[Scene: Central Perk, Chandler and Rachel are there.]
セントラルパーク。チャンドラーとレイチェルがそこにいる。
レイチェル: So ah, did you have fun at the bachelor party last night? (それで、昨日の晩のバチェラー・パーティーは楽しかった?)
チャンドラー: Oh yeah, yeah! Look what I got, look what I got. (holds up a pen) See, she's fully dressed, right? (あぁ、そうなんだ、楽しかったよ。俺がゲットしたものを見てよ、見てよ。[ペンを掲げる] ほら、彼女はちゃんと[きちんと]服を着てるだろ?)
レイチェル: Right. (そうね。)
チャンドラー: And then you click it and, uh-oh, she's naked! And then, and then you click it again and she's dressed. She's a business woman, she's walking down the street, she's window shopping, and (clicks pen) whoa-whoa-whoa, sh-she's naked! (Rachel just stares at him.) (そしてそれからそれをクリックすると、彼女は裸だ! それから、それからまたクリックすると、彼女は服を着てる。彼女はビジネスウーマンだ。彼女は通りを歩いて行く、彼女はウインドーショッピングをしている、そして[ペンをクリック] ほらほらほら、彼女は裸だよ! [レイチェルはただ彼を見つめる])
ロス: (entering) Hi. ([入ってきて] やぁ。)
レイチェル: Hello. (ハロー。)
チャンドラー: Y'know what, I'm, I'm gonna spend some alone time with the pen. (ねぇ、僕はこのペンでしばらく一人の時間を過ごすことにするよ。)
昨晩のバチェラー・パーティーのことを尋ねるレイチェル。
チャンドラーの様子を見ると、楽しかったようなのですが、何に喜んでいるかというと、景品かお土産でもらったペンに大喜びしています。
押すと(ノックすると)、ペンの上部分に入っている女性の姿が変わるペンのようです。
画面では、それがどんな風に変化するのかまではわかりませんが、チャンドラーの喜びようを見ていると、結構、劇的に(笑)、服を着ているところから、裸の姿に変わるのでしょうね。
そのペンで楽しんでいる様子をチャンドラーが語ってる様(さま)が面白いです。
きりっとした服を着たビジネスウーマンが…ほら、裸になっちゃった!と喜んでいるのですが、たかがペン一つでここまで楽しめたら大したものです。
特に英語の表現について解説するような難しい部分はないのですが、チャンドラーが語るセリフのリズム感のようなものを感じていただけたらと思います。
パーティーはどうだった?と聞いて、ペンのことばかり言っているところを見ると、他には特においしいことも、面白いこともなかった、ということなのでしょうね。
そのペンに見とれているチャンドラーと、あきれているレイチェルとの対比も面白いです。
ロスが入ってきて、ロスとレイチェルが気まずいことになっているのを知っているチャンドラーは、席を外すことにします。
「このペンでしばらく一人で遊んでるよ。」という言い訳ができたので、このペンがあって良かったのかもしれません。
チャンドラーは、I'm gonna spend some alone time with the pen. と言っていますね。
「一人でこのペンで遊んでる」と言いたい場合は、
1. I'm gonna spend some time alone with the pen. 「一人でこのペンと[(ペンの女性を擬人化した場合は)このペンと二人きりで]時間を過ごす」
と言いたくなるのですが、
2. spend some alone time with... 「このペンと一緒に、一人きりの時間を過ごす」
という言い方もあるのですね。
1. の alone は副詞で、spend という動詞を修飾しています。
2. の alone は形容詞で、time という名詞を修飾していることになります。
…が!
ロングマン現代英英辞典の alone (adjective 形容詞, adverb 副詞)の項目には、
[not before noun]
つまり、「名詞の前には使われない」と書いてあります。
研究社 新英和中辞典の alone の項目にも、
【形】【P】
と書いてあります。
【P】とは、predicative 「叙述的な」という意味で、【P】のついた形容詞は、補語としてのみ使われる形容詞です。
その用法は、形容詞の「叙述(的)用法」と呼ばれます。
フレンズ2-23その21 では、twin 「双子の」という形容詞を使って、形容詞の【A】「限定用法」と【P】「叙述用法」の説明をしていますので、興味のある方はご覧下さい。
辞書にあるように、形容詞 alone は「叙述用法のみで限定用法はない」ということだと、alone を形容詞として使う場合は、We are alone. 「僕たち、二人きりだね。」のように、be 動詞などの後に補語として使われるのみで、「(an) alone+名詞」(孤独な○○、一人の○○)のような形では使われない、ということになります。
ですが、今回のこのチャンドラーのセリフは、some alone time となっていて、alone は time という名詞にかかっています。
つまり、【A】限定用法として使われていることになりますね。
ということは、文法的には厳密に言うと間違っている、のかもしれません。
また、今では、口語ではこんな風に、名詞の前に使うことがある、ということかもしれません。
また、名詞の前に使われているとはいっても、他の限定用法の形容詞とは違ったニュアンスがしますよね。
上のセリフの alone time は、time が alone だと言っているわけではなく、「一人きりで過ごす時間」という感じがします。
alone の持つ「一人で」というニュアンスを使って time という名詞を修飾した、「限りなく副詞に近い形容詞」(?)なんでしょうかねぇ?
今回、特にこの部分を説明したのは、私のようなノンネイティブの日本人でも、spend some alone time と聞くと、「一人の時間を過ごす」んだな、ということはわかりますよね。
その感覚がわかればいいと思うし、その感覚で単語を並べれば、ネイティブにも通じるだろう、ということです。
個人的には、spend some alone time という表現に、ネイティブの中には多少の違和感を感じる人もいるのかどうか?が知りたいのですが…。
(Rach からのお願い)
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この場合、正しい文法(笑)で考えると、I'm gonnaではなく、I willとなりますよね。ロスが部屋に入ってくるのをチャンドラーが前もって知っていたわけでもないので。
なんだか前にも同じようなこと伺ったような気もするのですが・・・ ちらっっと探してみたのですが、見当たりませんでした。私の記憶は超信用できませんが(涙)、前も上と同様のパターンで、今現在決定したのにbe going toを使ってたような・・・? 変ですね、って話で終わったような・・・? 2度3度と、このパターンがあるのなら、これは考えもの(笑)ですよね。
このチャンドラー役の方の台本には、some alone time と書いてあって、チャンと台本通りに台詞を言ったのでしょうか?そうであれば、言葉は「生き物」ですから、なんらかの理由があって文法自体が変わっていく過程にあるのかもしれませんね。
もう一つの可能性としては、台本には、some time alone となっていたのを、チャンドラー役の方が、slip of tongue で、ついうっかり、some alone time と言ってしまったけど、NGにならずにそのまま放映されたことも考えられますよね。
どちらなのか知りたいですよね。
残念ながら、私の周りには生外人がいないので聞けません。誰が聞けたら、このブログコメント上で教えていただきたいと思います。
嫁さんがアメリカ人なので、聞いてみました。
I need alone timeとか普通に使うそうです。
文法云々は定かではありませんが、普通に使うイディオム的なモノになっているのだと思います。
ほんとだ。どうして、will じゃなくて、be gonna (be going to) なんでしょうねぇ?
「…するつもりである、…しようとするところだ」みたいな日本語で言うと、この場の雰囲気や空気を読んで、「俺はこれからこれで一人遊びをした方が良さそうだな。これでしばらく遊ぶことになりそうだな。」みたいなニュアンスなんでしょうかね?
自分が決めた意志、というよりも、そういうことをする状況になった、この場の流れに乗るとそうなる、みたいな感じの?
まゆみさんがおっしゃっておられるのは、これのことかな?
フレンズ2-20その26
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470560.html
ロス: I'm gonna kiss you! (今からキスするぞ!)
レイチェル: You better! (キスすればいいわ!)
この時もコメント欄であれやこれやと言っていますが(笑)、be going to のイメージは、「ハートで感じる」大西先生が語られているような「流れ」という言葉がポイントな気がします。
自分がパッと決めたか、状況からそうなるか、の違いなのかなぁ、と思うのですが、どうなんでしょうねぇ?
自分で使い分けができるようになるためには、違いがはっきりわかってないといけないしなぁ…ノンネイティブには難しいところですね。
かいちゃんさんへ
おもしろい、と言っていただけて嬉しいです。
ネットで公開されている「ネットスクリプト」は、俳優さんが言ったままをディクテーションして拾っています。ですから、最初の台本の段階でどう書いてあったのか、というのは、視聴者の私たちにはわかりません。
台本の時点で some alone time だったのか、チャンドラーがそう言ってしまったのか、というのは気になるところですね。
下の Hiroさんのコメントへの返事とカブりますが、多分、「普通」の表現なのでしょうねぇ? 聞いて違和感があるような表現、明らかな言い間違いだと、撮り直しするかな、とも思いますし…。日本のドラマのセリフでも、文法的におかしい表現、または人によって正しい正しくないと意見の分かれるような表現など、しょっちゅう出てきますよね。
今回の場合も、私自身は聞いていて全く違和感を感じなかったのですが、何の気なしに辞書を調べると、ロングマンにまで(!) [not before noun] と書いてあったので、「あれれ〜?」と思ったのです。だから、面白いなぁ…と思って、ちょっとしつこく(笑)語ってみました。
Hiroさんへ
初めまして。ご訪問&コメントありがとうございます。
アメリカ人の奥様に聞いて下さったのですね? ありがとうございます!
そうですか…「I need alone time. とか普通に使う」のですね。
私も上の記事でごちゃごちゃ書いていますが(笑)、 I'm gonna spend some alone time with the pen. というセリフを聞いて、全く違和感を感じなかったし、意味もそういうことだろうとすぐにわかりました。ですから、普通なら特に触れずにスルーしているところなのですが、今回のシーンはあまりネタがなかったので(笑)、何か書くことないかな、とじーっと見ていたら、alone をこんな風に名詞の前で使うのって珍しいような気がする…と思ったのです。それで、辞書に「一人で過ごす、一人の」みたいな形容詞の 【A】「限定用法」の語義が載ってるだろうと思って調べてみたら載ってないし、[not before noun] とか 【P】 とか書いてあるので、「これはちょっと特殊な使われ方?!」と思って、つっこんで書いてみたのですね。
今さらながら、"some alone time" を検索してみると、たくさん(203,000件)ヒットがあり、need some alone time というフレーズもたくさんヒットします。
これくらい使われていると、ナチュラルな表現、として認識されている、という感じですね。
ノンネイティブの私にも自然に受け入れられるし、英語としても違和感のないわかりやすい表現だと思います。「ただ」辞書に載ってなかったのだけが不思議で…。そのうち、載りますかねぇ?(笑)
「名詞の前には使わない」と辞書に書いてあるからと言って、それが絶対ではない、というか、日本語でも、「一人の時間を過ごす」と「一人で時間を過ごす」に少しニュアンスの違いがあるのと同じで、spend some time alone と、spend some alone time にも多少の違いが出てくるのだろうと思います。
「流れ」ですね。「ハートで感じる」、読まなきゃねぇ。(まだ読んでないのか、おい 笑)
しかし前回の質問が2006年9月だったのには驚きました。それを私がおぼろげながらも覚えていたのに驚きました。(爆)
もし万が一、もう一度同じ質問をしたら、無視してやって下さい。(笑)
ごめんね〜 ありがとね〜
Hiroです。
辞書に載ってない慣用句って結構ありますよね。
結構というより考えているよりという意味です。
今回の「alone time」を、The New Oxford American Dictionary(2,3キロあるのとちゃうやろか)で調べましたが、載っていませんでした。
こういうのはもう丸々覚えちゃって使い倒すしかないですね。
「「一人の時間を過ごす」と「一人で時間を過ごす」に少しニュアンスの違いがあるのと同じで、spend some time alone と、spend some alone time にも多少の違い」なのでしょうね。
勉強になりました。
前回の話、ついこないだのような気がするのに、そんなに前の記事だったんですね。私もびっくり(笑)。
「流れ」という言葉が、私にはとてもしっくりきました。まゆみさんも、チャンスがあれば是非、大西先生の本をご覧になってみて下さい。
こちらこそ、いつもありがとね〜
Hiroさんへ
そんな重たい辞書で調べていただき、ありがとうございました!
それにも載ってないんですかぁ…。
ノンネイティブが聞いても、自然でよくわかる表現なのに、なぜか辞書に載っていないもの、ってありますよね。ネイティブの感覚で単語を配置したら、誰にでもしっくり来るから、わざわざ辞書に載せる必要もない、ということなのかもしれません。
過去記事でも触れたことがあるのですが、私は辞書に載っていなくても、フレンズで使われた表現なら、それはナチュラルなものであろう、と考えて、自分でも使っていいかな、と思っています。そんな風にドラマで生きた英語をどんどん学んでいきたいな、と。
こちらこそ、一緒にいろいろと考えていただきありがとうございます。また何かありましたら、コメントいただけると嬉しいです。