チャンドラー: No, Beth doesn't die, she doesn't die. Does she, Rachel? (いいや。ベスは死なないよ。彼女は死なない。そうだろ、レイチェル?)
レイチェル: What? (何?)
ロス: Joey's asking if you've just ruined the first book he's ever loved that didn't star Jack Nicholson. (ジャック・ニコルソンが主演じゃないもので、ジョーイが好きになった[気に入った]最初の本を、レイチェルが台無しにしちゃったのかどうか、ジョーイは尋ねているんだよ。)
レイチェル: No. She doesn't die. (いいえ。彼女は死なないわ。)
ジョーイ: Then why would you say that? (じゃあ、どうしてそんなことを言ったんだよ?)
レイチェル: Because I wanted to hurt you. (だって、あなたを傷付けたかったから。)
(2008.6.13 追記)
この下の部分の解説には誤りがあります。下に追記をしています。
(この部分の追記はここまで)
チャンドラーやロスのセリフから、二人はレイチェルが怒りのあまり嘘を教えていること、つまりはベスは死なないことを知っているようです。
チャンドラーがそう言っているのに、What? 「何のこと?」とまだすっとぼけているレイチェルに、本当のことを教えてあげなよ、という意味で、Joey's asking if ... 以下のセリフをロスは言っています。
もう、かなりのあらすじを言ってしまっていて、それでほとんど ruin したことになるのですが、最後の「ベスは死ぬ」という話がジョーイにとっては決定的なダメ押しになってしまったようで、これではジョーイがその本を嫌いになってしまう、ということがロスは言いたいのかな、と思います。
若草物語、という本は、the first book he's ever... 「ジョーイが…した最初の本」だと言っていて、その内容は、「彼が今まで愛した最初の本」、「ジャック・ニコルソンが主演じゃなくて」愛した最初の本、だと言っています。
star は「星、スター」ですが、ここでは「(人を)主役にする、主役として使う」という動詞で使われています。
a movie starring Jack Nicholson なら「ジャック・ニコルソン主演の映画」という意味ですね。
本を読まないジョーイですが、シャイニングは大好きだと言っていましたね。
きっとそれは、本を読むより先に、映画を見たことがあって、それでその本も読みたいと思ったということなのでしょう。
今回の若草物語は、そんな風に映画から入ったということもなく、純粋に読み物としての本から入った作品だから、シャイニング以外で最初に好きになった本を、そんな風にダメにしちゃっていいのか? 本当のことを教えてあげなよ、と言っているのですね。
なぜ嘘をついたんだと言われて、「あなたを傷付けたかったから」と答えるレイチェル。
あらすじをバラされてカチンと来た仕返しだったことを認めています。
(2008.6.13 追記)
下のコメント欄でご指摘をいただいたのですが、若草物語(の続編)で「ベスは死ぬ」ことになります。
シャイニングのネタバレをされた腹いせで、「ベスは死ぬわ」という決定的なネタバレを言ったレイチェルですが、それを言ってしまうとジョーイがこの先、せっかく好きになったこの本を読まなくなってしまうから、チャンドラーとロスは「それは嘘だと言ってやれ」と言っているようですね。
詳しくは下のコメント欄をご覧下さい。
(追記はここまで)
ロバート: (running in) Oh, there they are! I-I dropped my keys. ([走って入ってくる] あぁ、君たち(そこにいるんだね)! 僕は鍵を落としちゃって。)
(He bends over to pick them up, right in front of Rachel, who then gets a free peep show.)
ロバートは鍵を拾おうとして、レイチェルの真ん前で腰をかがめる。その時、レイチェルは無料のピープ・ショー(のぞきショー)を見る。)
レイチェル: (gasps) Oh my.... ([息をのんで] あら、まぁ…)
ロバート: Got 'em. ((鍵を)取れた。)
who then gets a free peep show というト書きが面白いです。
今回のエピソードでは、「ロバートの大切な部分が見える」時のト書きが、やけに凝っているというか、ディクテーションした人の妙なこだわりを感じますが…(笑)。
peep は「のぞく」なので、peep show は「のぞき見ショー、いかがわしいショー」ということですね。
free は「無料の」ということで、ただでのぞきショーが見れちゃった、みたいな意味です。
別に、レイチェルは見たくなかったと思いますが…(笑)。
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ご指摘ありがとうございます!
久しぶりに、(言葉は悪いですが→)「大ボケをかました!」ようですね、私は。
私、若草物語は読んだことなくて、あらすじを知らなかったんです。それでてっきり「ベスは死なないのに、レイチェルがジョーイに対するいやがらせでそう言った」と思い込んでいたんですが、「ベスは本当に死んでしまう」のですね?
Wikipedia 日本語版: 若草物語
では、若草物語という「一群の作品」としては四作ある、と書いてあります。
ウィキペディアの「概要」に、
『続 若草物語』では…ジョーは闘病中のベスを熱心に看病し看取ることになる。
とあります。つまり、四作目の二作目『続 若草物語』(Little Women Married, or Good Wives)で、ベスは本当に死んでしまう、ということですね。
ジョーイが今読んでいるのは、とりあえずは一作目の Little Women のようですが、当然、続編も続けて読むことになるのでしょう。
レイチェルの言ったネタバレの中に、ローリーがエイミーと結婚する、とありますが、そのローリー(マーチ家の隣人、セオドア・ローレンス)がエイミーと結婚するのも、(よくわかりませんが恐らく)二作目以降になるようですし。
だから、このままジョーイがこの作品を読み進めていくと、いずれはベスの死を知ることになる、でも、今それを知ってしまうとジョーイはこの先を読まなくなってしまう。そういう意味で、ruin してもいいのか?、このままだったらせっかく(ほとんど)初めて好きになった文学を、彼は読まなくなってしまうよ、とロスは言って、「ベスは死なないと言ってあげなよ。」と助言しているわけですね。
思い込みとは恐ろしい。私は本当に「ベスが死なない」と思っていたので、レイチェルの What? はしらばっくれているのだと思ったのです。 Because I wanted to hurt you. も「仕返ししたかったから(嘘をついた)。」という意味だと思ったのですが、本当は「仕返ししたかったから(本当のことを言った)。」なのですね。
チャンドラーとロスが何とかジョーイを傷付けまいと、せっかく好きになった本を嫌いにならないようにと「取り繕った」…それが、この「ベスは死なないよね。死なないって言ってあげなよ。」に繋がる、ということなんだ。
そう言われてみると、チャンドラーの「ベスは死なないよ。」というセリフがちょっと大袈裟な感じで言っているように見えます。ロスが長々と説明するセリフも、「ジョーイにとってはそういう意味のある本だから」ということをレイチェルにわからせようとしているのですね。
エンディングでジョーイが若草物語を読むシーンがありますね。ベスとジョーが出てくるシーンを読んでいます。上のシーンの嘘がこのエンディングに繋がるのですね。なるほど、よーくわかりました。
本当にご指摘感謝します!
私も名作くらいは読んでおかないといけないな、とつくづく思いました。小学校の頃、友達は「小公女」「小公子」などの児童小説の名作で盛り上がっていたのですが、私は伝記もの、偉人ものばっかり読んでいて…。そのツケが今頃回って来た気がする(笑)。
ロバートの台詞:Oh, there they are! は「あぁ、君たち(そこにいるんだね)!」ではなくって、「あぁ、(鍵が)あった!」ではないかと思います。映像を見てもそんな感じ。
ご指摘ありがとうございます。おっしゃる通りです。
映像を見ると、セントラルパークに入ってきて、少しきょろきょろと見回して、椅子の下辺りにあるのを見つけて、「あぁ、(思った通り)そこに鍵があった!」みたいなニュアンスで言っていますね。
映像をきっちり確認せずに訳を書いたみたいです。またこういうことがありましたら、ご指摘いただけると嬉しいです。ありがとうございました!
実際、私は2部でベスが死ぬ、なんて知りませんでした。
本を読んだらベスは死んでしまったので、続編を読んだわけではないです。
レイチェルが貸した本の中で実際にベスが死ぬんだと思います。
私はまだ若草物語をちゃんと読んでいないので、詳しいことは言えないのですが、4部作という区分けが、実際に刊行されている本ではどういう形態になっているか、というところがポイントなのでしょうね。
「ベスは死ぬ」という事実を伝えると、ジョーイは続きを読まなくなってしまうから…と言いたそうなチャンドラーやロスのセリフを考えると、今、ジョーイが読んでいる、レイチェルから借りたその本の中で、ベスは死んでしまう、と考えるのが自然ですよね。
厳密に言うと、それは続編の第2部に当たるけれど、ジョーイが読み始めたその本の中では、その部分も合わせて収録されている、と考えるのが一番妥当だと私も思いました。
貴重なご意見、ありがとうございました。