2008年03月09日

墓場まで持って行く フレンズ3-11その35

[Scene: Joey's sister's house, they're finishing up dinner.]
ジョーイの姉妹の家。夕食を食べ終えたところ。
チャンドラー: This tiramisu is, is excellent. Did you make it, Mary Angela? (このティラミスは、素晴らしいね。君が作ったのかい、マリー・アンジェラ?)
ジョーイのおばあちゃん: No, I did. (違うわ。私が作ったのよ。)
チャンドラー: Well, it's, it's yummy. So, Mary-Angela, do you like it? (そうですか、とってもおいしいです。それで、マリー・アンジェラ、君はティラミスが好き?)
ジョーイのおばあちゃん: Of course. It's her favorite. (もちろん。彼女の大好物よ。)
チャンドラー: So um, Mary Angela, what's your second favorite? (それで、マリー・アンジェラ、2番目に好きなものは何?)
ジョーイのおばあちゃん: More of Grandma's tiramisu. (おばあちゃんのティラミス以外に(好物なんてないわよ)。)
チャンドラー: Oh, would you just please.... give me your recipe, 'cause this is great! It's topnotch! (あぁ、どうかお願いだから…あなたのレシピをくれませんか? だって、これは最高だから。)
ジョーイのおばあちゃん: That dies with me. (そのレシピは私と共に死ぬのよ[墓場まで持って行くよ]。)
チャンドラー: So will I. (僕もそうします。)

ジョーイのおばあちゃん、初顔見せですね。

今さらながらですが、「2番目に好きなもの」って、one's second favorite と言うんですねぇ。
the second best なら「2番目に良いもの、2位」で、the second best policy なら「次善の策、最善策の次の策」になります。
second best というと、マドンナの Express Yourself という歌の歌詞に、
Don't go for second best baby
Second best is never enough
などのフレーズが出てきます。
ここでも、「2番目」というのは、ベストに劣るもの、というニュアンスですよね。

More of Grandma's tiramisu. について。
more of は「…よりももっと」ですから、「おばあちゃん(私)の作るティラミスより好きなものなんて…(ないわよ)」みたいな反語的ニュアンスでしょうか。
1番目も2番目もない、とにかく、好物と言えばこのティラミスなのよ、という感じで、他のものなんか名前は挙がらないわ、ということでしょうか?

チャンドラーは、3つの質問全てで、マリー・アンジェラと呼び掛けています。
このように、質問の前後に、相手の名前を付け加えるのは、相手に対する親しみを込めた表現で、英語らしい特徴ですが、今回の場合は、そうやって呼び掛けることで、マリー・アンジェラが答えてくれるのを期待しているわけですね。
答えた人、その人がマリー・アンジェラだとわかるからです。
それなのに、おばあちゃんが先に答えてしまうので、マリー・アンジェラがどの子かちっともわからず、いらいらするチャンドラー。
ついに、「どうかお願いだから、マリー・アンジェラへの質問に先に答えるのはやめて…」みたいなことを言いかけて、please まで声を荒らげてしまったら、その場が騒然としたので、お願いを別の内容に変えたのですね。

topnotch は「最高の、一流の、ピカいちの」。

That dies with me. という表現について。
これは直訳すると、「それは私と一緒に死ぬ。」ということですね。
日本語でも、決して人に話してはならないような秘密を抱えている場合に、「墓場まで持って行く」などと言いますが、それと大変似ているように思います。
私が死んだら、そのレシピも封印される、他の人の手に渡ることはない、みたいな表現ですね。

それに対して、チャンドラーは、So will I. 「僕もそうします。」と言っています。
私は最初、「あなたがレシピを他の人に知られたくないように、僕も今のこの状況(ジョーイの妹と寝てしまったが、相手が誰かわかっていないこと)を他の人に知られたくありません、この秘密を一緒に墓場に持って行きたい」と言っているのかと思ったのです。
が、So will I. を省略しない形にすると、I will die with you, too. になるように思うので、そのレシピがあなたと一緒に死ぬように、僕もあなたと一緒に死にたい、という意味が正しいのでしょうか?
日本語風に言うと、「このレシピを墓場まで持っていく」ですから、「僕も墓場まで持っていって下さい、墓場に僕も連れて行って下さい。」、つまり、「もう死にたい、というほど辛い状況である」のをおばあちゃんのセリフに絡めて言った表現だということなんでしょうかねぇ?


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posted by Rach at 16:34| Comment(5) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
"So will I."を「私も墓場まで自分のレシピを持って行きます。」だと誤解してました。

"So will I."は、日本語の「私もそうします。」とは少し違う感じがします。
英語のこのような省略形は、元の文の動詞や目的語などをそのまま補って考えるようですね。

以前テレビで、元F1ドライバーの片山右京さんが言ってたんですが、
他のF1ドライバーとの同席の記者会見で
あるドライバーが(英語で)妻と毎朝キスをするという内容のことを言った後に
右京さんが"So do I."と言ったら、笑いが起こったそうです。(記憶が曖昧なので少し違うかも)

I will put the above sentence into English.
I'd like to say in advance "Sorry for my terrible English."

I assumed by mistake that Chandler meant he would die with his own recipe by saying "So will I".

"So will I" doesn't always mean "私もそうします" .
When you realize the sentences in English where some words are left out ,like "So will I",
you make up the words of the sentence right before, as they are.

In the TV program Ukyou Katayama ,a Japanese who used to be a F1 driver said that when attending a press interview with some F1 drivers
Katayama said "So do I" and everyone burst into laughter
because just before another driver told he kissed his wife every morning.
Posted by ザ・パワー at 2008年03月09日 22:52
こんにちは

More of は、「どちらかというと」と言う意味もありますが、ここは「更にもっと」という意味ではないですか。

1番目に好きな物は? ― おばあちゃんのティラミスです。
2番目に好きな物は? ― そのティラミスのおかわりです。

みたいな?
結局ティラミスが好きなので、それ以外に好きな物はないわよ、という訳は同じなんですが^^;

So will i は訳が難しいですよね。
「死にたい(意思)」よりも、おばあちゃんが邪魔するので、「自分も死ぬ運命になってしまった」、「これで僕の死も決定した」、みたいなニュアンスかとは思いますが。
このままだとジョーイ(或いはマリー・アンジェラに?)に殺されますよね(笑)
Posted by 長月 at 2008年03月10日 03:52
ザ・パワーさんへ
言葉そのものではなくて、言っている「内容」を考えてしまうと、「この秘密のレシピは墓場まで」→「僕の秘密も墓場まで」みたいな印象を受けるのですが、So will I. は「私もそうします。」という「何らかの行為をする意志」ではないのでしょうね。「私もそうなります。」の方がまだ近いでしょうか。
ですから、「持って行きます」でもなくて、「私も死にます(意志)」でもなくて、「私も死んでしまいます。(将来)死ぬということになってしまいます」という「未来の推量」でしょうか?

So do I. などのような省略形は、前の人の言葉を受けて発する言葉なので、省略されている部分は自ずと決まってしまいますね。ですから、"I kiss my wife every morning." に対して、So do I. と言ってしまうと、"I kiss her[his wife] every morning, too." という意味になってしまう、ということですよね。
主語が I になったからと言って、目的語が自動的に my wife に置き換わるわけではない、と。
日本語で「うちもそうです。私もそうです。」と言った場合には、主語が私に置き換わると、所有格も「私の」に置き換わる感覚がありますよね。英語ではその「省略されている単語」は明白であり、日本語のようなあいまいさはない、ということなんでしょう。

面白いエピソードを使って説明していただき、ありがとうございました。

Plus, thank you for explaining it also in English.
You don't have to use the word 'terrible' at all.
It's so important to express your ideas in English, right?
Maybe I should write English more & more often here on my blog.
Thanks again for reminding me of the importance of writing English.


長月さんへ
more of は「更にもっと」である、というご意見、私もそんな気がしてきました。

研究社 新英和中辞典には以下のように出ています。

more=(代名詞)(単数扱い) いっそう多くの量[程度、重要性]
例)
I hope to see more of her. もっともっと彼女に会いたいものだ。
I'd like a little more of the whisky. そのウイスキーをもう少しください。

おっしゃっているのは、このようなニュアンスですよね。
「2番目に好きなものを言ってみて。」「じゃあ、もう一回ティラミスを。/さらにティラミス。」
みたいな感じなんでしょうね?

日本語でも、「1に健康、2に健康、3、4がなくて、5に健康」みたいに、順位をつけているにもかかわらず、ひたすら一つのことしか言わない(笑)、という表現がありますよね。
今回のもそんな感じで、1番目は「おばあちゃんのティラミス」、2番目も「これまたおばあちゃんのティラミス」みたいに、2番目に欲しいもの、食べたいものを聞かれたら、これを再度要求するわよ、みたいなことなんでしょうねぇ?

私が記事中に書いた「反語的なニュアンス」だと解釈するにしては、何か言葉の要素が足りない気がしたので、長月さんのご説明の方が、ずっとしっくり来ます。ありがとうございました。

So will I. は確かに日本語訳が難しいですよね。おばあちゃんの言う、with me というニュアンスはあまり関係なくて、その動詞 die を使って、I will die, too. 「僕も死にますね。死んじゃうでしょうね。」みたいなことを言いたい、ということなのでしょうか?

ちょうどレシピの話をする時に、誰にも言わないというニュアンスで die with me という表現が使われたので、その die という言葉を使ってオチがついた、という構成になっているわけですよね。

ですから、脚本を考える段階では、kill とか die とかのオチをつけるために、die with me という表現が使える「おいしい秘伝のティラミス」の話題になった、ということなんでしょうね。
Posted by Rach at 2008年03月10日 13:09
So will I. について私なりの解釈

That dies with me. --> I will never tell you. --> I would rather die than telling you the recipe.

So will I. --> it kills me also for learning how to make tiramisu --> I would rather die than hearing the recipe from you.

Chandlerがしょうがなくて、recipeの話でごまかしたので。本当にrecipeを聞くわけがありません。
Chandlerがまったく料理をできなくて、料理をするのは嫌う人ですから。
3−1で
JOEY: Morning, hey, you made pancakes?
CHANDLER: Yeah, like there's any way I could ever do that.

Posted by Fen at 2009年06月23日 13:50
Fenさんへ
チャンドラーがおばあちゃんに「レシピを下さい」と言ったのは、大声を出したことをごまかすためですね。マリー・アンジェラが誰かを知るために、「ねぇ、マリー・アンジェラ」と呼び掛けているのに、マリーアンジェラが答える前におばあちゃんが先に答えてしまうからです。

「レシピを下さい」というのは、チャンドラーがとっさに考えただけのセリフなので、チャンドラーにとっては、レシピはどうでもいいことです。ですから、So will I. のセリフを完全な形にするために何か補うとしても、そこにレシピのことは出てこないように思います。
おばあちゃんが、die という言葉を使ったので、その die という言葉に対して、So will I. と言ったということだと思います。
Posted by Rach at 2009年06月26日 11:57
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