2007年12月11日

悪いニュアンスのpull フレンズ3-9その13

[cut to Ross and Monica.]
ロスとモニカに画面はカットする。
モニカ: Come on, guys! Let's go! Come on, it's second down! (いくわよ、みんな! レッツ・ゴー! ほら、セカンド・ダウンよ!)
ロス: Uh, hello? It's third down. (あぁ、もしもし? サード・ダウンだよ。)
モニカ: No it's not, it's second. (いいえ、違うわ。セカンドよ。)
ロス: Wow. (わお。)
モニカ: "Wow" what? (わお、って何よ。)
ロス: How it just amazes me that you're still pulling stuff like this. (モニカがまだこんな(悪い)ことをやってるなんて驚きだな。)
モニカ: Pulling what? It's second down. (やるって何を? セカンド・ダウンよ。)
ロス: Okay, it's second down. (turns away) Take all the second downs you need. (いいよ。セカンド・ダウンで。[向きを変えて(モニカに背を向けて)] 必要なだけセカンド・ダウンを使いなよ。)
モニカ: I heard that. (それ、聞こえたわよ。)
ロス: Well, I said it loud. (あぁ、声に出して言ったんだよ。)

pull は「引っ張る」。
そういう「引っ張る」という意味からでしょうか、「(犯罪などを)やってのける」「(詐欺などを)行う」という意味でも使われます。
pull a bank robbery なら「銀行強盗をやる、やってのける」、
pull a dirty trick (on somebody) だと「(人に対して)卑劣な手段を用いる、汚い手を使う」という意味になります。
この場合も、pulling stuff で、「何かしら悪いことをやってのける、汚いことをする」という感じですね。

フレンズ2-23その20 で、
ジョーイ: If you try to pull somethin', he'll call you on it. "What're you tryin' to pull?" he'll say. (もしお前が何かを pull しようとしたら、ジョセフはいちゃもんをつけてくるだろう。「何を pull しようとしてんの?」って彼は言うさ。)
というセリフがありました。
その過去記事では、pull を「引っ張る」と訳してしまったのですが、今思うと、この pull も「何かしら(悪いことを)やってのける」というニュアンスなのかもしれません。

How it just amazes me that you're still pulling stuff like this. について。
ネットスクリプトでは、It just amazes me that... と書いてあるのですが、DVD英語字幕では、How it just... と文頭に how が書いてあります。
そして実際にロスも、how と言っているようです。
この how はどういうニュアンスなんでしょうね。

how は、How happy you are! などと感嘆文で使いますね。
普通は「how+形容詞または副詞」の形で使うのですが、
研究社 新英和中辞典には、
How it rains! 何という雨だろう。
という例文も載っています。
そういう感嘆文のニュアンスを持った how だと考えることもできるかもしれません。

または、何が Wow! なのか?と聞かれたので、「モニカがまだそういうことをするという事実が”どのように”僕を驚かせたか」が Wow! という言葉になって出たんだよ、というニュアンスかもしれません。
that 以下の内容が、amazes me した様子・度合いを表す how かなぁ?と。
私は後者のニュアンスかな、と思っています。

Take all the second downs you need. を直訳すると、「君が必要な全てのセカンド・ダウンを take しな。」って感じで、セカンド・ダウンだって言い張りたい間は、何度でもそう主張していいよ、という感じです。
そう思いたければそうすれば?、好きなだけズルすれば?みたいな感じでしょうね。

「聞こえたわ。」「聞こえるように言ったんだ。」
どちらも負けていませんね。
こういう売り言葉に買い言葉も覚えると、会話が生き生きしてきますよね。(ただ喧嘩になるだけだ、という話もありますが…笑)


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posted by Rach at 16:18| Comment(6) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。いつも的確なアドバイスは勉強になりますし、意欲の向上につながります。

pull off成し遂げると漠然と受験英語で覚えましたが、offは会話では不要なのでしようか、あるいは悪事の成し遂げなのかなあ?

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Posted by 中国語アドバイザー愛沙 at 2007年12月11日 17:45
こんばんは。

年明けからDVDを見てリスニング力の向上を目論んでいます。
フレンズはまだ私には難しそうなので,もう少し簡単そうな作品を探しています。
色々調べてみたところ,フルハウスなどは初心者向けなのかなと思っているところです。

何かオススメはありますでしょうか?
ご意見頂戴できれば幸いです。
Posted by オススメDVD at 2007年12月11日 20:22
またあそびにきました〜。
すごいですね。毎日のように。。いや、毎日でしょうか?

Pull・・・
なるほど〜・・・みんな、そういう風につかってるんだ!!
勉強になりました。

How・・・は、あまりよくわかりません・・・
ない方がわかりやすいなぁ・・・

応援ぽちです★
Posted by ゆぶ at 2007年12月11日 21:22
愛沙さんへ
コメントいつもありがとうございます。そして、貴ブログでいつも興味深いお話と中国語を教えていただき、こちらこそとても勉強になります。

pull off って「難しいことを見事にやってのける、首尾よくやり遂げる」みたいな意味ですよね。pull off の場合は後ろに悪い行為だけが来るわけではないようですね。

ロングマン現代英英辞典では、
pull: TRICK/CRIME
(informal) to succeed in doing something illegal or dishonest or in playing a trick on someone
つまり、「違法な、または不正なことをするのに成功すること、または誰かに策略を用いる[誰かを騙す]こと」。

pull off (phrasal verb):
(informal) to succeed in doing something difficult
例) The goalkeeper pulled off six terrific saves.
つまり、「何か難しいことをすることに成功すること」、例文は、「ゴールキーパーは6つの素晴らしいセーブを成功させた。」

ロングマンによると、pull の基本的な意味は、MOVE SOMETHING TOWARDS YOU 「自分の方向に何かを動かす」ということだそうです。ですから、そういう「自分の方向に引っ張る」というニュアンスが、何か自分にとって利益となることをやり遂げる感覚を生むんでしょうね。
だから、悪事とペアになりやすくて(悪事を目的語に取り易くて)、「自分のいいようにする」みたいな今回のロスのセリフのようなニュアンスになる、ということでしょうか。

pull off だと良いこと悪いこと両方に使えるけれど、pull だけだとその後ろが善悪のはっきりしない漠然とした名詞(something や stuff)の場合でも、trick や crime などの悪いニュアンスの名詞のイメージが浮かぶ、というような感じかな、と私は思います。
Posted by Rach at 2007年12月12日 10:29
オススメDVDさんへ
(貴ブログでHNを拝見して、「オススメDVD」というのはHNではないのかも、とは思ったのですが、一応こう書かせて下さいね。)

オススメですか。難しいですね。
というのは、私はそんなにたくさんのドラマや映画を見たわけではないのです。
ドラマで言うと、フレンズとアリー my Love と新スタートレック(←えらく畑違い…笑)しか見たことないんですよね。それらは全シーズン見たのですが。
アリーは法律用語、スタートレックは科学的専門用語が多くて、最初はどうしてもそれを調べるだけで終わってしまう、ということになりがちです。
その点、フレンズは出てくる単語そのものはそれほど難しいものはないので、とっつきやすいのかな、と思います。しかし逆に、「簡単な単語だけどどうしてそういう意味になるの?、辞書にも載ってないけど…」ということがよくあって、そういう意味では難しいですね。

フルハウスは教材としては良いのではないかな、と思います。私はテレビで放映しているのを二ヶ国語で数話分見たことがあるのですが、楽しい日常会話表現が学べそうだな、と思いました。子供が出てくるドラマなので、そんなにスラングもない気がしますし。
フレンズよりもフルハウスのDVDが先に出ていれば、そっちで勉強を始めていたかな、とも思ったくらいです。

ドラマによる学習法は、自分の嗜好が大きくものを言うので、自分がつまらないなぁ、と思う作品だと、結局はあまり熱中できず、あまりリスニングの練習にもならないかもしれませんね。
一気にDVDを購入して結局見ずじまいだった、というのももったいない話なので、レンタルで好きそうな作品を選ばれて、「見てみたい! セリフを真似してみたい!」と思えるような作品を探してみる、というのも一つの手かもしれません。
Posted by Rach at 2007年12月12日 10:32
ゆぶさんへ
また遊びに来ていただいてありがとうございます。応援ぽちまでありがとうございます。ゆぶさんもランキング好調のようですね!

ブログは、旅行などを除いては、毎日やっています。我ながら、仕事でもないのに、どうしてそこまでやるのか、よくわかりません(爆)。

目的語が crime や trick の場合に、pull という動詞を使う、という発想は、あまり日本人には浮かばない気がしますね。私も今回、こんな風に使われているのを見て、初めてそういう組み合わせがあるのを知りました。

How はよくわからないでしょう?(笑) ネットスクリプトでは省略されているくらいだから、ネイティブにもそれほど「聞こえていない」、つまり、「別になくても問題ない」ということだとは思うのです。
DVDの英語字幕は、実際に発音されているセリフから随分と「はしょって」あるのですが、今回は何故か How とはっきり書いてあったので、書く限りはそれなりの意味があるんだろうか、と思って、ちょっと立ち止まって考えてみた、ということですね。
Posted by Rach at 2007年12月12日 10:35
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