ロバートが入ってくる。
ロバート: (to Phoebe) So you ready for the gym? They've got this new rock-climbing wall. We can spot each other. ([フィービーに] それで、ジムへ行く準備はできた? ジムでは新しいロック・クライミングの壁が出来たんだよ。(ロック・クライミングをしていても)お互いの場所はわかるから。)
フィービー: No, I can spot you from here. (いいえ。私はここからあなたの居場所がわかるわ。)
ロバート: What? (何?)
フィービー: Okay, listen Robert... (いいわ。ねぇ、ロバート…)
ロス: (to Chandler) Hey, don't we have to...? ([チャンドラーに] ねぇ、ちょっと…しないか?)
チャンドラー: Yeah, we got, um-hmm. (あぁ、俺たち…)
フィービー: Umm, I think you're really, really great... (あぁ。私はあなたがとってもとっても素敵だと思ってるの…)
ロバート: Oh God. Here we go again. Why does this keep happening to me? (spreads his legs) Is it something I'm putting out there? Is this my fault? Or am I just nuts? (あぁ、だめだ。またこれだよ。どうしてこういうことが僕に起こり続けるの? [足を開く] それは僕が外にさらけ出している何かのせいなの? これは僕のせいなの? それとも、僕がただおかしいだけ?)
フィービー: I-I-I-I-I don't know, I don't know what to say. (私は、私は、わからないわ。何て言ったらいいかわからないわ。)
ガンター: (cleaning up the table) (to Robert) Hey, buddy? This is a family place. Put the mouse back in the house. ([テーブルを掃除しながら] [ロバートに] やぁ、君。ここは家族向けの場所なんだ。そのネズミを家にしまってくれ。)
(Robert looks down and realises the problem.)
ロバートは下を見て、問題に気付く。
spot は「…を見つける、見分ける」。
研究社 新英和中辞典には、
I spotted my friend at once among the crowd. 「人ごみの中に友人をすぐ見つけ出した。」
という例文が載っていますが、このようにたくさんの人の中で誰かを見つける、というニュアンスですね。
ロック・クライミングの話をしているので、大きな壁にみんながよじ登っているけれども、お互い、相手がどこにいるか見つけられるよね、みたいなことかなぁ、と思いました。
それに対して、同じように spot という単語を使って返すフィービー。
ここでの you は your stuff 、あなたの象徴である、あなたのモノがそこにあるのを私は知ってるわ、みたいな意味でしょうね。
外からパッと見は見えないけど、今そこにあるって場所がはっきりわかるわ、という感じかな、と。
put out というのは「外に出す」ということなので、ロバートが言っているのは、内面的、精神的なことなのでしょう。
僕が人に語る言葉や僕の仕草・態度などに問題でもあるのか?ということでしょうね。
でも、それが足をバーッと開いて something I'm putting out there と言っているので、「そこで外に出している何か」=「彼のモノ」を言っているように聞こえるので、観客が笑ってしまうのです。
nuts は形容詞で「気が狂って、気が変で」。
また nut は名詞で「ナッツ、木の実」という意味もあります。
さらにこの名詞は、nuts と複数形にすると、俗語・卑語で「睾丸」(testicle)という意味にもなるそうです。
ロングマン現代英英辞典にもちゃんと載っています。
nut [noun]:
5. SEX ORGAN
nuts [plural] (informal) a man's testicles
観客が異様に笑っているので、多分、ソレ系の意味なんだろう、と辞書を調べる前から気付いていましたが(笑)。
彼女が自分の方に向き直って、I think you're really really great... と言い出すと、その後に、but と続くことが(彼女の言い方からも)予想されますよね。
以前と同じようなパターンでフラれてしまいそうだと気付いて、どうしてなんだ?と悩んでいるセリフなのですが、彼は「僕のせいなのか、それとも、別に僕のせいではないのに勝手に僕のせいだと感じてしまうのがおかしいのか?」と自問しているのですね。
その nuts という形容詞が、testicle(s) という意味になるので、「それとも僕がただ睾丸だから?」みたいな意味にも聞こえて、ますます笑える、ということです。
ボールズ フレンズ3-6その25 でも、balls という言葉にそういう意味がある、と説明し、はっきり「睾丸」と書いていますので、いまさら恥ずかしがってもしょうがないのですが、今回はこのロバートのお陰で、そういう隠語・卑語をたくさん目にすることになってしまいましたね。
その過去記事にも書いたのですが、「下品な言葉は下品なように、荒っぽい言葉は荒っぽいように」聞こえていなければ、それを楽しめたとは言えない、のです。
このジョークに笑えるためには、そのダブルミーニングに気付かないといけません。
ですから私もフレンズの英語を解説する者として、今回は使命感に燃えて熱心に解説してみました(笑)。
family place について。
直接、family place という表現は発見できなかったのですが、
研究社 新英和中辞典で、
family(形容詞)=家族の、家庭の、家族向きの
a family film [hotel] 家族向き映画[ホテル]
というのがありました。
ここの family place も「家族向けの場所」、つまり、子供などの未成年者も来る場所、という意味でしょうね。
ガンターは、みんなが言いにくくて stuff などとはぐらかしているモノを、mouse と呼んでいます。
ざっと調べたところ、mouse にそういう卑語の意味がある、ということはないようですが、何となくイメージはわかりますね(笑)。
大事なのは、mouse にそういう意味があるんだ!と思ってそれを覚えようとすることではなくて、そのガンターのセリフで、あぁ、あれのことをそう表現しているんだな、と思って、クスッと笑えればそれでいい、ということです。
この店を仕切っている人なので、あまり下品な表現も使わずに、さらりと「家にネズミを…」と言ったガンター。さすがだな、と思いました。
このガンターという人物、思いを寄せるレイチェルには自分の気持ちも言えずにもじもじしているのですが、お店を快適な環境にするためには、妙にしょりっとする、というか、的確迅速に行動しますねぇ。
フレンズ2-21その10 でも、ソファの取り合いになった時、いじめっ子を黙らせるため、ロスはガンターに注意してもらっていました。
その後、「ガンターカード」を使うのが早過ぎたとも言っていました。
それだけ強力な「切り札」なのですから、今回も早くガンターに頼んでいたら、とっくの昔に解決していたのに…というところですね。
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4年前になりますが、HoustonのMuseum of Natural Scienceの特別展で、チョコレートをテーマにしたのをやってました。歴史(アステカ時代から、アメリカを代表する大企業Hershey'sのヴィンテージ包装紙とかまで)、利用法(血圧降下作用がある、という研究結果が展示されてたところでは、一緒に行ったESLのおばさん学生たちが一斉に『私!血圧高いの!もっと食べなきゃ!!』と喜んでましたっけ)など、なかなか網羅的、博物学的な見事な展示でした。
で、その特別展の広告。高速道路脇にあがってたデッカいものですが、チョコレートソースのアップか?というような写真をバックに、
「Nuts Welcome.」
と白抜きで書いてあるだけ、と言うしゃれたものでした。
チョコレートとの関係では、西海岸を揶揄するジョークで「California is like a box of chocolate. Full of nuts and fruits.」
というのもありますね。
box of chocolateの例えは人生によく使われますが、たまに歯が痛くなるようなあまーいフィリングの入ってるアメリカのアソートチョコレートのことを考えると、「たまには期待はずれのものもある」という意味もあるのか・・・といいたくなってしまいます。
私はミルクたっぷりの板チョコが好き。
おちかちゃんのコメントを読んで、"I'm getting a deja vu." (デジャブを感じる。)と思ったら、
nutsとcrazyの話 フレンズ3-1その15 のコメント欄
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470719.html#comment
で、その話、教えてくれてたんですね。
私の方も、記事のタイトルが、「nutsとcrazyの話」と「ナッツとマウス」、似たようなのを持ってきてます。過去に nuts のことを書いた記憶はあったけど、タイトルまでそっくりだったとは気付きませんでした(笑)。
Hershey's と言えば、
フレンズ3-13その6
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471209.html
に、a bottle of Hershey's Syrup も登場していましたねぇ。
私はあんまりチョコレートは食べないんですよねぇ。うちのダンナさんもあまり好きじゃないらしくて、バレンタインデーにチョコをあげたことがありません。息子はチョコが好きなので、バレンタインデーにまさに、a box of chocolate をあげました。毎日1個ずつ嬉しそうに食べてくれていました。
そのうち、「お母さんからなんていらん!」とか言われるんやろうけどなぁ…(笑)。
Hershey'sのチョコレートは、うちの母は戦後食べたのが感動的だったので大好きで、その影響か姉も好きなんだけど、私はどうもチョコレートっぽい香りがしないような気がして苦手です。Ghirardelli(ジラルデリ、かと思ってたらどうもギラルデリらしい)というメーカーのが美味しいけど、すこし値段が高級気味。とはいえGodiva(ゴディバ、じゃなくてゴダイヴァ、なんだよなぁ)ほどではないです。
うちのだんなはチョコレート大好きで、「だから、バレンタインデーに限らずいつでもチョコレート買っといてよ」なのです。ということで、日頃はGirardelli、バレンタインデーにはGodiva。最近は娘もチョコレート好き、しかも二人してダークチョコレートが好き。「お母ちゃん、どうぞ」と娘がくれる60%カカオのダークを「・・・苦いからお母ちゃんいらない。」と断ったりしてます。
印象に残った話、お気に入りの話は、あっちこっちでしちゃうよねぇ。私もブログの記事で同じようなネタを何度も持ち出しますから、よくわかります。
Godiva って、あれは「ゴダイヴァ」って発音するのか…。「ゴダイゴ」とか「おだいば(お台場)」とかを思い出すのは私だけ?(笑)。
うちはほんとにチョコは息子しか食べませんねぇ。娘もほとんど食べないですよ。私もそうだけど、お菓子と言えば、甘い系ではなくて、スナック系。カールとか、サッポロポテトとか、ぱりんことか、そういうのばっかりで、かさ高くて保管に困ります(笑)。
続編あったんですね。
続編は読まないと思います。
ジョーイの気持ちがわかる…(>_<)
Here we go again.
上のセリフ…
どうしてweを使うのでしょう?
We(フィービーと)はagainじゃないのにー。
日本語と英語の感覚が違うのでしょうか?
もしご存知でしたら教えてくださいm(__)m
コメントありがとうございます。
あいにく私は、若草物語は未読なのですが、「あの」ジョーイが(笑)、若草物語にすっかりハマってしまったくらいですから、やはり名作なのでしょうね。私もジョーイに負けないように早く読まないといけません^^
さて、ご質問の Here we go again. について。
前にもフィービーと同じ経験をして、それが今回もまた繰り返された、ということだと、we を使うことに何の問題もないわけですが、フィービーとは今回が初めてなのに、we ... again を使うのは違和感を感じる、ということですよね?
「またこれだよ」というニュアンスでこのフレーズを使うのは、決まり文句のようなもので、
研究社 新英和中辞典には、
Here we go again!
《口語》 ほらまた始まったぞ、ああまたか。
と出ています。
again がない Here we go. は、
Here we go!
さあ始めるぞ、さあ行くぞ。
と説明されています。
again のない Here we go! 「さあ行くぞ」の場合は、一緒にいる相手(聞き手)に対して、「今ここで(これから)俺たちは行くぞ! こんな風に俺たちは進むぞ」という感覚なのでしょう。
それに again がつくと、ネガティブな感じで「またか」というニュアンスになるようです。
では「どうして、we を使うか?」についてですが、なぜ we なのかについて説明してくれているものを辞書などでは見つけることができなかったので、とりあえず、私のイメージするところを以下に書いてみますね。
自分一人だけがいる時の状況ではなく、誰かと一緒の状況について「またこんな風に進む、こんな感じになる」と言っているため、自分だけのことではなく、相手(聞き手)をも含めた状況の話として、you & I の we になっているのではないかと私は思いました。
前にも同じような経験をしたことがあるために、日本語で言うところの「ああまたか」になるわけですが、その we というのは、今、会話をしている「フィービーと僕」を指すというよりも、「相手の誰かと僕」という、「僕と別の人との関係における状況」を述べているように思うわけです。
話者のロバートにとって、we 「僕たち」であるということで、フィービーにとってはそれが初めての経験でも、ロバートにとっては「ああまたか」という再度の経験となるために、Here we go again. 「僕と誰かはまたこんな風になる」と表現しているのが、we のニュアンスなのかなぁ、と思ったわけですね。
あくまで私の受けたイメージなので、あまり自信も確信もありません^^ 参考程度にお聞きいただけると幸いです(^^)
日本語ではない感覚ですよね、たぶん。。。
早く英語の感覚つかみたいーーーーーです(>_<)
ご丁寧なお礼のお返事、ありがとうございます。
日本語の「ああまたか」という言葉のイメージからは、主語を we にする感覚は出てこないですよね。私も kさんにご質問をいただく前は、何も感じずにスルーしてしまっていたので、改めて「どうして we なのか?」を考えるチャンスを与えていただけて良かったです。ありがとうございました!(^^)