2008年06月13日

解き放たれているもの フレンズ3-13その34

[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is reading The Shining, as Monica enters.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはシャイニングを読んでいる。その時、モニカが入ってくる。
モニカ: Hi. (はーい。)
レイチェル: (screams and grabs a potato masher to defend herself) Sorry. I'm sorry. ([叫んで、防御のため、ポテトマッシャーを掴む] (大声上げて)ごめん。ごめんね。)
モニカ: You would not believe my day. I had to work two shifts, and then to top it off, I lost one of my fake boobs, (opens her coat revealing a large burn mark over her left breast.) in a grill fire. (私の今日一日(の話)を信じられないでしょうね。私は2シフトで働かないといけなかったの。挙句の果てに、ニセ胸の一つを失ったのよ。[コートを開けて、左胸の上の大きな焼け焦げを見せる] グリルの火でね。)
(Rachel starts laughing.)
レイチェルは笑い出す。
モニカ: What are you smiling at? (何に対して微笑んでいるの?[どうしてニコニコしてるの?])
レイチェル: I'm sorry, I was just thinking your day could still pick up. (ごめんね。あなたの一日はまだいいことがあるって思ってただけよ。)
モニカ: Yeah, right. (えぇ、そうね。)
(She goes into her bedroom, and sees Richard who has covered the room in roses and has two glasses of wine and a rose between his lips.)
モニカはベッドルームに行く。そしてリチャードを見る。彼は部屋をバラで覆い尽くして、2つのワイングラスを持ち、唇にバラを挟んでいる。
リチャード: Hello. (ハロー。)
モニカ: I love this "friend" thing! (こういう「フレンド」っていうの、大好き!)

レイチェルが持ってるあのでっかい器具はポテトマッシャー(じゃがいもつぶし器)なんですね。
もうポテトマッシャーも日本語になっていますが、mash は「(じゃがいもなど)をすりつぶす、押しつぶす」。
mashed potatoes は「マッシュ(ド)ポテト」ですね。

確かに、怖い本や映画を見ている時には、ちょっとした物音でビクーッ!としたりするものです。
背後から誰かが襲って来そうな気がして、こんなものを自衛のために身近に用意していたのですね。

to top it off は「挙句の果てに」
to top it all, to top it all off とも言うようです。
ロングマン現代英英辞典では、
to top it all: (spoken) in addition to other bad things that have happened to you
つまり、「すでに人に起こった他の悪いことに加えて」。

burn mark は「焼け(焦げた)跡」。
日本語でマークというと、スマイルマークみたいなシンボルを思い浮かべますが、基本的な意味は、研究社 新英和中辞典の語義にあるように、
「(本来の形や色を傷つけたりよごしたりする)跡、 傷跡、しみ、汚点」
ということです。
birthmark だと「生まれつきのあざ」になります。

pick up は「拾い上げる」という他動詞で使うことが多いですが、ここでは自動詞で「回復する、向上する、持ち直す、元気づく、調子が上向く」のような意味ですね。

レイチェルが何だか嬉しそうなので、どうしてスマイルしているの?、ニコニコしているの?と尋ねるモニカ。
レイチェルの返事は、そんなに悪いことばかりの一日だったけど、まだこれから良いことが起こる可能性だってあるわよ、みたいなことですね。
モニカはそれを、単なる慰め、励ましの言葉と捉えたようですが、次のシーンで、そのレイチェルの言っていた意味がわかります。
この部屋に住んでいるレイチェルは、当然、リチャードが来たのを知っていたので、「まだ、楽しいことがあるわよ。」と笑っていたのですね。


[Scene: Central Perk, Phoebe, Chandler, and Ross are there.]
セントラルパーク。フィービー、チャンドラー、ロスがそこにいる。
フィービー: Listen, Robert's gonna be here any second, so could one of you just tell him? (ねぇ。ロバートはそのうちここに来るわ。それで、あなたたちの誰かがちょっと彼に言ってくれる?)
ロス: Oh. (いやだよ。)
フィービー: Please, right now, no, every time I see him, it's like "Is it on the loose? Is it watching me?" (お願いよ。たった今、いいえ、私が彼を見るといつでも、まるでこんな感じなの。「それは解放されてるの?」「それは私を見つめてるの?」)
チャンドラー: We can't tell him. You can't go up to a guy you barely know and talk about his "stuff." (俺たちは彼に言えないよ。ほとんど知らない人[かろうじて知っているだけの人]に近づいて行って、彼のモノについて話すことなんてできないよ。)
ロス: He's right. Even if it's to say something complimentary. (He stops and thinks about what he just said.) (チャンドラーは正しいよ。もしそれがお世辞のようなことを言うとしても、だ。)
ロスは言葉を続けるのをやめて、たった今自分が言ったことについて考える。

it は彼の penis をさしていますね。
loose は形容詞だと「放たれた、自由な、解放されて、解き放たれて」。
on the loose だと「(犯人などが)逃亡中で」「羽目を外して」という意味になります。

普通は、下着の下に収まっているはずのものが、下着をつけていないために解放されている、自由になっている、と言っているわけですね。
何かしらの制約から「解き放たれた」感じがして、on the loose という表現がやけに面白く聞こえる気がします。
それが私を見つめてるの?という表現も面白いですね。
それが私をじーっと見ているような気がする、それにずっと見られているような気がするから、気になってしょうがない、ということです。

barely は「かろうじて、わずかに、やっと」「ほとんど…ない」という否定的な意味を表す副詞です。
hardly, scarcely と似た感じです。

You can't というのは、フィービーのことではなくて、「一般の人」です。
誰だって人は、よく知らない人に対して、その人のモノを話題にすることなんてできないよ、ということ。
よく知ってる親しい間柄ならともかく、俺たちはまだそんなに彼のこと知らないんだから、と言いたいわけですね。

something complimentary について。
DVD英語字幕では complimentary、ネットスクリプトでは、complementary と表記されていました。
complimentary だと「お世辞を言う、称賛の」。
complementary は「補足的な」。
2つのコンプリメント フレンズ3-13その21 でも、その紛らわしい二つの単語について説明しています。

基本的に、「単語の綴りは DVD英語字幕の方が正しい」と判断すべきだと思うのですが、セリフを聞いて書き取る(ディクテーションする)人が、complementary という意味で納得した、という可能性もありますね。(この二つは紛らわしいので、タイポ・タイプミスの可能性も大ですが)

DVD英語字幕通り、「称賛の」の方だと考えると、「お世辞になるようなことを言ったとしても(見知らぬ人にモノのことを言いにくい)」ということになりますね。
彼のソレが見えていることを指摘するのに、なかなかイイモノ持ってますね、みたいな褒め言葉になるとしても、そんなことは言いにくいものだよ、と言っているのですが、言った後で「褒め言葉」と言ってしまった自分に対して、彼の持っているものをうらやましがっているかのような気持ちがセリフに入っちゃった?と思って、考え込んでいるような気もします。

または、発音が同じ、complementary 「補足的な」とのダブルミーニングだとしたらどうなるでしょう?
something complementary は「何か補足的なもの」で、complement は「補足物、補足して完全にするもの」という言葉です。
彼の stuff (モノ)が 彼という人間にとって、complement である、彼のモノがあってはじめて、彼という一個の男性が成立する、みたいな意味で、ちょうどそういうモノの話をしているときに、complementary と形容したのが、我ながら上手かったな…言い得て妙だったな、と自分のセリフを振り返っている感じでしょうか??


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posted by Rach at 06:31| Comment(0) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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