2007年10月25日

子供のように「遊ぶ」 フレンズ3-7その34

[Scene: Mattress King, Monica is trying to return her bed.]
マットレス・キング。モニカはベッドを返品しようとしている。
ジェスター(Jester): Uh, may I help you? (何かご用ですか?)
モニカ: Yes, hi. I talked to you on the phone, I'm the lady who got stuck with the racecar bed. (はい。私はあなたと電話で話したわ。私が例のレースカー・ベッドで困っている女よ。)
ジェスター: Look, it's like I told you, there's nothing I can do. You signed for it, "Monica Felula Geller." (いいですか、私があなたに言ったように、私に出来ることはありません。あなたはそれにサインをしたんです。「モニカ・フェルーラ・ゲラー」と。)
ジョーイ: All right, Jester man, look, we wanna see the King. (わかったよ、ジェスターさん。なぁ、俺たちはキングに会いたいんだ。)
ジェスター: Nobody sees the King. (誰もキングに会えません。)
ジョーイ: Oh-ho-kay, I'm talking to the King. (starts to go to a back room) (ほーぉ、オーケー。俺がキングに話をしてくるよ。[裏の部屋に行こうとする])
ジェスター: Hey, you can't go back there! (ちょっと、その裏に行ってはだめだ!)
(Joey goes to the door, but stops and looks through the window at Janice and the Mattress King, her ex-husband, kissing.)
ジョーイはドアのところに行く、が、そこで立ち止まって窓から中を見る。ジャニスとマットレス・キング、つまり彼女の元夫とがキスをしているのを見る。)
ジャニス: Oh, my God. (まぁ、なんてこと。)
(Joey fakes a scream.)
ジョーイは叫ぶような顔をする。

jester は「道化師」。
研究社 新英和中辞典の語義は、
jester=(特に、中世王侯・貴族に雇われた)道化師
応対した担当者が、道化師のような赤い変わった形の帽子をかぶっていたので、Jester man とジョーイは呼び掛けたのですね。
(ですから、その名前のわからない担当者のことを、スクリプトでは、Jester と表記してあるわけです。)
ここはマットレス・キングの王国(キングダム)ですから(笑)、従業員の中には、中世のおかかえ道化師風の装いをした者がいるわけですね。

I'm the lady who got stuck with the racecar bed. について。
get stuck with は「…で動きが取れない、…から逃れられない」「(やっかいなものを)押し付けられる」。
フレンズ3-3その22 で出てきた「挟まって動けない」イメージですね。
昨日の記事、フレンズ3-7その33 でも、
ジョーイ: I'm stuck here teaching a bunch of people. (僕はここで、たくさんの人に教えている状態から抜け出せないでいる。)
というセリフがありましたね。
これも、オーディションに受かった生徒は、華々しい未来が約束されてこれからどんどん活躍していくのに、俺はこのひどい状態から抜け出せないんだ、というセリフです。

今回のモニカのセリフは、そのレースカー・ベッドのお陰で、動きが取れない、どうしていいかわからず困っている、妙なベッドを押し付けられてしまった、という感じです。

普通は「社長(president)を出せ、社長と話がしたい。」と言うものですが、この王国のしきたりに則って(?)というか、「ここは王国である」というそのイメージに感化されてしまって、the King に会いたい、というジョーイもおかしいですね。

Nobody sees the King. という現在形には、「習慣、慣習」が表れているような気がします。
「誰も王の姿を見ることはないのだ。」みたいな感じで、「王様へのお目通りはかないません。」とか、「王はそんな風に誰とでも会うわけではありません。」みたいな「しきたり」感が出ているように思います。
You can't see the King. だともっと普通に「王様には会えませんよ。」というニュアンスになるのでしょうが、Nobody で「何人(なんぴと)たりとも」みたいな大袈裟な感じが出ていますね。

fake は日本語で「フェイク」という言葉になっているように、「見せかける、ふりをする」。
ですが、この場合のト書きの fake a scream を「叫び声を上げるふりをする」と訳すと何だか変な感じがしますね。
実際のシーンでは、声は出さないけれど、口を縦に開けて驚いている顔をしています。
動詞の mouth と似たイメージで、「叫び声を上げそうになるけれども、聞こえるとマズいので声には出さない」ということでしょう。

このシーン、最初、ジョーイが窓から覗いた時には、キングと女性がキスをしている姿が見えていて、その女性が誰かはわかりません。
それを見て、「おぉ、キングもお盛んだね。」みたいにニヤニヤしていたジョーイですが、キスが終わって顔を離すと、それがジャニスだったので驚いた、という展開になっています。
ジャニスの決まり文句の Oh, my God. も、「別れたはずの夫とこんな風にキスしてしまって、私どうしよう。」みたいな、少し困った感じの Oh, my God. ですね。(二人はジョーイが見ていることには気付いていません。)


[Scene: Monica’s bedroom, Chandler is playing with the bed.]
モニカのベッドルーム。チャンドラーはベッドで[ベッドをおもちゃにして]遊んでいる。
チャンドラー: Varrrrrroom! Hey, watch it lady! Varrrrrrrrrrom! (makes a screeching sound as he pretends to stomp on the brakes.) Hey-hey, good-lookin'. (honks the bed’s little horn on the steering wheel.) Varrrrrrrrroom. (notices Rachel and stops) All right, I'll leave. My bed's so boring. (ヴァルーン! おい、気をつけろ、おばさん! ヴァルーン! [ブレーキを踏む真似をして、キーッという音を出す] よーよー、べっぴんさん。 [ベッドのハンドルに付いている、小さなホーンでパフパフ♪と音を出す] ヴァルーン! [レイチェルに気付いて、やめる。] わかった。行くよ。俺のベッドはすごく退屈なんだ。)

play with というのは「子供がおもちゃで遊んでいる」というニュアンスです。
フレンズ3-4その4 のコメント欄 でも、ネイティブの方が「英語の play のニュアンスは、本当に子供っぽい」というコメントを下さっていました。
このチャンドラーも、まさに、子供が遊んでいるような状態ですね(笑)。
フレンズたちが一緒に時間を過ごす、という意味の「遊ぶ」だと、hang out (with someone) を使うことが多いですね。

screeching sound の screech 「自動車などがキーという音を立てる」については、フレンズ3-7その26 で説明しています。

stomp は「足を踏み鳴らす、足を踏み鳴らして踊る」。
オフ・ブロードウェイで有名な、足を踏み鳴らし、モップなどをリズミカルに叩いて音を出す、STOMP 「ストンプ」というミュージカルもありますよね。
この場合は、ブレーキを足でギューっと踏みつけるイメージでしょう。

honk は「警笛・クラクションを鳴らす」。
「パフパフ、プップーという音を出す」感じですね。
フレンズ2-22その2 では、"Honk, honk!" 「プップー、パフパフ」という擬音語で使っていました。
その記事のコメント欄では、もう少し詳しく、honk a horn について触れています。

すっかりドライブしたつもりになっているチャンドラー。
危ないおばさんに文句を言ってみたり、きれいなおねえさんに声を掛けてみたり(笑)。
いかにもおもちゃという感じの「パフパフ♪」というチープなクラクションの音が笑えます。

見られているのに気付いて退散するのですが、捨てゼリフのように、「だって俺のベッドは退屈なんだもん。」と言うチャンドラー。
普通のベッドはたいてい退屈で(笑)、こんな風には遊べませんよね。
モニカも返品できないのなら、チャンドラーとジョーイにあげたら良かったのかも(笑)。


(今日のポイント)
・get stuck with のネガティブなニュアンス。
・Nobody sees the King. という言葉に出た厳格な感じ。
従業員も、あくまでも「ここは王国であり、彼は王様である」というスタンスで接客しているようです(笑)。
・まさに play with しているチャンドラー。
子供っぽいですが、すっかりドライバーになりきって楽しんでいる様子をセリフから感じて下さい。


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posted by Rach at 10:28| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジェスター: Hey, you can't go back there! (ちょっと、その裏に行ってはだめだ!)ですが店員の無駄だよ(サインしたんだからどうすることも出来ないよ)といってる気がします。
Posted by ジョーイ at 2007年10月25日 21:38
ジョーイさんへ
「無駄だよ。」というのは、「何をやっても、サインしたその契約をひっくり返すことはできないよ。」というニュアンスでしょうか? それとも、物理的にはその部屋に行くことは可能だけれども、行っても何も成果は生まれないよ、というのを、can't で表現している、ということでしょうか??

「契約をひっくり返すことは不可能だ」という意味だとすると、go back を「(過去へ)さかのぼる、戻る、逆戻りする」という意味で解釈した、ということかなぁ? 「元には戻せないよ、やり直せないよ。」というような。

私は、You can't go / back there! だと思ったんですね。back there は、back で「裏方の控え室、奥」を表し、それが少し離れた場所にあるから there と呼んだ、だから、back there を「そっちの裏の方」みたいに解釈したんですね。そのジェスターさんが社長控え室を指差しながら、back there と言っているように私には聞こえました。DVDの日本語訳も、「奥は困るよ。/そっちは舞台裏です。」となっていたので、そのイメージが残っていたのかもしれませんが…。
Posted by Rach at 2007年10月26日 07:25
英語勉強のためにフレンズを買ったんですが、シーズン5しかなくてそれを買いました><
解説が待ち遠しいです!
早く5の解説にならないかなぁ〜♪って^^
がんばってくださいね♪待ってます(>▽<)♪

Posted by みき at 2007年10月26日 10:36
みきさんへ
ご訪問&コメントありがとうございます♪

そうですか、DVDはシーズン5しか売ってなかったんですね。
(レンタル屋さんになら昔のシーズンも置いてあるかもしれません。)

う〜ん、シーズン5の解説、今のペースなら、一体いつになっちゃうんでしょう…?(笑)
いつもスピードアップしなくちゃ、と思っているんですが…。
とにかく頑張ります。どうか気長にお待ち下さいませ(笑)。
Posted by Rach at 2007年10月26日 12:08
hang in there(その状況を維持する→頑張る)のthereが頭にあって、店員との交渉の状況を打ち切って、王様と再度交渉しようとしてる二人に店員は交渉は終わったのだから新たに王様と交渉したところで交渉には戻れないという感じに聞こえたのですが、6-12でRachel: Joey, honey, I don’t think you’re supposed to go back there. で内緒でウエイターのアルバイトをしてるジョーイにレイチェルがいう台詞ではRachさんの解釈がはっきりしますね。
Posted by catch at 2007年10月26日 21:19
catchさんへ
hang in there の there は、「相手が今いる状況」みたいなものを指しますね。相手の状況なので話者からは距離感があるから、there を使うのでしょうね。その there の感覚で言うと、go back there は、「その交渉の状況には戻れない」、つまり「無駄だ」という意味になる、と解釈された、ということだったんですね。

6-12 のセリフは、私の解釈の back there と同じですね。従業員の立ち入るエリアに行く、みたいな感じでしょうか。backstage は「楽屋、舞台裏」ですが、そういう back のニュアンスですね。
up here, down there, back there みたいに、here や there にその場所のニュアンスをより詳しく説明する副詞が付くことってありますよね。今回のセリフも、そういう類のものかなぁ、と私は思いました。
Posted by Rach at 2007年10月27日 07:34
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