[Scene: Central Perk, Ross, Rachel, and Phoebe are there.]
セントラルパーク。ロス、レイチェル、フィービーがそこにいる。
ロス: Thanks, Gunther. (takes the plate Gunther serves him and Rachel comes up and kisses him) (to Rachel) Hey! (to Gunther) Umm, can I get a napkin too? (ありがとう、ガンター。[ガンターが渡したお盆を受け取る。レイチェルが近づいてきてロスにキスをする] [レイチェルに] やあ! [ガンターに] うーんと、ナプキンももらえる?)
ガンター: Oh, like you don't already have everything. (あぁ、まるで君は全てのものを持っていないかのように言うんだな。)
最後のガンターのセリフですが、これはロスに対して怒っているセリフですね。
まず、already のニュアンスが何とも訳しにくいのですが、you already have everything を don't で否定している感じでしょうか?
「”もう既に全てのものを持っている”ってことはない」というニュアンスになるかなぁ、と。
そして、誰かのセリフを受けて、このように「Like+文」と返す場合、「like+文は、文を否定しているニュアンスになる」と私は考えています。
フレンズ1-7その1 でも、そういう like について解説しています。
一番わかりやすい例で言うと、Like you didn't know! 「知らないふりをして!」→「本当は知ってるくせに。」みたいなものですね。
つまり、上のセリフだと、「全てのものを持っていないように言うけど、本当は持ってるくせに。」「全てのものを持っているのに、持っていないように言うんだな。」みたいな感じになるでしょうか。
どうしてそういう否定的なニュアンスになるかを私なりに説明してみたいと思います。
like の基本的な意味は「まるで…のように」。
ロングマン現代英英辞典では、
like [conjunction (接続詞)]:
(informal) as if.
Some people think that this use is not correct English
つまり、as if 「まるで…であるかのように」と同じ意味、ということなのですが、これは正しい用法ではないとするネイティブも多いようです。
フレンズのセリフでよく出てくる、It's like... は「それはまるで…だ、…という感じだ」という意味で、その前に言及していた事柄を例えで言い換えるとこんな感じになる、と言う時に使いますね。
フレンズ1-18その5 では、
サックス・フィフス・アベニューというNY五番街のデパートからレイチェルに面接通知が来て、
レイチェル: Saks Fifth Avenue! (サックス・フィフス・アベニューよ。)
フィービー: It's like the mother ship is calling you home. (マザーシップがあなたを迎えに来た、って感じね。)
というやり取りがありました。
今回のような、誰かのセリフを受けての like... は「今の君の言い方(セリフ)は、まるで…ってことみたいだ。」という意味になって、それを肯定的に受け止める場合はただの例え・言い換えになるのですが、それを挑むように、あきれたように、不満そうに言うと、「まるで君は…と言いたいみたいだね。でも僕は違うと思う。」という否定的なニュアンスが入るように思います。
だから、「君はもう既に全てのものを持っているのに、そうじゃないとでも言うのか?」「全てのものを持ってないみたいに言っちゃってさ。」とその相手の発言にケチをつけるようなニュアンスが出るのだと思います。
フレンズ3-7その1 で、
ガンター: What does Rachel see in this guy? I love Rachel. I wish she was my wife. (レイチェルはこの男(ロス)のどこがいいんだろう? レイチェルを愛してる。レイチェルが僕の妻ならいいのに。)
と心の中で呟くシーンがあったように、ガンターはレイチェルが好きなんですね。
だから、自分の目の前でキスしたりいちゃつかれたりして怒っているわけです。
ガンターにしてみれば、レイチェルを恋人にしているロスは、have everything 「全てのものを持っている」という感じなのに、ナプキンくれる?とナプキンを欲しがるので、「これだけ満ち足りているのに、まだ欲しいものがあるのか。まだこれ以上何か必要なものがあるのか?」という意味で、怒ったようにこのセリフを言っているのでしょう。
言われた方のロスは、ガンターの気持ちを知らないので、「何怒ってるんだろう?」みたいな顔をしていますね。
フィービー: (trying to bite into an apple) Ow! Ow! (drops the apple in disgust.) ([リンゴにかじりつこうとして] あぁ! あぁ! [不快そうにリンゴを落とす。])
レイチェル: Phoebe, you're in pain, would you just go to the dentist? Just go. (フィービー、あなたはそんなに痛がっているんだから、まずは歯医者さんに行ったらどう? とにかく行くのよ。)
bite into は「…にかぶりつく、…に食い込む」。
ただ bite 「噛む」んじゃなくて、その対象物に into 「入り込む」感じですね。
人や動物だけではなくて、ものが「食い込む」場合にも使います。(その部分は日本語と同じですね。)
ロングマン現代英英辞典では、
bite [verb]: PRESS HARD
[intransitive] if an object bites into a surface, it presses firmly into it and does not move or slip
bite into
例1) The hooves of the galloping horses had bitten deep into the soft earth.
例2) He wore boots that bit into the ice.
つまり、「bite は、強く押すこと。物体が表面に bite into するというのは、その物体が表面を堅く圧迫し、動いたり滑ったりしない、こと」。
例文1は、「ギャロップしている馬の蹄(ひづめ)は、柔らかい地面に食い込んだ。」
例文2は、「氷に食い込む[食い込んで滑らない]ブーツをはいた。」
今回のセリフは、リンゴを丸かじりしようとして、大きな口を開けてかぶりついた、けど、痛くて落としてしまった、ということですね。
Just go. について。
フレンズ3-2その23 で、
ロス: Just, just, just pick one, okay? (とにかくどちらかを選んでよ、わかった?)
というセリフが出てきた時に説明しましたが、この just は、「他の(くだらない、つまらない)ことは一切考えずに、「ただ」それだけをしたら」という感じです。
歯医者に行きたがらないのは、人が死ぬからだ、という理由は以前に聞いてるけど、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ、そんな状態なら、とにかく何はさておき、歯医者には真っ先に行かなくちゃ、というニュアンスですね。
(Rach からのお願い)
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3-7でもRachel : Oh, would you just see my chiropractor, already. と言っていますが、いいかげんにという感じをalreadyで強調してます。see my chiropractorと言っていますが、日本では具合が悪いとき「病院に行く」と言いますが。医療制度の違いもあるのでしょうが、英語では go see a doctorとかgo see a dentistと言うんですね。seeは医者に掛かるとか、診てもらうという意味ですね。
Would you....? そのものに、そういう「いい加減にして」という怒りを含んだニュアンスがある、という話は、以前にコメント欄で話題になったことがありましたね。
フレンズ2-17その16 のコメント欄
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470470.html#comment
ここでは、さらに just もついているので、「とにかく、とっとと、いい加減に」というニュアンスが余計に加わるわけでしょうね。
フレンズ3-7その23
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470971.html
の解説では、
レイチェル: Oh, would you just see my chiropractor already?
について、「Would you...? との組み合わせでいらだちを表す」と書いてあるのですが、今回の上のセリフは、just にばかり注目して、その would you のニュアンスについては触れていませんでしたね。ご指摘ありがとうございました。
日本語では「病院に行く」と言いますが、英語で go into (the) hospital と言うと「入院する」というニュアンスになってしまうようです。
go to the hospital だと普通に「病院に行く、病院を訪れる」という意味”も”表すのかもしれないですが(よくわかりませんが)、とにかく、hospital という単語を出してしまうと、日本人の「病院に行く=お医者さんに診てもらう」よりも大袈裟な表現に聞こえてしまうような気がします。
ロングマン現代英英辞典では、
hosital: [uncountable and countable]
a large building where sick or injured people receive medical treatment
つまり、「病気やけがをした人々が医学的治療を受ける、大きな建物」。
日本でも、ベッド数や入院できるか否かで、「病院」と「医院・クリニック」に分かれるようです。ただ普段の会話では、実際に訪れるのは「医院・クリニック」の場合であっても、「風邪引いたから”医院”に行って来る」という人はあんまりいなくて、「”病院”に行ってくる」って言いますよね。「病院に行く」=「医者に診てもらう」という慣用句(?)のようになっているのでしょう。
英語の go see a doctor の方が実際の行為をよりはっきり表している気がしますね。
日本語の「病院に行く」も、担当医、かかりつけの主治医一人に診てもらいに行っているだけで、あちこちの科でいろんな検査を受けているわけではない場合がほとんどですからねぇ。
see は「人に会う、面会する」「人に会いに行く、訪問する」、そして「医者を訪問する」=「医者に見てもらう、診察してもらう」ということになるわけですね。