレンズ1-10その2 にも、
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470065.html
チャンドラー: I see where this is going. (言いたいことがわかったぞ。)
というセリフがありました。

BTW
私が使っているネットスクリプトには、3-1 のそのト書きの部分がないんですよねぇ。そのト書きのあるスクリプトをネットで発見できなかったのですが、その部分はもしかして、catchさんがそのシーンを英語で描写したものですか!?
Posted by Rach at 2007年10月24日 07:12
おちかちゃんへ
お久しぶりです! コメントありがとうございます!
mole を「ほくろ」と訳しちゃうと、「ほくろを検査する、って何だろう?」みたいに、日本人にはあまりピンと来ないかな、と思って、「あざ」のことだろう、と書いたんですが…。
やっぱり、「ほくろを検査する」でも違和感はないんですね。確かに、生まれた時からあったのと同じ状態なら、別に検査の必要もないだろうけれど、その状態に変化が見られたら、皮膚ガンの可能性などが考えられますよね。

皮膚の色の薄い人は、あまり日に当たりすぎると、皮膚ガンになりやすい、というイメージはありますよね。
日本でも、昔は、「日焼けしている子」→「元気な子」みたいなイメージがあったけれど、最近は幼稚園のプールなどでも、日焼け対策をしている、という記事が新聞に載っていました。真っ黒に焼けていれば健康だ、みたいなのは、昔の話のようです。キツ過ぎる日差しは、確かに肌に悪そうですから。

おちかちゃんは、renter's insurance に入っているんですね。月額$12かぁ。こういうのはほんと、実際にアメリカにいる方に聞くのが一番早いですね(笑)。貴重な情報、ありがとう!
Posted by Rach at 2007年10月24日 07:14
スクリプトは基本的にhttp://home.versatel.nl/friendspic0102/を使っていますが、ネットでいろいろありますね。
フレンズでの台詞の細かなところまで忠実なものもあれば、間投詞や台詞がかぶってるところは省略してあったりいろいろですね。私のものは初期の頃はいろいろなスクリプトが混じってるようです。もちろんスクリプトに英語で付け加えるほどの英語力はありません。私のスクリプトのデーターベースはテキスト形式ではなくHTML形式で作っています。
決まり文句は大文字にしたり、色を変えたり、小文字で注意書きが出来ます。今回のThis is goingの表現も大文字になっていて24回出てきました。Rachさんが詳しく解説してくれるので辞書を引く手間が省けます。人に頼るのが英語の進歩しない原因でしょうね。あとはDVDをMP3の変換するソフトで音声にして、毎日音声を聞きながら通勤しています。
これも集中力がそがれるので効果はあがりません。フレンズは英語学習には最高だと思うのですが、教科書と違って、いきなり応用問題が出るのがネックですね。前回swim here? を取りあげておられましたが。I'll walk home. (歩いて帰るよ)I'll drive you home. (車で家まで送るよ)のような基本が大事なんでしょうね。シットコムだから泳いでくることが成り立つのでしょうね。
Posted by catch at 2007年10月24日 21:40
catchさんへ
スクリプトについて説明していただいてありがとうございます。
示していただいたスクリプトは私も使っています。これはHTML形式になっていますよね。
私のブログのサイドバーに2つのネットスクリプトのリンクをはっているのですが、そのどちらにも、understand where this is going というト書きがなかったので、あれ?と思ったんですよね。
私も今まで、ネットで検索をかけていて、同じ話でもスクリプトがかなり違っているものに出会ったことがあります。

catchさんご自身で、HTML形式に手を加えておられるので、検索用データベースとして使い勝手の良いものになっているのですね。素晴らしい! 私の場合は、ブログの記事として投稿した部分は、それなりにデータベース化されていると思うのですが、まだ解説していない部分については、きちんとしたデータベースにはなっていません。それを1話でも多く、きちんとデータベース化したい、という思いが、このブログを続けている理由なのかもしれません。

>人に頼るのが英語の進歩しない原因でしょうね。
またまたぁ〜、そんなご冗談を(笑)。catchさんだったら「スクリプトに自分で英語のト書きを付け加える」ことも可能だろうな、と思ったくらいなのに(笑)。
私の解説があるために辞書を引く手間が省ける…なぁんてことはないと思うのですが、私なりに調べられる限りは調べようという気持ちはいつも持っています。「私はこんな風にして調べた、そこからこう結論付けた」と詳しく書いておくと、どこで道を間違ったかが(笑)、はっきりわかるだろうな、と思うからです。

DVDをMP3に変換して持ち歩く、という話はよく聞きますね。私は「持ち歩く」場所がないのです。たまにお出かけする時に、iPod shuffle で聴いてみたりもするのですが、周りの音でそんなにクリアには聞こえなくて、あまり勉強になった気がしません。…ってことで、結局、電車の中では音楽を聴いていたりするのですが(笑)。

フレンズはいきなり応用問題が出るのがネック、というお話、大変よくわかります。私はそういう意味でフレンズは「容赦がない」と思っています。だから、わからない部分は「今はわからない」ままでいい、と。

Swim here? については、何をそんなにしつこく解説してるんだ、と思った方も多かったかもしれませんが、私は面白いな、と思ったのです。受験英語をやっていたころは、そんなこと別に面白いとも思わなかっただろうと思うのですが。

swim, walk, drive などの「距離の移動を伴う動詞」は、そこに「方向を表す副詞」がくっついた場合に、「そこに、swim, walk, drive しながら移動する」という意味になる、ということですよね。
英語を読んでいる時には、その意味は感覚的にわかるけれど、いざ自分がそういう英語を書こうとした場合に、swim here, walk home, drive you home という表現がパッと出てくるか、が重要かな、と思いました。
here, home を「副詞」として、それも「ここへ、家へ」という「方向」を表す副詞として認識できているかどうか、ということが結構大切だと思うんですよね。その目的地が名詞の場合だと、at, in などの場所を表す前置詞か、to, for, toward などの方向を表す前置詞がつくので、その意味がはっきりするのですが、here, home などの場合はそういうはっきりとした前置詞がつかない、だから、文脈とその動詞から場所なのか方向なのかを判断しないといけない、ということですね。
「ここまで泳いで来たのか?」なんて、通常ではあり得ない話ですが、Wet-Head だと言う代わりのイヤミとして成り立つのは、シットコムならでは、なのでしょうね。
Posted by Rach at 2007年10月25日 10:18
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