Rach流DVD学習法の最終段階「英語音声、英語字幕」で英語の意味を調べる際に、英英辞典を使うとどういう効果があるか、という話です。
この最後の段階では、その出てきた言葉は、ドラマの中で様々な情報が与えられた状態になっています。
話の流れ、状況、表情、口調など、その単語の意味を推測できるヒントがたくさんあります。
「その時」に、辞書で意味をしっかり確認する、というのが非常に効果的なのです。
自分がセリフから受けたイメージ・感覚を、論理的説明によって固める、という感じでしょうか。
いろんな情報が与えられている、というのはとても有利なことです。
例え意味がパッとわからなかったとしても、その解釈を大きく外す可能性が少なくなります。
そういう意味では、洋書のリーディングは文字情報しかないので、読み取りが難しいわけですね。
ドラマが与えてくれた情報をフルに活用して、その単語・表現のイメージを自分の中で固めていく、それがDVD学習法なのです。
ドラマは情報が与えられすぎて、英語の力はつかないんじゃないか?という方がいたとしたら、それは逆だと思います。
たくさんの情報が与えられるからこそ、その意味の感覚が掴めるんですね。
例えば、「レイチェルが○○した。」というセリフが出てきたとします。
ストーリーを追っていれば、そのレイチェルのしたことが何かわかりますよね。
それを英語では、○○という単語を使うのだ、ということが英語のセリフからわかるのです。
日本人が英作文をする場合、「これは日本語では△△と言うから、それを英語では何て言うんだろう?」と和英辞典を引いたりすることがありますが、そういうのとは全く違う、「見た動作・行動をそのまま英語の単語に置き換える」ということがドラマでは可能なのです。
そうして覚えた動詞は、そのセリフと共に頭に定着して、その「動いているイメージ」が頭の中に出来上がるのですね。
もっと顕著な例は「ト書き」で、あれは誰かの行動を英語にしたものです。
フレンズのネットスクリプトには、ト書きもついています。
私は最近になって、解説記事中で、そういうト書きの表現を説明するようになったのですが、それは私自身が、「へぇ〜、英語ではこんな単語を使うんだ、こんな風に表現するんだぁ〜」と勉強になる部分が多いことに気付いたからですね。
例えば、簡単な単語を例に出します。
フレンズ3-7その9 では、(glares at him) というト書きが出てきます。
この場合は、Joey glares at Ross. という状況なのですが、その表情を見ると、ジョーイはロスをにらんでいる、どうやら怒っているらしいことがわかります。
「こういう顔で相手を見つめることを、英語では glare というんだな。」ということがわかりますね。
まさに、
「百聞は一見にしかず」
Seeing is believing.
A picture is worth a thousand words.
です。
この顔が、glare している顔、なのです。
その後で、英英辞典の、言葉で論理的に説明された語義を読んでみます。
ロングマン現代英英辞典では、
glare: to look angrily at someone for a long time
つまり、「長い時間、誰かを怒って見つめる」。
やはり、そのシーンのように、angrily という「怒った感情」が入っているところがポイントだ、それも「ちらっと」見るのではなくて、「じっと」見るのだ、ということもわかりますね。
ドラマのシーンから読み取るイメージと、英英辞典に書かれた語義とがお互い補完し合って、より正確なイメージが自分の中にできるのです。
または、自分の受け取ったイメージが、本来の意味から少しずれていた場合には、それを英英辞典は修正してくれるのです。
「ジョーイがロスを見る」という場合でも、どんな風に見たのかで、単語の選択が違います。
「見る」という単語のバリエーションはとても多い。
それを理解するには、それぞれの「見る」がどんなものかをまさしく「見る」必要があるのです。
そしてそれを英英辞典で確認すると、それが非常に理路整然とした言葉で説明してくれていることに感動すら覚えます。
このイメージを英語で表現すると、こうなるのか!と、その英語での説明が頭にすっと入りやすくなるわけですね。
また「目にはっきりとは見えない動作」の場合でも、英英辞典の語義は有効です。
フレンズ3-5その29 では、ロスが有名女優のイザベラ・ロッセリーニを見つけた時のト書きが以下のように書いてあります。
(Ross recognises her and goes over to the couch, mouthing 'Oh, my God')
ロスは彼女を認めて、(フレンズたちがいる)カウチに向かう、声には出さず口を動かして「なんてことだ!」と言う。
recognize (recognise) はロングマン現代英英辞典によると、
recognize: [not in progressive] to know who someone is or what something is, because you have seen, heard, experienced, or learned about them in the past
つまり、「ある人や物について、過去に見た、聞いた、経験した、学んだなどの理由で、ある人が誰か、またはある物が何か、を知ること。」
つまり、ロスは、映画などでイザベラを何度も見ていたから、「あ、あれはイザベラ・ロッセリーニだ!」と気付いた、ということです。
漠然とした「分かる、認める、認識する」という日本語訳ではなく、この時のロスのように、有名女優を見てその人だと分かる、これが recognize なんだ!と知ることが大切だと思うのですね。
このロングマンの語義も、その語義だけを読んでいる時よりも、そのロスの行動と照らし合わせた方が、その意味するところがはっきりしますね。
語義そのものを論理的に説明するのはとても難しいです。
日本語の場合でも、子供に言葉の意味を聞かれたときに答えに窮することがよくあります。
そういう場合、「例えば、こういう状況で、こうしたとき、それを○○と言うのよ。」と説明したり、動作ならそれを実際にやって見せたり…。
「もの」ならその写真を見せるのが一番手っ取り早いですよね。
実際に、私が使っているロングマン現代英英辞典の CD-ROM 版には、たくさんの写真が載っています。
結局、それが一番わかりやすいからでしょう。
そういう「例えば、という例を示す」「動作をやってみせる」「実物を見せる」のがドラマで、
その大人でも難しい語義の説明を、非常に基本的な単語を使って、非常にシンプルに論理的に書いてくれているのが英英辞典だ、ということです。
イメージを言葉で表現する、言葉をイメージとして捉える…。
ドラマと英英辞典、今の私の中では、これが
「英語学習における史上最強の組み合わせ」
ですね(笑)。
(Rach からのお願い)
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イメージを捉えることは大切ですね.
英英辞典は,和訳を見るよりイメージが広がりやすいです.
こんにちは。コメントありがとうございます。
和訳はヒントになる部分が多いですが、英語の意味「そのもの」ではないですね。「まぁ、日本語で言うとこんな感じ」程度のものでしかないでしょうね。
英英辞典に慣れると、イメージが広がって、英語を英語で理解する、ということの意味がよくわかる気がします。