2008年02月10日

私はコーヒーを飲むと… フレンズ3-11その7

[Scene: Fortunata Fashions, Rachel's new job.]
フォーチュナタ・ファッションズ。レイチェルの新しい仕事場。
カプラン氏: (entering) How's that coffee comin', dear? (例のコーヒーはまだかな?)
レイチェル: (jumping up from reading her magazine) Yeah, right away Mr. Kaplan. ([雑誌を読んでいるのから飛び上がって] はい、すぐに入れます、カプランさん。)
カプラン氏: I'm not supposed to drink coffee, it makes me gassy. (私はコーヒーを飲まないことになってるんだ[本当は飲んじゃいけないんだ]。コーヒーを飲むとおならが出るのでね。)
レイチェル: I know! (えぇ、知ってます。)
カプラン氏: I'll bet you're thinking, "What's an intelligent girl who wants to be in fashion doing making coffee?" Eh? (私が思うに、君はこう考えてるだろ。「ファッション(業界)の中にいたいと思っている聡明な女性は(今)何をしているか…。コーヒーを入れている?」ってね。)
レイチェル: Op. (あぁ。)
カプラン氏: Eh. (だろ?)
レイチェル: Oh, you got me. (あぁ、わかってしまったんですね[その通りです]。)


フレンズ3-10その33 で、Mr. Kaplan Sr. likes his coffee strong. 「カプラン・シニアさんは濃いコーヒーが好きなんだ。」というセリフがありましたが、この人がそのカプランさんみたいですね。

How's that coffee comin'? を直訳してみると「そのコーヒーはどんな風に来るか」で、頼んでいたコーヒーはどうなってるかな、もうコーヒーが出来るかな?みたいな意味でしょうね。

gassy は「ガスのような」で、make me gassy は「私を gassy にする」、つまりは「おならが出る」ということです。
カプランさんがよくおならをするのをレイチェルは知っているようですね(笑)。

「おならをする」は、break gas, pass gas、または break wind とも言います。
俗語では、fart というのもあります。
フレンズ2-11その3 では、
ジョーイ: She taught me about how to work with the cameras and smell-the-fart acting. (彼女はカメラに向かってどうすればいいかとか、「おならを嗅(か)ぐ」演技はどうやるのか、とか教えてくれたんだ。)
というセリフが出てきました。

I'm not supposed to drink coffee. について。
be supposed to はフレンズに何度も登場しますが、その意味は、「〜することになっている、(規則や取り決めで)〜しなければならない」ということですね。
上のセリフのニュアンスは、「おならが出るのでコーヒーは飲まない、飲まない方がいい、ってことに(一応は)なってるんだけど…」みたいなことでしょう。
ロングマン現代英英辞典では以下の語義が近いかな、と思います。
be supposed to do/be something:
a) used to say what someone should or should not do, especially because of rules or what someone in authority has said

つまり、「人がすべきこと、もしくはすべきでないことを言うのに用いる、特に規則や、または権威のある人が事前に言ったことを理由として」。

カプランさんは冒頭でコーヒーを頼んでいますよね。
つまり、実際には飲むつもりなわけです。
コーヒーを飲むとおならが出るから、コーヒーは飲まない、ってことになってるんだけど、でも好きだから実はこっそり飲んでいる、ということだろうと思います。

"What's an intelligent girl who wants to be in fashion doing making coffee?" について。
まず、an intelligent girl who wants to be in fashion というのは、レイチェルのことを言っていますね。
ファッション業界にいることを望んでいる優秀な女性、という感じです。
自分ではそう思ってるんだろう?ということで、そんな表現を使っているのですね。
文の構造をわかりやすくするために、それを一言 she で表現するとすると、"What's she doing making coffee?" という文になると思います。
見た目が変な形なのですが、これはおそらく、"What's she doing? Is she making coffee?" ということかなぁ、と。
「その(優秀な)彼女は何をしているか? その(優秀な)彼女は(今)コーヒーを入れているのか?!」という感じで、「そんなのおかしいじゃないか? それでいいのか?」みたいな感じを醸し出しているのかなぁ、と。
(2008.3.13 追記)
下のコメント欄で、この部分の解釈について、たくさんのご意見をいただきました。
What are you doing ...ing? という構文が存在するようです。
詳しくは、下のコメント欄をご覧下さい。
(追記はここまで)

You got me. は「私の考えがわかってしまったんですね。」みたいな感じです。
コーヒーを入れていることが不満、早くファッション関係の仕事がしたい〜!と思っていることがわかってくれて嬉しい、というところですね。


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posted by Rach at 19:57| Comment(9) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは

What's an intelligent 〜
は多分「こんな優秀な女がコーヒーなんか淹れたりして何してるんだろう?」という感じじゃないでしょうか。
doing の後に一拍あるならRachさんの解釈のほうですよね(その場合はすみません)
例を出すと、what are you doing rolling on the floor ? (床に転がって何してるの?)みたいな感じかなと思いますが。

先日の、i almost feel bad〜の訳が過去形になっているのは誤りでした。

1度投稿したら、来やすくなってしまいました^^
ではまた。
Posted by 長月 at 2008年02月10日 21:14
"What's an intelligent girl who wants to be in fashion doing making coffee?"
こういう構文を見ると、わたしみたいな初学者は頭がクラクラしてきます。
Rach解の場合は、長月さんのおっしゃるようにdoingのあとに一拍あいて、なおかつ、
making coffe ? の語尾があがって通常疑問文のようになっているとわかりやすいと思うんですが、
いま聞いてみたら、カプランおじさんのセリフ、
What疑問代名詞による疑問文のような抑揚に聞こえました。(私の耳ですから、たしかではない)
そうすると、やはり、making coffe は、分詞構文ということ?(長月解はそれですよね?)
「コーヒーなんかいれたりして・・ なにやってんのよ」

もし私にわかりやすく言ってもらえるなら、カプランさんのセリフが、
What am I doing making coffe ?
だと・・ いや、それでもわかりにくい。
このダブルingは、かなり悩ましいです。けど、おもしろいです。
Posted by engl at 2008年02月11日 00:41
お久しぶりです〜Rachさん!
うーん。このWhat's・・・の文の文法は??だったので、
ムダオに訊いてカンニングしちゃいましたよ〜!
What is/are S doing 動名詞・・・?
で、Why is/are S 動詞?と同じ意味(ニュアンス)になる・・・と言ってました。
でも文法的には説明できない、、ようです。
だからレイチェルが、『「なんで私がコーヒーなんて作ってるのよ」って思ってるんだろーって』ことだったんじゃないですかねー?
今日もぽち〜!
Posted by ゆぶ at 2008年02月11日 01:50
What's an intelligent.....の文章の基本形はWhat are you doing?で、この文章の後に+形容詞、+ing(形容詞)、+with 名詞の形があってdoingと同時にしてることを表します。
4-12 Ross: Hey, what are you doing shopping at eight in the morning?(朝の8時にショッピングするなんて何してるんだ? the shoppingなら意味が違う)
5-13 Rachel:What are you doing with the bag?(鞄もって何してるの?)
8-21 Ross:What are you doing up?(こんな時間に起きてなにしてるの?)
Posted by catch at 2008年02月11日 18:57
長月さん、englさん、ゆぶさん、catchさん へ
まとめレスで申し訳ありません。本当に貴重なご意見をありがとうございます! 嬉しいです!
皆様のコメントを読んで、この文のニュアンスがやっとわかりました。

長月さんやenglさんのおっしゃるように、今回のセリフは、doing... making coffee? という感じの一拍(ポーズ)は入っていません。doing making coffee の3語は同じテンポで語られていました。ですから、私の上の解釈は、かなりのこじつけでした(笑)。

ロングマン現代英英辞典に、皆さんのおっしゃる、まさにそのニュアンスが載っていました。

do [verb]:
7. what is somebody/something doing?
(spoken) used to ask why someone or something is in a particular place or doing a particular thing, especially when you are surprised or annoyed by this
例1) What's my coat doing on the floor?
例2) What are you doing walking around at this time of night?

つまり、「なぜ、ある人やあるものが、ある特定の場所にあるのか、ある特定のことをしているのかを尋ねる時に用いる、特に質問者がこの件について驚く、または、いらいらしている時に使う。」
例文1 は、「私のコートはどうして床に置いてあるの?」
例文2 は、「夜のこんな時間に歩き回って何をしているの?」

ゆぶさんがムダオさんから聞き出して下さった答えの、Why are you doing (this)? というニュアンスがまさにロングマンに書いてありますよね!(さすがはネイティブ!)
what を使った疑問文で、直訳は「何をしているの?」なんですが、その真意は「している内容を尋ねている」のではなくて、「どうして(そんなことを)しているのか?」という理由を尋ねている、why の気持ちが入っている、ということなんですね。

他の方の「何してるんだろう?」「何してるの?」「なにやってんのよ」「何してるんだ?」という日本語にも、非難や驚きのニュアンスが入っていますよね。「どうしてそんなこと・こんなことをやっているんだ?」ということですね。

考えてみると、日本語の場合でも、「何やってんだよ!」「何…って俺はただ○○してるだけだよ。」「そうじゃなくて、”どうして”そんなことをしてるのか、って聞いてるんだよ!」みたいなやり取りがありますね。「何やってんだよ?」の「何」には、「何をそんなばかなこと・信じられないこと」みたいなニュアンスがあるように思います。

さらに今頃気がついたのですが、フレンズでしょっちゅう出てくる、What are you talking about? 「何言ってんだよ!」も、相手の話している内容を尋ねているのではなくて、相手が信じられないことを言っているので、それはどういうことだよ?と問いただしているセリフですよね。

今回は、doing making と -ing 形が2回続いたので何だか不思議な感じがしたのですが、そういう言い回しはよく出てくるのですね。長月さんの what are you doing rolling on the floor ? (床に転がって何してるの?) という例文を見て、なるほどぉ、と思ったのですが、私はそういう例が頭に浮かびませんでした(そういう文の存在を意識したことがなかったらしい…笑)。まさに、ロングマンの例文2 と同じパターンです。catchさんのおっしゃるように、4-12 にも出てくるのですね。

catchさんの、「+形容詞、+ing(形容詞)、+with 名詞の形があってdoingと同時にしてることを表します」という説明が非常にわかりやすいです。また、englさんのおっしゃるように -ing には分詞構文のニュアンスが感じられると思います。コンマで区切ってないので、明らかな分詞構文というよりは、分詞構文のように「動作が付随している」ニュアンスかなぁ、と。「〜してるなんて、何してるんだ?」→「何で〜してるんだ?」という流れですね。英語の語順のままで解釈しようとすると、「何やってんの、…したりして。」みたいなことでしょうか?

ロングマンの例文1 を見て思い出したことがあります。
フレンズ2-19その19
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470527.html
エディー: Why doesn't my key work, and what's my stuff doing downstairs? (どうして俺の鍵が使えないんだ? それに、俺の持ち物がどうして階段の下にあるんだ?)
というセリフがありました。
当時の記事では、「俺の持ち物が階段の下(階下)で何してるんだ?」と「擬人的に」表現しているのかなと思った、と書いています。でもこれは「普通の表現」なんですね。日本語訳は「どうして」を使っているので、ニュアンスはわかったみたいですが。今、謎が解けて嬉しいです(笑)。
Posted by Rach at 2008年02月12日 11:55
ing おもしろいですねえ。おかげさまで、かなり楽しめました。
理解できました!と言えないところが悲しい。(笑)いえ、少しは理解できてます。

昨夜、DVDデッキに録画のランプが点いてるんで、?なんか映画でも予約してたかな?と思ったら、
あにはからんや、Rachさんに教えてもらった大西泰斗先生の番組を予約録画している真っ最中でした。忘れてました。

そいでもって、昨夜の眼目が、まさにこの ing だったんで、うんうん!?と興奮気味でした。
今回の、 doing making coffee 的な構文ではもちろんないんですが、興味津々でした。
「〜ing」(躍動!)と「to不定詞」の違いを感覚的に(まさにハートで)掴むようにもっていく手順というかプレゼンテーションは鮮やかでした。おもしろいです。
最後の、
Who's the cute guy making a phone call over there?
このmaking以下が、guyに単に「くっつく」というところは、少し不満で、どう「くっつく」のか、もう少し突っ込んでほしかったのですが、それは初心者の私のひが目でしょう。
個人的には、英文という言語構造を分解、理解、再構築していく上での武器、ツールとしての英文法には多大の信頼をよせていますが、
(言葉、文の構造を料理する過程、がスリルに満ちていて好きです。)
大西先生の、英文法上の用語にとらわれずに「ハートで」路線,英文料理法はかなり新鮮で魅力的です。
この先のピボットの話もあるし、私の未熟な文法理解をくつがえしてくれそうで楽しみです。
Posted by engl at 2008年02月13日 01:05
engl さんへ
「楽しめた」と言っていただけて嬉しいです。私自身も楽しめましたし、皆様のコメントを読んで本当に勉強になりました。
私もいつも「完全に理解できたぞ!」と思うことばかりではありません。今後、何度か同じような構文に出会う度に、そのイメージがよりはっきりしてくるように思うのですね。

大西先生の「-ing 形は躍動感!」の話も面白いでしょう? その話を聞いてからは、いつもそういう視線で -ing 形を見るようにしています。
「分解、理解、再構築」という言葉、いいですね。私もそういう「料理する」過程をいつも面白いと感じています。

残念ながら、現在再放送中の、「ハートで感じる英文法」(一番最初に放送されたシリーズ)ではピボットの話は出てきません(多分)。
「ハートで感じる英文法 会話編」か、もしくは、年末に放映されていた最新シリーズの「英語塾」の再放送をお待ち下さいませ。(どちらもそのうち再放送すると思います)
Posted by Rach at 2008年02月13日 15:54
こんにちは。
昨年末ぐらいから、
こちらのブログで英語の勉強させてもらってます。
Rachさんの、深く、鋭いスクリプトの解説にいつも敬服しております。

今更ですが
1-13 Ross: You what? Wh what were you doing seeing her boobies?
このセリフも
この記事で話題になっている文構造(What are you doing 〜ing?)
と同じかなーと思ったので、コメントしてみました。
分詞構文のようですが、なかなか理解しづらいですね。
同格でもないし。

このブログがいつまでも続くことを
願っております☆
Posted by ザ・パワー at 2008年03月06日 00:07
ザ・パワーさんへ
初めまして。コメントありがとうございます。
また「深く、鋭い」と褒めていただけて大変光栄です。ありがとうございます。

マイブログの過去記事では触れていませんが、1-13 にそういうセリフがあるんですね。私は全然気付きませんでした。教えて下さってありがとうございます!

おっしゃる通り、この記事の文構造と同じですね。
「彼女の胸を見るなんて、一体お前は何をやってたんだよ!」という感じで、「どうしてそんなことになったんだよ、どういうつもりでそんなことしたんだよ。」という非難の言葉ですよね。

見た目やニュアンスは分詞構文に限りなく近いですが、分詞構文よりももっと結びつきが密接な感じがします。だからコンマで区切られていない、というか、コンマで区切ってしまうと、一瞬そこで意味が途切れてしまうというか…。

また、激励のお言葉もありがとうございます。
管理人の私も、このブログがいつまでも続けられることを願っております☆
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2008年03月06日 10:17
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