ジャニスの誕生日プレゼントに、パールを買おうとするチャンドラー。
ジョーイ: (stopping him) No, no, you can't! You can't, okay, you can't, you can't buy her pearls, you just can't, you can't, you can't, you can't! ([チャンドラーを止めて] だめだ、買っちゃだめだ! だめだ、だめだ、彼女にパールを買っちゃだめだ。ただ、だめ、だめ、だめ、だめなんだよ!)
チャンドラー: Why not? (どうしてだめなんだよ?)
ジョーイ: Oh, God. Uh, okay. Here's the thing. This is the thing. Okay, the thing is... (あぁ。よし。それはこういうことなんだ。これがその理由なんだ[俺が言おうとしているのはこういうことなんだ]。理由っていうのは…)
チャンドラー: What is the thing? (その理由って何だよ?)
ジョーイ: Okay. I went down to the Mattress King's showroom and, and I saw Janice kissing her ex-husband. (よし。俺はマットレス・キングのショールームに行ったんだ。そしてジャニスが元夫とキスしているところを見た。)
チャンドラー: (shocked) What? ([ショックを受けて] 何だって?)
ジョーイ: They were in his office. (二人は彼のオフィスにいたんだよ。)
チャンドラー: Well she, she wouldn't do that, she's with, she's with me. (彼女がそんなことをするはずがない。彼女は一緒に、俺と一緒にいるんだぞ。)
ジョーイ: I'm telling you, man, I saw it. (本当なんだよ、俺は見たんだよ。)
チャンドラー: Yeah, well, you're wrong. Okay, you're wrong. (あぁ、お前は間違ってるよ、そうさ、お前は間違ってる。)
ジョーイ: I'm not wrong! I wish I was. I'm sorry. Bet that barium enema doesn't sound so bad now, huh? (俺は間違ってない! 間違っていたらいいと思うよ。お前には同情するよ。そのバリウム浣腸(をプレゼントにあげるということ)も、今はそんなに悪くないと思うだろ? な?)
"you can't buy her pearls" そしてその後、"you can't!" を連発するジョーイ。
普通は、どうして買ってはいけないかの理由をつけて説得するところですが、チャンドラーにものすごいショックを与えることになる理由なので、それを言うことができない、だから、ひたすら "you can't!" を繰り返すしかないのですね。
Why not? は決まり文句で、誰かの提案に同意して、「もちろん。是非そうしよう。」という意味で使うことがありますが、今回の場合は、直訳の意味に近いです。
「どうしてダメなんだ? どうして俺が買うことができないんだ?」ということです。
「もちろん」の意味は、「どうしてダメなんだ?」が反語表現となり、そこから「別に構わないじゃないか。いいじゃないか。」で「いいよ。もちろん。」という表現に繋がるのですね。
ジョーイが大事なことを切り出そうとしています。
Here's the thing / This is the thing / the thing is...
すべて、大事なことを言う出だしの表現ですね。
the thing という風に、thing に the を付けることで、「大切なこと、大事なこと、要点、ポイント」のような意味になります。
ロングマン現代英英辞典では、
the thing is: (spoken) used when you are going to explain something, give the reason for something, or give an opinion
例) It sounds like a good idea. Why don't you invest?' 'Well, the thing is, I can't afford to.'
つまり、「人が何かを説明しようとする時、何かに対する理由を述べようとする時、意見を述べようとする時に使われる」。
例文は、「それはグッド・アイディアみたいね。投資したらどう?」「うーん、実は(それに投資する)お金の余裕がないんだよ。」
上のジョーイのセリフは、「俺が言おうとしているのはこういうことなんだ。」「俺が言いたいのはこれなんだ。」という前振りのセリフとして解釈すればよいのですが、Why not? 「どうしてダメなんだ?」に対する返事なので、今からそのはっきりした理由を述べるための前振りであることもわかりますね。
「つまりはこういうことなんだ。」でもいいし、「その理由というのはこれなんだ。」とはっきり「理由」と言ってもよいだろう、と思います。
「ここでポイントとなっているのは」「問題なのは」「私が言いたいことは」「その理由は」など、その時の文脈によって訳はいろいろ変わるのですが、そのセリフを読み取る側としては、何かしら重要な意見や理由がその後に続くことを示唆している、ということがわかれば良いのですね。
日本語訳を当てはめるとすると何だろう?と考えるのではなく、The thing is... というフレーズが出てきた時に、「あぁ、the thing (何かしら大事なポイント)がこの後に述べられるのだ」「この後にポイントとなるべき文章が続くのだ」という「機能」で理解すべきですね。
そういう機能を理解すると、自分が何か大事なことを言いたい時に、The thing is という前振りのフレーズをすっと挿入できるようになります。
前振りのセリフばかりジョーイが繰り返しているので、What is the thing? 「その the thing っていうのは何だよ? 早く本題に入れよ。」とチャンドラーはせかしているのですね。
She's with me. というのは「彼女は俺と一緒にいる。」ということですが、「今は俺と付き合っている、今は俺のものである。」という感じでしょう。
I'm telling you. のロングマン現代英英辞典の語義は以下の通り。
(spoken) I can tell you/I'm telling you: used to emphasize that what you are saying is true even though it may be difficult to believe
つまり、「自分の言っていることが、例えその内容が信じがたいことであっても、本当である、ということを強調するのに使われる。」
「信じられないかもしれないが本当なんだよ、今から言うことを本当だと思ってよく聞いてくれ」みたいなニュアンスでしょうか。
最後のセリフがおかしいですね。
高価なプレゼントを買おうとまで思っていた恋人ジャニスが、元夫とキスしていたなんて…とショックを受けているチャンドラーに、「さっきは、そんな最低のプレゼント、と言っていたバリウムの話も、今ではそんなに悪いアイデアでもないだろ?」とジョーイは言っています。
もし本当に、チャンドラーという恋人がいるにもかかわらず、元夫とキスしていたのなら、それは許されるべきことじゃない。
キツい浣腸で痛い目に遭わせたいと思わないか?、そういうお仕置きでもしないと、気が済まないだろ?、という感じでしょうか。
そういう超悪趣味なものを彼女にプレゼントしたくなっただろ?ということですね。
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そうですね、聞き取れないものはどんなに頑張っても聞き取れませんよね(笑)。多聴によって耳を鍛える場合でも、まずは聞き取るためのコツ、発音の基礎、みたいなものを最初に学んだ方がいいと思っています。
シンガポールでは、4ヶ国語の字幕が出るんですか? 画面の半分が隠れてしまいそうですが(笑)。
ただ、耳で聞くだけではなくて、それを英語の文字として確認する作業は効果的ですよね。
愛沙さんは中国語アドバイザーをされているのですね。私は中国語はさっぱりわからないです。というよりも、英語以外の言語は全くと言っていいほど知らなくて…。
いろんな言語を同時進行で学んだら効果的かもしれないなぁ、などと時々思ったりもするのですが。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。