2008年05月22日

形容詞を副詞として使う フレンズ3-13その15

ジョーイ: Ah, now Rach, these ah, these little women. (ねぇ、レイチェル。このリトル・ウィメン(小さな女性たち)だけど…)
レイチェル: Yeah. (えぇ。)
ジョーイ: How little are they? I mean, are they, like, scary little? (彼女たちはどのくらい小さいの? つまり、恐ろしいほど小さいの?)

若草物語の原題 Little Women 「リトル・ウィメン」については、Wikipedia 日本語版: 若草物語 の「概要」で、「リトル・ウィメン」という言葉について触れられています。
一部引用すると、
単なる幼い少女ではなく一人の立派な女性であるという意味合いで用いられていた。
とのことです。
つまり、little girls ではなくて、「一人前の女性」として接しているという意味合い、「ちっちゃな淑女たち」みたいな感じなんでしょうね。

ジョーイはホラー小説を読んでいるので、何でも「怖い話」だと思ってしまうようです。
タイトルに little とついているから、little であることがポイントだと思ったのでしょう。
「恐ろしいほど、怖いほど、ぞっとするほど」小さい女性たちの話なの?みたいに尋ねていますが、そんな話じゃないってば(笑)。
よほど、シャイニングが scary なんでしょうね。
本を読まないジョーイにとっては、「本、小説=シャイニング」で、その視点でしか本の良し悪しを判断できないみたいな感じです。

最初に How little と little の度合いを尋ねているわけですから、意味は、「ぞっとするほど小さいの?」と尋ねているはずですね。
ジョーイは、"are they, like, scary little?" と言っていますが、scary は形容詞ですから、本来ならば、scarily little という風に、「副詞の scarily」になるような気がするのですがどうでしょう??

DVD英語字幕も、ネットスクリプトも scary ですし、実際のジョーイの発音も scary と言っているように聞こえます。
scarily は r と l が続いて少々発音しにくいので、scary と言っているのかなぁ?
scary little と言っても、その位置関係から、scarily little という意味で使っているだろうことは想像できますしね。

そう言えば、real という単語は、普通は「本物の、本当の」という意味の形容詞ですが、really 「本当に、非常に(副詞)」の意味で real を使っているのもたまに見かけます。
ロングマン現代英英辞典では、real は副詞としての語義も載っています。
real [adverb]:
(American English spoken)
very
例) He's real cute. It was real nice to see you again.

つまり、「とても、非常に(very)」と後ろの形容詞を強調する副詞として使われていて、really と同じニュアンスになりますね。

今回の scary little の scary も、その real と似た感じでしょうか?

英語は語順が非常に大事な意味を持ちます。
He's real cute. という文章を見た場合でも、He's real & cute. という意味ではなくて、He's really cute. という意味であるとわかる、つまり、real は cute を修飾していて、それを強調しているのだ、とわかる感覚が大事なのかな、と思います。
文法的に正しく書くと、really cute となるべきなのでしょうが、それを今の英語では、real cute とも言うんだね、と知ることが「生きた英語を学ぶ」ということなのかな、と。

基本的な文法ではどう表現するのか?を知っておくことは大切です。
でも、文法ルールに合っていないからと言って「それは間違いだ。」で済まして切り捨ててしまうのはもったいないです。
その間違いのままでもニュアンスが確実に通じているからこそ、多くの人がその表現を使うわけですよね。
私はフレンズをずっと見てきて、「文法的には「???」だけど、そのニュアンスはよくわかる!」という表現にたくさん出会ってきました。
「ネイティブの言葉の並べ方から、そのニュアンスを掴めるようになること」が、英語を学ぶ上で非常に大切なのだと思っています。
そういう「ネイティブならわかる感覚」をどんどん掴んでいきたいものですね。

"are they, like, scary little?" というセリフを見て、
"scarily little" が正しいんじゃないの?と思う「文法的感覚」と
"scarily little" を "scary little" って言っちゃうんだぁ、面白い!と思える「ネイティブのニュアンスを楽しめる感覚」、
その両方の感覚をバランス良く持ち合わせることが、英語を学ぶ上では大事なのではないかと思っています。


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posted by Rach at 10:14| Comment(4) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>その両方の感覚をバランス良く持ち合わせること
まったくその通りだと感服しました。
個人的には、そういう楽しみ方をしてるつもりでしたが・・ 難しい面もありますよね。
指摘されてみると、あ、そうだな、とあらためて納得自戒。

それで、今日の scary little なんか、「問題なし」で聞き流してしまうところでした。
もちろん、私がネイティブ感覚ということではなくて、要するに雑に聞いてるといことなんですが。
Rachさんの解説で、感覚的にもよく把握できました。

それで、さらに、私の乏しい「文法的」知識というか感覚で考えてみたんですが、
これ、日本語の「おっそろしく〜」の感じと語の使い方が似てますよね。
「彼女たちって、おっそろく小さいわけ?」
だけど、ジョーイの言うscaryは、文字通りシャイニング的でホラー的なscaryでしょうから、
日本語の「おっそろしく」とは違いますね。

やはり、Rachさん解説のように、副詞的に「scaryなほどlittle」って感じか。
they are so little that they are scary 
they are so little as to make me feel scary(作文がおかしいかも)
みたいな、「あんまりlittleなんでscaryなものになっちゃう」のscaryが前に出てきて
scary little か。
おもしろいですねえ。

やはり、文法的にはscarily littleとしてもらったほうがシックリきますが、
なんども眺めていると、scary little のほうが歯切れがよくてシックリくるような気もしてくるから面白いです。

real cute とも発音まで似ていておもしろいんですが、
こっちは、「あんまり cute なんで real 」というふうに把握しにくいので、
強調のreal って感じですが、
ご指摘のように、形容詞が副詞的に使われた例としてよくわかる引用だと思いました。
もしかすると、ジョーイのscaryも、日本語の「おっそろしく」的な
強調のscaryみたいな使い方があるのかな?とも思いましたが、
難しすぎてわかりません。
Posted by engl at 2008年05月22日 20:31
本来、副詞のところを会話では形容詞を使うことは多いですね。音楽の歌詞はその傾向が大きいけれど話し言葉もリズム感が大事でみんなが使うから、それが定着するんでしょうね。badも会話では形容詞が多いですね。グーグルでうまくいってないんだをグーグルで調べました。
Things are going bad 38,000 件
Things are going badly 46,900 件
会話では圧倒的に形容詞を使うんでしょうね。
ただ、センテンスによっては副詞と形容詞で意味が変わることもありますね。
I really feel badly.(申し訳ない)
I really feel bad.(気分を害した)
Posted by ジョーイ at 2008年05月22日 21:19
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Posted by Tomo at 2008年05月23日 11:38
englさんへ
私の解説を評価していただき、ありがとうございます!
私も最初は「問題なし」で聞き流していました。解説記事を書く段になって、よく見てみると、形容詞が二つ並んでいるので、「あれ、副詞じゃないんだ?」と思って、その部分にこだわってみたのですね。

「おっそろしく〜」を例に挙げていただきましたが、「すごく」「ひどく」「恐ろしく」のように、「すごい」「ひどい」「恐ろしい」という形容詞を副詞化して使うことで、「非常に、とても」という very のような意味で使うことができますね。
英語でも、terribly, horribly のように同じような経緯をたどった言葉がありますので、その感覚は似ているようです。

今回の scary が scarily という副詞のニュアンスだとすると、そういう「強調」の意味もあって、と同時に、元々の scary の意味も含まれていて、「scary だと思えるほど、ものすごく小さい」という感じなのかな、と思います。

englさんが英文で書いて下さったような感じで、「すごく小さすぎて、だから怖い」「あんまり小さいんで、怖く感じる」みたいなことでしょうね。
ジョーイは、若草物語がシャイニングよりも面白い、と言われたので、それはもう怖い怖いホラー小説みたいに思い込んでいるのかな、と思いました。「振り向くとそこには、小さな、小さな、恐ろしいほど小さな女性たちが、こちらをじっと見つめていた…キャー!」みたいなイメージを持っているのかな、と。(私の勝手な妄想です…笑)

おっしゃるように、受け手側の感情としては、「あんまり little なんで scary なものになっちゃう」わけですから、挙げる順序としては、little → scary になるはずですよね。それを副詞化して前に付けることで、scary と感じるほど little である、と言っているのがジョーイのセリフなのかなぁ、と。

unbelievably+形容詞、とか、surprisingly+形容詞、などの場合も、その形容詞の度合いが「あまりに…なので信じられないくらいだ」「あまりに…なので驚くべきほどだ」みたいなことですね。それを副詞化することで「信じられないほど…」「驚くほど…」と、その度合い・程度を、話者の感情を込めて表現している、ということでしょうか。
scarily little だとすると、「ホラーチックに小さい、ぞっとするほど小さい」という感じで、「強調」と「受け手の感情(怖い)」を同時に表している、ということでしょうか。

real cute の例は、really を real と表現する、というアメリカ口語のわかりやすい例として出したのですが、
>「あんまり cute なんで real 」というふうに把握しにくい
という englさんのご指摘を考えると、scary little と全く同じパターンとは言えない気がしてきました。
意味としては、scarily little に限りなく近いものであるように思うけれども、scary little とすることで、「あんまり little なんで scary なものになっちゃう」感がより強まるようにも思うのですね。
だから、それで聞いた時に別に違和感もなくて、シックリきてしまったのかな、とも思います。

考えれば考えるほど深みにハマっていきますが(笑)、面白いですね。一緒に考えて下さって嬉しかったです!


ジョーイさんへ
会話では、副詞のところを形容詞を使うことが多い、というのは、その通りですね。

フレンズ3-1その28
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470732.html
とそのコメント欄で、he's doing terrible! という表現について語っています。
この時も、私は最初、「正しくは、副詞の terribly になるんじゃないのかな?」と言っていましたが、「文末に形容詞が来ることで表されるニュアンスがある」という話に発展しています。

ただ何となく形容詞を副詞として使っているわけではなくて、リズムもそうですし、形容詞にしても意味がわかるからこそ、そんな風に自由に使われるのでしょうね。

bad は本来は「形容詞」ですね。それが badly という副詞と同じ意味でも使われる、と英和辞典にあります。

ロングマン現代英英辞典では、
bad [adverb]:
(spoken)
a word used to mean 'badly' which many people think is incorrect
例) I need that money bad.
つまり、「badly の意味で使われる言葉だが、多くの人がそれは正しくない(用法だ)と思っている。」

go bad だと普通は「(食べ物が)腐る」という意味になるでしょうか。
go+補語で、「(通例)悪い状態に)なる、変わる」ということですよね。
go badly の場合は、「bad という状態で(事態が)進む」、つまり「(物事が)うまくいかない、うまくいっていない」ということになるのですね。

食べ物などの品質の話をしているのではなく、物事の状況を語っているのだと文脈から判断できる場合は、go bad = go badly であることがわかりますよね。「bad という状態で」という意味で、badly と言わずに、bad だけで済ましてしまう、という感覚でしょう。

feel badly と、feel bad の使い分けも難しいですね。
英辞郎を見ると、ほとんど同じような意味が書いてあり、二つの違いがよくわかりません。

研究社 新英和中辞典では、
副詞の badly の語義の後に、形容詞の語義が書いてあって、

badly
(形、P)(口語)(通例 feel 〜 で)
T (+about+(代)名)(…を)悲しんで、後悔して (比較: 通例 bad が用いられる、badly はくだけた言い方)
He felt badly about the spiteful remark. 彼は意地悪な言葉を悪いと思った。
U 気分が悪くて, 病気で
I feel badly. 気分が悪い。

と書いてあります。
これを読むと余計にその違いがわからなくなってきました(笑)。

フレンズ3-11その5 で、
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471110.html
チャンドラー: I almost feel bad for whipping that kid's pretzel at them.
というセリフが出てきて、その時も、feel bad についていろんなご意見をいただいたのですが、feel bad にも、「本人の気分が悪い」「罪悪感を感じる」「(相手に)同情する」などのいろんなニュアンスがありますよね。

feel badly が「申し訳ない」で、feel bad が「気分を害した」であるというニュアンスはよーくわかる気がするのですが、辞書などでその裏付けが取れないというか、実際は、混同して使われているというか…そんな気もします。だから、私は自分で書く時にはまだ、feel bad とか使えないのです…。

私ももう少し考えてみますね。一緒に考えて下さってありがとうございました!


Tomoさんへ
ランキングサイトへのお誘い、ありがとうございます。
申し訳ありませんが、今3つのランキングサイトに登録させていただいていて、これ以上増やすことは難しいと考えております。
せっかくのお誘いなのですが、ご期待に沿うことができず申し訳ありません。コメントありがとうございました。
Posted by Rach at 2008年05月23日 12:26
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