あるロビー。ロスは面接の後のレイチェルを待っている。
レイチェル: (getting off the elevator and noticing Ross) Hey! ([エレベーターを降りてロスに気付く] まぁ!)
ロス: Hi! (はーい!)
レイチェル: What are you doing here? (ここで何をしてるの?)
ロス: Ah y'know, this building's on my paper route, so I... (gives her a flower) (ほら、このビルは僕の新聞配達のルートだからね。それで… [レイチェルに花を渡す])
レイチェル: Oh. (まぁ。)
ロス: How did it go? (面接はどうだった?)
レイチェル: Oh well, the woman I interviewed with was pretty tough, but y'know thank God Mark coached me, because once I started talking about the Fall line, she got all happy and wouldn't shut up. (えぇ、私が面接した女性はすごく厳しい人だったの。でも、ほら、マークが私をコーチしてくれて本当にありがたかったわ。だって私がいったん秋のライン[スタイル]について話し始めたら、彼女はすっかり喜んで、話が止まらなくなったの。)
ロス: I'm so proud of you. (君をとても誇りに思うよ。)
レイチェル: Me too! (私もよ!)
ロス: Listen, I'm ah, I'm sorry I've been so crazy and jealous and, it's just that I like you a lot, so... (ねぇ、ごめんよ、僕がずっとおかしくて、焼きもちやいて、それで…ただ僕は君が大好きなだけなんだ。だから…)
レイチェル: I know. (わかってる。)
ちょうどそこにエレベーターからマークが出てくる。
マーク: Hi. I just talked to Joanna, and she loves you. You got it, you got the job. (やあ。ちょうどジョアンナと話したところなんだ。彼女は君を気に入ってるよ。君は合格だ。仕事をゲットしたんだよ。)
レイチェル: Oh, I did? (あぁ、合格したの?)
マーク: Yes. (そうだ。)
レイチェル: (to Ross) Oh, my God!! (she turns around and hugs Mark, not Ross) ([ロスに] なんてこと! [レイチェルは向きをかえて、ロスではなくマークとハグする])
ロス: Congratu!! (sees her hug Mark) -lations-lations. (おめで… [レイチェルがマークとハグするのを見て] とう…とう…。)
paper route は「新聞配達の順路」。
paper は「紙」ですが、a newspaper のことを簡単に a paper とも言いますよね。
ロスがこの時間にこの場所にいるのは変なのですが、それをロスは「このビルは僕の新聞配達のルートに入っているから、それで立ち寄っただけだよ。」みたいに答えているのですね。
わざわざ迎えに来たのは見え見えなのですが、「こんなところで何しているの?」とびっくりしたレイチェルに対して、「今、新聞配達の途中なんだよ。」とジョークで返しているわけです。
「何って、迎えに来たに決まってるだろ?」と言わないところが洒落ている、と思います。
ところで、"What are you doing here?" と「びっくりしたレイチェル」…と上に書きましたが、その「びっくり」のニュアンスについて少し触れたいと思います。
フレンズ3-11その7 で、
"What's an intelligent girl who wants to be in fashion doing making coffee?"
というセリフが出てきた時、その解釈について、コメント欄でたくさんのご意見をいただきました。
そのご意見を聞いて改めて気付いたのですが、What are you doing? という言葉には「驚き」のニュアンスが含まれているのですね。
ロングマン現代英英辞典では、
do [verb]:
7. what is somebody/something doing?
(spoken) used to ask why someone or something is in a particular place or doing a particular thing, especially when you are surprised or annoyed by this
つまり、「なぜ、ある人やあるものが、ある特定の場所にあるのか、ある特定のことをしているのかを尋ねる時に用いる、特に質問者がこの件について驚く、または、いらいらしている時に使う。」
今回のセリフは、まさにレイチェルが驚いているセリフですね。
上にも書いたように、ロスがここにいるのは「レイチェルを待っていた」からなのは明白です。
ですから、レイチェルが「ここで何をしてるの?」と言ったのは、そのしている内容を純粋に尋ねているのではなく、「ロスがこんなところにいるなんてびっくり。待っててくれたなんてびっくり。」というニュアンスなんですね。
日本語でも感情を込めて「こんなところで何してるの?!」みたいに言うと、そういう「驚き感」が出ます。
英語でも日本語でもそのニュアンスが同じなのは興味深いな、と思います。
Fall line は「この秋のトレンドのスタイル」みたいな意味でしょうね。
(she) wouldn't shut up. は「彼女は口を閉じようとはしなかった。話をやめようとはしなかった。」ということで、つまりは秋のラインの話で大盛り上がりになって、面接での会話が弾んだ、ということですね。
ここでのロスは素直に自分の気持ちを吐露しています。
crazy で jealous だったのは、I like you a lot だから…と説明していますが、こういうセリフに女は弱い(笑)。
フレンズ2-22その2 では、一度寝た女の子に電話をしないことを責められたジョーイが、
ジョーイ: Hey, I liked her, alright. Maybe, maybe too much. I don't know. I guess I just got scared. (彼女が好きだったんだ。多分、好きになりすぎたんだ。怖くなったんだと思う。)
と言っていましたが、それは大ウソでしたね(笑)。
ロスの素直なセリフに対して、I know. と答えるレイチェル。
モニカの口癖は I know! ですが、モニカのは人に褒められた時に得意気に言うことが多くて、それは少々カンに触ります(笑)。
でも、フレンズ3-6その22 では、
チャンドラー: Oh yeah, that sounds great. (starts to leave) Oh, and listen, it's, it's gonna be.... (あぁ、そうだね。それは良い考えだ。[出て行こうとする] あぁ、ねぇ、きっと…)
モニカ: I know. Thanks. (わかってるわ。ありがとう。)
というのもありましたね。
これはチャンドラーがこれから励ましてくれようとするのがわかっていて、「言わなくてもわかってる。(ありがとう。)」と穏やかに返すセリフでした。
今回のレイチェルのように、相手が必死に自分の気持ちを伝えようとしていて、それがうまく表現できない時に、優しく I know. というのは素敵ですね。
「それ以上言わなくても、あなたの気持ちはよくわかってるから。もういいのよ。」ということです。
「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」で、I love you. と言うレイア姫に対して、ハン・ソロが、I know. と返していましたが、それも好きだなぁ。
また「エピソード6/ジェダイの帰還」で、その逆パターンが出てくる、というのも楽しくて好きです…(笑)。
そうして仲直りできた感じのロスとレイチェルですが、そこにマークが現れて合格だと告げます。
喜ぶレイチェルが嬉しさのあまりハグした相手は、ロスではなくマークでした。
おめでとう!と言いかけて絶句してしまうロスがかわいそうですよねぇ。
(Rach からのお願い)
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ロングマンの説明にあるように、ものにも使えますね。What's this(that) thing doing in the house? なんでこれがここにあるの?よくタイポする私がいうのも恐縮ですがロス: How'd did it go? (面接はどうだった?)はタイポですね。クッキー役の女優さんは私の好みのタイプで9-10の準ミス・オクラホマ役で再登場すると思っていたのですが別人でした。フレンズは違った役ででてるエキストラが多いような気がします。裸のブ男とDays of Our Livesの脚本家はどちらも後ろ姿だけの出演ですが同一人物のような気がします。
興味深いコメントありがとうございます。
いろいろ反応していたら、ものすごく長いレスになってしまいました。
お暇な時にでも読んで下さい。
おっしゃるように、What are you doing? は「もの」にも使えるんですよね。
フレンズ3-11その7 のコメント欄
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471113.html#comment
で触れたのですが、
フレンズ2-19その19
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470527.html
エディー: what's my stuff doing downstairs? (俺の持ち物がどうして階段の下にあるんだ?)
も、「もの」が主語になっていますよね。これと同じような例がロングマンに出ていた時は、ある種の感動(?)を覚えました。
また、私が上に書いた
ロス: How'd did it go? (面接はどうだった?)
は確かにタイポですね。
ネットスクリプトをそのまま使ってしまったようです。
'd = did ですから、How'd it go? か、How did it go? にならないといけませんね。
…ということで、typo なので、上の記事では正しい表現 How did it go? に訂正しておきました。
(実際の発音は、did はかなり軽く発音されているので、How'd it go? でもいいような気もしますが…マイブログの過去記事を検索してみると、How'd it go? ではなく、How did it go? と表現してあるので、それに合わせました。)
'd というのを見ると、would や had を真っ先に想像してしまうのですが、フレンズのネットスクリプトでは、did の省略形として頻出していますね。
今さらですが(笑)、あらためて 'd の項目を辞書で調べてみると、
ロングマン現代英英辞典では、
1. the short form of 'would'
I asked if she'd be willing to help.
2. the short form of 'had'
Nobody knew where he'd gone.
3. the short form of 'did'
Where'd you get that?
また、研究社 新英和中辞典では、
'd (動、助動)
1. [代名詞の主語の後で] had, would, should の短縮形
I'd = I had [would, should].
2. [where, what, when などの疑問文で] did の短縮形
When'd he start?=When did he start?
とあります。
この 2. の説明が適切ですね。5W1H の疑問詞を使った疑問文で、did の省略形の 'd が使われる、ということですね。
ですから、How'd the audition go? = How did the audition go? という表現が、フレンズではよく出てくるということなんだなぁ…。
学生時代に英語を習っていた頃は、did を 'd と省略するイメージがあまりなかったのですが、フレンズでそれがすんなり受け入れられるようになりました。
…で、catchさんはクッキー役の女優さんが好みのタイプ、なんですね。クッキーみたいなあねごキャラが好き、ということじゃなくて、ああいう顔立ちや雰囲気がお好き、ということですか??
その 9-10 の準ミス・オクラホマが気になって、DVDを見てみました。
この人も美人ですよね。(そりゃ、準ミスだからね…笑)
この準ミスの人はウェンディ(Wendy)という役名で、演じているのは、セルマ・ブレア(Selma Blair)。
IMDb: Selma Blair
http://www.imdb.com/name/nm0004757/
ヘルボーイ(Hellboy)などに出演されているようですね。
そして、クッキーを演じるのは、Alex Meneses
IMDb: Alex Meneses
http://www.imdb.com/name/nm0005224/
クッキーを見た時に思ったのですが、私はサンドラ・ブロックに似てるなぁ、と思いました。
上の IMDb の Image 6 of 28 の写真も、似ているような気がする…私だけかなぁ?
裸のブ男(笑)について。
フレンズ2-18 に出てきた脚本家(ジョーイを降板させた人)は、IMDb の Cast 情報に、
James E. Reilly ... Writer (as Jim Reilly)
と書いてあります。
そのリンクをたどって、
IMDb: James E. Reilly
http://www.imdb.com/name/nm0717622/
を見てみたのですが、この方は「本物の Days of Our Lives」の脚本家、みたいですね。
唯一の Actor としての出演が、この 2-18 での脚本家(Writer)役、ということみたいです。
これって視聴者は、「あ、Days of Our Lives の脚本家だ!」とか、わかるんでしょうかねぇ?
楽屋落ち、内輪ウケみたいなネタなんでしょうか??
裸のブ男は、3-8 でハンモックに寝ている姿が初登場しましたよね。
でも、IMDb で調べても、Cast に Ugly Naked Guy の名前が載ってないんですよ。
5-14 にも登場しますが、その Cast にも載ってない。
Wikipedia 英語版: List of Friends recurring characters の Ugly Naked Guy の項目にも、演じている俳優のことは書いてありません。
どうして書いてないんだろうなぁ?? 書いてない(ノンクレジット)というのが意味ありげ、ですよねぇ。フレンズの関係者、なのかなぁ?
これまた私のイメージですが、私はこの裸のブ男を見ると、
フレンズ2-9その13
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470292.html
に登場した、アパートメントの管理人(super)のトリーガーさんを思い出してしまうんですけど…トリーガーさんに失礼かな?(笑)
エキストラが違った役で出ている、というお話は、全くその通りですよね。
私も過去記事、フレンズ2-6その10
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470228.html
で触れましたが、エステルやフランクJr. がそうですね。
また、以前に非公開コメントで読者の方から以下のようなメッセージをいただいたことがありました。
(興味深いお話なので、一部掲載させていただきますね。コメント下さった方、ありがとうございます!)
「1-12でフィービーの仕事場の同僚で出てきた女性の方が、1-1の最初にコーヒー店のカウンターにいた方と同じ方かなと思ったのですが、どうでしょうか?」
その方のおっしゃる通り、その2人は同じ女優さんですね。
Cynthia Mann さんという女優さんです。
IMDb: Cynthia Mann (I)
http://www.imdb.com/name/nm0542699/
にもちゃんと両方の役をやっていることが載っています。
1-12 以降のエピソードでは、フィービーのマッサージ店の同僚 Jasmine 役として4回登場します。(フランクJr. がお尻を触った…というあの人…笑)
その女優さんが、パイロット版(フレンズ1-1)では Waitress を演じていたんですね。
セントラルパークにウェディングドレス姿で飛び込んできたレイチェルが、モニカを見つけて喜ぶシーン。
レイチェル: Oh God Monica hi! I just went to your building and you weren't there and then this guy with a big hammer said you might be here and you are, you are!
ウェイトレス: Can I get you some coffee?
モニカ: (POINTING AT RACHEL) De-caff.
その Waitress さんです。
ちょっとハスキーな声が印象的ですよね。
彼女はまた、近々(?!)解説することになる、3-16 にも登場しますね。
ということで、調べたがりの性格なもので、長々書いてしまいました。ごめんなさい。
でも、いつかきっと調べたくなるから、今のうちに調べておいた方がいいかな、と思いまして(笑)。
Days of Our Lives の脚本家の件は、私も調べてビックリでした。本当に IMDb って便利ですよねぇ。こんな細かいキャラまで載っているなんて。それもリンクを辿ると、ちゃんと個人のページで、その人に関する情報が集約されているなんて。情報の漏れとか間違いとかはあまり見かけないような気がします。IMDb の情報を管理している人ってすごいなぁ、とつくづく思います。
それから、1000回目の件についてのコメント、ありがとうございます。嬉しいです!
比叡山の荒行にはとうてい及びませんが(笑)、まぁ、我ながらよく続いたなぁ、とは思いますねぇ(しみじみ)。
おっしゃるように、シーズン3の後半から、雰囲気が変わりますよね。そういう意味でも、シーズン3は面白いのだろうと思います。今後はずっとシリーズ最終話がクリフハンガーになりますし、それもかなり「どうなるのっ!?、早く先を見たい!」と思わせるような部分で終わるんですよね。
やはり10年も続いたシリーズですから、それぞれの人生にいろんな変化が起こります。まさに波瀾万丈な感じです。
私のブログ、どれくらい続くのかわかりませんが、できるだけ多くのエピソードを、フレンズファンの皆様と共有したいな、と思っています。
ファイナルまで行けるものなら行きたいんだけど…それにはまず、1話の解説を短くする必要があるな(笑)。
これからもよろしくお願いいたします!
interviewは、する側、される側
両方とも主語になれるのでしょうか?
20:35 The woman I interviewed with
was pretty tough…
ご質問ありがとうございます。
interview は「インタビュー」としてカタカナ語化しており、インタビューというと「聞き手が相手に質問する」という行為がまずは想像されますよね。
英語の interview は、(仕事の)面接で、面接する側(面接官)も、面接される側(候補者)のどちらも主語に取る動詞となります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
interview :
1. [transitive] to ask someone questions during an interview
例)We interviewed 12 candidates in three days.
2. [intransitive] to go to a job interview in order to try to get a job
with/at
I've only interviewed with two other companies so far.
つまり、1. 「(他動詞)インタビュー(面接)の間にある人に質問すること」。例文は「我々は3日間で12人の候補者を面接した」。
2. 「(自動詞)仕事を得ようとするために、仕事の面接に行くこと。例文は「私はこれまで、別の2つの会社と面接しただけだ」。
1. の他動詞の方が、我々がまずイメージする「面接官が候補者を面接する」という形で、2. の自動詞の方が「仕事の希望者が会社と面接する」という形になります。自動詞では<interview with+面接した相手>という形になっていて、これが今回のレイチェルのセリフと同じパターンということになるわけですね。
「インタビューされる側」だから受動態で表現されそうなところですが、「仕事を欲しい人が会社などと面接・面談する」という意味で自動詞でも使えるというところが、用法として興味深いところだと思います。
貴重なご質問ありがとうございました。