リチャードにラザニアの作り方を教えるだけだ、というモニカに、
ジョーイ: Well, you might wanna make a little extra, because you'll probably be hungry after the sex. (そうか、少し余分に(ラザニアを)作った方がよさそうだね。だって、多分モニカはお腹がすくだろうからさ、エッチの後にね。)
モニカ: We're not gonna have sex. Okay, nothing's changed here. He still doesn't want children, and I still do. So that's why we're just gonna be friends. (私たちはエッチはしないわ。そうよ、ここでは[今の状況では]、何も変わっていないもの。彼はまだ子供を欲しいと思っていない。そして私はまだ欲しいと思っている。だから、私たちはただの友達でいるの。)
ロス: Naked friends. (裸の友達だね。)
you might wanna について。
フレンズ3-9その1 で、you wanna (you want to) は、you should や you ought to のようなニュアンスである、と説明しています。
ロングマン現代英英辞典の、want の項目に、以下の語義が載っています。
want [verb]:
4. SHOULD
[transitive] (spoken especially British English) used to say that something is sensible or that someone should do it, especially when giving advice
may/might want to do something
例) You might want to install anti-virus software.
つまり、「何かが賢明であること、または、誰かがそれをすべきであることを言う時に使われる。特にアドバイスを与える時に。」
例文は、「アンチ・ウイルス・ソフトウェアをインストールすべきだ(ろう)。」
may や might がつくと、やや表現が柔らかくなるのかもしれませんが、should のようなニュアンスであるのは同じようです。
「ラザニアを多めに作っておいた方がいい」とアドバイスするジョーイですが、その理由はというと、「エッチの後にお腹がすくだろうから。」
二人が会って、そういうことがなにもないままで終わるわけがない、と思っているのですね。
モニカは「友達、友達」と強調していますが、ロスまで、きっとそのうちエッチをすることになるだろう、と思っていることがわかります。
naked friends とは、服を脱いじゃう友達関係なんじゃないの?、結局、エッチをしちゃうんじゃないの?、ということです。
ちょっとここで、英語と日本語の語順の違いについて見てみたいと思います。
昨日の記事に出てきたセリフ、
チャンドラー: ... and now she's celebrating that by going on a date with him. (だから今、モニカはそれをお祝いしてるんだよ、彼とデートに行くことでね。)
今日の記事に出てきたセリフ、
ジョーイ: ... because you'll probably be hungry after the sex. (だって、多分モニカはお腹がすくだろうからさ、エッチの後にね。)
チャンドラーもジョーイも、モニカがリチャードと食事したことにあきれていて、ちょっと皮肉っぽいことを言っています。
通常の日本語の語順で訳すと、「彼とデートにいくことでそれをお祝いしている。」「エッチの後にお腹がすくだろう。」となるでしょうか。
でも、そう訳してしまうと、このセリフのイヤミな感じが出ないような気がします。
オチは最後に持ってくる フレンズ3-8その26 で、ジョークのオチを最後に持ってくる件について触れたのですが、それと似た感じで、ここでも最後まで聞いて二人の意図することがわかる、という仕組みになっているのですね。
英語としてはこれが通常の語順なのですが、by going や、after the sex が最後に出てくることで、
「お祝いしてるんだよ…彼とデートすることで。」(デートしちゃったらこれまでの苦労が水の泡じゃん!)
「お腹がすくだろう…エッチの後で。」(エッチするって決め付けてる!)
みたいに笑えるわけですね。
セリフ、特にコメディのセリフでは、「どこで笑うか」というのがポイントで、by going や after the sex が聞こえて初めてその意味を理解し、そこでドッと笑えるわけです。
だから、日本語に訳す場合でも、それをわざと後ろに持ってきて、付け足しのように表現しないと、彼らのジョークの面白みが伝わらないと思うのですね。
彼らのセリフの「内容」を理解する上では、「エッチの後でお腹がすくだろう」という解釈で問題ないのですが、彼らのジョークの間(ま)を理解するには、聞いたままの語順で彼らの言っていることがイメージできないといけない、ということです。
ネイティブとおなじタイミングで笑えて初めて、英語のままジョークを理解できた、と言える気がします。
(Rach からのお願い)
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I thought you might want to〜という言い方があって、(もしよかったら、〜しませんか?)と言う言い方でwhy don't you〜より丁寧で親切な申し出です。10-9等に出てきます。
昨日potluck dinner についてふれられてましたが、手紙やメールでB.Y.O.B.と書いてあることがあります,飲み物持参だけではなくpotluck dinnerの招待状で手紙やメールで使われるそうです。 Bring Your Own Booze(Bottle)
you wanna は「そうすべきだ、そうした方が正しい」というニュアンスで、you might wanna は「柔らかく、親切心で言っている」ニュアンスなんですね。「多めに作っておいた方がいいよ〜、いいんじゃないの〜?」と優しく言っておいて、最後に手厳しいフレーズで落とす(だって、エッチするに決まってるから)、というその落差が面白いわけですね? そう考えると、ますますこのジョーイのセリフが面白くなります。的確なご指摘、いつもありがとうございます。
10-9 の I thought you might want to ... のセリフ、見てみました。直訳すると、「…したいと思われるんじゃないかなと思って…」みたいな感じで、「よろしければ…されますか?」みたいなことですね。この 10-9 の状況を考えると「丁寧で親切な申し出」であることがよくわかります。
B.Y.O.B. という言葉はどこかで習ったのですが、実際に使われているところはあまり見た記憶がありません。booze か bottle なので、本来は「飲み物、酒類、ボトル持参のこと」と「飲み物限定」であるはずですが、potluck dinner であれば、食べ物も含む、飲食物全般を指す、こともある、ということですね?